東方〜博麗神社の居候妖怪〜   作:ルミナス

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前話で言うのを忘れていましたが、今回から萃夢想の始まりです。

どうなるのか、お楽しみに!

それでは!どうぞ!


萃夢想
第十七話


翌日、雪華は一人で紅魔館へとやって来ると、咲夜の案内でコガネがいる部屋まで行った。

 

その部屋の中にいたコガネには未だ体に包帯が巻かれているが、目は覚まし、入ってきた雪華達をその目で見つめていた。

 

「お!起きたか!良かった〜」

 

雪華は安心した様に笑顔を見せると、ゆっくりとコガネに近付く。

 

野生の動物は警戒心が強く、下手に近寄ると攻撃してくる。その攻撃を受けない様に、ゆっくりと雪華は近付いているのだな、コガネが警戒する様子は全くない。

 

その頭を撫でてみても噛む動作もなく、寧ろ尻尾を忙しなく動かし、自分から頭を擦りつける動作まであった。

 

「……お前、人懐っこいんだな」

 

雪華はその動作が可愛く思えたのか、笑顔でコガネを抱っこすると、頬を擦りつけ始めた。

 

それをされているコガネはちょっと鬱陶しそうに見えたが、嫌がる素振りは全くない。

 

咲夜もその一連をずっと見ていると、その部屋にアルカがやって来た。

 

「来たのか。それじゃあ、連れて行くんだろ?」

 

「もっちろん!……あ、そういえば、明日はアルカ達も来るの?」

 

「当たり前だ。行かなければ損だろ?」

 

そう言って、アルカは嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

「何せ、明日は宴会だからな」

 

***

 

その翌日、アルカ達紅魔館組はお昼であるにも関わらずに空を飛んで宴会場へと向かっていた。

 

「魔理沙と会えるかな?お姉様、お兄様」

 

「会えるわよ、フラン。だって、あの雪女から聞いた限りだと、とっても宴会好きらしいからね」

 

「わ〜い!」

 

そんな姉妹の仲の良さそうな姿を見て嬉しく思うアルカ。

 

その間に博麗神社の前にある石段の前に着くと、其処を律儀に登り始めた。

 

そして、全て登りきり、鳥居を潜った先で二人の人物を見つけた。

 

一人は菖蒲柄が特徴の着物を着た黒髪のサイドテールを前で結んでいる女性。

 

もう一人は雪華。その柄は相変わらずの雪の結晶柄である。

 

普通はこれを見て、相手は雪華の『友達』が雪華と会話しているだけなのだと思うのだが、今回は少し違う。

 

菖蒲柄の女性が必死に雪華に頭を下げているのだ。

 

それに対して、雪華は顔を顰めて何度も首を横に振っている。

 

と、其処でアルカ達に気付いたらしい雪華は女性に何かを言うと、それに女性も頷き、アルカ達の横を通って帰っていく。

 

しかし、其処でアルカ達は見た。

 

その女性の顔が、悲しそうに歪んでいたのを。

 

「お〜、本当に来たんだ、アルカ達……って、どうしたの?」

 

雪華はいつも通りに気軽に声を掛けたが、そのアルカ達が少し顔を顰めて自身を見ているのに首を傾げた。

 

「……お前、あの人間と何話してたんだ?」

 

「……えっと、聞こえてなかった?」

 

「ああ」

 

それに雪華は溜息を吐くと、髪を耳に掛けながら話し出した。

 

「前にあの女の子と友達だったんだけど、流石の私も許容出来ないことをあの子がして、それ以来の喧嘩状態……って、言っても、私が全然許せてないから、それで続いてるだけなんだけどね」

 

「なんだ。だったら、許してやったらどうなんだ?」

 

「それが簡単に許せたらね〜」

 

雪華は其処で溜息を吐くと、続ける。

 

「あの子ね、家族と仲が悪いんだけど、以前、遂に耐えきれなくなって家出したらしいんだ〜。別に魔理沙みたいに何かしたくて、それで喧嘩になってなら私も許容出来たんだけど、あの子、そういうものがないままに出て……」

 

「それで、お前が許せなくなった……と」

 

「そういうこと。私はあの子を見るたびにその聴いたことを思い出しちゃって、怒りがね〜」

 

其処でまた溜息を吐いた雪華は耳から手を離すと、笑顔を浮かべた。

 

「まあ、それは良いんだよ!ほら、宴会場に行くよ!今日は折角の宴会なんだから!」

 

アルカ達はそれを聞いて思考を切り替えると、すぐに宴会場へと向かった。

 

其処では既に何人もの人が集まっており、既に出来上がっている者までいた。

 

「……おい、この宴会はいつから始めた?」

 

「ん〜……三時間前?」

 

「やばい!お酒が無くなる!」

 

「お、お兄さん!?アルカ様達もまだ手を付けてないですよ!?」

 

「分かってる!さ、アルカ様!早く飲みましょう!無くなってしまいます!」

 

「それもそうだな。早速飲むぞ!」

 

ギルの言葉で早速場所確保に走ろうとするアルカ達を、雪華は肩を掴んで引き止めた。

 

「ちょっと待て」

 

「何かしら?雪女。私達は早く飲みたいのだけど?」

 

「そんなあんた達に餞別をあげようと思ってね」

 

「餞別?」

 

レミリアが首を傾げて雪華を見つめていると、その雪華が取り出したのは、『鬼殺し』だった。

 

「貴女は私達を殺す気!?」

 

レミリアが思わずツッコミを入れるが、雪華はそれを華麗にスルーし、アルカに押しつけると去っていった。

 

「……彼奴、俺達も『鬼』である事を忘れてるな……多分」

 

「……どうしましょう?お兄様」

 

「仕方ない。飲むしかないな」

 

アルカのその言葉でレミリアはどうやら覚悟を決めたようで、場所確保を終えた後にそのお酒を飲み始めた。

 

それから少しして、レミリアは伸びてしまったが、それでも宴会は引き続いたのだった。

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