噛ませ転生者のかまさない日々   作:変わり身

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三年目 1

□月 □日

 

 

原作の始まる時期に突入していた事に気付いたのは、三年生になって数週間が経った後の事だった。

 

その日の俺は、近所のゲームショップでギャルゲー漁りに熱を上げていた。最近はGジェネDS的なアレに熱中していたので、そろそろイチャコラ成分が恋しくなったのである。

いや、シーマ様とライデンとかハマーン様とクワトロとかノーマたんと種三馬鹿とかちょっと匂わす程度のはあったけどね。でも如何せん密度は濃いけど量が少ないと言うか。分かりますかねこの気持ち。

 

そうしてたまたま魔法少女物のギャルゲパッケージを手に取った際、それはもう唐突に思い出したのだ――――あ、もうなのは始まる、と。

あれだけなのはやアリサらの事を原作メンバーと呼び放っていたのに、肝心の「原作」の事をすっかり忘れていた。いや自分でも何か忘れてるよなぁとは思ってたんだよ、マジでマジで。

 

ともあれ、そんな感じでそろそろジュエルシードが街にばら蒔かれる事を予期した俺なのだが――――特に何も行動を起こす事無くゲーム漁りを続行した。

 

だって俺はデバイスすら持っていないのだ。変に介入して妙な怪我してゲームが出来なくなったら自殺物である。

それでも世界が二次元だったなら、そんな細かい事を気にしないスーパーオリ主マンが爆誕していたのだろう。だがしかし残念ながら現実という名の三次元世界ではそんな事は有り得ない。世界の違いを正しく理解しましょうね。

 

幸い俺が動かなくても、原作主人公ともう一人オリ主が既に存在しているのだ。特にオリ主の方には俺が押し付けたデバイスがある筈だし、ほっといても何とかなると思う。多分。

 

まぁそんな訳で、俺は発売されたばかりのNorthWind的な何かとライライ的な何か。ついでに前々からやりたかったレトロゲーを何本か購入し帰宅。いつもと同じように夜を徹して楽しんだのであった。

 

 

……そういえば夜中に何か聞こえた気もしたけど、もしかしてユーノの広域念話だったりしたのだろうか。

うーむ、その時俺はシナリオに感動してボロンボロン泣いていたので分からなかったが、声援くらいは送っとくべきだったかもしれん。念話のやり方も知らんかったし無理だったろうけど、ハハハ。

 

 

□月 □日

 

 

最近、WetubeならぬTheytubeという大型動画視聴サイトが開設された事を知った。

 

まだ日本語訳にはされていないようだが、あと二・三年もすれば対応してくる事だろう。その頃にはまだ無きニヨニヨ動画的な何かも(RC)版まで行っている筈だし、今後始まる動画生活が楽しみな事この上ない。

 

俺は英語の意味の分からぬまま黎明期だった頃のつべ動画を拝見しようとしたが、どうやらまだ活発化はしていないらしかった。投稿動画の数が前世の物と比べ驚く程少ないではないか。

辿ってみれば初めての動画が投稿されたのがつい先日の事で、それから一ヶ月も経っていないとの事。感心したようなショックなような、不思議な気分になる。

 

……投稿、してみるか? 今ならパイオニアになれるかもよ? 何のかは知らんけど。

良く分からない名誉欲に突き動かされた俺は、その日の内に動画の取り方、投稿の仕方をチート効果で頭に叩き込む。そして近所の電気屋まで走りビデオカメラを購入し、撮影準備を完璧に整えた。整えてしまった。

 

撮影スタジオはマンションの屋上、演目は俺が考えた超格好いい俺ダンスだ。俺が人に自慢できる物などこのチートな身体とサブカル愛だけだしね。悪いか。

 

ともあれ最後にお洒落過ぎない黒いジャージに着替え、顔バレする訳にもいかんので縁日で買ったライダーのお面を装備し準備は万端。カメラのスイッチを起動し、チートの限りを尽くして人類には到底再現不可能なスタイリッシュダンスを披露する。

 

――舞い、舞って、舞いし、舞えば、舞う。

 

正に風の如く、炎の如く、雷土の如く、雲の如く。それは柔らかくも力強い、そして何より美しさを前面に押し出した六千六百六十六堂院ベルゼルシファウストとしての最高の動きだろうと確信できる物だった。後から思えば、何か憑依してたのかもしれない。

