どうかお付き合いください
海鳴での邂逅
さて今回の話をするのだが、その前に現代の魔術師たちについて簡単に語ることにしよう。
魔術師とは根源の渦とよばれる世界のあらゆる事象の出発点を目指すもので、
その呼び方は始まりの大元・アカシックレコード・グレートスピリッツ
いや最後のはちがうが話を戻そう、要するに魔術師とよばれる存在とは
その根源をめざす学者のようなものなのだ。
魔術師には不文律、破ってはならないルールがひとつ存在する、それは魔術の隠匿 神秘を隠すことである、魔術は大衆に知られたりするとその効力を失ってしまうからだ未知でなくなった魔術は、技術へと格下げされる。
ゆえに魔術は隠されなければならないのだ、まあその効力を失うのは未来のあくまで全体の話であり、個人レベルとしては問題ないのだが今やそのルールは絶対の掟となっているのである。 そしてその魔術に関するルールを守らせ魔術師を統括する組織に魔術協会というものがある、まあ日本は厳密には魔術協会には所属していないのだが、それは置いておこう。
魔術師はたいていはロンドンの魔術搭に属している。
魔術師は自分の研究をするための工房・アジトがあるのだが、外敵等を警戒して侵入者を滅殺するいわゆる一種の処刑場ができてしまうのだ。
魔術師とは研究者であるが研究者には、それを研究する道具と場所がいる、道具は前述した魔術だが場所が曲者なのだ。ここで言う場所つまりは土地とは、 霊地・霊脈のことでありそれの管理権である、魔術師はその土地を管理することで魔術研究を成功する上で優れた霊地がいる
根源をめざすうえではこの土地が必須となる。
霊地はすでにそのほとんどが所有されており野良魔術師はそれを奪うしか土地を得る手段は存在しないのだ。
ここで多華宮 仄が土地を手に入れたのは、ほんの紆余曲折を経てである。
少年という年齢の多華宮を海鳴という霊地を持つ魔術師が狙ってきたのである
多華宮くんはその魔術師を撃退して海鳴を手に入れたのだが、師匠のゼルレッチにつれられて世界を旅することになった。
そこで海鳴だがさすがに魔導元帥を後見にもつ少年の
霊地をを奪う訳にはいかず、留守にしても問題はなかったのだが、8歳つまり小学3年のときに根源へといたり、ゼルレッチから合格をもらい自分の管理する霊地、海鳴に戻ってきたのである。
「ひさしぶりだなあ 前に来たときはゆっくりと見ている暇がなかったけど いい町だなあ ここは」
海鳴そこは戦後まもないころに外国人たちをはやく受け入れはじめたところで
町には外国人やハーフが一般的な町より多い。
少し人を見るだけで金髪 茶髪 赤髪に青い眼 赤い眼などと普通見られないような人が多くいる。 さて現在の多華宮くんの家 過去は魔術師の工房だが
海の近くに建てられた洋館である。 とても大きくその周辺に家がない不自然な建物なのだが、この家には認識阻害や人避け等を張っているため、
誰もこの家には気がつかない。
「ずいぶん 放置していたけど 霊脈には問題ないし うん 微調整だけですむかな これは」
「それよりは学校だよ 青子先生にある程度は教えてもらったけど
同年代の子達といっしょで大丈夫かな~」
そう多華宮くんはキシュア ゼルレッチ シュバインオーグ 蒼崎青子といった
魔法使いから魔法 魔術の手解きを受け ある程度の学問は習ったのだが、
同年代の子達との会話など、わからずに大変緊張しているのだ。
「それより早く学校にいかなきゃ、初日から遅刻なんて、
洒落にもならないし」
白い制服を手早く身にまとい今日から、
通う事となる私立聖祥大附属小学校へと足を向けた。
職員室で先生に挨拶をして教室にむかう、そこで出会うのだ数年前に出会った少女と
黒板に自分の名前を書いて生徒達の方を向く。
「はじめまして 穂群原小学校から転校してきた多華宮 仄です。皆さん
よろしくお願いします。」
先生に言われた席に座ると、隣の子がじーーと見ている。
「えっと 何か僕の顔についてる?」
「あなた 魔法使いさん?」
シーン
教室のざわめきがやむ そして次の瞬間 教室のなかで笑い声が広がった。
「え みんなどうして そんなに笑うのーーーー」 困りぎみの少女に
呆然としたようにみられる少年だが、その本心は自分の正体が
バレたかと驚いていたのだ。
授業が終わり昼休み 弁当を広げて みんなで食事を始める。
といっても転校初日の少年に混ざれることもなく 屋上にいき1人で食事をしながら海鳴市を眺めている。
さっきの女の子は、なぜ自分の正体に気がついたのかと
考えていると、急に声をかけられたそれはよく言えば
意思の強そうな声、悪く言えば気の強い特徴的な声だった。
「ちょっといいかしら そこ?」
「え いいけど君たちは」
金髪の少女はハッとして
「あぁ 自己紹介しないと 私はアリサ バニングス 隣の子が」
「月村 すずかです よろしくね」 物静かそうな少女がにこやかに挨拶をしてきた。 そして最後に茶髪の少女 いきなり自分の正体を暴きかけた相手に対してわずかにだが身構える。
「高町なのはです さっきはいきなり変なこといってごめんね ねえ 私達 昔 公園で会わなかったかなあ」
そこで過去のピースがあわさった自分がもっと幼いころ神秘の秘匿をせず
泣いている少女のためだけに魔術をみせ師にしかられたときの、
「きみ 公園のブランコの子?」
「やっぱり 魔法使いの子!」 「ちょっと待ちなさい 勝手に納得しないで
私達に説明しなさい」 「私も興味あるなぁ」
ことの次第を大雑把に伝えると「なるほどねぁ 公園で泣いてたら
多華宮がきて 草原に連れてってくれたと ってアホかーーーーーー
そんなことできるわけないでしょーーー」
「まぁまぁ アリサちゃん落ち着いて落ち着いて それって多華宮くんなの?
