12月25日はクリスマス。だがその日は思った以上に重要な日だった・・・!
 知ってる人は知ってる、知らない人は知らないあの事実。

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12月25日はシノアの誕生日!っつーわけで書きました。文才なんてマイナス域です。誤字脱字多分沢山


クリスマスと誕生日

 「ふわぁ~・・・もう朝か・・・ううっ、さむっ」

 

 朝、優一郎は目を覚ました。今日は12月24日、冬真っ只中である。

 

 「ああー、布団出るのだりぃー・・・」

 

 布団の中でうずくまる優一郎。しかし、軍人たるもの、朝寝坊はできない。

 

 「ん・・・12月24日ってことは今日はクリスマスイブか。」

 

 頭がバクハツしたまま、ブツブツ呟きながら部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

    食堂

 

 優一郎、シノア、与一、君月、三葉の五人は共に朝食をとっている。

 

 「いやーそれにしても、さっきの優さん、頭が物凄いことになってましたねー。」

 

 「るっせえな!寝癖直し忘れただけだろ!」

 

 「まあまあ優くん・・・」

 

 「物凄いバクハツしてたな」

 

 「お前は頭の外だけじゃなくて内側もバクハツしてるけどな。」

 

 「おいコラ君月、テメー今なんつった・・・」

 

 いつもの仲良しっぷりである。

 

 「そう言えば今日ってクリスマスイブだよな。」

 

 「あ、そう言えばそうですねー。」

 

 「なんだ?サンタさんにお願い事でもあるのか?ガキだな。」

 

 「だぁれもそんなこと言ってねぇだろーがッ!」

 

 朝っぱらからとても騒がしい五人組であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

   しばらくして

 

 「やあ、優一郎君」

 

 「ん?ああ、アンタか」

 

 優一郎話しかけてきたのは深夜である。

 

 「アンタって、ヒドイなー。これでも一応格上の存在なんだから。」

 

 「別に、アンタそんなこと気にしねーだろ。」

 

 「うん、せーかい。あんまりかしこまらなくていいよ。」

 

 軽い。とっても軽い。頂点に立つ柊様がこんなに軽くていいのだろうか。

 

 「そんなことより優一郎君、明日が何の日か知ってる?」

 

 突然の質問に動揺する優一郎。

 

 「え?あ、ああ明日は・・・クリスマス?」

 

 「まあそれもあるけど。他には?」

 

 「う~ん・・・何かあったっけか?」

 

 12月25日・・・クリスマスしか思い当たる節は無い。

 

 「はーい時間切れー。残念でしたー♪」

 

 「何だよそれ。」

 

 「正解はね、シノアちゃんの誕生日でしたー。」

 

 「えっ?」

 

 予想外の答えだった。何かの祝日かと思っていたが、まさかシノアの誕生日だとは思いもしなかった。

 

 そう、12月25日はシノアの誕生日なのである。 ※終わりのセラフ公式サイト「終わりのセラQ」参照

 

 「だからさ、シノアちゃんの誕生日、君に祝ってほしいんだ。」

 

 「 ? 別にいいけど、何で俺なんだ?他の皆はダメなのか?」

 

 「君は特別、さ」

 

 「?」

 

 深夜の言ってることはよくわからなかった。

 

 「あの子は今まで誰にも必要とされず生きてきた。当然、誕生日なんて祝ってもらったことなど無いだろう。」

 

 「・・・・・」

 

 「シノアちゃんだって、君に祝ってもらったらとても喜ぶだろうしね。」

 

 「まあ、別にいいけどさ。」

 

 「んじゃ、よろしくねー」

 

 手を振りながら去っていく深夜。そして優一郎は・・・

 

 「誕生日っつったら誕生日プレゼントだよな。でもあいついつもヘラヘラしてるからなー。何が好きとかまったくわかんねぇ・・・そもそも誕生日プレゼントなんて贈ったことねーし・・・」

 

 早くも行き詰まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 優一郎はプレゼントを買うために、少し早く訓練を切り上げた。普段だったらサボりなんて出来ないが(まあサボろうとも思わないが)、グレンに理由を言ったらあっさり承諾してくれた。なんか、「ガキどもが色気付きやがって・・・」とかなんとか言ってた。

 

