比企谷八幡が海浜高校で生徒会長をしたら   作:時雨煉

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ちょっと短いです。
そろそろ一章が終わるかもです。次は二章であるので。


16話

「そろそろ寝ろよ」

 

 食い終わったので、早く寝かせたい。というか、帰りたい。

 

「ねぇ、比企谷」

「なんだよ、早く寝ろよ」

「私のこと嫌い?」

「はあ?」

「ねぇ」

 

 いつになく真剣な折本の少したじろぐ。

 本当にどうしたんだ? 風邪ってこんなんだっけ?

 

「別になんとも思ってねえよ」

「ぅ……」

 

 折本が泣きそうな顔になる。

 風邪の時って少し卑屈になるよね、心身共に安定してないというか、そのせいだよね?

 そうじゃないと折本にこんなことを聞かれるはずがない。

 正直な所、嫌いかと聞かれれば、違うと答える。

 仮にも中学時代好きだったのだから、よっぽどのことがない限り嫌いにはならないだろう。

 それに最近は同じ生徒会だからと言うこともあってよく話す。

 だから、どちらと言えば、好き……なのだろう。

 

「やっぱり、嫌いなんだ……」

「別に嫌いとは一言も……」

「だって、比企谷に色々、嫌なことしてきたし……」

「してたか?」

「うん……」

 

 思い付くことと言えば、生徒会長になった件ぐらいだが……。

 他にあっただろうか? 笑われたぐらいか?

 

「生徒会長のこともそうだけど、他にも色々と……」

「なんかされたか? お前に」

「直接はあんまりだけど、一緒になって見てたりとかは……」

「それぐらいいいだろ。ぼっちにとったら日常茶飯事だ」

「でも、比企谷のメール無視ったりとか、色々と」

「え……」

 

 やっぱり無視ってたの? あ、ごめーん、メール見てなかった! とか言ってんの嘘だったのかよ……。何人にもやられてるんだけど……。

 

「だから、嫌いなんでしょ?」

「別に嫌いじゃない……」

「好きか嫌いで言えば?」

 

 今日はなんだか、ぐいぐい来るな……風邪じゃなくて、いろはす病とかか? 一色並にぐいぐい来る。

 

「どちらと言えば好きになる」

「そ、そう……」

 

 自分から聞いといて、赤くなって、俯かないで下さい。余計に恥ずかしくなる。

 

「明日はクリスマスイブか……」

「でも、お前は無理なんだろ?」

「うん……少し楽しみだったんだけどなー」

「まあ、仕方ないだろ」

「うん……」

 

 折本はかなり乗り気だった。

 前の日まではちょー楽しみなんですけどーとか言ってたからな。

 リア充達ならこうゆうイベントは好きだろうからな……。この調子じゃ、クリスマスも分からんからな。

 

「なあ、折本……って、寝てるのか……」

 

 やっぱり、こう見ると折本は可愛い。本人の前で言うと茶化されそうだから言わないけど。

 クリスマスイブか……なんとかならないもんかね……。

 そろそろ俺も帰ろう。看病もしたし、これで平塚先生も文句はないだろう。

 帰る前に、少し、今からやらないといけないことがある。

 小町に電話しとかないとな……。折本の家に行っているのは連絡してある。

 

「あ、お兄ちゃん、かおりさんどうだった?」

「まあ、ぼちぼちだな」

「そうなんだ……」

「小町、今から少しよるところあるから、もう少しかかる」

「何するの?」

「まあ……色々とな」

「分かった……アイスよろしくね」

「金、アイス買うほど残ってるか分からないんだけど……」

「じゃ、小町待ってるからねー」

「聞いてねぇし……」

 

 冬場にアイスなんか食わなくてもいいだろうに……。

 はぁ、寒いな……。


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