とにかく全力で最後まで踊りきった俺は、奇妙な充実感に包まれたままカメラのスイッチを切った。後は動画の始まりと終わりの部分をカットし、暗転効果でも付ければ完成だ。

 

そうしてパソコンでの大まかな編集作業を終えた俺は、どこかワクワクした気持ちで動画を投稿したのであったとさ。

 

 

 

…………まさかこの映像が、その後五年、十年と長い期間に渡りオカルト動画として語り継がれる事になろうとは全く予想しとらんかった。

ある意味ではパイオニアにはなれたのだろうが、俺としては果てしなく遺憾な結果である。ぐむむ。

 

 

□月 □日

 

 

どうも最近街が騒がしい。

 

原作の事件の影響か、動物病院が破壊されたり大木が出現したりと物騒な出来事が絶えず、日々新聞やネットでニュースとなっている。

そしてそれに伴い、魔法関係の秘密を抱えた事で原作メンバーとオリ主の関係もピリピリしてきてるし、クラス内に何か妙な緊迫感が常に漂い続けていてお尻がムズムズして仕方がない。

 

ほら見てごらんよ、隣席のメガネっ娘も怯えて涙目になっているじゃないか。全くひどい事するなぁ。

俺はボリボリ尻を掻きながら何となしに彼女を眺め――――ピコーン、と頭の上でLED電球が輝いた。そうだ、この状況は俺の野望のために利用できるかもしれん。

 

半笑いになった俺は三人娘を心配そうに見つめるメガネっ娘に顔を寄せ、ヒソヒソと囁く。

 

 

ねぇねぇメガネ、このままで良いと思ってる? 放っておいたらどんどん仲悪くなるよ、アイツ等。いやはや大変だぁ大変だぁ。

メガネってなのはやアリサらとは親友なんだろ、だったら仲を取り持つくらいできるんじゃないかなぁ。そう、例えば――親友の証とやらのイラストとか見せてみたらどうだい? 友情を思い出したりして効果テキメンだと思うんだけども……。

 

 

……等と脳みそに浸透させるようにねっとり言い聞かせると、メガネっ娘はレンズの奥の瞳をグルグルと回転させて猛烈な勢いで絵を描き始めた。

その手の動きは最早人間技では無く、このチート視力をもってしても追いかけるのがやっとだ。そうしてみるみる内に自由帳のページに三人娘の姿が描き出されていく。

 

――名付けて、オリ主の囁き声CD作戦。適当な事を嘯きメガネっ娘をその気にさせ、彼女に原作メンバーのイラストを描かせて仲直りイベントを起こそうという考えである。

 

そしてイベントの終了後、俺は使い終わったイラストを回収してミッションコンプリート。俺は満足出来て原作メンバーは仲直りも出来てと互いにWIN―WINの関係になれるのサ!

まず確実にエロ絵では無いだろう事がちと残念だが、この際それには目を瞑ろう。メガネっ娘にイラストを描かせたらこちらの物よフフフ。

 

……そんな自分の狡猾さに慄いている間に彼女はイラストを描き上げたようで、自由帳を握り締めアリサらの元にとてちて走り寄って行った。

 

そうしてアリサ、なのは、すずかの手を引いて全員をオリ主の下に集めた後、イラストを御開帳。優しいタッチで表現された笑い合う三人娘達の姿を見せつけ、たどたどしく説得を開始した。

……何故かその絵の中には俺やオリ主の姿も描かれていたのだが、何だ。これは喜ぶべきなのかどうか。さて。

 

ともあれ、そんな感じで何か感動的な展開になっている彼女達を他所に――――俺は身体チートの応用で椅子に座った姿勢のままスライドして移動。いわゆる空気椅子の状態から、足を動かす事無く無音で現場へと近づいたのだった。

 

原作メンバー達は仲直りが終了したらしく、メガネっ娘と抱き合って美しい友情を育んでいる所だった。是非とも二次元で見たかった光景であるが、まぁ良い。

目的の自由帳はすずかに抱きしめられた際に取り落としたようで、丁度良くイラストのページを開いたまま床に転がっている。

 

多分オリ主サイドの神は、この絵の事を最後に描写しつつフェードアウトして回を締めるつもりなのだろう。

「絵の中のなのは達が浮かべる笑顔はとても綺麗なもので、それと同じ表情を浮かべる彼女達の友情はいつまでも変わらないのだろう~」と言ったナレーションを付けでもしたら完璧だ。

