人はそれぞれ役割を与えられている
そしてその役割は その本人でしかできない
人は 一人一人 かけがえのない存在なんだ…

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はじめましての方ははじめまして
何の因果か 私を知っている人は お久しぶりです
このストーリー 実は 投稿用に作ったのではなく
友人に頼まれて作成した作品を ディレクターズカット版として投稿している感じです
このサイトははじめてですので
色々おかしなところもあると思いますが
よろしくお願いします


『Gemini destroy』

「新たなオペレーションをスタートするわ!」

 

と いつもの様に歴代校長が礼をもって使用していた椅子と机にふんぞりかえりながら、我らがゆりっぺことゆり が皆に言い放つ

もっとも、この世界に歴代校長もなにもないのかもしれないが…

 

「ほう…新たな…ということは今までとは違ったものなんですね?」

 

と 見た目だけたら超インテリ系男子 高松が眼鏡をあげながら言う

 

「当然よ!皆 この世界の仕組みを思い出してみなさい」

 

「えーと…現実世界で死んだ俺たちがここで規律ある学生生活を送ったら、そのまま来世にドーン!…だろ?」

 

一番に答えたのは日向 この死んだ世界戦線の最古参メンバーであり、死にたてで右も左もわからなかった俺に付き合ってくれた、若干そっち系疑惑のある青色だ

そんな日向にゆりはバッサリと

 

「30点!今から24時間断食を命ずるわ」

 

「ええぇぇぇ!?」

 

間違ったことは多分言っていない筈だ…

 

「えぇと….….生徒会長であり、神様の使いの天使が僕らを見張っている?」

 

と 次に自信なさげに発言したのは これまた最古参メンバーの大山だ…こいつは…普通な奴だ

それと、いま話題に出た天使とは ゆり曰く、この世界を管理する神の使いであり 冷酷残忍非道な存在…とは言ったものの、俺はあいつが…立華かなでがそんな奴じゃないという事を知っている

あいつは単に自分の事を表現できない言葉足らずなだけで、花を愛で、積極的に人を助ける真面目な人間なんだ

戦線の皆にもその事を知ってもらいたいんだが、どうも言い出せないでいる

言ったところで信じてもらえなさそうというか、俺に無理矢理言わせてるなんて思われたらかえって拗れる…

 

「目の付け所は悪くない!でも70点!この会議終了までスクワット!」

 

「ええぇぇぇ!?」

 

「ご褒美じゃないですか!?」

 

高松……

 

「神の使いである天使が、私たちの行動を監視、それを神に報告していますね…」

 

ゆりの秘書的存在である オペレーターの遊佐が発言する

いつも物静かな彼女は何を考えているのかわからなく少し近寄りがたいところがあるが、以前 戦線の陽動部隊 ガルデモのライブを観た時に彼女の身体がリズムに合わせて上下していたのを俺はこの目に焼き付けてある

 

「それよ!流石遊佐さんね!馬鹿どもとは違うわ〜24時間の完全休暇を与えるわ!」

 

「ありがとうございます」

 

24時間の完全休暇!?

いつもなんやかんや呼び出され無理難題を押し付けられる戦線でこの特典は超豪華だ!羨ましい

 

「そう、私たちの行動は天使を通じて神に筒抜けなの、つまり私たちがイレギュラーな行動をしたら確実に神の目を引くわ!」

 

「でもそれって 以前やらなかったっけか?テンション上げてどーとかってやつよぅ…結局効果なかったけどな」

 

目つきと柄の悪い風貌でそれを言ったのは戦線の特攻隊長の藤巻だった

いつも持ってるドスが物騒だ

 

「ああ?藤巻 お前!ゆりっぺの作戦にケチつけるつもりか?」

 

もっと物騒な奴が藤巻を睨みつける

こいつは野田、ゆりっぺの腹心でいつもハルバードを担いでいる 危ない危ない危ない!