 「何言ってんだかアイツは。プレゼント買うだけだっつの。」

 

 優一郎は今渋谷に出来た大きなデパートに来ている。

 

 「にしてもすっげーなぁ。もうこんなに復興が進んでんのか。」

 

 辺りを見渡し呟く。一度世界が滅びたとはとても思えなかった。人類は再び繁栄されつつある。何故強い力を持たない人間が世界の頂点に立つのか。それは人間が互いに協力し合い、知恵を絞り、助け合って来たからである。いつしか優一郎は、吸血鬼に復讐するだけでなく、この人類を守っていきたいとも思い始めていた。

 

 「ん?」

 

 ふと、あるポスターが目に入った。

 

 「クリスマス限定スイーツ?」

 

 それはクリスマス限定、30個しか作らない激レアスイーツの宣伝ポスターだった。

 

 「ふーん。クリスマス限定か・・・いやでも30個限定はキツいよな~」

 

 このご時世である。確か復興は始まっているが、食料は貴重である。それは材料も同じで、砂糖などは特に高い。故に、見た目大して大きくもないこのケーキは1個2000円という高価格である。

 

 「・・・だが誕生日だって1年に1回しかねえんだ。それにシノアは今まで誰にも祝って貰ったことがない・・・よし。」

 

 意を決して、限定スイーツを買うために一晩並ぶことにした。

 

 

 

 

   月鬼の組の寮にて

 

 「優さん、どうしたんですかねー。」

 

 「アイツが訓練を早めに切り上げるなんて珍しいよな。」

 

 シノアと三葉が風呂上がりで、髪を乾かしながら話していた。

 

 「あんなに『吸血鬼ぶっ殺す!』とか言ってたのに、訓練に嫌気がさしちゃったんですかねー。」

 

 「アイツが復讐を簡単に棄てるかなー。」

 

 「まだ帰ってきてないですし、逃げ出した・・・?」

 

 「いやいや、さすがにそれは無いだろう。」

 

 優一郎はまだ帰ってきていない。シノアは少し心配していた。

 

 「(明日はクリスマスか・・・)」

 

 

 

 

 

 

   次の日の朝

 

 「はあ、はあ、やっと・・・買えた・・・」

 

 優一郎はゲッソリしていた。限定スイーツを買うために昨日は一睡もしていないのである。

 

 「徹夜って、こんなにキツイのか・・・?あーやべぇクソ眠ぃ・・・」

 

 16歳の優一郎に、徹夜はまだ早かった。だが限定スイーツは買えた。あとは渡すだけだ。

 

 「ん?」

 

 優一郎の目に、ある店がとまった。よく女の子が入るようなアクセサリーショップである。

 

 「・・・・・」

 

 何とはなしに、優一郎はその店に入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 「優さん、何処に行ったんだろう・・・」

 

 シノアは一人、部屋で呟いていた。

 

 「グレン中佐に聞いても『そのうち帰って来んだろ』の一点張りだし・・・」

 

 シノアにはグレンがふざけているようにしか見えなかった。

 

 「優さん・・・今日くらいは・・・傍に・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 「 た だ い ま 」

 

 「ちょwww 優くん今まで何処に行ってたの!?どうしたのその顔!?皆心配してたんだよ!?」

 

 「一編に質問しないで・・・」

 

 「優!無断で出掛けるのは違反だぞ!」

 

 「大丈夫だ。グレンにも許可取ったし。」

 

 「なんだ?サンタさんにお願いしに行ってたのか?」

 

 「もうそれでいいよ・・・」

 

 眠くて眠くて突っ込む気にもなれない。

 

 とりあえず、シノアを見つけないと・・・

 

 優一郎はシノアの部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「部屋にもいねーし訓練所にもいねーしグレンも知らねえって言うし・・・どこ行ったんだ?」

 

 もう日が暮れ始めている。誕生日プレゼントはその日に渡さないといけない。早いとこ見つけねーと・・・

 

 「って、いた。」

 

 見つけた。シノアは中庭のベンチに座っていた。

 

 「よおシノア」

 

 「えっ、優さん!?」

 

 突然シノアは優一郎に迫ってきた。

 

 「何処に行ってたんですか!?とても心配したんですよ!?」

 