 

だが残念ながら、俺が存在する以上そんな爽やかには終わる事はないのだウフフフ。

浮かべていた半笑いがゲッスい笑みにダークネス進化した事を感じながら、俺はチート手刀でページを切り取ろうとして――――ガチリ。覚えのある擬音と共に腕を掴まれる。

 

 

…………(´・ω・`)というショボくれた表情で目を向ければ、そのオリ主が「それはしたらアカンやろ」的な渋い表情で俺を見つめている所だった。泣いた。

 

 

□月 □日

 

 

学校からの下校中、道端で変な感じのする宝石を見つけた。

多分これがジュエルシードなんだろう、俺の第六感とも言うべき場所がけたたましく警告音を鳴らしている。

 

……これ使えば世界を二次元にできるかな。少しだけ心を揺さぶられたが、この宝石は願いを歪めた形で叶える設定があった事を思い出す。

もし下手に手を出して、「物理的に」世界を二次元に変えられてしまったらとんでもない事になる。そうなった場合に訪れるグロ映像を想像し、侮蔑の視線と共に唾を吐きかけてやった。

 

するとどうだ、唾液に濡れたジュエルシードはぬらぬらと生理的に受け付けない光を放つようになったではないか。俺の玉の肌に一斉にぞわぞわ寒疣が立ち上がり、嫌悪感に耐え切れなくなった俺は力の限りジュエルシードを蹴っ飛ばした。

ヒュカン、ヒュカン、という軽い音が響き、一瞬遅れて空気が爆発。強大な衝撃波が前方へと流れ去る。これぞチートの正しい使い方だ。

 

蒼い閃光と化したジュエルシードは、彗星の如く空の彼方へとすっ飛んで行き――――遠くの空で何か人の様なものに激突、地上に向かって落っこちた。

フェイトかなのはかオリ主か、それともアルフか。まぁ誰でもいいやと俺はあっさりスルーして、近くの壁を駆け上がって大ジャンプ。高層マンションの俺の部屋のベランダに直接着地しダイナミック直帰を果たしたのであった。

 

 

どうでもいいが、今日は厄 友情談疑的な何かをプレイした。

……何とか女子連中には萌える事に成功したが、何故だろう。俺の心に手痛い敗北感が去来した。寝る。

 

 

□月 □日

 

 

シムシティ2000的なゲームのテンポの遅さにしょっぱい顔をしていたら、突然どこからか轟音が聞こえた。

 

慌てて窓の外を見れば海の方角の空が荒れ、海上で大きな竜巻が上がっているのが見える。これはあれか、海上の決戦シーンか。

そういや最近なのはやオリ主が学校休んでたし、そうか、もうそんな時期なのか。不思議と感慨深くなり、せっかくだから窓際にカメラを置いて撮影する事にした。

 

……あれ、俺温泉イベント呼ばれてなくね? まぁ別に興味無いから良かったけどさ。

そんなこんなでカメラの設置が終わり、再びセガサターンのコントローラを握り直しロードの完了を待っていると――先程の轟音なんて目じゃない程の雷音。遠くの空にでっかい雷が落ち、突然テレビの画面が消えた。停電である。

 

……やってくれやがったなプレシアァァァ……! 俺の組み上げた街が滅亡した事による憤怒の感情を時の庭園に向けるが、俺にはただ電気の復旧を待つ事しかできずに歯軋りギギギ。

 

そうして5.6分後にようやく電気が回復。素早い動きでセガサターンの電源を入れ直したのだが、今のでパワーメモリがイカレたのかそれとも内蔵電池が元々限界だったのか。テレビに映ったのはロゴでは無く時刻合わせの画面であり。

あーあー、色んなセーブデータが飛んだぞこれ。俺は暗澹たる気持ちになりながら、とりあえず今日の日付を打ち込んだのであった。

 

 

ちなみに今回撮影された映像をテレビ局に送ってみた所、何とニュース番組の映像資料として使って貰える事となった。

こっそりメガネっ娘に自慢すればパチパチと拍手を送られたので、嬉しくなった俺はローゼンメイデン的な漫画を頭の上に乗せてやる。

 

当然いつかのように怒られたが気にしない。そろそろ新しいジャンルにも目を向けおくれという親心さ、ハハハハ。

 

