まずは自己紹介から始めたほうがいいだろう。
私は
高校生。
なんとなくこう言っておけば日常アニメっぽい紹介に見えない?
まあ、それはともかく。
まず自分の性格について一つ特筆しておきたいことがある。
私はお人好しだ。
嘘じゃないわ。 同級生にも同じことしか言われたことがないくらいだ。
さすがに何度も言われれば自覚ぐらいはするし、思い当たるエピソードの一つや二つある。
広い学園都市で迷子になってる小学生を
隣の席の子が勉強に困ってればそこを教えたり。
その他もろもろだ。
こんな感じで。
そんなお人好しである私の目の前で何かが起こっているわけなんだけど。
「オイ! 早くしろ、気づかれるぞ! 」
「分かってる! 俺達にはこれしか残っていないんだ! 慎重にやらないでどうする!? 」
これは確実に、誘拐。
これは絶対ヤバイやつだって誰にでもわかる。
手を出すべきか出さないか。
それだって、バカにでもわかる。でも、私の『お人好し』のDNAはそんなこと許してくれないようで。
「やる…………か」
ワンピースの上に白衣を着た小さい女の子が車に乗せられてゆく。
そのまま発進するかと思いきや、その場で奴らは何かを始めたようだ。
「おい、まだか。 そのウイルスコードっていうのは」
「ちょっと待て。 ……ああ、これだ。 これをこいつの中にぶち込むだけで良いらしい」
「なるほどな、それで俺らの復讐は終わるわけだ。 これで安心して……」
「まだ油断するな。 アイツはまだこの近くにいる。 後数十分の辛抱だ」
何をやっているのか私には皆目見当もつかない。
しかし、これはチャンスじゃないのか?
奴らは二人とも目の前のパソコンに集中しているようだし、周りへの注意は向けていないように見える。 普通だったら一人だけ作業に回し、もう一人を周囲の監視に当てるものだが、それが見られない。
ただのド素人なのか、何か考えがあるのか。
とにかくここで考えても答えなんか出ない。
行動を起こして敵の動きから推測するしかない。
しかし、大変悪いタイミングでスマホのバイブに気づく。
着信は……非通知。
多分、演算さんだ。
「もしもし? 何よ演算さん」
『ヤメテオイたほうがいいと思イマスヨ』
「なんで? 明らかに犯罪じゃないの。 見過ごせないわ」
「ダメデス。 アいつらはおそらく
猟犬部隊……当然聞いたことはない。
「何なのそいつらは?」
『アマリ深イことは言えませんが……学園都市の暗部組織ですよ。 彼らは殺しのプロです。 あなたにも時々危ないことはさせてきましたが、こいつらには絶対に関わってはいけません。 表の人間が裏の人間に関わることはあってはならなイノデス!』
「……今更何を言っているの? 私言ったよね? 『一方通行』に近づきたい……って」
『エエ……』
「彼はもう裏の人間なの。 だったら今こんな所で裏だの表だの気にすることはないじゃない。 私には善か悪か……それしか見る気はないわ」
『菜優花サン!?』
そこまで言うと、私は通話を切りスマホをポケットへしまう。
私は、小夜啼菜優花、高校生。
お人好しの性格を捨てきれず、一人の少女の命を救いに行く。