ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く 作:始まりの0
~リアスside~
オカ研部室…この部屋の主、リアス・グレモリーは己が未熟さと悔しさで一杯だった。
私はどうすればいいのだろう?
彼に天王理 零に言われたこと…………【苦しみを理解していない】【口だけだ】【家族ごっこ】【苦しみも悲しみも孤独も理解できないお前には救えない】その事が頭の中が一杯だった。
私は私の下僕たちの事を理解したつもりでいた………いや理解したと思い込んだ。故に朱乃の事も、祐子の事も、ギャスパーの事も何も分からないでいた。
どうすればいいのだろう……分からない。
【貴様に理解できるか?
混血と言うだけで
混血故に
混血と言うだけで【化物】【穢れた存在】【忌子】と呼ばれる心の痛みが!
混血故に己を理解してくれる者が少なく、最悪は誰も居ないと言う孤独が!
異なる2つの血を宿す故に強大で、他と違う力を宿してしまい、1つ間違えば世界すらも危険に晒すかも知れないという力に対する恐怖が!
誰にも蔑まれる事もなく、愛されながら生きてきた貴様にこの苦しみが!哀しみが!孤独が!理解出来るなどと言うな!
純血である貴様には一生理解できない!ギャスパー達の受けし屈辱は!苦しみは!哀しみは!怒りは!孤独は!貴様が考えるほど、軽いものではない!】
そう彼に言われた時、私の頭は真っ白になった。分からなかった……朱乃やギャスパーの苦しみや哀しみが……。
零に言われた事を全く言い返せなかった。言い返せる訳がなかった………いくら言葉では言えてもその苦しみは私には分からなかったから。
それに祐子のことにしても、私はあの子が聖剣の事で苦しんでいるのを分かっていたのに動こうとしなかった。
一誠のことにしても、確かに一誠がレイナーレに貫かれたあの時、朱乃を呼び出せば助けられたかも知れない。なのに私は悪魔に転生させ下僕にした。それはあの子がポーン8個分の力を持つと知ったからだと言われても仕方がない。
この間の会談で理由をつけてギャスパーをあの場に連れて来なかったことで、あの様な事件が起きた。
全て私の責任、私の未熟さが、傲慢が招いた結果ね………救えない。私では救えない……ギャスパーも……朱乃も……祐子も……一誠も……。
「部長」
「!?………あらっどうしたの皆?」
リアスが振り返ると、朱乃、裕子、一誠が立っていた。
「リアス、貴女のことが気になって………彼に……天王理くんに言われたことをかなり気にしてると思いまして」
「えっ……っ」
「やっぱりね…………まぁ確かに彼の言った事は間違ってないかもしてませんね」
「「朱乃さん?!」」
いきなり朱乃がそう言い出した事を一誠と裕子は驚いた。
「私の苦しみ、寂しさ、怒り、恐怖………それは貴女には理解できないでしょうね。私だってこの苦しみや哀しみを貴女に理解して貰おうと思わないわ。それを彼なら分かってくれるかも知れませんわね」
「!?」
朱乃の言った「彼」と言うのは勿論、零の事だろう。零もまた同じものをその身に抱える者。いわば理解者だ。
「でもリアス、貴女は私の親友で…私の主なのですわ。貴女がどれほど自分の眷族達のことを気にしているかは私が良く知っています。それは天王理くんが何と言おうと変わりませんわ」
朱乃はリアスの眷族の中では一番長い付き合いだ。リアスがどれだけ眷族達の事を思っていたかは一番よく知っている。
「そうです、部長。私も貴女に救われました……私を救ったのは彼ではなく貴女です」
「部長!レイが言った事は正直言うと俺には良く分かりません………アイツが言った事が正しいのかもしれないですけど………その……」
「うん、さっぱり言いたい事が分からないにゃ」
「あぁ………そうだよな。ん?」
「「「ん?」」」
皆は違和感を覚え、声のした方向を見ている。
「どわぁ!?なっなんで此処に!?たっ確か………えっと」
「白音のお姉ちゃん、黒歌だにゃん。赤龍帝の坊や」
そこにいたのは黒歌と白音だった。
「っ……何で此処に……」
「ご主人様の命令で……ってあれ?何処にやったかな?」
白音が何かを探して居る様だ。
「此処にあるわよ、白音」
そう言って豊満な胸の間から手紙の様な物を取り出した。
