書けば書くだけ量が膨らみ、とても今回で最終回とはいきませんでした。
あと4回くらいは続きそうかな?
「そんなバカな……あの浮遊機動要塞が遅れた
レムリアの司令艦、そのまるで玉座のように豪奢な艦長席に座ったアブトゥはモニターに映されたその光景に、信じられないかのように言葉を漏らした。
アブトゥにとってこの戦いは戦いなどではなく、必ず勝つと分かっているスポーツ観戦のようなものであった。
普通に考えて深海棲艦だけで相手の倍以上の数。唯一厄介だと思える地上の万能戦艦には、切り札でありレムリア最強の万能戦艦であるフリードリヒ・デア・グロッセをぶつけ、念には念を入れる形でこれも切り札のひとつである釣鐘型浮遊機動要塞を付けた。広域へ光線をばら撒く釣鐘型浮遊機動要塞は深海棲艦隊への援護も可能とし、さらにはその恐るべき攻撃力は一目瞭然、地上の万能戦艦に勝ち目などあるはずもない。それは戦力分析の結果にもしっかりと現れている。
だからこれは結果の分かりきったスポーツ観戦程度のつもりで、アブトゥはワインを片手にくつろぎながらモニターを眺めていたわけだが……その目の前であり得ないことが起こる。地上の万能戦艦によって釣鐘型浮遊機動要塞が撃破されたのだ。そのあまりにありえないはずの光景に思わずアブトゥは手にしたワインを落とし、ワインが赤いシミを作る。
実を言えば、これはアブトゥの失策であった。
釣鐘型浮遊機動要塞はその火器管制システムの修理が不可能と判断され放置されていた。しかしそれを万能戦艦であるフリードリヒ・デア・グロッセが合体し肩代わりするという形でこうして戦場への投入が可能になったものである。アブトゥとしては単純に『10+10が20になる』という程度の認識だったのだろう。しかし、現実というのはそう単純なものではない。
釣鐘型浮遊機動要塞は大量の
もしフリードリヒ・デア・グロッセと釣鐘型浮遊機動要塞が互いに独立した存在であったのなら、互いにその恐るべき能力を完全に発揮し、戦況は全く違ったものになっていただろう。しかしそれはしょせん『たられば』の話。現実はたった1つ、『釣鐘型浮遊機動要塞は破壊された』という純然たる事実だけだ。
「まだよ。フリードリヒ・デア・グロッセ1隻があれば、地上の戦力なんてすべて倒せる。
それに地上の万能戦艦ごときが、あのフリードリヒ・デア・グロッセに勝てるわけがないわ」
どこか自分に言い聞かせるように呟くアブトゥは、フリードリヒ・デア・グロッセと地上の万能戦艦との戦力分析を呼び出す。
結果はフリードリヒ・デア・グロッセの勝率93%であった。その結果に満足そうに、そしてどこか安心したように頷くとアブトゥは玉座で姿勢を正し、ワインを再び手に取る。
しかし、アブトゥは気付いていない。
確かにフリードリヒ・デア・グロッセの勝率は93%である。しかしそれは裏を返すのなら『羅號の勝率が7%である』ということだ。先ほどまで0.7%だった羅號の勝率がこの短時間で10倍にも跳ね上がったという事実に、アブトゥは最後まで考え至ることはなかった……。
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「51cm砲、斉射!!」
「長51cm砲、一斉射!!」
もう何度目か、戦場に巨砲の咆哮がこだまする。敵艦を叩き潰すための必殺の牙が、互いへと降り注いだ。
しかし、それに対する反応は両極端だった。
「ふん……」
「ぐぅ……!?」
数発の主砲が直撃したにもかかわらず平然とした顔のフリードリヒ・デア・グロッセ。対照的にたった1発しか当たっていないというのに苦悶の表情で呻く羅號。どちらが優勢であるかは語るまでもないだろう。釣鐘型浮遊機動要塞の撃破後、フリードリヒ・デア・グロッセとの直接対決に至った羅號だが、その旗色は羅號の不利のまま続いていた。
