何を以て善と為し、何を以て悪と為すのか 作:Noah/Deal
――ヒトの夢とは、得てして儚きものである。
――故にヒトは、それを追い求めるのだ。
――その先に待つモノを知らぬまま。
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「デュアル―――バーストッ!」
路地裏に響き渡る、その場に相応しくない程の音響。
金属同士が弾けるその音を以て、闘争の幕は開かれた。
魔力光によって照らされたその場に相対する、二人の人間。
――その瞳を欲望に曇らせ、双つの剣を構える少年。
――対しては、焦点を失った双眸に、本能のまま紅き長槍を掴んだ青年。
赤い魔力光を撒き散らしながら放たれた初撃は、しかし容易く紅槍に阻まれた。
それに小さく舌打ちをした少年は、逆手に持つ得物を地に叩き付け、バックステップにてその場から退避する。
その『一瞬』後、少年が居た空間には――紅き、閃光が。
「――ハッ、雑魚の割にはやるじゃねぇか…っ!」
――"念のため"。その思考の元に退避を選択していた少年は、しかし相手の技量を見誤っていた事を理解する。
眼前の存在は獲物ではない、明白な『敵』であると。
ただ喰われる事を選んだ負け犬ではなく――、獰猛な狂犬の類であったと。
次の瞬間、周囲を少年の赤い魔力が包み込む。
それは、決して逃走を許さぬ闘争舞台。
少年が作り出した結界は、まさしく現世と幻世の境界と言えよう。
"此処で確実に仕留める"。先の一撃は、少年にそう決意させるには十分すぎたのだ。
「コロサ、ないと。ボクが――ケス。邪魔……、なんだ。主人公――そう、僕がそうなんだ。その筈なんだ」
その一撃を放った存在は、無造作に握った槍を少年に向け、静かに口角を上げる。
響き続けるノイズは、青年にとっては最早雑音にすら感じられない。
ドクン、ドクン――と、鼓動のように感じられる紅い脈動。
両手で握った槍から響くそれを心地よく感じながら、薄笑いを浮かべた青年は再び少年に迫る。
そして――激突。
「……クソが、雑魚のくせしてっ!」
《Shooting Mode》
当たれば、その瞬間に破滅が訪れるであろう――その紅槍の一撃を、少年は辛うじて受け流す。
同時に、その衝撃を生かし後退。それと同時に、得物を通常の長杖へと戻す。
――近接戦闘では不利だ。
その一言が、その瞬間の少年の脳裏を埋め尽くしていた。
思いも寄らない苦戦に、一滴の汗が頬を伝う。
だが、それもこの瞬間までだ――と、彼は確信していた。
事実、彼は射撃戦を主とした魔導士である。
故に、その思考は実に利に適っていた物だった。通常ならば――