僕はよく嘘吐きだと言われる。やると言ったことはやらないし、やらないと言ったことはやる。僕が嘘だと言えばそれは全部本当だし、僕が本当だと言えばそれは全部嘘だ。
まぁ、そんな傍迷惑な僕を誰もが笑った。友達なんて一人も出来なかった。
だけど、君は違った。
「面白いね」
なんて言って、君は笑ってくれた。
初めてだった。僕を嘘吐きだと罵らずに、そんなことを言った人は。
だからなのだろう。僕は君のことが気になった。
気になって、色々と調べた。君はある夢の為に、友達なんて作らずに、必死に頑張っていること。そのせいでいじめられていること。それでも夢を捨てきれなくて、全部我慢していること。
そして毎日、独りで家に帰りながら泣いていること。
そのひたむきさに、多分僕は惚れてしまったんだと思う。気が付けば、いつの間にか、君のことを目で追っていたし、探していた。君を見られれば、それで一日は満足だった。
僕は君に声を掛けていないから、多分知らないと思う。君は覚えてすらないと思う。だって僕が君と話したのはたった一回きりの、短い会話だけだったから。
僕は君に声を掛ける資格なんてないから、声を掛けなかった。嘘吐きの汚い僕に、綺麗な君を汚す事なんて出来なかった。
僕の、一方的で身勝手な恋だった。
だから、当然のように叶わなかった。
でもさ。でも、いくらなんでも、死んじゃうなんて酷いよ。
君の友達もテレビで言っていたよ。君は凄く真面目で、強くて、とても自殺するような人間だとは思わなかった、って。みんな口を揃えて言っていたよ。
僕はよく嘘吐きだと言われる。
でも、本当に嘘吐きなのは、この世界にいるみんなだよね。僕のように分かりやすい嘘吐きなんかじゃない。
嘘を真実に捻じ曲げて、真実を吐く。最低の嘘吐きだ。
だけどね、僕はそんな嘘吐きの鼻を明かすなんて出来ないし、やらない。
――僕は、ただの分かりやすい嘘吐きだから。
あぁ、そうそう。最後に報告。どうやら、君をいじめていた人立ちの名前と、テレビに出てた友達の名前や家族の名前、住所、顔写真、SNSのアカウント、電話番号、親の勤め先、その他諸々、全部ネットに流出したんだって。
でも、可笑しいんだ。だって、どっちも同じ名前なんだ。『君をいじめていた人=君の友達』なんだ。
そのせいなのかな。流出しちゃった人達はみんな転校しちゃった。なんか、向こうでいじめられているみたいだよ。ザマァ、見ろ。
――なんてね。全部嘘だよ。
そんな都合のいいこと起きる訳がないでしょ。残念。僕はもう、君のことほとんど忘れちゃってるんだ。僕はこれからも、分かりやすい嘘吐きとして生きてやるんだ。
――本当だよ。
もう、出尽くした嘘吐きの話です。