 

「ストップ…こんなところでドンパチやらないでよね…そうじゃなくて、今回はさっき言ったように今までと違うわよ!テンションを上げたり野球をしたりなんかより目を引くわ…いままでのは突拍子もなさすぎたのよ」

 

「ふんっ ふんっ….突拍子もない?」

 

律儀にスクワットしながら大山が首を傾げる

 

「皆 自分がやってるゲームのキャラクターが突然パワーアップしたりイベントに参加しまくるようになったらどう思う?」

 

「Break game! Let's Dancing!Fooooo!」

 

空気を読まず 踊りながら何故か英語で答えるのは謎の男 TK

まともに話さず、踊り続けてる以外全てが謎の存在だ…

ゆりはどこから取り出したのか いかにも危険そうなスイッチを押す

 

ズドァァァァァン

 

TKは無惨に爆散した

人一人爆死しても誰も気にしない戦線メンバー

この世界に死という概念はない

だってもう死んでいるからな

俺も最初すらドン引きだったが、今じゃ日常の一部と化している

慣れというのは恐いものだ…

 

「普通に考えて仕様…何かの分岐による変化…ですかね?」

 

「そうよね竹山くん」

 

「クライストです」

 

今の発言者はハッカーの竹山だ

何故か自分のことをクライストと呼ばせたがってるが、正直呼ぶ気になれない

 

「ところが!キャラクター表示と名前表示とかボイスとステータスが突然あべこべになったらどう思うかしら?」

 

「そのゲームが壊れたと思うぞ」

 

太い声で松下五段….もとい松下が言う

松下五段はその体格や風貌からそのあだ名を付けられた猛者だ、いつも静かに話に入ってくる

とても同い年には見えないんだがな

 

「そうよ つまりこの世界をゲームかなんかとしか見ていない神がそんな現状を知ったら飛び出してくるに違いないわ!」

 

そんな現状って…まさか?

 

「そのまさかよ!」

 

ゆりはまたどっから出したのかクジボックスを机に叩きつける

 

「今日一日、皆にはクジに書かれた人の役をやってもらうわ!」

 

やっぱりか!

だろうと思ったよ娯楽主義者め!

 

「つまり、僕にそんな道化を演じさせるつもりか?ハンッふざけるな…」

 

そういってきびし返すのは元生徒会副会長の直井だ

以前暴走して大変な事を引き起こした催眠術の使い手だ

今では改心し…てはいないが、なんやかんやで今では戦線のメンバーになっている

 

「あら?そんなことを言っていいのかしら?」

 

ゆりが悪い顔をしている 嫌な予感しかしない

 

「このクジには皆の名前が入っている…つまり貴方も、音無くんも…いつも音無くんにべったりな貴方と音無くんの立場が逆転したら…?」

 

冗談じゃないぞ?

 

「…….いいだろう」

 

よくないよな!?

 

「それともう一つ、今回は神もそうだけど、その前に天使の目も引かないといけないわ、だからこのオペレーションと並行して基礎であるオペレーショントルネードも遂行するわ」

 

「なるほど、我々がそろって行動を起こさなくては天使も我々の変化に気づかない」

 

「なるほどね!」

 

高松と大山が同調するが…いいのか?役職あべこべなんだろ?

 

「にしても野郎だけでこんな王様ゲームまがいなことやっても味気ねぇな…」

 

藤巻が下心満々で言う

だが、ゆりの反応は以外なものだった

 

「うーん それもそうね、大人数でやった方がいいでしょうし、ガルデモメンバーにも招集をかけるわ」

 

カオスな予感しかしない

だってこのメンツだぞ?

