東方〜博麗神社の居候妖怪〜   作:ルミナス

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少し書き忘れていたのでここで補足(あまり関係ないけど)

雪華さんのペットの狼『トウヤ』君とはアリスさん達との戦闘の後に分かれてます

ですから、冥界について来てはいません

それでは!どうぞ!


第十一話

妖夢を倒してから石畳の通路を飛んで通っていると、大きな桜の木の前に、桜色の髪の女性が立っていた。

 

それを四人が認識すると飛ぶのを止め、代表して霊夢がお祓い棒を向けながら問いただす。

 

「ちょっと。あんたがこの冬を長続きさせてる異変主?」

 

「ふふっ、ええ、そうよ。この桜を満開にさせたくてね」

 

その女性、『西行寺 幽々子』は扇子で口元を隠し、笑いながら言うと、霊夢は顔をしかめた。

 

「やけに素直ね。何か隠してるのかしら?」

 

「何にも隠してなんかいないわよ?」

 

「胡散臭いな」

 

「胡散臭いですね」

 

「信用ないわね〜」

 

魔理沙と咲夜からそう言われるも、幽々子は飄々としていた。

 

雪華はそんな会話に何の興味もない様子で、既に桜の木に背を預けた状態で欠伸をしている。

 

霊夢も霊夢でこの異変を早く終わらせたいため、会話に口を挟んだ。

 

「会話するなら後にして。私は寒がりなんだから、この冬は迷惑よ。だからとっとと終わらせるわよ」

 

「お!霊夢がするなら私も参加するぜ!お前にだけ手柄を頂戴されるわけにはいかないんでな!」

 

霊夢が言い終えた後、魔理沙が帽子を深くかぶり直しながらも自主参加すると言い出した。

 

それに対して、誰も止めようとはしない。

 

霊夢は溜息をついただけで参加拒否はせず、雪華はやはり興味がないのか髪を弄り、咲夜は魔理沙との付き合いも短いため、心配そのものをしていない。

 

それを幽々子は眺めて理解し、少しだけ地面から浮上すると、それに合わせて霊夢と魔理沙も浮上した。

 

「それでは始めましょう。桜のように儚く散りなさい!」

 

「散ってたまるもんですか。あんたを倒すまで!」

 

「もう冬は懲り懲りなんでな!私もお前を倒すまで散るつもりはないぜ!」

 

霊夢と魔理沙も叫ぶと、遂に弾幕の撃ち合いが始まった。

 

咲夜はそれを見ながらもチラッと雪華を見る。

 

どうも本当に興味がないようで、髪弄りを止める様子はない。

 

「……応援しないの?」

 

「は?」

 

咲夜からの問いかけに雪華はあり得ない質問がきたというような驚きの顔で咲夜を見る。

 

「……あのな……彼奴は仮にも巫女だぞ?博麗の巫女。なら、妖怪幽霊に負けるのはあり得ない。つまり、今回も勝つ。そんな勝敗の見えた勝負になんて私は興味はないね。何かしらの変化が無いと」

 

雪華はそう言うと、また髪弄りを始めてしまった。

 

咲夜はそれを聞くと、視線を霊夢達の方に戻した。

 

其処には少し服が汚れている霊夢と魔理沙、そして余裕そうな幽々子が見えた。

 

「おいおい、幽霊が逃げ出すほどに此処は居心地が悪いのか?」

 

魔理沙が余裕のなさそうな顔で幽々子に問い掛けると、相手は首を傾げる。

 

「どうかしらね?私としてはとても居心地が良いわよ?そうね……貴方達が幽霊達の仲間になれば答えが分かるんじゃな〜い?」

 

「お断りするわ」

 

「お断りだぜ」

 

幽々子が笑顔で提案するが、霊夢と魔理沙はそう即答した。

 

「悪いけど、まだ死ねないわ」

 

「あらそう。なら、死なないように頑張ってね。亡舞『生者必滅の理』」

 

そのスペルの宣言後、幽々子は大量の青とピンクの蝶々型弾幕とピンクの大型丸弾を回転させながら撃ってきた。

 

その量が多く、一見してみれば避けるのがとても難しいスペル。

 

それを霊夢と魔理沙は冷静に避けながら会話する。

 

「うわぁ、暫くは蝶が不吉な生き物にしか見えなくなるぜ」

 

「そう?これは蝶の形をした弾幕だから問題無いと思うわよ?」

 

「さっぱりしてるな、霊夢は」

 

そんな会話をしてから少し経つと、その弾幕は飛ばされなくなった。

 

「あら、残念。どっちも脱落させれなかったわね」

 

「そうみたいね。という事だから……」

 

「反撃開始だ!」

 

霊夢と魔理沙は幽々子に近づこうとすると、幽々子はそれを阻む様に大量の弾幕を撃ち始める。

 

それを避ける霊夢と魔理沙だが、時々弾幕に当たって服が破けていく。

 

