何を以て善と為し、何を以て悪と為すのか   作:Noah/Deal

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雷光、その輝きと

―――■■■■の表層に浮かぶものを意識と呼ぶのならば、その奥に沈むモノは何だろうか?

 

――本来なら■■の際に溶け消える筈のエラー。

 

―やがて異物は、牙を剥く。

 

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

……"あの日"の翌日から、僕は何もかもが怖くなった。

あれから常に身を焦がす衝動、それを抑え付けることすら日に日に難しくなっていく。

 

一体、あの瞬間の感情はどこから沸いたのだろうか?

たとえ、同じ()()()とはいっても方法は無数にあった筈だ。

平和的にコンタクトを取るなり、または傍観者として過ごす事を決心するか。

なのに僕は何故"殺す"という選択肢を真っ先に選んだ?

 

まるで自分が自分でないようだ、僕は僕自身が怖くなっている。

 

―――自分でも気付かないような程、ごく自然に他人を殺してしまうのではないか?

 

そんな危惧、そんな予感がする。

幸いにも自宅には僕一人、暫くは時間を稼げる。

……あの衝動がまた来ないと言う保障は一切無い。

だからといって、来るとも限らないのに……

 

僕は、臆病者だ。

今こうやって、あるかどうかすら分からないモノに怯えながら部屋に篭る姿を見れば、

それは明らかに明瞭だろう。

 

……ただ、こう考えていても埒が明かない。

ちょうど食材も尽きてきたところだ。

出来る限り他人に会わないよう、路地裏でも通って買い出しに行くしかない、かな……

 

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

人通りの少ない、寂れた雰囲気を周囲に放つ路地裏の光景。

普段ならば、そこに進んで足を踏み入れるものは居ないだろう。

その独特の場所のためか、不良と呼ばれる学生の溜まり場や、犯罪の温床となっているからだ。

 

―――だが、今まさにそこは"異界"と化していた。

魔法に疎い者でも、張り巡らされた魔力からここを結界と看破する事は容易だ。

その異界に佇む少年が一人。そして、彼に得物を向ける少女が一人。

 

 

「それを……、こちらに渡して下さい。」

 

 

無言の圧力、と言うべきだろうか。

彼女から発せられているプレッシャーはその年に似合わず強大であり、尚且つ込められた意志の強さまで伺える。

絹のように流れる金の髪、シンプルながら機能的な防護服。

そして、少年に向けられた、魔法の杖というには随分と機械的に過ぎるモノ。

それらも合わさって、現在の彼女は"死神"と言っても過言ではない雰囲気を醸し出していた。

 

 

「……駄目、だ…。駄目なんだ…、ッ。」

 

 

無論、少年にとってもこの光景は想定外。

彼の手にある菱形の宝石――ジュエルシード――は、落ちていたそれを()()拾ったもの。

彼の持つ"原作知識"に無い展開に混乱していた彼には、そこから逃走するという選択肢は無く。

―――故に、ある意味ではこの光景は必然だったのだろう。

 

 

「……いくよ、バルディッシュ。」

 

《Yes, sir.》

 

 

「……駄目だって、いってる、だろ……ッ!」

 

 

少女の声と共に、路地裏に響く機械音声。

次の瞬間、少年に向けられた杖の先端が変形し、まるで鎌を模したかのような形態に変貌した。

だが、それを向けられた少年はさして気にした様子も無く。

むしろ、それ以上のナニカを必死に堪えているように感じられる。

 

―――■■したい、眼前の彼女を■■て、■■ぐ様子を―――

 

その衝動は、やはりというべきか彼が危惧していたものであり、当然彼はそれを抑え込もうとする。

彼女と遭遇したその瞬間から常に絶えない衝動、それを抑え込むだけで彼の精神は限界だったのだろうか。

 

 

「ごめんなさい。せめて一撃で……!」

 

《Photon Lancer》

 

 

無慈悲にも放たれる雷槍。しかし、それが少年を穿つ事は無く頭上を過ぎて行った。

なぜならば彼は、まるで糸が切れたかのように―――

 

地面に、倒れ伏していたのだから。

 




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