その白みがかった髪を持つ男は言った。
――俺はただの化け物だ――
私は違うと言った。ならなぜ今自分はこうして生きているのだ。なぜ殺さないのだ。
彼はそれに何も答えず、私の前から立ち去る。
――待って――
私は彼の方を向き言った。
――名前……まだ聞いてない……――
名前など、今更かと思われるかもしれなかった。でもせめて何か……何か一つでも彼の事が知りたかった。
――…………◯◯◯だ……。◯◯ ◯◯◯……。だがこんな名前はもう必要ねェ。今から俺は――
―― 一方通行だ ――
彼はそう吐き捨て私の前から消えた。
立ち上がり追いかける体力も残っておらず、起き上がろうとするも地面に叩きつけられる。
意識が朦朧としていく中、私は彼の歩いて行った方角を見つめていた。もしかしたら戻ってきてくれるのではないかという期待を抱きながら。
視界が段々と狭まり、気づいたら私の意識は暗黒世界に引きずり込まれていた。
*****
ハッと私は目を覚ます。
まだ夜中の三時、起きるにはまだあまりにも早い。
明日も学校があるというのに、今起きていては睡眠時間も足りなくなる。
八月の暑さも相まって服が肌にびっちり張りつくほどに汗を掻いていた。
久しぶりに見たあの夢のせいだ。
「一方通行……か。懐かしい名前」
ベッドから腰を上げキッチンへ向かう。
水道の蛇口をひねり水をコップに注いで一気に飲み干した。
そのままベッドには向かわず、カーテンを少しだけ開け窓から外を眺める。
「…………あの人は今この街にいるのかな?」
彼の名前は忘れてしまった。
一回しか聞いたこともなかったし、彼の最後のセリフがあまりにも印象強く残っているからだ。
「学園都市第一位『一方通行』、たぶん彼で間違いないはず。 自分がもっと……もっと序列を上げれば……彼も気づいてくれる」
そこで、自分のスマホが振動した。
電話……か?
こんな時間に。
着信欄は非通知になっていた。
おそる、おそる手に取り、着信ボタンを押す。
「……はい?」
『ダメデスヨ?こんな時間まで起キテチャ』
「演算さんか。 ていうか、なんで非通知で連絡してくるの」
『ハッハッハ、情報保護のたメデスヨ」
電話番号くらい、いくらでも変えられるでしょと思ったが口には出ずスルーした。
「あと、なんで私が起きてること知ってるの。 カメラか何かつけてるんじゃないでしょうね?」
『……何ノコトだかわかリマセン』
「最低だわ……女の子の部屋に監視カメラ取り付けるとか、なんてダイナミックな盗撮してくれてんのよこのおっさんは……!」
『マアマア許してください。あなたの身柄が心配なのですよ。それにあなたの部屋の監視は女性の部下にやらせているのでご安心を。 まあ、そもそもあなたの『ちっぱい』には誰も興味ありまセンノデ』
「うう……私が気にしていることをなんであんたはそう軽々しく口にするのかしらね!? 女の子に対するデリカシーがないっていうのか……」
『ハイハイ、スいませんでした。 と、そういえば随分うなされていたようですがどうかシマシタ?』
「…………何でもないわよ」
『一方通行』
私は胸が跳ね上がるのを感じた。
あからさまに動揺したのでそうだと肯定しているのとなんら変わらない。
『彼ノコトガ気になリマスカ?』
「……否定はしないわ」
『ダカラコソ、一刻も早くレベルアップするために今日は早くお休みなさい。明日も放課後に私の研究室に来るように。 大丈夫ですよ。 この『木原演算』全身全霊を賭けてあなたをバックアップいたしマスノデ』
「わかったわ、お休み演算さん」
『エエ、オ休ミナサイ」
電話はそこで切れた。
「そうだ、私は早く、彼に追いつかなきゃいけない」
窓の向こう、学園都市というこの街に向けて私は再び決意する。
「第一位、一方通行の高みへ」
初投稿です。
クソみたいな文章ですが見てやってくれると嬉しいです!
ちなみに"化"学なのはわざとです。