東方〜博麗神社の居候妖怪〜   作:ルミナス

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第十話

アリスとフィールから道を示すヒントを貰った後、雪華達はただただ上へと向かって飛んでいた。

 

「桜が降ってるからって、上に本当にあるのか?霊夢」

 

魔理沙が心配そうな声でそう言うと、霊夢は振り返って答える。

 

「私が知るわけないじゃない。けど、勘がこっちっていうからこっちなのよ」

 

「そうか!なら、一番乗りは私だぜ〜!」

 

魔理沙はニヤリと笑って言うと、飛ぶスピードを上げて、霊夢達より先へと行ってしまった。

 

「あ!こら魔理沙!待ちなさい!」

 

「ちょっと、私まで置いてかないでよ」

 

それを見て霊夢も咲夜も後を追っていく。

 

その姿を見て、雪華は呟く。

 

「……子供だなぁ」

 

***

 

その後、マイペースに飛んで、何かの結界へと入り込んだ雪華が見たのは、薄暗い世界、桜並木がある石段とそれに連なる石灯籠。

 

それを見ても雪華は何の感動も湧かない。

 

博麗神社も春になれば似たようなものである。違いがあるとすれば、石灯籠が無いことだけだ。

 

「……ま、死んだ時に此処に来たら、そりゃ極楽だろうね〜。こんだけ景色が綺麗なんだから」

 

雪華はまた周りを見てからそう言うと、飛び始めた。

 

その階段の途中、音楽の幽霊三人がこっ酷くやられているのを見たのだが、それはスルーした。

 

やった犯人など分かりやすい。そして何より、興味が無い。

 

関われば厄介事を言われそうで面倒という理由もあり、それが彼女に『無視』という選択肢を選ばせることとなった。

 

そうして飛び続けてから少しすると、金属のぶつかり合いの音が聞こえ始めた。

 

(こんな所で誰と誰が戦ってるんだか……)

 

雪華はそう思いながらもスピードは変えずに飛び続けていると、弾幕まで見え始めた。

 

その弾幕に当たら無いように頂上に降り立つと、其処では咲夜と青緑のベストとスカートを着た銀髪の少女が、それぞれの得物でぶつかり合っていた。

 

「……うわぁ……超危険な戦い……」

 

雪華のその声に魔理沙と霊夢が反応し、振り向いた。

 

「あら?雪華。遅かったじゃない」

 

「別に、急ぐほどに興味を惹くものは無いしね〜」

 

「興味が惹けば雪華は急ぐしな」

 

そんな会話をしていると、その銀髪の少女がスペルを宣言した。

 

「獄界剣『二百由旬の一閃』!」

 

すると、その銀髪少女の近くを浮遊していた白い塊が離れ、其処から大型の丸弾を撃ち始めた。

 

それがスペルなのかと思えば、次には妖夢が近くにあったその弾幕を、自身の剣で斬った。

 

「彼奴、自分の弾幕を斬ったぞ!?」

 

魔理沙が少し驚いた表情をすると、その斬られたところから赤い小型の丸弾が発生した。

 

「おお、最後の仕上げだな、アレ」

 

雪華はそう言って目を輝かせて見る。

 

とても楽しんでいるようだ。

 

そのスペルを咲夜は余裕を持って避け、ナイフを持って接近する。

 

妖夢はそれに対して焦ることなく、また剣で受け止めた。

 

「くっ!いい加減にして下さい!生きてる者が来ていい場所ではありません!帰りなさい!」

 

「ええ、帰るわよ。『春』を返してもらえたならね!」

 

その言葉を交わすと、次には斬り合いが始まった。

 

勿論、リーチ的に剣の方が長く、その上、妖夢は剣を二本持っている為、ダメージが大きいのは咲夜。

 

……しかし、咲夜のダメージは少なかった。

 

その理由は、本人と雪華しか知らない。分からない。認識出来ない。

 

誰も、『時』を止められている事など、認知出来ないのだ。

 

咲夜は自身の能力を使って戦いで妖夢を翻弄していた。

 

その場にいたのにいきなり消え、それを見た妖夢は慌て、冷静な判断が出来ていない。

 

其処をついて、咲夜は自身の技を浴びせる。

 

「空虚『インフレーションスクウェア』」

 

その宣言した次の瞬間、妖夢の視界の中には一面ナイフだらけの世界が映った。

 

「ッ!?」

 

妖夢は自身にダメージを与える事となるナイフを剣で落とすが、流石に全部は落とす事が出来ず、遂には体のほとんどにナイフで出来た切り傷があった。

 

最後のナイフを妖夢は剣で落とし、肩で息をしていると、その後ろから組み伏せられ、首にナイフを当てられた。

 

「動かないで。ここで負けを認めれば、これ以上の傷は増えないわよ」

 

「……分かりました。私の負けです」

 

妖夢は其処で負けを認めた。

 

それが嘘でない事を雪華も知っている。

 

人が『嘘』を吐くと心臓や表情、視線に『変化』が必ず起こるので、それがないという事は本心から敗北を認めた事になる。

 

「それで?この冬を長く続かせている元凶はあんた?」

 

霊夢は傷付いている妖夢に対して休ませる事なく聞くと、妖夢はそれに首を振った。

 

「違います。私は、私のご主人様である『西行寺 幽々子』様からの命で『春』を集めていました」

 

「……そう。分かったわ」

 

霊夢はそう言うと、その先にある大きな木へと向かい始めた。

 

その霊夢の後を追うように、雪華達も付いていくのだった。

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