 

□月 □日

 

 

以前よりときメモが大好きだと声高に叫んでいる俺であるが、大好きなのは本家シリーズだけではない。

ぱずるだまやとっかえだま、クイズしよ、ドラマシリーズ等派生作品は勿論の事、女性向けのGirl's Sideも楽しくプレイさせて頂いた。

 

この世界ではGSのメインヒロインが葉月ではなく三原なのだがその面白さに陰りは無く、むしろ三原がメインに座った事でキャラクターの個性が強まった気がする。

……この辺、三原の性格を知っている方ならどんな具合になっているか予想できるだろう。凄いよ、色々。

 

俺としては日比谷君がヒロイン(ヒーロー?)の中では一番好きなのだが、やはり男である以上サブを固める女性キャラクターに目が行ってしまいがちだ。

特に瑞希ちゃまとたまちゃんが俺の中での二大巨塔である。容姿や声優さんが好みという事もあるのだが、瑞希ちゃまのツンデレぼっち具合や、たまちゃんの主人公への依存具合とかもうヨダレが垂れちゃう程に素晴らしい。

その分ライバルに回った反動が大きく、特にたまちゃんと喧嘩してる時なんかは心が抉られる事になるのだが……それでもやはり、彼女達の個別友情エンドを見るとこの子達が好きなのだと実感出来る。

 

しかも周りが男だらけな分、何と言うか、その……友情エンドにも妙にフローラルな香りを感じてならず。製作者の意図しない「何か」がほんのりと咲いているような……ねぇ?

まぁとにかくメインのヒーロー(ヒロイン?)達に加えてサブキャラ達も皆魅力的で、GSは凄く良い作品という事だ。うん。

 

それこそ女性向けを謳っているにも関わらず男も楽しめる作りとなっているので、世のノンケ達諸君も是非プレイしてみて欲しい。どちらかは分からないが、新しい世界が見えるようになる筈だから――――

 

 

……そんな独り言を即興で宣いつつ、俺はオリ主の下駄箱に態々買った新品のときメモGS、それと本編の3をそっと放り込み、閉じる。

 

アイツが前にやりたいけど恥ずかしくて買えないと言っていたソフト達だ。まだアースラからは帰ってきていないようだが、これなら三人娘に悟られる事無く彼の手に渡らせる事が出来るだろう。

原作介入を頑張っている筈のオリ主に対する、俺からの慰労プレゼントだ。時期的にそろそろ一期も終わると思うし、全てが済んだ後にでもゆっくり楽しんで欲しい。

 

「――フッ」ニヒルに唇を上げ、俺は下駄箱前から立ち去ったのだった。

 

 

□月 □日

 

 

――――Дちゃんねるに野菜レイパーが降臨した。

それを知った瞬間、俺は堪らず白目を剥いて歯茎をむき出しにして舌をうねらせ尻を突き出してしまった。俺にとってはそれ程の衝撃だったのである。

 

 

「う、嘘……だろう?」

 

 

……鳥肌が止まらない。知識だけでは知っていたが、よもや自分が奴の伝説的凶悪犯罪を目撃する事になろうとは思ってもみなかった。

 

俺は震える指先を何とかいなし、スレを開いてマウスホイールをくるくると回す。すると奴の餌食となった哀れな被害者(ウリ科)のあられもない写真が目に飛び込み、思わず息を吹き出した。

そうして俺と同じく居合わせたVIPPERが上げる静止の声も聞かぬまま――奴は、自らの「それ」を差し込んだのだ。一切の躊躇も容赦も無く、一息に。

 

 

――それは、確かに外道であった。

 

 

何て酷い事をするのだろう。俺達は掲示板を通して繰り広げられるその悲惨な光景に口端を歪め、奴への罵倒の言葉を書き込んでいく。

「やめろ!」「早まるな!」「いやあああ!」「通報しました、農家に」しかし野菜レイパーはそんな幾つもの糾弾など物ともせず、コトが済んだ哀れな被害者を切り刻んだ挙句、牛肉や玉ねぎと共にフライパンで熱を通し、しかも塩コショウまで振りかけてしまった。

そのおよそ人間とは思えない残虐行為に、徹夜明けの胃袋が悲鳴を上げる。

 

……そして全てが終わり、証拠が隠滅された事を確認した後。俺は「乙」と書き込みスレを閉じた。

瞼の裏に浮かぶのは、皿に盛り付けられた被害者の無残な姿だ。俺はギリリと唇を引き締めるが、端から漏れる唾液を止める事は出来なかった。

 

――やってやるよ、畜生。

 

我慢できなくなった俺は決心と共に大きく目を見開き、財布を片手にベランダから飛び出した。現在時刻は未だ朝の六時半、スーパーもまだ空いてない時間帯だ。

ならば行くべき所は農家のみ。俺は身体チートを最大限に駆使し、被害者の――ニガウリの生産地として有名な沖縄の方角へと超大ジャンプを行った――――!

