「…………」
「はぁ……はぁ……」
二人の激突の後、そこに立っていたのは上条。
そして、ヤツの持っている鉄の棒っきれを取り上げ、まだ微妙に意識のあるヤツへ言う。
「お前はクズじゃない」
男は『は?』と思う。
仮にも元
「お前にだって恋愛はできた。人を好きになれた。人を大事にすることができた、そんなのはクズじゃない。本当のクズはそれもできないやつのことだ。ナンシーに出会う前のお前は確かにその部類だったのかもしれない。でも、お前は恋ができる『人間』だったんだよ。だったら、自分のことを『クズ』なんていうな。お前は人を愛してやれる一人の『人間』だったんだから」
彼の目が何かで一杯になる。
上条はそれを見てみぬ振りをし後ろを振り返る。
男泣きはむやみにのぞくものではない。
そして、後ろ向きのまま当麻は続ける。
「あんたならまだ戻れる、表の世界へ。明るい場所へな。そのほうがナンシーもきっと喜ぶと思うぜ?」
「…………うぅ、
彩加はまあ多分『ナンシー』のことだろう。
コードネームか何かだったのか。
あえて何も聞かず彼の元を離れる。
そのまま、上条は車の中でパソコンを弄っていた一方通行のところへ向かう。
「終わったか?」
「ウイルスコードは解除した。褒めたくはねェが、なンでオマエはそうクサイセリフが滝のように出てくんだァ?」
「褒めてないだろそれ……。まあ、色んなやつに出会ったからな、外の世界で」
「……魔術の側、か? 世界ってのはどこも変わらねェのか、くだらねェ」
「みんな何かしら抱えてる。本当にクズの人間なんてごく少数だ。そいつらのせいでなんでもない人間が巻き込まれる、それは魔術サイドの人間だろうが科学サイドの人間だろうが変わらない」
そういえば、と上条はあの少女を見る。
何かあってはマズイ。
今すぐに病院に運んだほうがよさそうだ。
「そもそも下手に動かしていいのか?」
医療には疎い上条にはさっぱりだ。
「……おい、あの車使え」
後ろから声が聞こえたかと思うと唐突にキーが飛んできた。
元猟犬部隊だ。
「……いいのか?」
「俺たちにはもう必要ない」
「……お前たちはどうするんだ」
「そこで気失ってる連中起こしてさっさと脱出するよ。銃声が外に漏れたから
そう言い体を起こし壁にもたれる。
「お前も連れて行く」
「やめろ。裏の人間に表の人間が手を差し伸べるな。コレはオレのプライドの問題だ。オレが……胸張ってお前に助けを求められる人間になってから、そうさせてもらうよ」
「……わかった」
一方通行に車の鍵を渡し、傷を負った少女を車に乗せ、上条は一方通行に聞く。
「車の運転できるか?」
「舐めんな」
一方通行は運転席に座り、キーを回してエンジンをかける。
そして、一方通行、上条、打ち止め、少女を乗せた車は走り出した。
ナンシーについては原作十三巻読むといいですよ
ナンシー ……プレス機で押しつぶされそうになった人