ストライク・ザ・ブラッドを題材に戦闘描写と一人称の軽い練習。内容はほぼ無いです。

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バーサク・ブラッド

 ストライク・ザ・ブラッドの世界に神様転生した。

 急かされたせいで、状況も飲み込めず、良く考える事も無く、ブラッド繋がりで頼んだのがパーフェクトブラッドのバーサーカーの原書(オリジン)だった。うん。そこはプロトタイプのフレイムゴーストか、グラビティ・ドライブを頼むところだよね。僕もそう思うよ。

 わからない人に説明すると、オリジンというのはパーフェクト・ブラッド世界において魔導書と呼ばれる魔法を使うためのアイテム(形状は指輪から大鎌まで種々様々)のオリジナルであり、最も強力な魔導書の名称なのだが、多くがその世界の神に位置する存在に創られた中で、バーサーカーは数少ない人の手によって作られた魔導書となる。

 主人公が使っていたのがこのバーサーカーなのだが、特殊な用途を想定して創られたこのオリジンは怪力と火系統以外の攻撃を受けると耐性が付く、いわゆるFate/stay nightのバーサーカーの劣化版となる能力だ。無論、命は一つしかない。作品内ではジョーカーの役割だが、最弱のオリジンでもある。特典にするなら、素直にヘラクレスの十二の試練の方が遥かに上だろう。

 フレイム・ゴーストのプロトタイプは、炎を喰らって無限に成長させられる凶悪な人型の炎を召喚する能力で、術者が耐え切ったのならば、太陽の炎すら自らの力とできる最強クラスの魔導書である。これでオリジンではないというのだが、理由は制御が完全に使用者依存で、相当な才能が無ければ扱えない事が最大の理由であり、一撃で大陸一つ以上の領域を燃やし尽くす火のオリジンと拮抗、あるいは凌駕も可能という辺りから、異常さはよく分かると思う。

 グラビティ・ドライブはその名の通り、重力のオリジンであり、攻防一体の強力なものだ。周囲に超高重力の圧を掛けつつ自在に空を飛びまわり、ブラックホールすら簡単に作り出す、単騎で無双もできるような隙の無い魔導書である。

 まあ、ようするに、同じ作品内ですら他に超強力な武装がある中で、なぜそれを選んだのかと問い詰めたいような物を特典に選んでしまった訳だ。ぶっちゃけ、ストライク・ザ・ブラッドの世界的に見ればちょっと頑丈になって力が強くなる程度のものだ。

 これで吸血鬼とか獣人だったのならばまだ多少は意味があったかもしれないが、僕が生まれたのはただの人であり、しかも男だから魔女の可能性も無い。男でも馬鹿げた強さを持つっぽい連中も出ていたし、ハイパーアダプターとかいう超能力者もいたが、僕はどちらでもない。いや、オリジンも超能力みたいなものか?

 有限の回復力とちょっとした怪力くらいしかないという状況、これは転生させた神様が原作介入しなくてもいいよと言ってるに違いない。生き残るってだけなら、十分すぎるくらいの能力だしな。

 危険な所には近付かないで、大往生してやるぞ!

 

 

 

 そんな事を考えていた頃が僕にもありました。

 なんで僕は絃神島にいるんでしょうね。いや、それはいい、いや良くないけど、それよりもさ、大きな問題があると思うんだ。

 

 「どうして僕は魔族でもないのに宣教師に襲われてるのさ!」

 「その魔力にその怪力、加えて即座に傷が治癒する回復力、それで人間だといういい訳が通用するとでも?」

 「それでも人間なんだから仕方ないでしょぉ!」

 

 宣教師が律儀に理由を答えてくれるが、それでもDNA上も書類上も事実上も人間なのだから納得して欲しい。

 オリジンの事を話せば退いてくれ……はしないよなぁ。鍛えてはいるが一般人の域を出ない僕が力押し一辺倒のタイプとはいえ、吸血鬼の眷獣との戦闘が可能になるような物、奪い取りに来るのは確実だろう。僕だからこの程度な訳で、この世界で最強クラスが手に入れたなら、最強に一歩近付くと言っても過言ではないはずだ。

 腐ってもオリジン、最弱でもオリジン、メインウエポンとしては最弱だが、補助として考えると最強クラスの力を発揮する。もしこれで攻撃系のオリジンが一つでもあったなら、一般人の素人であっても、この世界の最前線で戦っていけるほどになるだろう。

 本当に、攻撃系の魔導書(リング)が使えたらよかったのに。そんな戯言を考えながら、振り下ろされた巨大な拳を弾いて逸らす。その拳は同時に胴体を薙ごうとして来る巨大な斧を防ぐ盾になり、僅かなりとも時間を稼げた瞬間に後ろへ跳ぶように下がるが、もう片方の巨大な手が今度は平手打ちで横から襲い掛かってきて、避けれないと察した僕は腰を据えて拳で迎撃する。

 質量の関係で、吹き飛ばされたのは僕だったが、十分な威力で殴られた白い巨腕と、それが繋がるアスタルテがたたらを踏む。だが、着地した時には目の前に宣教師の男ルードルフ・オイスタッハが斧を振りかぶって立っている。

 空気を切り裂いて振り下ろされる戦斧をさらに下がる事で避けつつ、地面に深く食い込むように峰を殴る。

 地面に食い込んだかは確認しない。たたらを踏んでいたアスタルテが攻撃のために駆け寄ってくるが、それを無視して全力で僕は地面を蹴る。

 背後からの制止の声を無視して、僕は公園の木々の中に姿を隠して逃走する。

 あの場所には犠牲者らしき人狼と吸血鬼が倒れていたが、確かあの二人は昼に女子中学生に強引なナンパを仕掛けて返り討ちに遭い、アスタルテ相手に欲情するペドフィリアだし、助ける義理はないだろう。

 

 「たまに帰りが遅くなって近道したらこれだしなぁ。僕、呪われでもしてるのかな」

 

 一先ず公園から離れて家へ向かう中、ため息を吐いて首を振る。

 原作一巻はこの後どこだかの港と中央の管理公社に近付かなければ巻き込まれないはずだから、断固として近付かなければ大丈夫、なはず。

 

 

 ――世にそれをフラグと言う――

 

 

 まあ、結果としてキーストーンゲートに関わったのはこれだけだったのだが、この後、某テロリストに拉致られる事になったり、それが原因で永劫ロリな教師に天使事件の現場へ引き摺られていく事になったり、どこぞの魔女が起こした魔力消失の事件で実はまだあった転生特典が発覚したりと色々あるのだが、蛇足であるし、また気が向いたときにでも綴るとしよう。

 これでヒロイン無しってのが一番ありえないと思ってしまうのは、読者目線が抜けていないという証拠なんだろうな。

 とりあえず、巻き込まれたからには気合を入れないと死んでしまう訳で、全身全霊を賭して頑張ろうとは思う。

 その結果は、そうだな、どこかの馬鹿な真祖にでも祈るとしようか。



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