 

「んで…このオペレーション、当然ゆりっぺも参加するんだろうな?」

 

以前のハイテンションで自分だけ不参加だったゆりに釘を刺す日向

 

「え?やらないわよ勿論、監督役は必要だからね」

 

しれっと さも当然のようにゆりは言う

だと思ったよ

だが ここで意外なとこから声が上がる

 

「それですとまたオペレーションなんだと思われます…初の試みの作戦ですし、ここはゆりっぺさんも参加しないと…」

 

遊佐! いつもゆりの発言全力肯定なお前がよく言ってくれた!

どうやら 以前のオペレーションで皆揃って絶食した時 自分だけ被害を蒙らなかったゆりに思うところがあるような感じだ

さらに戦線の皆からも無言の圧力で援護だ、無論俺もそれに参加している

そこまで言われるとゆりの表情もこわばり始める

 

「ぐ…ぐぬぬ…わかったわよ!やりゃいいんでしょやりゃ!やってやろうじゃない!」

 

半ばやけになりつつボックスに自分の名前の書いた紙を突っ込んだ

 

「あさはかなり…」

 

クールビューティーな可愛いもの大好きくノ一 椎名がぼそりと呟いた

 

 

その後ガルデモメンバーを追加で招集して順番にクジを引いた結果がこれだ

 

 

ゆり役→藤巻

日向役→ユイ

ユイ役→松下

ひさ子役→日向

関根役→入江

入江役→関根

直井役→高松

椎名役→大山

遊佐役→TK

大山役→ひさ子

TK役→野田

野田役→竹山

藤巻役→ゆり

松下役→直井

竹山役→椎名

高松役→遊佐が休暇のため欠番

 

わお カオス

 

んで俺は…音無役

音無役→音無

いや高松枠余ってんだからそれ俺で良くないか?

 

「ダメよ音無くんは唯一天使と話せなくもない重要人物よ?欠かすわけにはいかないじゃない」

 

なんだろう….うれしいこと言ってもらえてるのにこの疎外感

皆からの羨望というか妬みというか…そんな眼差しが痛い

 

「うへぇ ひなっち先輩役ですか?チェンジお願いしますよぅ!」

 

ガルデモの新メンバーにて元気ハツラツ少女 ユイが不満そうに意義を唱える

だがバッサリ却下

不毛なので省略させてもらう

まぁ最終的にユイと同じくガルデモメンバーの姉貴分 ひさ子が仲介に入り 収集させたんだがな

 

「さて、とりあえず役も決まったとこで着替えタイムよ」

 

またしてもスイッチを押すゆり

すると壁が自動で回転し、全員分の服がでてくる

どんだけ気合入ってんだ このオペレーション

 

「待て待て待て!着替え?聞いてねぇぞ!?」

 

「まさかこれを俺たちに着ろって言うんじゃないだろうな!?」

 

女性役のうちの二人、日向と藤巻がすかさず意義を唱える

 

「うむ…別に服装まで変える必要はないだろう」

 

「じょ…じょじょじょ女装なんて無理だよ!」

 

松下と大山も加勢

 

「…」

「…」

「…」

 

皆一斉に大山を見る

 

こいつはどの口でそんな事を…

むしろ男装(正装)より似合う

嫌味か?嫌味なのか?

俺を含めヒソヒソとなる

 

「え?なに?この雰囲気?僕なんか間違ったこと言ったかな!?」

 

 

…………………

 

「さ、着替えたらオペレーションスタートよオペレーション名は…藤巻くん頼んだわ」

 

「丸投げかよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ…じゃぁお前ら着替えたか?」

 

イマイチ リーダー慣れしていない藤巻がおずおずと確認を取る

 

「おおーたまには男装もいいですね!」

 

「まぁ 悪くないかもねぇ」

 

「動きやすいのよねー」

 

「…ふむ」

 

男装組のユイ、ひさ子、ゆり、椎名はまんざらでもなさそうだ

 

「チッ…屈辱だ」

 

「もう好きにしてくれ…」

 

「なんで僕はいつもこんな…可愛すぎるからかな?」

 

「Dont Dancing…」

 

藤巻、日向、大山、TKの女装組は意気消沈といったところだ

ていうかTK、ホントに踊るなよ?