だって 多華宮くん 今日転校してきたんだよ。」
「あ ぼく 昔 少しだけこのまちにいたんだよ」
「じゃあ あんたは魔法使いで草原をここに出すことができるの」
「いや あれはそのえっと そう手品あれは手品だったんだ。」
「えーー 違うよ あんな手品見たことないもん」すると
「でも手品だったとしてもその草原みてみたいなぁ 多華宮くん」
そうあれは自分の記憶を空間上に投影するだけの初歩の初歩の魔術いわばプロジェクターのようなものなのだが、それでも魔術 昔ならいざ知らず
今の多華宮 仄は秘匿の意味を理解している、なんとか誤魔化すしかない。
「いや あれには、手間がかかるし それにむやみにすると
教えてくれた先生たちにしかられるし」
と笑いながらも必死で煙にまこうとする。
「えーー みたいよ おねがいみせて 多華宮くん おねがい!」
どうやら退く気はないようだ。 こうなったら仕方ない記憶をすこし
改竄しようと魔術回路を開こうとすると、
「待ちなさいよ なのは 多華宮が困ってるでしょ そいつとはこれから
学校が同じなんだからチャンスはまだあるわよ。
それよりご飯にしましょうよ。」
「そうだね 私もお腹すいちゃった なのはちゃん ご飯にしよ。」
「むー わかったの。」 「多華宮 あんたも一緒にご飯食べない?」
「いやー ぼくはいいや 周りの視線が少しだけ気になるし 女の子だけの中にぼくが入るのって恥ずかしいから」
「ふーん つまんないこと 気にするのね まぁ いいわ」
「じゃあ またね 多華宮くん なのはちゃんに
今度その手品をみせてあげてね」
「手品なんかじゃないのに またね多華宮くん 今度はあの魔法みせてね」
少女たちは嵐のよう去っていき、少年はどっと疲れたように横になった。
「疲れた~ 高町さんのことは、どうしようかな~
………………… ま どうにかなるかな」
昼休みの邂逅はこれにて
放課後になると男子・女子たちが校庭にて思い思いに遊び始める。
その一方で塾や家に帰宅しようとする子がいる。
多華宮 仄もそのひとりだ、彼は帰宅してこの街の霊脈の
微調整をしようと家に帰ろうとする。
「多華宮くん~~ まって~」
彼を呼び止めたのは、昼休みの少女たちだった。
「多華宮もこっちなんでしょう じゃあ 一緒に帰らない?」
「うん 私たち塾にいくけどこっちなんだ 途中まで一緒にいこうよ。」
せっかくのお誘いで、断る理由もないので一緒に帰ることにした。
「多華宮は家 どこにあるの?」 「この先の海近くの洋館だけど」
「え あそこってあのお化け屋敷の?!」 なのはは、驚きを隠せない
町内のなかでは、入ってはいけないとされたいわくつきの洋館に
まさか同級生が住んでいたことに、
「お化け屋敷って ひどいなぁ」
「えっと 多華宮くんの お父さんお母さんってどんなひとなのかなぁ。」
すずかが疑問をもち質問した。 それはある意味で当然のことだろう。
「父さん母さんは昔にいなくなって、今は後見人の先生がいるんだけど
ちょっと仕事で今いないんだ。」
空気が凍りつく何の変哲もない通学路が一瞬で北極にかわる。
「「「ご、 ごめんなさい」」」 「いや 大丈夫だよ 確かに父さん母さんが
いなくなったときは悲しかったけど、先生たちとすごした時間は
それに負けないくらいスゴいものだったんだから」
にこやかにそして誇らしげに、語った彼の顔に少女たちは顔を赤くした。
「じゃ、 じゃあ わたしたち塾だからーーー」
「アリサちゃん まってー なのはちゃん 多華宮くん また 明日ねー」
夕焼けのさす道で別れるとき
「じゃあ ぼくはこっちだからまた 明日」
「ち、 ちょっと待って多華宮くん」 「ん どうしたの?」
「あのときはありがとう 多華宮くんのおかげで、
お母さんたちにちゃんと寂しいって伝えられたから
じゃあまた明日 またねーー」
急ぎ足に走る彼女の後ろ姿を見ながら、家に戻ったら
霊脈の微調整に明日の授業の準備をしようと、
お化け屋敷と呼ばれる自分の工房兼自宅へ歩き始めた。