あまり謙虚じゃない騎士と小さな覇王のイチャイチャ話   作:佐鷹

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自分の文才をなさが怖い(リアル話)
俺はこのまま骨になる


03

 最初は、覇王と騎士王の因縁に決着をつけることだけが目的だった。

 それが、いつからだろう。

 何度か拳と剣を交える内に、過去の因縁とは関係なしに、『彼』と戦うことそのものに悦びを感じている自分自身に、私は気付いてしまった。

 その感情が、一体何に由来するものなのか。…その答えが出るまでに、そう時間は掛からなかった。

 そう、私は──

 

 だけど、その想いを彼に伝えることは出来ない。

 少なくとも今は──そう。私の中に眠る、覇王の無念を晴らし、覇王流こそが古代ベルカ最強の流派であるということを証明するまでは──

 だから──

 

 

 

 

 

 

 ゲームセンターで遊んだ帰り、春とはいえまだ肌寒さの残るミッドチルダの夜道を、ロトは一人歩いていた。

 

「…ったく、何が『200円やるからすぐやめろ』だっつーの。別にどんな風にプレイしようが人の勝手だろうが」

 

 その表情は見るからに不機嫌そうであり、歩調もどことなく荒々しい。その手に握られている、先程購入した缶ジュースが、彼の握力によってギシギシと嫌な音を立てている。

 ロトは若干形が歪んでしまっているジュースの封を開けると、やけ酒を呷るように一気に中身を飲み下し──そして、盛大にむせ返った。

 

「ご、ごほっ…ごほ…う、うげ…ちょ、ちょとsYレならん…何だ、この味…」

 

 どうやら買うジュースを間違えていたらしい。

 口に広がる微妙な味わいと、鼻に突き刺さる強烈な刺激臭。それのおかげか多少は頭が冷えたようで、ロトは小さくをため息をついてから辺りを見渡し──

 

「…あん? ここは…どこだ?」

 

 怒りに任せて歩いたせいだろうか。全く見覚えのない道を、ロトは進んでいた。

 辺りを見渡しても人は見当たらず、それどころか開いている店すら見つからない、いっそ惚れ惚れするくらいの寂れっぷりだ。

 

「…また怒りが有頂て…ああいや、キレて周りが見えなくなった…ってことか」

 

 先祖代々伝わる病気のようなものらしいけど、どうにかならんもんなのかね──とうんざりしたような口調で言う。

 

「あの意味不明な方言といい、覇王とやらとの因縁といい、何でこう…厄介なもんばっかり残していきやがるんだかね、うちのご先祖様は」

 

 …こうやって独り言を続けていても仕方がない。ロトはそう結論づけると、とりあえず大通りに出てみるか、と踵を返そうとして──

 

「…ん?」

 

 馴染みのある人影が少し離れた所を歩いているのが視界に入った。

 

「あれは…アインハルト?」

 

 何であいつがこんな所に、と訝しみながらも、

 

「…とりあえず挨拶くらいはしておくか」

 

 と、ロトは彼女の方に向かって歩を進める。

 

「おーい、アインハルトー」

「…ロト、さん?」

 

 少し近づいた所で名を呼ぶと、どうやらあちらもこちらに気づいたようで、軽く顔を上げながら名を呼び返してきた。…普段よりもやや張りのない声で。

 ん? と首を傾げながら、もう少し距離を詰める。…心なしか、表情もなんだか苦しそうに見える気が…

 

「…どうした? なんか調子が悪そうだけど…」

 

 あまり見たことのない彼女の様子に少々戸惑いながらも、ロトは更に声を掛ける。

 だが──

 

「…おいィ? アイン…」

 

 答えは、返って来なかった。

 

「! お、おい!? アインハルト!?」

 

 唐突に──まるで、糸の切れたマリオネットのように、力なく崩れ落ちるアインハルト。

 その姿を見たロトはカカッっとダッシュしながらアインハルトに近づき、慌てて彼女の体を抱き起こした。

 

「おい! アインハルト! しっかりしやがれ!」

 

 声を荒げ、何度も彼女の体を揺する。が、アインハルトは目を覚まさない。

 一体どうすれば──と、狼狽するロト。

 人の気配のない裏通りに、彼の叫び声が木霊した──

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