下はトランクスやらブリーフやらボクサーなんだろうが、見たくないからな

だが、そんな珍妙なメンツすら霞む男がここにいた

 

「うむ…スースーするな」

 

松下五段んんんんんんんんんんんんん!?

 

松下五段はオーダーメイドと思われる女制服をみっちみちにして仁王立ちをしている

まさかの尻尾付きで

それとなんだ?スースーするって?

まさか下履いてないのか?

 

「今日に限って褌だったからな…」

 

なん…だと?

なんだこの誰も幸せにならない現実は?

皆の神への怒りの何割かを感じたようだ…

いやぁ…画像がなくて助かった…

 

 

「これよりオペレーション ジェミニデストロイを開始する、お前ら!それぞれの役職にあった行動をとれ!」

 

「ジェミニデストロイて…ぷくく」

 

「わっ笑うなユイ…きっと一生懸命考えたんだよ…」

 

「ゆりっぺのネーミングセンスの足元にも及ばねぇぜ」

 

「うるせえ!オペレーションスタートだ!!」

 

かくして 嫌な予感しかしないオペレーションが開始した

かなでが天使でもなんでもないという事を知ってる俺からしたら

こんな陽動作戦、茶番でしかないのだが…

まぁ かなでに直接的に被害がないうえに、俺はいつも通りでいいようなので、まだマシなんだが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トルネードまでは とくにやることも無かったし、いつも通り自販機でコーヒーを買い、のんびりと廊下を飲み歩きしていたら

突然 日向役をしているユイに声をかけられた

 

「よっす 音無〜暇そうだな〜」

 

その話しかけ方はまさしく日向のそれだった 流石 いつもなんやかんや一緒にいるだけはある、それを差っ引いてもこいつはモノマネ得意だが…

 

「おー さっきぶりだな…にしても変なオペレーションに巻き込まれちまったな」

 

「いやいや〜楽しいぞ案外!…てそれはそうと お前に言っておくべきことがあったんだった!」

 

言っておくべきこと?

はて?それは日頃のことなのか、オペレーションのことなのか?

 

「俺はお前の尻を狙ってる!俺が結合してやんよ!」

 

突拍子もない発言に俺は思わずコーヒーを吹き出した

 

「いきなり何を言い出すんだ!お前は!?」

 

廊下で、それも休み時間にでかい声でトチ狂ったことを言いやがったユイの頭に俺の拳が届くに そう時間はかからなかった

 

「あだだだだだ…なにするんですかー!?」

 

なにを言い出すんですかー!?

と叫んでもいいが、如何せん、今の発言でギャラリーが増えすぎた

俺はユイをひとけがないところまで引っ張っていった

 

「お前は突然なにを言い出してるんだ!?」

 

「だって〜ひなっち先輩は間違いなく先輩のケツを狙って…」

 

「んなわけあるか!」

 

多分

いや 流石にないだろ…

というか、役割を演じるだけで、別に口調とか言動とかは真似しなくていいんじゃないのか?

 

「え?そうなんですか?」

 

いや、わからんが…そうなるとあとあともめかねないからな…

 

「ちぇー なーんだ せっかく色々練習してたのに」

 

練習?あいつの言動に練習の必要なものなんてあったか?

 

「ありますよ!例えば…」

 

「日向コブラツイスト!」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」

 

「日向キャメルクラッチ!」

 

「あがぁぁぁぁぁぁ!」

 

「日向バックドロップ!」

 

「うげぇぇぇぇ!」

 

 

 

「みたいな感じですか?」

 

一通り俺に技をかけたユイがにこやかに言う

コイツ…やりやがる!

ていうかわざわざかける必要ないだろ?

