東方〜博麗神社の居候妖怪〜   作:ルミナス

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第十五話

狐と会った次の日、雪華はその狐の様子を見に紅魔館へと行く……つもりだったのだが、

 

「なんでこんな日に限ってあの巫女に妖怪退治の仕事が入るんだろうなー?」

 

そんな恨み事を呟きながら、境内の掃除を代わりにしている雪華。

 

「あ〜、もう。ちゃちゃっと終わらせて、早く狐の様子を見に行こう!」

 

そんな決意をして掃除にやる気を持ってやり始めたその時に、石段の方から誰かの足音が聞こえた。

 

「……だ〜か〜ら〜!なんでこんな時に限って〜!」

 

遂には握り拳を作って怒りに身を震わせ始める。

 

その足音が後ろで聞こえたのに気付くと、雪華は振り向いた。

 

その後ろにいた人物は、黒い長髪をサイドテールにして、前に垂らしている桜色の着物を着た女性だった。

 

***

 

織姫は雪華を待つ為にお店に留まっていたが、人里で霊夢を見かけたことにより来れないと踏むと、先に紅魔館へと向かった。

 

その道中で氷妖精のチルノと大妖精、そしてフウノに会い、そのチルノに弾幕ごっこを要求されたが、織姫はスペルカードは持ってないと説明すると、渋々ながら引いてくれた。

 

そのまま美鈴に頼み、紅魔館内へと入れてもらうと、シファともう一人、その兄であるギルと出会い、アルカが呼んでいるという事で、そのアルカがいる部屋まで案内してもらった。

 

「こ、ここなのです」

 

「分かったよ。ありがとう!シーくん!」

 

「ど、どうもなのです!」

 

「ギーくんもありがとう!」

 

「おう!」

 

織姫は二人にお礼を言ってから部屋の中へと入ると、読書をしているアルカを直ぐに見つけた。

 

「アルくん!来たよ〜!」

 

「……ん?ああ、織姫か。ありがとう」

 

「ううん!良いよ!それで、私に用事ってなに?さくちゃんのメイド服のこと?」

 

「それとは別の事を頼みたいんだ」

 

「?……あ!誰かにお洋服をプレゼントするの?」

 

「ああ。俺の妹のレミィにな」

 

アルカは其処で織姫に座る様促すと、織姫は素直に近くにあった椅子に座り、アルカも本を読むのを止めて向き直る。

 

「実はな、俺が元々住んでいた幻想郷でも度々、レミィにプレゼントを渡す事があったんだが、その時は大抵はアクセサリーや人形といったものばかりだったんだ」

 

「?それは何処か悪い所なの?」

 

「いや、悪いわけじゃないんだが……レミィに服をプレゼントした事がなくて……それで、贈ってやりたいんだ。服を」

 

アルカのその話を聞きながら、アルカの表情を伺っていた織姫。

 

その表情からアルカがどうしても贈りたいのだと察すると、織姫は笑顔を浮かべる。

 

「……アルくんにとって、レミちゃんはとても大切な家族なんだね」

 

「ああ……それに、『フラン』も……」

 

「?『フラン』?その子は一体……」

 

そんな時、屋敷内全てに響き渡るのではないかと言うほどの大きな爆音がし、紅魔館自体を揺らした。

 

「きゃっ!?」

 

「織姫、大丈夫か?」

 

「う、うん……大丈夫。だけど、今のは……!コガネ!」

 

其処であのホッキョクギツネの事を思い出した織姫は部屋から直ぐに飛び出し、コガネがいる部屋へと向かった。

 

「あっ!おい!待て!」

 

アルカもその後を直ぐに追いながら、考える。

 

先程の爆音の正体を。

 

そして、気付く。

 

ーーー爆発を起こした犯人の正体に。

 

「っ!織姫!戻れ!」

 

アルカは吸血鬼の身体能力と妖力を駆使し、織姫を追い越して前に立ち塞がった。

 

「!?な、なんで!?アルくんは心配じゃないの!?」

 

「心配している!それでも、今は一人になると危ない!」

 

