東方〜博麗神社の居候妖怪〜   作:ルミナス

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第二十話

宴会からまたまた三日後。既に宴会場の空気は地の底だった。

 

既にお互いがお互いを疑う疑心暗鬼の空間と化しているこの宴会場で、その空気を全く気にしないで木に背を預けて飲んでいる雪華。

 

「はぁ〜。お酒は本当に美味しい!」

 

「この空気じゃなかったらもっと美味かったがな」

 

その雪華に近づいて来たのは気分が落ちてるアルカ。

 

そのアルカが溜息を吐きながらそう言ったのだが、雪華は全く気にせず飲んでいる。

 

「……もうそろそろ異変を終わらせようという気にはならないのか?」

 

「全く。大体、異変は人以外の異形の者が起こし、それを解決するのが人間の仕事。だから〜、妖怪は動かずにこの状態を楽しんどけば良いの〜」

 

「……お前だったら一瞬で終わる異変でもか?」

 

「私の能力だと大体が一瞬で終わるじゃん。兎に角、私はこの異変を終わらせなーーー」

 

最後の一文字は誰かから撃たれた虹色の弾幕が頭にクリーンヒットした為、言われることなかった。

 

その後ろには木もあり、二回も痛みを伴う事になってしまう始末である。

 

「痛ってーーーー!」

 

「漸く見つけたわ……異変主!」

 

「だ……誰が異変主だよ!この馬鹿巫女!」

 

雪華は痛む頭を抑えながら、弾幕を撃ってきた張本人の霊夢を涙目ながら叱るが、霊夢は何がそんなに自信に繋がっているのか分からないままドヤ顔で言う。

 

「犯人は意外と私たちの近くにいたって事よ!あんたの能力なら、私達の考えや気持ちだって変えられるもの!」

 

「いや、誰がそんな面倒なことーーー」

 

「覚悟しなさい!異変主!」

 

「話を聞けーーー!」

 

雪華はそう叫ぶが、霊夢に聞く耳は無かったようで、そのまま夢想封印を撃たれてしまい、気絶した雪華。

 

その隣にいた筈のアルカはこの終わりが見えていたのか、既にその場にはおらず、遠くから雪華がやられるのを見ていた。

 

その時のアルカの表情を見た者がいたならこう言っただろう。

 

『ザマァみろ』とでも言わんとしている顔だった、と。

 

***

 

その一週間後。博麗神社ではまた宴会が開かれていた。

 

ただし、その宴会は前の宴会とは違い、異変解決の宴会だった。

 

そして、その神社の境内には、また雪華と女性がいた。

 

その女性は何度も頭を下げていたが、雪華はその女性にハンカチを渡した。

 

その女性はその意味を理解し、涙を流し、泣きながら去って行く。

 

その間、雪華はその後ろ姿を見送っていた。

 

「……また、あの女が来たのか?」

 

その女性が去ったのとほぼ同時にアルカは石段を登ってやって来た。

 

それを見て、雪華は笑みを浮かべた。

 

「来たんだ、アルカ。アレだけ宴会はもう十分って言ってたのに」

 

「ああ。異変解決の宴会だしな……まさか、異変主がお前じゃなく、『鬼』だったなんてな……」

 

雪華が弾幕で気絶したのち、異変は解決とは行かず、霊夢は首を傾げていた。

 

が、その日の夜に異変主である鬼、『伊吹 萃香』が現れ、弾幕ごっこで勝ち、漸く異変は解決されたのだ。

 

それをいち早く知れたのは、幻想郷一速い烏天狗の『射命丸 文』の新聞のお陰である。

 

「だーかーら、あれだけ違うって言ったじゃん。大体、あの場の全員の思考や気持ちを変えるなんて……そんな面倒な事を私がすると?」

 

「しないな」

 

雪華からの問い掛けにアルカが即答すると、雪華は頷く。

 

「でしょ?……それと、早く行かないとお酒が無くなるぞ〜?」

 

その雪華の言葉にアルカはハッと我に帰ると、すぐに宴会場へと向かっていく。

 

(……あれ?何かを忘れてる気がする……まあ、忘れるほどだ。大事な事ではないだろう)

 

そのアルカを見送った後、雪華は後ろからする気配に気付き、振り向いた。

 

「……あのさ〜。私、嘘は言ってないと思うけど?」

 

その雪華の後ろにいたのは、今回の主犯である角が二本生えている萃香である。

 

「そうだね〜。『今回は』ね」

 

「……あ、あの?前回に関しては私、ボッコボコにやられんだけど?」

 

雪華が引き気味に笑って言うが、萃香はそんな雪華を睨みつけている。

 

「……あんたも知ってる事だろ?鬼は『嘘』が嫌いでね……今度、嘘ついたらまたボッコボコにするよ?」

 

「いやいやいや!?しないでくれません!?あの時の私の惨状を見たよね!?血反吐吐いてたじゃん!」

 

「そうだね〜。まさか、あの『雪裡』の娘がこんなに弱いだなんて思わなくてね〜」

 

「いや、母さんは私と違って封印なんてされてなかったし……」

 

雪華が話が逸れた事でほっと溜息を吐きながら言う。

 

それに気付かなかったようで、萃香は続ける。

 

「ああ、その鈴かい?随分、強力に封印されてるね〜。妖怪じゃあ封印は解けないね……」

 

「だろうね。私や人間じゃないと解けないよ……。幸い、戦闘の時になると私も解けないぐらいに強力になるけどね」

 

「なんだい、その限定的な封印は」

 

「知らん。掛けた本人に聞いてよ。まだ一応は生きてるから」

 

「どこで?」

 

「人里で。もう老婆だから喧嘩吹っかけようとしたって無理だけどね〜」

 

「え〜!なんだいなんだい!そんなの楽しくないじゃないかい!」

 

「鬼ってなんでこんなに戦闘狂なんだよ……」

 

雪華が面倒臭さから溜息を吐くと、萃香もまた諦めから溜息を吐いた。

 

「ま、仕方ないね。今日はその憂さ晴らしも兼ねて飲むよ!雪裡の娘!」

 

「……は?ちょ!?なんで私!?」

 

「あんた強いだろ?」

 

「母さんよりかは弱いわ!能力使用しないと途中からダウンは確実……」

 

「よっしゃ飲むよ〜!」

 

「話を聞いて!?だから鬼は嫌いだーーー!」

 

雪華はそう叫びながら、萃香に引き摺られる様に宴会場へと戻ってくる。

 

その後、その宴会場では暫くの間、鬼と雪女のなんとも変な酒飲み大会が開かれたのだった。




はい!萃夢想終わりです!

短かったですね〜、この章は

さて、次回からまた日常です!誰のお話からなのかはお楽しみに!

……まあ、主人公が雪華さんなので、必然的に雪華さんのが多くなるでしょうがね

それでは!さようなら〜!
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