 

……そうして何だかんだで出来上がったゴーヤーチャンプルは、素人が作ったにしては中々の出来だった。結構料理出来る人だったんだな、俺。

 

 

□月 □日

 

 

 

なのはとオリ主が帰ってきた。どうやら一期が終わったらしい。

 

随分長い事居なかった気がしたが、数えてみたら一ヶ月近く経っていたようだ。アリサやすずか、メガネっ娘達が駆け寄り、やいのやいのと騒いでいる。

……こんだけ居なくて、進級とか大丈夫なのだろうか。まぁ義務教育だから退学は無さそうだが、これから補習が大変そうである。ポケモンの厳選を行いつつ心の中で合掌した。

 

そのまま暇つぶしに彼らの話に聞き耳を立てていると、新しく三人の友達が出来たとか出来ないとか言う発言が飛び出してくる。

三人? 二人は多分フェイトとアルフの事だとしても、もう一人? ユーノか? それともクロノか?

 

……もしかしてアレか。アリシアとか助けちゃったパターンだったりするのかしら。何かそんな気がする。

ちらりと伺う二人の顔には悔恨や悲壮感といった負の感情は欠片も浮かんでいないし、この分じゃプレシアも助かってるかもしれんなぁ。原作大ブレイクだ。すごいなオリ主、良く頑張った。

 

俺のデバイスだった四角形も役に立ったのだろうか。今度さりげなく聞いてみよう――そう考えながら漫然と眺めていたら、オリ主が何やらこっそりとメガネっ娘に写真のような物を渡していた。

……何やってるんだあいつ。メガネっ娘も突然の事に戸惑っていたようだが、やがて頷きこっそり三人娘から離れて自由帳に写真を模写。そうして切り取ったそれを抱えて、とてちて俺の下へと近付いて来る。

 

はてさて何じゃらほい。疑問に思いつつも一連の流れを見守っていると、彼女はこっそり俺にイラストを差し出して――――「ッ!?」

 

ビックリした。何せそこに描かれていたのは、魔法少女リリカルなのはの名シーン。公園で一時の別れを告げるなのはとフェイトのイラストであったのだから。

バッ! と顔を上げれば、オリ主がこちらに自らの傷だらけな球型デバイスとは別の、見覚えのある四角形を翳し唇の端を上げていて。そして、念話が一つ飛んでくる。

 

 

――――まだGSしかやってねーけど、俺的にはヒムロッチとしほタンが面倒臭くなくて良かった。

 

 

まぁね! ヒムロッチは爆弾つかないし、しほタンはあんまベタベタしてこないしね! 良いよね!! ワハハハ!

俺は感動と感謝に打ち震えつつイラストを折り曲げないようしまい込み、オリ主に向かって身体チートを用いた最高のサムズアップをかました。ドパン! と空気の破裂する音がしたが、何処もおかしくはない。

 

そうして上がったテンションのまま、手近にあったメガネっ娘の頭を少々乱暴に撫でくり回していると――「何してるのー!」とやっぱり耳年増が出現。目をグルングルン回転させふらつくメガネっ娘を抱き寄せ、犬のように威嚇してきた。

後はまぁ、何時もの騒ぎである。三人娘が俺にギャーギャーと言い募り、俺は耳の中を塞ぎ、メガネっ娘は狼狽えて。そうしてオリ主がやれやれと溜息を吐きながらそれを収めにかかる。そんなテンプレ。

 

ああ、早く帰ってイラストをゆっくり眺めたいな、とりあえず帰りに額縁でも買ってくべぇ。そんな何だか幸せな心持ちの中、俺は三人娘を無視してポケモンを再開したのだった。

 

 

……あ? 天然6V? 嘘こけバグだろこれ。




※ 「野菜レイパー」検索注意。

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