 

「いやぁ〜せっかくマスターしたんで使ってみようかと…」

 

俺は一通りやり返し その場を去った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『一方そのころ遊佐』

 

自室でゆっくりガルデモのCDを聴いている彼女は

折角の休みだというのにどうもそわそわしている

 

「…………暇ですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やれやれ…酷い目に遭った…本来こういうのは日向本人の役目だろう

痛めつけられた全身をほぐしながら一人廊下を歩く俺だったが、ここで一つの好奇心が芽生える

他のやつはどうなってるだろうか?

一度気になってはなかなかモヤモヤするものだ

どうせ暇なんだし 戦線の皆を覗いてみることにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂

学生が格安で食事がとれるうえに飲食店と違い 割と長く居座れる いわゆる溜まり場ともなる スポットである

まぁ学校と森と川しかないこの世界にこの知識はいらないだろうが…

入ってみると案の定

松下五段役の直井と大山役のひさ子が肉うどんを食べていた

恐らく松下五段イコール肉うどん

大山はその付き添い…みたいなものだろう

 

「音無さん!僕に!僕に会いに来てくれたんですね!!感激です!この女、麻雀の話を永遠と聞かせてくるんですよ!」

 

飛びついてたのは松下五段役の直井だ

鬱陶しい!

 

「なんだよー ギターとかベースとかの話じゃついてこれないだろうから一般的な麻雀の話をしてんのに」

 

大山役のひさ子は頭をぽりぽり掻きながら言う

 

「黙れ そもそもなんで僕に話しかける?僕はそんなこと頼んでないぞ」

 

「なんでって…松下五段と大山って仲良いだろ?」

 

なるほど だからわざわざ直井に話しかけてたのか…そりゃそうだ こいつ普通なら話しかけづらいし

 

「それにさ…あんたやけに戦線メンバーに壁作ってるじゃん?私は別にいいけど そんなんじゃ これからやりづらいだろ? だからこれを機に少しでも話せるようになっときたいなと思ってさ」

 

いつもそうだと思ってたが、やっぱりひさ子は周りの事をよく見ている

そして気遣いができる

藤巻のやつが惚れるのもわからなくない…

ひさ子はひさ子なりに直井のために話しかけてたのか

 

「余計なことを…強制的に黙らせてやる!」

 

直井の瞳が赤く光る

これは直井が催眠術をかける合図だ

好意でここまでしているひさ子にそれはあんまりだと思った俺はすかさず鏡を用意 直井の正面に掲げてやる

するとギアスの光が反射して黙らせる催眠術はそのまま本人に返る

押し黙ってしまったが 自業自得、むしろ松下五段らしさがよく出ている

よかったよかった

それを確認した俺は次に行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『一方そのころ遊佐』

 

カタカタカタカタッ

竹山ほどではないが、なかなか慣れた手つきでキーボードを打っている

どうやら あまりにもやることがなく、いままでのオペレーションの確認や今後の方針についてまとめているようだ

 

「……………もっと多趣味になるべきでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育館倉庫

 

 

…いまいやらしい事考えたヤツ

お前はそんなんでいいのか?

というのはさておき、ここは椎名の定位置だ

どれどれ覗いてみるぜ

 

「無理!絶対無理だよ!」

 

「…自分を信じろ それでも私か?……とデータに出ている」

 

椎名役の大山は天井に片腕でぶら下がるプルプル震えている

そしてその隣には竹山役の椎名が恐らく竹山本人のものと思われるノートパソコンにウサギやネコのデコレーションをつけながら自分役の大山を熱心に励ましている

 

こいつらは何をやってるんだ?

 

「ああ!音無くん助けてよ!椎名さんが日頃の鍛錬の一端を僕に強要するんだ!」

 

「…私らしく行動すると言えばこれだ……とデータに出ている」

 

わざとらしく竹山っぽさを後付けしながら デコレーションが完成したのか立ち上がる椎名

竹山…お前のパソコン…新たな命が吹き込まれてるぞ?