 「あー悪ぃ悪ぃ・・・黙って出掛けたことは謝る。」

 

 「本当に、いなくなっちゃって・・・もう戻ってこないんじゃないかって・・・」

 

 シノアは泣きそうだった。

 

 「おいおい、1日でそんな大袈裟な・・・まあ、心配かけて悪かった。ちょっと手間取っちまってな。ほら。」

 

 優一郎は今朝買ったケーキの入っている箱を取り出した。

 

 「?これは・・・ってこれ!あの噂の激レアスイーツじゃないですか!」

 

 「大変だったんだぞ。昨日の夜から並んで、一睡もしてねーんだ。」

 

 「でも、なんでこれを・・・?」

 

 「なんでって、今日はお前の誕生日だろ?」

 

 「あっ・・・」

 

 どうやら本人は忘れていたようだ。

 

 「ありがとう・・・ございます・・・!」

 

 とたんにシノアの心には嬉しさが込み上げてきた。

 

 「ほら、もうすぐ晩飯だろ?そんときに食えよ。食堂行こーぜ」

 

 「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    食堂

 

 「えへへー」

 

 「おいっシノアっ!それあの激レアスイーツじゃんか!どうしたんだよそれっ!?」

 

 「えへへ、美味しい♪」

 

 「人の話を聞けッ!!」

 

 なんか女性陣が盛り上がっている。しかし、盛り上がっているのは女性陣だけではない。今日はクリスマスということで、ちょっとしたパーティーになっていた。

 

 「優さんからの誕生日プレゼントですよ。」

 

 「えなにお前今日が誕生日だったの?」

 

 「うわっ、みっちゃんひどーい。それに比べて優さん優しーい。」

 

 「ぐっ・・・おのれぇ・・・!」

 

 「まあ私もさっき思い出したんですけどね。まさか優さんから誕生日プレゼントが貰えるなんて思いもしませんでし た。」

 

 「へぇ・・・にしてもあの優がねぇ・・・意外だな。」

 

 

 

 

 

 

 「シノアさんの食べてるケーキ、優くんが買ってあげたの?」

 

 「ああ、まあな。誕生日だっていうし。」

 

 「ぜ、全然知らなかった・・・」

 

 「なんだ。優にしてまともなことしてんじゃねーか。」

 

 「うるせぇ・・・」

 

 そして楽しい時間はあっという間に過ぎていった。

 

 「ああ、眠い。そろそろヤバい・・・」

 

 「なんだ優、もう寝るのか?」

 

 「おう。瞼が限界だ。」

 

 「昨日寝てないんだっけ。じゃあ、おやすみ優くん。」

 

 「おう」

 

 与一達と別れ、部屋に戻ろうとした。

 

 「あっと・・・まだやることあった。」

 

 優一郎は再びシノアの部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

   コンコン

 

 「はい」

 

 「シノア、俺だ。ちょっとついてきてくれ。」

 

 「? わかりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人は先ほどの中庭に移動した。

 

 「どうしたんです?」

 

 ベンチに腰を掛けながらシノアは尋ねる。

 

 「いや、渡し忘れたものがあってな。」

 

 優一郎はポケットかたら小さな包みを取り出した。

 

 「ほらよ。」

 

 「え?」

 

 どういうことだろうか。誕生日プレゼントはさっき貰ったばかりである。

 

 「優さん、誕生日プレゼントはさっき・・・」

 

 「ああわかってる。それは、あれだ。その、クリスマスプレゼントだ。」

 

 「!」

 

 シノアはまた驚いた。誕生日プレゼントはシノアにとっての特別な日だから、プレゼントが貰えた。しかし、今度はクリスマスプレゼントときた。何故、私が貰えるのだろうか?疑問が浮かび上がる。

 

 「えーと、ほら。ケーキもいいんだけど、形に残る物もいいかなって・・・」

 

 包みを開けると、そこにはネックレスが入っていた。ネックレスには小さなパープルサファイアがあしらってある。

 

 「優さん、これ・・・」

 

 「結構いいだろ?なんか店でクリスマスプレゼントについて聞いたら、店員がニコニコしながらネックレス出してき てよ。んで、シノアに合いそうな色のやつ選んだんだ。」

 

 シノアがネックレスを自分の首につける。

 