羅號は本来、12門の51cm砲を持ち、手数の多さで時間単位での攻撃力ならフリードリヒ・デア・グロッセにも負けてはいないはずだった。しかし釣鐘型浮遊機動要塞の撃破のために使ったプラズマ弾によって砲塔1つ、4門の砲を失ったことで砲数がフリードリヒ・デア・グロッセと同じ8門になり、完全に火力でフリードリヒ・デア・グロッセに撃ち負けてしまってしまっていたのだ。
無論、羅號とて今の状況を指をくわえて見ていたわけではない。羅號がフリードリヒ・デア・グロッセに勝る部分はそのスピードだ。全体を隙間ないほどに分厚すぎる装甲で包んだ超重防御艦であるフリードリヒ・デア・グロッセの動きはそれほど速くはない。そこをついて羅號は動き回りながら砲撃を続けていた。その甲斐あって、フリードリヒ・デア・グロッセの磁気シールドを停止させるまではできたのだが……決定的なダメージを与えることは出来ず、ズルズルと長期戦の様相を呈して今に至るというわけである。
「そろそろ装甲がもたない……」
釣鐘型浮遊機動要塞の超重力場でのダメージ、そしてそれに続くフリードリヒ・デア・グロッセとの戦いのダメージ、それらを防ぎ続けていた羅號の装甲はもうとっくの昔に悲鳴を上げていた。無論羅號も必死の回避行動をとってはいるが、フリードリヒ・デア・グロッセの砲撃精度は恐ろしく高く、その精度はさすがに超長距離狙撃を得意とするガスコーニュには及ばないまでも羅號よりも優れているレベルなのである。そのため完全な回避はできず、どうしてもダメージを受けてしまっていた。
恐らくフリードリヒ・デア・グロッセは、足は遅くとも分厚く強固な装甲で敵の攻撃をすべて無効化し、射程内に入った敵をその正確な砲撃で順次潰していくというのが設計のコンセプトなのだろう。もやは『戦艦』という兵器よりも『要塞』の方がカテゴリーとしては近いものがある。
とにかく、もう長々と砲撃戦をやっているような時間はない。勝負を決める必要がある……そう考えた羅號は勝負に出た。
「全門斉射!!」
「むっ!?」
羅號の主砲がすべてフリードリヒ・デア・グロッセの上半身へと集中する。しかもその中には対空榴弾が2発ほど混じっていた。当然ながら対艦徹甲弾が効かないものに装甲貫通力のない対空榴弾でダメージが入るわけもない。今までとは違う羅號のその攻撃の意図をフリードリヒ・デア・グロッセは即座に察した。
「なるほど……こちらの『目』を狙ってきたな」
羅號は装甲は貫けないと判断して、レーダーやセンサーといった精密なフリードリヒ・デア・グロッセの『目』を潰し、隙を作り出そうというのだ。
連続した爆炎によって一気に視界が遮られていく。羅號にとっては絶好の機会だろう。しかしそれを知りながらフリードリヒ・デア・グロッセは笑う。
「いいだろう、私もこれから有象無象の相手で忙しい身だ。
これで終わらせてやろう」
勝負を決したいのは羅號だけではない、フリードリヒ・デア・グロッセも等しくそのタイミングを狙っていたのだ。
そして爆炎を引き裂きながら、羅號が飛び出す。
「だぁぁぁぁぁぁ!!!」
右手のドリルを唸らせながら接近する羅號。今まで幾多の強敵を倒してきた羅號の魂ともいうべきドリル
しかし……。
「ば、バカな!?」
驚愕に羅號は目を見開いた。羅號のドリル、それは確実にフリードリヒ・デア・グロッセへと突き立っていた。フリードリヒ・デア・グロッセの艤装中枢や本体を狙ったその攻撃はしかし……届いていない。そのドリルの切っ先は装甲で阻まれ、それを突破できない。フリードリヒ・デア・グロッセの常識を逸脱した超装甲は、羅號のドリルですら防ぎ切ったのである。
「今度はこちらの番だな」
その声に、羅號はつららを背中にでも入れられたかのような悪寒を味わう。
フリードリヒ・デア・グロッセの背中から伸びる巨大なアームに支えられたジャイアントドリルが、その切っ先を羅號に向けたからだ。
「か、回避ぃぃぃっ!?」
訳の分からない叫びとともに、羅號は横にロールするように緊急回避する。ジャイアントドリルは羅號の左肩部の艤装、先ほどのプラズマ弾のために溶けてパージした砲塔跡あたりを掠め、それだけで強固なはずの羅號の装甲板を抉り取っていった。
「くぅっ!?