「でっデカい!」
一誠はそう言うと、黒歌の胸を注視している。
「あらっあらっ赤龍帝の坊やは大きなお胸がすきなのかにゃ?触ってみる?」
「さっ触ってみる………なっなんて素晴らしい日本語なんだ!?」
黒歌の言葉に感動している一誠。そして顔を上げると黒歌に向かい歩いていく。
「そっそれじゃあ……遠慮なく……(すかっ」
黒歌の胸を触ろうとした一誠だが、その手は空を切った。
「だ~め。残念だけど、この身体と魂は全部、ご主人様に捧げたてるんだにゃん。坊やには触らせてあげないわ」
「くっ………ぐぅ~………なんて羨ましぃ~。レイ……羨まし過ぎるぅ~、羨ましい………もしかしてレイの奴、そのおっぱい様を毎日……ぐぅ負けた……」
がくっと膝を付き、涙を流し項垂れている一誠。
「毎日ご主人様に求められるのも大変だにゃん。でもそれが嬉しいんだけどね」
黒歌が身体をくねらせながら顔を赤くしてそう言うと、一誠は完全に地面に伏した。
「姉様、いい加減な事を言うのはやめて下さい。ご主人様の体裁に関わります。殴りますよ?」
「ぁ~ん、白音ひど~い。もう少しお姉ちゃんに優しくてもいいと思うんだにゃん」
「いぇ、姉様を甘やかすとセクハラが酷くなるので突き放します」
「セクハラじゃないにゃん!あんなの軽い姉妹のスキンシップよ!」
「はいはい、私達はこれを渡しに来ただけですんで」
黒歌から手紙をとると、リアスにそれを差し出した。
「えっ……あっ……ありがとう」
リアスは手紙を受け取る、それを確認すると白音は身を翻した。
「あっそうだ、言い忘れていました。私は誰に何と言おうと構いませんけど、もしご主人様を侮辱する様な発言をしたら黙っていませんので、どうぞよろしく」
《グルルルルルル》
「白音は本当にご主人様が大好きなのね、まぁ私もご主人様の事を侮辱する様な事を言われたら怒るけど……貴方達はご主人様の力を目の当たりにしているだろうから馬鹿な事はしないだろうけど………悪魔の御仲間さんに伝えておいてね」
《ガルルルルルル》
2人がそう言うと、その背後に途轍もない巨大な《何か》が見えた気がする一同。その為皆は固まってしまう。
「これは1人ごとです。リアス・グレモリー……ご主人様が私達は救ってくれました」
「えっ?」
「ご主人様は確かに強いにゃ………でもそれだけじゃないわ。私達も必死にご主人様に追い付こうとしてるわ、ご主人様もそれを理解してくれる。でも貴女はどうかしら?ご主人様も言ってたけど本当に遠ざけるだけが護ることになるのかしらね?」
「っ!?」
黒歌と白音は言い終わると、霞の様に消えてしまった。
リアスは白音より、受け取った手紙を開いてみると3枚の紙が入っていた。
2枚には、色々な条件が書かれており、下の空欄には名前が書く場所がある。どうやら駒王の土地の管理者となった零がこの地に居る悪魔達に科す誓約の様だ。
1.日本に居る限り、人を襲わない。
2.駒王の地にいる限り、許可なく転生悪魔を増やす事を禁止する。
3.悪魔の仕事は許可するが、人間・妖怪を害する内容のものを行った場合、罰則を科す。
4.はぐれ悪魔を見つけた場合、それが転生悪魔であるならば速やかに捕獲し管理者の前に連行する。
5.天王理 零、その家族・友人に害成す事を禁ずる。
6.悪魔が日本の者を無理矢理、転生悪魔にした場合は悪魔側にペナルティを科す。
7.日本妖怪、日本の神々の領土に無断で踏み込む事を禁ずる。仮に領土に入る場合は正式な手続きを行う。
8.土地の管理者に逆らった場合は悪魔側にペナルティを科す。
9.これはあくまでも駒王の地での制約であるが、他の日本領土で問題を起こした場合も例外ではない。
10.罰は土地の管理者の判断により与えられ、悪魔は転生悪魔も含めこれに逆らう事を禁ずる。
以上の誓約を守るのであれば、駒王の地での居住・仕事を許可する。しかしこの制約が守れない場合は、その場で消滅させられても日本神話側に責任はない。
また誓約を破る悪魔が多い場合、日本にいる全悪魔の強制退去と壊滅を行う。最悪の場合、天照大神の子である天王理 零と日本神話により、地上・冥界の総ての悪魔との全面戦争となる可能性もある為、誓約は破らない様に。
