阿賀野と陶芸をしに行くお話。

冬なので提督はお鍋を作りに行こうとするのだが・・・。



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阿賀野という名のピカソ

肌寒い風が吹く街中で時間が過ぎても来ない艦娘を待っている。

 

待たされるのはいつものことだから気にはしていない。

 

寒さを紛らわせるために買ったホットココアをちびちび飲みながら待っていると、大体待ち合わせの1時間後にその艦娘、阿賀野は現れた。

 

「提督さん、お待たせー!」

 

阿賀野はいつも通り緩い笑顔でこちらに駆け寄ってきた。

 

なんの悪気も見えない阿賀野に私は尋ねた。

 

「一応聞くけど遅れたわけは?」

 

「いやー、4度寝してちゃんと時間には起きたはずなんだけどー。

 

瞬きしたらもう間に合わない時間になってたんだよねー。」

 

もう駄目だこいつ。

 

自分の中でいつも通り諦めがついたところでふと視線を落とすと、阿賀野の手が寒さで悴んでいた。

 

その視線に気付いたのか阿賀野は「慌ててたから手袋忘れちゃってー。えへへ」と照れながら言った。

 

「うわぁ、あったかーい。提督さんありがとう、ふぅ。」

 

そういって飲みかけでまだ温かいココアを阿賀野に手渡し二人は歩き出した。

 

 

二人が向かったのは、工房である。

 

レンガで作れらた窯や、完成された陶器が飾られていた。

 

二人で陶芸を体験しに来たわけだが、それを希望したのは阿賀野である。

 

「でもどうして陶芸なんかしたいなんて言い出した?」

 

そういえば今までその理由を聞いていなかった。

 

「あのね、この前和風〇本家でやってるの見て・・・」

 

「もういい、わかった」

 

すぐ影響される阿賀野らしい。

 

とりあえず空気を抜くために粘土をこねまわす。

 

しっかり抜かないと壊れたり破裂するので大事な工程である。

 

横の阿賀野も子供のように目を輝かせながら粘土を練っている。

 

そのあとは、一番大事な成形である。

 

初めて見るろくろに興奮する阿賀野。

 

「わぁ!テレビでみたやつだ!」

 

喜んでくれてなにより。

 

私はこれからのことも考えて鍋を作ることにした。

 

そういえば阿賀野は何を作るのだろうか。

 

そんなことを考えていたら横から阿賀野の姿が消えていた。

 

「提督さーん!何を作るかは内緒だから完成するまでは見ちゃダメだからねー!」

 

そういって阿賀野は少し離れたところでろくろを回しだした。

 

少しして遠くから阿賀野の困るような声が聞こえたような気がしたがおもしろそうだからあえて助けないことにした。

そんなこんなで阿賀野の方も終わったみたいだ。

 

この後は、できたものを乾燥させて焼いたものを取りに来るだけだ。

 

「お待たせ―、提督さん。出来上がりが楽しみだねー・・・。」

 

疲れたのか少し眠そうな阿賀野とともに今日は鎮守府に帰った。

 

 

数週間後、二人で再び工房に向かった。

 

そこには私が作ったお鍋とその横に陶器らしからぬ異形の物体があった。

 

首が長く四足歩行できそうな生物らしき陶器が。

 

「最初は能代や矢矧たちにマグカップでも作ろうと頑張ったんだけどー。

 

うまくできなくて気付いたらこうなっちゃって―。でもかわいいからいいよねー。」

 

本人が納得してるならいいか。

 

「でもどうしてキリン?」

 

「違うよー提督さん。首が長い生き物だよ?ダチョウに決まってるじゃない。」

 

その発想はなかった。

 

それぞれの作品を木箱に収め、阿賀野は嬉しそうにそれを抱きかかえながら帰路についた。

 

帰る途中電車の中で、寝ている阿賀野のコートのポケットから日誌がはみ出ていた。

 

何を書いているか気になって、こっそり抜き取り新しいページを読んだ。

 

「今日は提督さんと工房に行った。二人っきりで出かけるのも久しぶりだった。

 

陶芸できたのも嬉しかったけど、やっぱり提督さんと一緒なのが一番だなぁ。

 

能代たちには言わないでおこっと!」


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