全兵装、自由射撃!!」
苦悶の表情を浮かべながらも、羅號は自身の持つ51cm砲に
「くっ! ぐぅっ!?」
近距離から、しかも高精度なフリードリヒ・デア・グロッセの砲撃だ。羅號でも避けきれるものではない。1発2発と次々に衝撃が羅號を襲う。そして、その砲撃は羅號にとって致命的とも言える痛手を与えてしまった。
ガキンッ!!
「!? ターレットが!?」
砲弾の1発が左手に持つ第1砲塔を襲った。幸いにも砲塔は無事だが、衝撃でターレットが歪み、砲塔のスムーズな旋回ができなくなってしまったのだ。これでは空中を高速で飛び回る万能戦艦を相手に砲を命中させることは不可能と言っていい。それは羅號の51cm砲4門が死に、砲撃戦で羅號の使える主砲がたった4門だけになってしまったことを意味していた。
「どうやらこれまでのようだな」
羅號の様子を察したらしい。フリードリヒ・デア・グロッセが勝利を確信したかのような声で言う。
「先に言っておくが、降伏は受け入れない。
お前だけはいかなる理由があろうと生かして帰すなと命令されているのでな」
「それはよかった、僕も降伏するつもりは欠片もないので。
この身体が砕け散るまで戦わせてもらいますから」
「ならば……砕け散れ!!」
「そう簡単にいくか!!」
砲撃戦を再開する羅號とフリードリヒ・デア・グロッセ。変わらず一歩も退かぬ羅號だったが、しかしその内心では焦りを隠せない。
51cm砲は残り砲塔1つで4門、必殺の一撃であるドリルはあの装甲の前に防がれた。この事実から計算すると、羅號のもう一つの切り札であるプラズマ弾でも致命傷を与えられないだろうことは確実である。
(僕じゃ……こいつには勝てないのか!?)
黒い敗北の予感がジクジクと羅號の心を苛む。しかしそれでも……!!
(僕は……諦めない!!)
自分の敗北は自分だけのものではない。それは大切な人たちの死に繋がる。だから羅號は愚直なまでに諦めないと心の中で叫び、敗北の予感を振り払っていく。
そして……そんな諦めない羅號だからこそ、羅號はそれに気付いた。
(装甲に……ヒビ?)
それは恐らくはフリードリヒ・デア・グロッセ自身ですら気付いていないだろう。羅號のドリルすら防ぐフリードリヒ・デア・グロッセの自慢の装甲、その一か所に小さなヒビが入っていた。
もし敗北の予感という絶望に屈し、その眼が曇っていたのなら見つけ出すことは出来なかっただろう。羅號が勝利を諦めずに、冷静に注意深く相手を観察し続けたからこそ気付けたその小さなヒビは、たった1つの勝利への光明だ。
(でも、あれはどうやってついたんだ?
51cm砲をあれだけ叩き込んで今までヒビ1つ出来なかった。
今までのダメージの蓄積? ……違う、あの辺りはついさっき距離を取るために全力攻撃をしたあたりだ。今まで集中してダメージを与えていた部分ってわけじゃない。
今の攻撃は51cm砲はそれほど当たってないはずだし、
その瞬間、雷に撃たれたかのようなひらめきが羅號の脳髄を駆け巡った。フリードリヒ・デア・グロッセを破る、その方法に羅號は気付いたのである。
(僕じゃ……僕だけの力じゃ、フリードリヒ・デア・グロッセには勝てない。
なら!!)