と言うか面倒なので種の殲滅なんてしたくないんでしない様に。仮にこの地で事件や問題を起こした場合、管理者直々に罰を与えるので宜しく。罰の内容はその時によって違うが、問題を起こすなら消滅する覚悟をしておくように。
上記の誓約を理解したならば、己の血で名を記す様に。
駒王の管理者:天王理 零
どうやら、零も土地の管理者として仕事をしている様だ。
もう1枚の方には、リアス宛の手紙の様だ。
『拝啓、相変わらず愛だの、家族だの言っているくせに本当に大切な事をまだ理解していない魔王の妹殿。
俺は貴様がその考えを改めない限り、貴様と慣れあうつもりはない。
ギャスパーの事なら安心しておけ、今は目を覚まして元気にしている。ギャスパー自身、お前への恩を感じているからか転生悪魔を止める事を戸惑っているみたいだ。まぁギャスパーの選択だから俺はどうとも言わんがな。
取り敢えずはギャスパーは俺の元にいる。学園には行かすのでその時にでも会うといい、だが無理矢理連れ戻そうとするようなら覚悟しておくことだな。
ギャスパー自身も未だ完全に力を制御できてないが、その内俺が制御法を教え、完全に制御する事が出来る事だろう。あぁ、後ギャスパーの荷物はちゃんと纏めておけ。俺か、白音達が持ち帰るので。
誓約書の方にはお前と眷族全員とソーナ・シトリーとその眷族全員、この地に居る悪魔全員にサインさせるように。仮に何か異変や他の勢力が街中にいた場合、俺に報告する様に。
貴様が本当に大切な事を気付くかどうか分からんが、出来るだけ早く気付く事だな。お前の眷族達の為にもな。
可愛いは正義!可愛いを傷付ける者は許さない!神の子:天王理 零より』
という内容の物だった。
零の言う『大切な物』とは一体何なのか、未だにその応えに辿り着かないリアス。
それを心配そうに見守る眷族達。
だが『大切な物』と言うものが、自分達にとってどれほど重要なものかを後に知る事になる。
~天王理家 和室~
零は着物を着ており、胡坐で座り瞑想していた。全身からは神々しい光と禍々しい闇が出ており部屋を覆い尽くしている。
そして目を開き、袖の中から2つの金色のブレスレットを取り出した。1つは蝙蝠を模したもの、1つは蛇を模した物だった。
零は無言のまま、蝙蝠を模したブレスレットを掲げると光と闇が吸収されていく。部屋の中の光と闇が消えると蝙蝠の両目に当たる箇所に白と黒の宝石の様な物が嵌め込まれていた。
「ふぅ………これでよし、次はこっちか」
袖の中に蝙蝠のブレスレットを仕舞うと、蛇のブレスレットを両手で掴むとブレスレットが2つに分裂した。2つに分裂したブレスレットを衝突させたり、回したりしている。そしてブレスレットを重ねて両手でブレスレットを包み込み、息を吹きかけると黒と白の2匹の蛇が絡み合っているブレスレットに姿を変えた。
「完成………取り敢えず、これでいい……はぁ……疲れた」
集中が切れたのか、そのままその場に寝転んだ。
「まずは終わりだな……」
零は猫の鳴き声の聞こえてきた方を見ると、そこに白と黒の猫がいた。
「お疲れ様」
零がそう言うと、猫達は嬉しそうに尻尾を振りながら零に飛び乗った。
「ちょwアハハハハハ!くすぐったい!こらっ、服の中に入るな。アハハハハハ!って黒歌!お前は何処に潜り込もうとしてるんだ、全く……それでお使いはちゃんとしてきたか?」
《当然だにゃん》《勿論です……にゃん》
「そうか、よいしょっと」
零は白と黒の猫達……猫の状態の白音と黒歌を抱き上げると、立ち上がった。そして部屋を出た。
~リビング~
零はリビングに移動すると、テレビを見ているギャスパーとオーフィスを見つけた。
「おっ2人とも何を観てるんだ?」
零が2人に尋ねた。
「昼ドラです」
「そうか、ギャスパー、これを」
零は先程、和室で作っていた蝙蝠のブレスレットをギャスパーに渡した。
「なっなんですか?」
「お守りだ………お前自身の身を護る物であり、眼鏡なしでお前の邪眼が暴走した時には封印してくれる」
「ありがとうございます……」
「オーフィスにはこっち」
「ん……ありがとう」
オーフィスに白と黒の蛇のブレスレットを渡した。どうやら2人の為に造った物の様だ。
「オーフィスのもお守りだよ。さて………そろそろ晩御飯の用意をしようかな」
そう言うと、零は鼻歌を歌いながらキッチンに向かい晩御飯の用意を始めた。