 

「僕は修行もなにもしていないちょっと可愛すぎるだけの普通の人間なの!」

 

自分で言うか…

 

「先ほどずっとスクワットしてただろう?」

 

「うわーん!このままでは高松くんポジションになってしまう!!」

 

キャラが薄すぎるより そっちの方がいいと思うがな

まぁ二番煎じなうえに劣化版ときたら 印象は更に薄くなるだけかもしれないが

助けてやりたいのはやまやまだが、これは助けない方がオペレーション的にも大山的にもいいだろう

そう考えた俺は静かにその場を去った

後ろから「裏切り者ー」と声が聞こえた気がするが、気にしない気にしない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『一方そのころ遊佐』

 

パソコン作業もひと段落つき

何度聴いたかわからないCDを聴きながら彼女は思い出した

 

「…もうそろそろライブの席、取りに行かないと いつも通りの後部席になってしまいますね」

 

ライブメンバーまでもが変更されていることまでは思い出せなかったのか

彼女自身にすればなかなかの速度で部屋をあとにした

といってもはたからみれば 普通に歩いているようにしか見えないくらいの微弱な変化だが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次はガルデモかと思った矢先、通信が入った

 

『It's Showtime!』

 

ここで通信が切れる

TKめ…やっぱりまともに伝令もできないか…

でもま、なんとなく用件は分かった

要は オペレーショントルネードの時間みたいだ

よく見ると校舎も夕日に染まりつつあった

別のメンバーも見てみたかったが しょうがない

急いで配置についてかなでを待つことにした…

にしても…俺はこのオペレーションでかなでに銃口を向けることができるのだろうか?

いや、論外だ、できるはずがない

あいつは天使でもなんでもないんだ

分かってしまえば 戦力は歴然だろうと袋叩きにはできない

これを機に皆を説得するのもいいかもしれない

役職変更で ゆりが最前線に出るんだからな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハリケーンマシンとゲリラライブステージが用意されるのにさして時間はかからなかった

メンバーがほとんど変更してるこの状況、ライブなんてやって大丈夫か?

そう思いはしたが、俺は藤巻役のゆりに引っ張られ 以前と同じく橋でかなでを待ち構えることにする

あとはガルデモが場を盛り上げればオペレーションスタートか…

なんて思っているとだ

 

「A!arehatensi!?Hayasugiru!!」

 

TK役の野田が叫ぶ

どうやら人が集まりすぎてライブが始まる前にもう来ちまったみたいだ

にしても野田…ローマ字みたいな感じで言ってもTKのそれとは全く違うぞ?

何より聞き辛い…今のは多分

「あ!あれは天使!?早すぎる!!」

かな?

 

「やっぱり野田君じゃ学が足りなかったか…じゃなくて!」

 

ゆりは藤巻のドスを抜き

俺が止める間も無くかなでに斬りかかって行ってしまう

速い….

さらにそれに続き 椎名、野田と運動神経ずば抜けているメンバーが襲いかかる

見つけ次第すぐの攻撃だったのでとても追いつけない!

辛うじて視認できる戦闘では

戦況はほぼ互角…むしろ戦線が押していた

 

「音無さん…どうかしましたか?」

 

動揺を隠し切れてなかったのか直井が

こちらに来る

 

「ああ…この戦闘を続けてちゃいけない」

 

「どうかしました?」

 

「?」

 

同じく非戦闘員のユイとひさ子が来る

 

「まぁ…たしかに こんな破れかぶれな状況での戦闘なんてあんま得るものなんてないだろうしね」

 

「ガルデモのメインボーカル無しで陽動なんて無茶ですよねー」

 

いやまぁ それもあるが…そうじゃなくて…

 

かなで達の方を見ると

もう四人はすぐそこにまで来ていた

ガードスキルの使えるかなで相手にそう長く太刀打ちはできないみたいだ…

自分の身の丈に合わないハルバードを持って無謀にも向かって行った竹山が宙を舞う

これはいい加減止めに入らないと…

そう思い足に力を入れ、走り出そうとした時だった

 