「ママ! 長門ママ!!」
羅號は砲撃戦を続けながら、通信機越しに母の名を呼んだ。
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羅號からの砲火力は下がり、もはや抵抗は止む寸前だ。
フリードリヒ・デア・グロッセは勝利を確信しながらも、羅號の最後の抵抗に油断なく注意していた。
「プラズマ弾……貴様の切り札を使ってみろ。
その時が貴様の最後だ」
砲塔1つを犠牲にすることで発射できる、羅號の切り札の1つである『プラズマ弾』。それは凄まじい超熱量と衝撃を生み出し、釣鐘型浮遊機動要塞までもが撃破される威力だ。しかし分析の結果から、フリードリヒ・デア・グロッセの自慢の装甲で確実に防ぎきれるという自信がある。そして、自由に動く最後の砲塔を失った羅號ならば容易く討ち取れるだろう。
そして……その瞬間はやってきた。
「プラズマ弾、発射ぁぁぁぁぁ!!」
それは超高熱と衝撃によってすべてを薙ぎ払う破壊の閃光、しかしフリードリヒ・デア・グロッセにはそれが自らの栄光への光に見え、盾にした装甲の陰でニヤリと笑う。
~~~~~~~~~~~~~~~
「砲塔、パージ!」
超高熱と衝撃を伴う閃光が広がる中、羅號はプラズマ弾の発射によってドロドロに溶けた右肩の砲塔をパージしながら、その閃光の中心を見据える。そこにいたのはフリードリヒ・デア・グロッセ、全体はその超高熱によって熱せられて真っ赤になっているものの大きな損傷はどこにもない。
「ふん、貴様の切り札も無駄だったようだな!」
フリードリヒ・デア・グロッセの勝利を確信した声が響く。しかし、羅號はプラズマ弾を防ぎ切ったフリードリヒ・デア・グロッセに動揺することもなく、静かに答えた。
「……うん、認めるよ。 あなたは僕より、間違いなく強い。
でもね……!」
そして、羅號は叫んだ。
「僕は1人じゃない! 僕の周りにはみんながいてくれる!
だから……僕たちみんなでお前を倒す!!
長門ママ!!」
「任せろ、羅號!!」
羅號の声に海上で答えたのは長門だ。そして長門の隣にはずらりと並んだ、日本艦隊の誇る戦艦艦娘たち、主力水上打撃艦隊の姿がある。
「今さら通常艦ごときが何を……?」
「全艦、一斉射!!
撃てぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
フリードリヒ・デア・グロッセがいぶかしむ中、長門の号令とともに艦隊すべての砲が咆哮し、空中のフリードリヒ・デア・グロッセへと砲弾が飛翔する。フリードリヒ・デア・グロッセは空中にいるとはいえ、今はプラズマ弾の防御のために完全に足を止めている。空中目標であろうと静止しているのなら、日本の中でも最精鋭ともいえる彼女たちにとって砲を当てることは難しいことではない。
その砲弾は次々にフリードリヒ・デア・グロッセへと直撃し、空に花が咲く。しかしその花の色は爆炎をともなう『赤』ではない。空に開くその花の色は……『白』。
「これは……冷凍弾か!?」
それは羅號の開発したあの『95式対空対艦冷凍弾』だ。その超低温の冷気によって周囲の空気が一瞬で凍り付き、白い花が空中に咲く。
「私をバカにするな!
確かに強力な砲弾ではあるが、通常艦程度の攻撃がこの私の装甲をやぶれるわけがないだろう!!」
これにフリードリヒ・デア・グロッセが激高したように吼える。
フリードリヒ・デア・グロッセからしてみれば、こtれは例えるなら真剣勝負の真っ最中に横から子猫が甘噛みしてきたようなものだ。そんな児戯にも等しい攻撃が通用すると思っていること自体が、フリードリヒ・デア・グロッセの万能戦艦としてのプライドをいたく刺激する。
しかし、長門はその言葉を聞いてニヤリと笑った。
「それはどうかな?」
その瞬間、フリードリヒ・デア・グロッセは聞こえてはいけない不吉な音が、つい身近から発せられるのを聞いてしまった。
ビキビキビキビキッ……!!
