何を以て善と為し、何を以て悪と為すのか 作:Noah/Deal
―――それは、彼にとっては幸運と呼べるモノだったのだろう。
彼はその世界に飽いていた、嘆いていた。
この世界はくだらない。欲を満たせる世界が欲しい、と。
幾らそう思っただろうか。 ただ無為に日々を過ごす己を嘆いたとき?
或いは、全てが思い通りにならないこの世界に対して?
今となっては、何故かその記憶はノイズ混じりの雑音となり、思い出せることすら僅かだ。
だが、彼のその思いだけは残っている。
故に
―――なんたって俺は、オリ主様だからな!
※ ※ ※ ※ ※
……あの時俺が目を覚ましたのは、ただ真っ白な空間だった。
当初はその状況に混乱していた俺の脳内だったが、次第に今の状況が記憶の中の何かに類似している事に気付いたんだ。
―――これって……、神様転生モノのテンプレパターン?まさか俺ってオリ主的立ち位置?
その事実に気が付いた俺は、早速だが周囲を見渡してみた。
すると、やはり出てきやがった白髪の爺さん! これは噂のDO☆GE☆ZAですかっ!?
問いただしたところ、どうやらテンプレ同様神様のミスだったようで……
「あー……。その、すまなかったの。ほれ、このとおりじゃからそのコブシを戻しッグブッ!」
お約束通り、神様の顔面グーパンしてやりました☆
だからといって血涙流しながらこっち見るのやめて!マジで怖いから!
まぁ、神様(笑)はその後色々とテンプレ通りの説明をしてくれやがった訳で……
……なに、行先はリリなのだとぉッ!? 詳しく聞かせろ(キリッ
等と言ったやりとりを通じて、結局俺はこれらの能力を得た。
・またしてもテンプレ通りのニコポ・及びナデポ
・魔力量SSSオーバー+それに耐えられるロストロギア級の処理能力を持つデバイス
・銀髪メッシュ、かつオッドアイの容姿。さらにカリスマ…A、黄金律…A のスキル付与
・原作主人公と同年代からのスタート、かつ同じクラス
・さらに、一日一回に限るが、他作品の能力の使役
……こう並べると壮観だが、どれもテンプレ主人公なら大概持っている能力だったりする。
まぁとにかく、俺はこの能力を持ってリリなの世界に向かった訳だ。
もちろん、行く時には足元に穴が開きましたよ? あのクソ神……、後でバラす。
次に気が付くと、俺の視界には見覚えの無い女性が映っており、おまけに手のひらは……って!
これは、この時こそはテンプレ通りにいくしかないだろ、俺!
よし、せー………、のっ!
「オ、ギャーーー!(転生したぜぇぇぇぇ!)」
※ ※ ※ ※ ※
「……そして、今に至るっと。」
ちょうど今は昼食時。
机に弁当(自作。料理スキルは前世譲り)を並べて一人黄昏るのは、何を隠そう俺―――
今生での名は、神鳴 龍斗(かみなり りゅうと)だ。
そうしていると、俺の机に近づいてくる女神が一柱……おっと言い過ぎた、われらがNANOHAさんだ。
「にゃ~……、また龍斗くんお弁当誘ってくれなかったの……」
「悪い悪い、ちょっと考え事しててな。そうふてくされるな。」
「む~、ふてくされてなんかないよ!」
「そうか?なら俺の考えてた事、聞かせてやってもいいぞ?」
「にゃ!? そ、それってほんとかな?」
「そこまで嬉しがらなくても……、なに、俺の壮大な人生記だよ。」
「何のことか全然わからないの……」
このように、彼女は既に俺の虜だ。
流石は神様印のスキルってところか、このクラスの女子は全員同じような状態になっている。
煩い男子はカリスマのスキルで黙らせ、黄金律で手に入れた金を渡せば黙り込んだ。
―――まさに理想郷、俺の望んだ欲まみれの世界が手に入ったわけだ。
だが気を抜かないのが俺の素晴らしい所、その日の下校中に、俺はあの男を見つけた……
その視線から感じられたのは、俺様に対しての羨望だろう。
だから俺は言ってやったんだ、負け犬ってな。
ま、あの状況を見せ付けてやったんだ。これに懲りてもうちょっかいは掛けてこないだろう。
とりあえず、俺はもうしばらくこの生活を楽しみますかね! StS時代が今から楽しみだぜ……
※ ※ ※ ※ ※
心身、憔悴したまま僕は帰宅した。
……理解できない、僕は一体何故あんなことを?
理解できない、自らヒトゴロシなんて……
まるで自分が自分じゃないみたいだ。
いや……? そもそも自分ってなんだったっけ?
僕は所詮■■■にしか過ぎないのに。一体何でこんな気持ちを……
―――――ノイズ、ノイズノイずノイズのいズノイズのイズガ奔ルッ―――――!
自意識が薄れていく、脳裏が溶けていく。
あれ?さっきの疑問ってなんだったかな、それ以前になんで悩んで……
そう考える間も無く僕の意識は闇に溶け。
―――夜は、今日も更けていく。
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