しかし、それを気にせずに近付くと、魔理沙は自分が持つミニ八卦炉を向けた。

 

「恋符『マスタースパーク』!」

 

その極太レーザーは吸い込まれる様に幽々子へと向かっていくが、幽々子は軽く避けた。

 

「ふふっ、残念外れよ」

 

「いや、これで良いんだぜ!」

 

魔理沙のその返事に首を傾げると、幽々子の周りにお札が飛び交っていた。

 

「ッ!?結界!?」

 

「これで、決まりだ!霊夢!やれ!」

 

魔理沙は幽々子の真上にいる霊夢にそう叫ぶと、霊夢は叫ぶ。

 

「霊符『夢想封印』!」

 

その七色の光を放つ弾幕はそのまま幽々子を飲み込み、異変は幕を閉じた。

 

***

 

幽々子との弾幕ごっこを終えた後、妖夢が走って近寄って来て、幽々子の介抱をする為に全員を一度『白玉楼』へと連れて戻った。

 

その主の介抱中に妖夢は今日は泊まる様に言うと、全員がそれに甘える事になった。

 

そんな中、雪華は一人、桜が全て消えた『西行妖』の前に立った。

 

「……これか。さっきから頭の中でずっと警鐘を鳴らす金の音が鳴ってるけど、ま、封印されてるみたいだし大丈夫でしょ。それよりも……」

 

雪華はそう言うと、その木に手を当てる。

 

「私は私のしたい事をさっさと終わらせよっと」

 

そう言って、集中する様に目を閉じる雪華。

 

そんな事をし始めて直ぐ、『西行妖』が少し光だし、その光が中心へと集まり始めた。

 

その光は徐々に人の形を取り始め、次の瞬間には本当に人が出来てしまった。

 

「ふぅ……やっぱり妖怪を『付喪神』化させるのはキツイ……」

 

雪華がそう呟く前にその『付喪神』は降り立った。

 

その姿は幽々子と同じ姿だが、全体的に赤と黒のツートンカラーだった。

 

桜色の髪は赤になり、青色が特徴的だった着物の様な服は黒に、その着物の柄は赤になっていた。

 

その付喪神は目を開くと、驚いた様に目を開き、自分の状態の確認を始めた。

 

「な、何だ?どういう事だ?私にはこんな体は……」

 

「お〜!成功成功!」

 

「…………」

 

雪華の喜んだ声を聞き、その付喪神は直ぐに原因が誰かを悟ると、雪華の胸倉を掴んだ。

 

「おい、どういう事か説明しろ……でないと……」

 

その付喪神は脅しながら殺気を向けるも、雪華はそれを気にせずに答える。

 

「何って、『付喪神』にしたんだよ?『西行妖』さん?」

 

「どうやって!」

 

「あんたの力を少しだけ変化させて、付喪神にさせただけ。いや〜、成功して良かった良かった」

 

「何が『良かった』だ!巫山戯るな!今直ぐに元に戻せ!」

 

「綺麗な顔が台無しだぞ〜?」

 

「貴様!」

 

『西行妖』は怒りに身を任せて殴ろうとしたが、しかし雪華はそれ受け止める。

 

「まあまあ、そう怒りなさんなって」

 

「これが怒らずにいられるか!」

 

「何だよ〜。何が不満?」

 

雪華は顔を顰めて『西行妖』に問うと、『西行妖』は自身の本体に指を指す。

 

「私は人々を死の恐怖に怯えさせる妖怪桜だぞ!それが、いきなりランクが二個どころか五個以上下がった『付喪神』にされて、不服がないわけないだろ!」

 

「妖精にされなかっただけマシな気がする。まあ、私は妖精には出来ないんだけども」

 

雪華はそう言うと一つ息を吐き、言う。

 

「それに、あんたはもう元の体には戻れないよ」

 

「なんだと?」

 

「私はあんたの妖力を固めて姿形を作った。それを戻すとなると、あんたの妖力はあの木には戻ることが出来ずにその辺に散布されるけど、良いの?」

 

実際はそんな事も無いのだが、雪華の最も苦手としている事は『元に戻す』事である。

 

その作業を失敗すれば、その妖力は確かにその辺に散布されてしまう。

 

それを聞いた『西行妖』は雪華を離し、睨みつけるだけにした。

 

文句はあるが戻れないなら仕方ないのだ。

 

「あ、そうだ。移動とか出来る?」

 

「……この桜か、封印元の幽々子から離れなければな」

 

「そっか……あ!名前も決めないとね!う〜ん、そうだな〜……」

 

雪華は頭の中で名前を考えると、何かを思いついたように頭を上げ、言う。

 

「よし!決めた!今日からあんたは『西行寺 桜暗』!『桜暗』だ!苗字は説明すればそうなるだろうし、別に良いよね?」

 

「……」

 

桜暗は雪華を睨みつけたまま肯定も否定もしなかった。

 

それを雪華は『肯定』ととり、桜暗を連れて白玉楼へと戻っていくのだった。

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