「な、何ぃぃぃぃぃ!!」
あの羅號の切り札であるドリルやプラズマ弾すら歯が立たなかったフリードリヒ・デア・グロッセ自慢の装甲が、不快な音とともにひび割れていく。
「こ、これは……!?」
「あなたは……熱膨張って知ってる?」
羅號のその言葉でフリードリヒ・デア・グロッセは答えにたどり着いた。
『熱膨張』……物体は熱を加えると膨張し、冷やすと縮む。それが瞬時に起これば、物体は無理に引き伸ばされた直後に縮められ、崩壊するだろう。
プラズマ弾によって瞬時に超高熱にまで加熱された装甲が次の瞬間、羅號に頼まれてかき集められた長門たち戦艦部隊の装備した冷凍弾によって、1000度を超える超高温からマイナス200度にまで一気に冷やされた。それによって装甲は耐えきれずにその強度を一気に落としたのである。これがフリードリヒ・デア・グロッセに勝つための、羅號最後の作戦だった。
「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ドリルが唸りを上げ、羅號が空を駆ける。それは放たれた矢のように、すべてを振り絞るような疾走だ。
「ちぃぃっ!?」
一方のフリードリヒ・デア・グロッセは、ここではじめて羅號に対して明確な焦りの表情を見せる。そして迫る羅號に向けて自身のジャイアントドリルを突き出した。羅號のドリルとフリードリヒ・デア・グロッセのジャイアントドリルが正面からぶつかり合う。
羅號の身の丈を超えるほどの巨大なジャイアントドリルと比べれば、羅號のドリルは確かに小さく、頼りない。しかしこのドリルこそが羅號の魂。
その魂の一撃は……すべてを穿ち砕く!!
「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「な、なにぃぃぃぃぃ!!?」
装甲と同じく強度を大きく落としていたジャイアントドリルがヒビ割れ、粉々に粉砕された。そしてそのまま
「とった!!」
「がはっ!!?」
装甲を突き破り、羅號のドリルがフリードリヒ・デア・グロッセの艤装中枢を抉る。そのダメージに血を吐くフリードリヒ・デア・グロッセ。
しかし……浅い!?
「き、さまぁぁぁ!!」
「!?」
フリードリヒ・デア・グロッセが執念で左手で羅號の右手をガッチリと抑え込み、それ以上ドリルを進ませない。それと同時に、ヒビの入ったボロボロの長51cm砲がすべてゆっくりと羅號に向けて砲塔を旋回し始めた。この至近距離で長51cm砲の集中砲火の直撃を受ければ、いかに羅號でももたないだろう。
ならば……やることは1つだった。
「プラズマ弾、装填!!」
羅號の左手、最後に残った主砲塔に、重い音とともにプラズマ弾が装填されていく。それに気付いたフリードリヒ・デア・グロッセが叫んだ。
「まさか……この距離で再びあの攻撃をするつもりか!?」
「あなたの頼みの装甲を貫いた先、この内側でプラズマ弾を炸裂させれば……あなたは確実に倒せる!」
「バカな、そんなことをすれば貴様も!?」
「かも、しれない。 でも……」
一瞬、ほんの一瞬だけ羅號は目を瞑る。
その瞼の裏に浮かんでくるのはロー、朝潮、『ちぃ』、長門……そして今まで出会ってきたたくさんの大切な人たちの姿。そしてその最後に浮かんだのは……長いポニーテールに傘をさした、母である大和の姿。
羅號は目を開き、はっきりと言った。
「みんなの夢見た、静かな平和の海を今ここに!!
僕は、この一撃でこの戦争を終わらせる!!」
「や、やめろぉぉぉぉぉぉ!!?」
フリードリヒ・デア・グロッセは絶叫とともに長51cm砲のトリガーを引こうとする。だがそれよりも早く、羅號はトリガーを引いた。
「プラズマ弾、発射ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
三度、鉛色の空に太陽が生まれた。
そして……その太陽から零れるように、2つの火の玉が海上に向けて落ちていく……。
羅號「熱膨張って知ってるか?
男女平等ドリルパンチ!!」
フリード「ドリルに男女平等も何もあるか!」
というわけで決着です。
この作品自体を8月中に完結させる予定なので、明日には次の話を投稿予定。
次回もよろしくお願いします。