『Live Stage Stale Bad Ban Forced termination!』

 

『あぁ?何言ってんだ?TK?』

 

『Forced termination!』

 

『わっかんねーよ!!せめて英語でいいやがれ!』

 

オペレーターのTKとリーダーの藤巻の通信だ

俺にもよくわからないが…恐らくライブになにかあったらしい

ちなみに藤巻…全部英語だ…

とくにForced termination(強制終了)なんかちゃんと言ってくれてるんだから…

いやそんなことより強制終了!?

大丈夫なのか?

俺はいまだ戦闘を続けている皆の元へ走る

 

「あ、野田くんが●んだ!この人でなし!」

 

「……」

 

「皆ちょっとすまない!」

 

俺は戦闘に割って入りゆりと椎名の服を掴む

ちなみに野田はぐったりしてるから放置だ

 

「あ、結弦くん…なんだが今日 皆の様子がおかしいんだけど…?」

 

「悪い!今ちょっと立て込んでて…悪い!」

 

俺はゆりと椎名を引っ張りその場を後にした

 

「ちょっと音無くん!放しなさい!」

 

「…なんのつもりだ?」

 

すんごい形相の二人…下手なこと言ったら首が飛ばされかねない威圧感…

 

「通信聞いてなかったのか?強制終了だよ!ライブでなにかあったらしい!」

 

「はぁ?まさかNPCに迷惑かけてるんじゃないでしょうね?」

 

それを確かめるために走ってるんだが…

とにかく今は急ぐべきだ

俺は急いで食堂へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂は そりゃエライ騒ぎになっていた

 

「引っ込めー!」

 

「ユイにゃんがいないぞー!?」

 

「ひさ子さんはどうしたのー!?」

 

「気持ち悪いんだよー!!」

 

「正規メンバーがいないとかどうなってんだー!!?」

 

「……そういえばそうでした……折角最前列をとったというのに…」

 

「ガルデモを穢すなー!」

 

見ると 大勢のNPCがステージに野次、批難を浴びせていた

 

その中央には ピッチピチの女装松下五段と 日向

そして ボディーガードの高松だった

 

「皆さん落ち着いてください!私の筋肉でも見ておちつい…げほっ」

 

何故か上半身裸の高松が吹っ飛ばされる

 

「何故こうなってしまったのか!?」

 

「へへへっ…もうどーでもいいや…明日から学校中の笑い者だ…女装キャラ確定だ…うへへへへ」

 

なるほど、やはりこうなったか…

 

「こらぁ!?正規メンバーがいないとか言ったの誰だーー!?私とみゆきちがいるだろーー!!」

 

「うわーん…忘れないでくださぁい….ドラムの…いや 今はベースの入江と 今はドラムのしおりんですぅ」

 

もう大混乱だった

どう収集つけるんだよこれ?

 

「最初ガルデモメンバーは役職変更対象から外してたのは このためだったわ…すっかり忘れてた…」

 

「あさはかなり…」

 

んな無責任な!!?

混乱はどんどん増していく…

こうなったらやることは一つだ…

 

 

 

「皆!逃げるぞォォォォォォォォォ!!!」

 

 

こうして オペレーション ジェミニデストロイの幕は閉じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういうことだったのね」

 

翌日 かなでと学食で麻婆豆腐を食べながら昨日の話をした

何箇所か 損壊した食堂

を戦線メンバーだけで一晩で直すのは流石に骨が折れた

実際 日向あたり骨を折った

まだ不完全な食堂の有様をかなでは眺めつつスプーンを進める

 

「校内の器物破損はいけないわ…もうしないでね」

 

いやホント…すみませんでした

 




「音無くん…キャラ違くない?」

「………(ダラダラダラ…)」


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