「なんで!」

 

「それは……」

 

アルカはその理由を話そうとしたが、直ぐに話すことが出来なくなった。

 

何故なら……。

 

「……お兄様?」

 

そんな声が織姫の後ろから聞こえたのだから。

 

「……え?」

 

織姫はそれに驚き、振り向くと、其処にはアルカやレミリアに顔が似ている、金髪の少女がいた。

 

「……あれ?お兄様。その付喪神は何?」

 

「……フラン。この人は、俺の友人の一人だ」

 

「ふ〜ん、そっか……お兄様の友人の一人なんだ」

 

フランは其処でニヤリと笑うと、右手を突き出した。

 

「っ!織姫!」

 

「え?」

 

「キュッとして……どか〜ん!」

 

フランは織姫を壊そうとしたが、その織姫はアルカが前に押し倒した為に壊されることはなかった。

 

その代わりに、その後ろにあった高級そうな壺が壊れてしまった。

 

其処から直ぐに立ち上がり織姫の様子を見ると、何が何だか分かってない表情をしていた。

 

「……え?え?」

 

「……織姫、よく聞け。あの子が俺の妹の『フランドール・スカーレット』。能力は『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』だ」

 

「っ!?」

 

織姫は其処で漸く、自分が『壊されそう』になった事に気付くと、体を震わせ、恐怖した。

 

「ぁ……ぁぁ……」

 

「……フラン。どうして此処に……」

 

アルカがフランにそう問いかけると、フランは笑顔を浮かべながら答えた。

 

「あのね、本当はずっと部屋で遊んでたんだよ?だけど、ずっとずっと外に出たかった。だから、妖精メイドが入って来た時に部屋を飛び出したんだ♪」

 

「……」

 

「でもね〜、パチュリーに暴露ちゃって、外出たくても出られなくちゃった」

 

フランはそう言って悲しそうに数少ない窓から外を見る。

 

その外から見えるのは、先程までは天気が良かったはずの雨空。

 

「だから……ここでその鬱憤を晴らす。もう、何でも良いの。この鬱憤さえなんとかなれば……」

 

そう言ってフランは今度はアルカに右手を向ける。

 

「だから、お兄様。私に付き合って?……キュッとして〜」

 

其処で握り拳を作り、次は開くだけ。それでアルカはフランに壊されてしまう。

 

織姫はそれを悟り、なんとかアルカを庇おうとしたが、しかし恐怖で腰が抜けて動けない。

 

アルカも簡単に壊される訳にもいかないため、自身の愛用武器を出そうとした。

 

その時、また新たな乱入者が窓を割って現れた。

 

「おっと!入る場所を間違えたぜ!」

 

「!ま、まりちゃん!」

 

「ん?織姫?それと、あの吸血鬼の兄貴に……誰だ?」

 

魔理沙は其処で織姫達の前に降り立ち、フランを見る。

 

そのフランは魔理沙を見ると、喜んだ。

 

「……やった!これで、嫌々ながらにお兄様を壊さずに済むね!ねえ!貴女!私と遊びましょ?」

 

「お?遊ぶって、弾幕ごっこでか?良いぜ!」

 

魔理沙はニカッと笑ってミニ八卦炉を向けるが、その腕をアルカが掴んだ。

 

「おい、止めろ。レミィを倒した一人とはいえ、フラン相手はやめておいたほうが良い。それも一人で……死ぬ気か?」

 

「?死ぬ気はないぜ?だって、今から始まるのは弾幕『ごっこ』だからな!」

 

そう言って魔理沙は箒に跨ると、空に浮かぶ。

 

フランもそれに合わせて空中に浮かぶと、紅い弾幕を生成しながら、笑顔で喋る。

 

「それじゃあ、始めましょう?咲夜以外の人間さん?」

 

それを聞くと、魔理沙も星型の弾幕を生成しながら話し始める。

 

「おうよ!始めようぜ!楽しく美しい決闘……弾幕ごっこを!」

 

その次の瞬間には、紅と星の弾幕での撃ち合いが始まったのだった。

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