東方〜博麗神社の居候妖怪〜   作:ルミナス

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第三話

夕方となった時間だが、しかし現在、雪華と咲夜以外の全員が時が止まっている状態となっている。

 

そんな異常な状態で、時を止めた本人である咲夜は何者とも分からない目の前の人物(雪華)を観察している。

 

その観察されている雪華はというと、興味深そうに周りの光景を見ていた。

 

「へ〜!時が止まるとこうなるのか……今まで時止め出来る人なんていなかったのに……凄い面白い!」

 

「……」

 

そんな風に目を輝かせて周りを見ている雪華に、咲夜は少し、肩の力が抜けてしまった。

 

こんなアホ丸出しの相手に、少しだけやる気が削がれてしまったのだ。

 

咲夜は時を止めるのをやめると、美鈴が驚いた様な顔をして見つめてきた。

 

「さ、咲夜さん!?あ、あの、これはサボってたわけじゃ……」

 

「分かってるわよ。この妖怪関係でしょ?私がなんとかするから、仕事に戻っていいわよ」

 

「分かりました」

 

美鈴は咲夜からそう言われると、直ぐにもとの場所に戻った。

 

それを雪華は興味無さそうに見ていたが、咲夜から呼ばれ、その後をついて行くように屋敷の中へと入って行った。

 

***

 

暫く廊下を歩くと、ある扉の前で止まった。

 

その扉を咲夜がノックすると、中の人物から声が掛けられ、中へと入って行った。

 

その中にいた人物達は最初は咲夜を見てもも様子は変わらなかったが、しかしその後から入って来た雪華を見て、少しだけ目を細めた。

 

しかし、その人物達と一緒に宴会をしていた霊夢は直ぐに雪華だと分かり、走って雪華に近寄り、体を強く揺すり始めた。

 

「何てあんたが此処に居るのよ!?ちょっと!?神社は!?」

 

「神社には誰もいませんよ〜?」

 

「留守番はちゃんとしなさいよーーー!」

 

「タダ酒飲める時に留守番なんてやってられるかーー!」

 

「まあまあ、二人とも宴会の時に喧嘩はやめろって。酒が不味くなるぞ?」

 

そんな二人の口論の間に魔理沙が入り、そう説得すると、霊夢は強く揺するのをやめて静かにお酒を飲み始めた。

 

雪華は雪華で何事もなかったかのようにお酒を飲み始めたが、ある人物を見て飲むのを止めた。

 

その人物は蝙蝠の羽が背中から生えた、外見から見た年齢は彦星と同じくらいの少年。

 

雪華はその少年にそっと近寄り、その肩を叩いた。

 

「よっ!」

 

「……お前、なんでそんな馴れ馴れしいんだ?俺達は初対面のはずなんだが……」

 

その少年は雪華の方に振り向くと、雪華は益々嬉しそうに口角を引き上げる。

 

(……面白い奴、見つけた)

 

雪華の頭にはそんな言葉が思い浮かび、少年を見つめながら言う。

 

「お前、『何処から』来た?」

 

「!?」

 

少年は雪華のその言葉に驚いた顔をすると、その手を引いて廊下に出た。

 

雪華はそんな強引にされたにも関わらず、あいも変わらず口角を面白そうに上げたまま、その少年を見ている。

 

その少年は、周りを一度見てから、雪華を警戒心を持った状態で問い掛けた。

 

「お前、名前はなんだ?」

 

「小倉雪華。ただの雪女さ」

 

「『アルカディア・スカーレット』だ。それと、何処が『ただの』雪女だ。霧が出ていた時は気温が下がっていたとはいえ、雪女が出る様な気温じゃなかったはずだ。それに、今はもう夏の気温となっている筈なのに、どうして活動出来ている?最後に、どうして俺がこの世界出身じゃないと分かった?」

 

アルカからのそんな質問に、雪華はただただ面白そうに笑みを浮かべて答える。

 

「答えは一つだよ。それが私の『能力』だから」

 

「お前の『能力』……」

 

「そう。私の能力は『変化を操る程度の能力』。気温は私の周りだけ変化させて過ごしやすい気温にしてるから活動出来てる。あんたの正体については……」

 

雪華はそう言いながらアルカを指差す。

 

「あんたの能力の形が変化してたから分かったのさ」

 

「俺の……能力の形?」

 

アルカは何かに心当たりがあるのか、驚いた様子は無かった。

 

「そう。あんた、この幻想郷に来る前まで、自分の命と能力が繋がってたろ。それが変化してる後がある。私はそこから情報を読み取ってあんたの事を知ったわけ」

 

雪華のその言葉に、少しだけだが目を見開いたアルカは、次の瞬間には考え事を始めた。

 

「……つまり、俺がどうして此処にいるのかも分かっているという事か」

 

「そういうこと。あんた、前の幻想郷で吸血鬼狩りにあったんだろ?で、妹を守って死んだ……ところがどっこい、どうしてかこの幻想郷にいる。どう?当たってるでしょ?」

 

雪華はニヤニヤした顔で問い掛けると、アルカは素直に頷いた。

 

「……そうだ。俺はあの時、死んだ筈だった……だが、生きてる」

 

「別に気にしなくてもいいでしょ。今は生きてるんだから」

 

「だが、向こうには家族が……」

 

「それはあんたの姉が如何にかしてるんじゃない?というか、あんたはその可能性を信じてる……だろ?」

 

それに対してもアルカは頷く。

 

それを見ると、雪華は体を扉の方に向けた。

 

「なら、別に気にしないでいいんじゃない?あんたは此処で好きな様に生きる。それでも元の世界のことが気になるなら、この幻想郷を作ったスキマ妖怪にでも頼んで探して貰えばいい。どう?その方が良いと思わない?」

 

「……そうだな。俺としても戻りたい。姉上が心配してるから」

 

「なら、スキマ妖怪にあったら頼めば良い。私もあったら頼んでおくから……さて、それじゃあ」

 

雪華はまた体をアルカの方に向け直す。

しかし、その顔はどうしてか先ほどよりもニヤニヤしているが。

 

「……なんだ?そのニヤニヤ顏は」

 

「いや、なに。折角こうして提案してあげたんだから、対価をもらってもいいよね?」

 

「まあ、良いが。対価じゃないがお礼は一応するか……で、何が欲しいんだ?」

 

アルカはそう雪華に言うと、雪華は内心ニヤリと笑う。

 

「とっても簡単なお願い事だ。此処に遊びに来ても良いよね?アルカ」

 

「ああ、良いぞ……というか、どうしてその呼び名を知って……ああ、情報か」

 

「そういうこと。まあ、私のお願い事はそれだけ。後は私の遊びに付き合ってくれたら良い。お前からの頼み事とかはそれなりに私も聞くしね」

 

「分かった」

 

アルカはそれに頷くと、扉を開けて元の部屋へと入っていく。

 

それを見て、雪華はますます口角を釣り上げる。

 

「……さて、明日から楽しみだな〜♪」

 

雪華の考えていることは、この時のアルカには知る由も無かった。

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