もしも呪いがとけたなら、あり得たかもしれない未知に。

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すごい短いです。戦闘シーン(オリジナルルート)のみ。


第1話

伝承に曰く、戦乙女(ヴァルキュリア)は光の鎧を纏って飛ぶ。その軌跡は極光(オーロラ)

 

戦乙女(ヴァルキュリア)の名を冠していても、ベアトリス・ヴァルトルート・フォン・キルヒアイゼンはあくまで求道の雷光。自身を雷と化すことはできても、オーロラを纏うことはできないはず。

では、彼女の周りを舞う、赤みの強い桃色を基調に、虹の彩りが揺れる光は一体なんだというのだろうか?

 

閃光に付き従う影、大柄な男性の姿。

 

100T(テスラ)超の磁場が櫻井戒を中心に広がっている。「災いを、穢れを、呪いを全て自身に引きつけて、愛する皆は綺麗なままで」

妹曰く腐食の願いとなるはずだったそれは、緋々色金(ヒヒイロカネ)との契約を経て、愛しい戦乙女(ヴァルキュリア)と並び立つべく形を変える。

黒円卓の聖槍(ヴェヴェスブルグ・ロンギヌス)使用時の凶悪なまでの腐食の創造とは異なり、磁場を操るという、一見して攻撃性の無い能力。

血の呪いはすでに砕かれた。今眼前に居るのは狩猟の魔王(ザミエル)。彼女の操るは絶対必中の劫炎。腐食毒なら燃やし清められもしよう。だが、今の戒は……

砲弾は磁化され、戒に引き寄せられるように軌道を歪め、あるものは弾かれ、残りは全て高速の抜刀で切り払われた。炎は二人を押し包むように、しかし肌を舐めることはなく。そしてエレオノーレ自身の動きさえ、極僅かながら阻害されている。

鉄と血(せんそう)の天敵。鍛治師(トバルカイン)の領域内、あらゆる災い戦乙女に触るることなかれ。

 

フレミング右手の法則により、戦乙女(ヴァルキュリア)の雷電の出力は、外界に向け鰻上りに上昇する。すでに超高温にも曝された空気は高圧放電に悲鳴を上げ、乖離し、荷電粒子(プラズマ)へと相転移。嵐のごとく、しかし戒の齎す磁場により一定の範囲内に封じ込められーー吹き荒れる。

並の生き物では遺伝子までずたずたにされる環境で平然とする彼女らは既に常人ではなく、ただ願い(かつぼう)のみを胸に対峙しあう。

ここまでしても、力量差は確かに存在するのだろう。しかし二人なら、負けはしない。

 

エレオノーレはかつての部下と、その恋人らしき男とを見据える。彼女の攻撃こそあまり効いてはいなかったが、彼女自身にも大きなダメージは無く、未だ立つ位置さえ変わっていない。今までは前哨に過ぎなかったとでもいうべきか、炎も弾幕も密度を増す。いくら曲げて歪められても、飽和攻撃は流石に防ぎきれない。

 

動く。

 

ベアトリスは、立ちふさがる障害を透過させ、砲火をものともせず雷速で進む。遅れて戒も、ごく僅かに表情を変えつつ、自らの体をも浮かせ、砲弾のように、宙を踏んで突進する。

二人の間を裂くように銃火が吠えた。しかしてベアトリスはそれらを落雷で落とし、戒は斬り、防ぐ。

あと少し、手を伸ばせば届く。

もう一度、輝きを思い出して……




セリフ一切なしの三人称でどこまでやれるかテスト。
蛍が転生者なんですがこのシーンではほとんど影も形もねぇ! まぁそのせいで屑兄さん生存の上電磁抜刀始めちゃったわけなんですが。
お目汚し失礼しました。


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