 「うん。やっぱりそれいいな。似合ってるよ、シノア。」

 

 とたん、シノアが泣き出した。

 

 「・・・うっ、優さん、ほんとに・・・ありがとう、ございます・・・!私・・・こんなに嬉しかったこと・・・今まで1回も、ありません・・・うっ・・・ずっと必要とされなかった私が、こんなに幸せに・・・なっていいのでしょうか・・・?」

 

 優一郎はシノアの頭を手で撫でた。

 

 「そんなの、良いに決まってんだろ。グレンだって言ってたろ?過去にはなにも無いって。あるのは未来だってさ。 他人に必要とされなくたって、人は自由に生きていいんだ。それに、お前はもう必要とされてるだろ?少なくとも、 俺にとって、お前は必要だ。傍にいてほしいって、思ってる。」

 

 大胆な発言だ。優一郎は自分で言って少し照れているが、シノアの顔は真っ赤である。

 

 「だからもう泣くなよ。シノアはやっぱり笑ってるほうが似合ってる。」

 

 「ぐすっ・・・はい。そうですね・・・」

 

 ああ、私はなんて幸福者なんだろう・・・今、世界で一番幸せだ。

 

 正直、この殺伐とした世界で、どこにも幸せなんて無いと思っていた。でもそれは違った。ただ、幸せを知らないだけだった。きっとこれからは毎日が幸せなのだろう。

 

 

 

 だって、彼が傍に居てくれるのだから・・・

 

 その気持ちに気づいた途端、急に恥ずかしくなった。

 

 「あの、優さん、今日は本当にありがとうございました・・・って・・・!?」

 

 優一郎が急にもたれ掛かってきた。

 

 「ちょっ、優さん!?」

 

 「Zzzzz・・・」

 

 寝ていた。どうやら限界だったようだ。

 

 「そういえば、昨日は寝てないんでしたっけ。」

 

 シノアも優一郎に体重を預け、互いに寄りかかり合う形になった。

 

 「これからは・・・もう少し・・・甘えてもいいですよね・・・?」

 

 シノアの特別な1日は、幕を降ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

      翌朝 食堂にて

 

 「あ、シノア。昨日は部屋に帰って来なかったけど、何してたんだ?」

 

 「あれ?シノアさんも部屋に帰らなかったんだ。優くんも昨日は帰って来なかったみたいだけど、一緒だったの?」

 

 「え、はい。まあ・・・」

 

 「まだ俺眠いんだけど・・・ふわぁぁ・・・」

 

 「「「(!?)」」」

 

 「ふーん・・・で、何してたんだ?」

 

 「え!?いや別に何もしてませんよ!?」

 

 「嘘だな。さっきから妙に落ち着いてないし、同じタイミングで居ないのも変だ。」

 

 「ええっと、ごめんね。聞いちゃいけなかったよね?」

 

 「何言ってるんですか与一さん!?優さんも助けてくださいーよー・・・」

 

 「ごめん、頭が回んない・・・」

 

 「珍しく焦ってるなシノア。これは確実に何かあったな」

 

 「だから別に何もやましいことなんて・・・」

 

 「おやおや~?別にやましいことがあったなんて誰も言ってないよ?」

 

 「!!」

 

 「ハッハー!自爆したなシノア。さあ、何があったか白状するんだ!」

 

 「もう何なんですかアナタ達はぁぁーーーーーッ!!??」

 

 

 

 怒りながらも、幸せにひたるシノアの首もとで、パープルサファイアが静かに輝いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いやー、『ドキドキ!プレゼントで優くんとシノアちゃんの距離を縮めちゃおう!』大作戦(深夜命名)は大成功 だったねー。これでシノアちゃんもより心を開いてくれるようになるよ♪まあクリスマスプレゼントのほうは予想外 だったけど。優一郎君もなかなかやるねぇ。僕はこれからも優一郎君とシノアちゃんを応援するよ♪」

 

 「応援するよ♪じゃねーよ。テメーはいつまで俺の部屋に居んだ。とっとと出てけ。」

 

 「まあまあ、僕とグレンの仲じゃないか。あの熱い夜のこと、僕は忘れないよ?」

 

 「は?何言ってんのお前キモッ。」

 

 「ええー・・・」

 

 

 

 

 

fin



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