*****
何だろう……。
揺れている……?
地震……?
いや、それにしては揺れが細かい。
何だろう?
前がぼんやりしていて見えない。
怖い。
助けて。
だれか。
木原さん……
演算さん……
*****
「ちょっと危なかったかもねえ?」
カエル顔は相変わらずゆったりとした口調で言う。
「何か、硬いもので思いっきり叩かれたみたいだけど、君がいるってことはまた
「……そんなとこだ」
この名医には隠すことは無意味そうだ。
一方通行はそう思い、案外素直に認める。
「あの
「大丈夫、前みたいに記憶のリセットは行われているけどすぐにミサカネットワークからバックアップを呼び戻すクセが起動するみたいだから、前とは何も変わらないんじゃないかな?」
前に天井亜雄に同じくウイルスコードを埋め込まれそうになったときもそうだったらしい。
彼女のクセは思いもよらぬところで役に立ったようだ。
「ところでアイツは……あの菜優花とかいうのは……今起きてんのか?」
「意識は戻っているけど……なんだい、愛の告白かい?」
「うッせェ、聞きたいことがあるだけだ」
一方通行は、診察室を離れ、外に出ていた上条と目をあわせる。
「命に別状はねェ。痛みで気ィ失っただけだとよ」
「そうか……良かった。ところで、お前の連れの御坂(?)とウチの暴食シスターが今こっちに向かってるって連絡あったけど……まだ時間かかるってよ」
「なら、丁度いい。オレはあの女に聞きたことがある」
聞きたいこと?と上条は聞き返す。
「オレの何を知っているのか、それを聞く」
あの少女は、一方通行の名前を聞いたとき、驚いた様子だった。
驚くだけならその辺の学生でも変わらない。
彼の名前……というか能力名は
しかし問題なのはその後のセリフ。
『私を覚えている?』とも取れる言い方だった。
「アイツにも何か恨まれるようなことしたのか?」
「してたとしても、覚えてねェし興味ねェ。そこも含めてこれから尋問すンだよ。敵性が見られるようならこの場で殺す」
「だめだ」
「……なんでオマエが止める」
「女の子なんだぞ!? そんなに軽々しく殺すなんて、普通ありえないだろ!?」
「オレは普通じゃねェ。普通とか、変とかそんなもので語るにはオレはあまりにも飛び越えすぎてる。そんな理論は通らねェンだよ」
だったら、と上条は拳を握り一方通行を見る。
「俺もアイツの部屋に行く」
「…………好きにしろ。アイツを救ったのは実質オマエだ。オマエがどうしようがそこは勝手だ」
一方通行は踵を返し、杖を使いながらカエル顔の医者に教えてもらった場所へ行く。
上条は黙ってその後へついて行く。
エレベーターを使い、上に昇る。
それは七階で止まり、再び歩き出す。
やがて、一方通行は部屋の前で止まった。
「ここだ」
ネームプレートには紙で小夜啼菜優花の文字。
上条は横開けのドアをノックする。
はい、と中から声が聞こえたのを確認し、当麻はドアを開けた。