ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP55 幸せの一刻

 ~何処かの空~

 

 零【半身】がギャスパーを抱え空を飛んでいた。

 

 

「あっあの零先輩、一体どこにいくんですかぁ!?」

 

 

「お前の実家だが?」

 

 

「えっ?!」

 

 零の答えが予想外過ぎて目が点になっているギャスパー。そして次第に落ち着きだすと、昔の事を思い出して身を震わせている。

 

 

「落ち着け、大丈夫だ。なんせ俺が傍にいるんだしな………」

 

 

「でっでも………」

 

 

「いずれは通る道だ………」

 

 そうしてギャスパーの実家であるヴラディ家の居城についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~ヴラディ家 居城 当主の部屋~

 

 

「ん?」

 

 この部屋の主、ラムド・ヴラディは何時もの様に執務をこなしていると妙な気配を感じ、窓から外を見てみると。

 

 

『殴り込みじゃぁぁぁぁぁぁ!!』

 

 

『ぴぃぃぃぃぃぃ!急降下怖いですぅ!!!』

 

 《パリィィィン!ガシャァン!バキッ!ドゴッ!》

 

 そこに飛び込んできたのはギャスパーを抱えた零【半身】だった。凄い勢いで飛び込んできた為、窓ガラスは割れ、床は着地の衝撃でクレーターができ、装飾やら家具はぐちゃぐちゃだ。

 

 

「ふぃ~。アレなんだこの部屋、汚ねぇなぁ……」

 

 

「きゅ~」

 

 零【半身】は周りを見ながら、自分でしでかした事なのにまるで他人事の様に言っている。抱えられているギャスパーは目を回しているのは言うまでもない。

 

 そしてこの部屋の主のラムドはと言うと。大きな大理石の机の下敷きになっていた。

 

 

「ひでぇ!誰がこんなことを!?」←原因

 

 

「ッ……痛いではないか!」

 

 

「全くだ!犯人出て来い!」←犯人

 

 

「お前だ!お前!」

 

 ラムドはなんとか起き上がると、零を指差した。

 

 

「この……ん?まっまさか……その子は」

 

 ラムドはギャスパーを見て直ぐに誰なのかを理解した。

 

 

「ぅう………気持ち悪い……吐きそうですぅ」

 

 

「大丈夫か?と言うかこの部屋ボロボロだな、穴だらけで寒いし……直そう」

 

 零【半身】が手を振ると何事も無かったかの様に部屋が元に戻った。

 

 

「ぎゃ……ギャスパー」

 

 

「えっ……父様?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……………」」

 

 

「沈黙が長い……まぁ気持ちは分からんでもないが……はぁ仕方ないなぁ。やっぱりアレを使わないといけないか」

 

 あまりの沈黙の長さに我慢できなくなった零【半身】は立ち上がると、そう言うと懐から木を彫って作った様な人形を取り出した。

 

 

「にっ人形?」

 

 

「まぁな………じゃあ始めるぞ、2人はそこから動くなよ。『世界を構成する総ての存在よ、世界の理よ、原初の神の子である我に従え!【世界は神の意のままに(ワールティング・ザ・ゼロ)】!』」

 

 零【半身】の身体から光と闇が溢れ、辺りの空間を侵食していく。零【半身】はもう1人の零の使った【世界は神の意のままに(ワールティング・ザ・ゼロ)】を使用した。使用中はどの様な事でも零の想いのままである。

 

 

「我が呼ぶのは、1つの魂なり」

 

 零がそう言うと、何処からともなく青白い光球が飛来してくる。光球はギャスパーとラムドの周りを回る。それは何処か嬉しげに見えた。

 

 そして光球は零の前に来ると、零は先程出した人形を前に出す。すると光球は人形に取り込まれた。光球を取り込んだ人形は光を放っている。

 

 

「人形を依代に、我が一時的に肉体を与える」

 

 零は人形を放り投げると、周囲の光と闇が人形に吸収されていく。そして人形は段々と大きくなっていく。人形はやがて人の形となっていく。

 

 

「「!!?」」

 

 その姿はラムドにとって唯一愛した者であり、世界で最もギャスパーを愛する者の姿。

 

 

「久しぶりだな。アスティア殿」

 

 

「どうも、御無沙汰しております」

 

 零がそう言うと、アスティアは深々と頭を下げた。

 

 

「ウム。此度貴女を呼んだのは」

 

 

「承知しております」

 

 

「そうか……なれば我からは何も言わん、親子3人で良く話し合うといい。時間は気にせずにな」

 

 零はそう言うと霞の様に消えていった。同時の風景が湖に変わる、3人の後ろには小さな家が建っていた。その前には机と椅子が並んでいた。

 

 

「此処は……」

 

 

「えぇ、そうですわ貴方。私が居た家です……覚えていらっしゃいますか?私達が出会った時のこと」

 

 アスティアはそう言うと、椅子に座った。

 

 

「ぁあ……忘れるものか……ヴラディ家の相続争いで身内に殺されかけ傷付いた私をお前が救ってくれた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラムドとアスティアの出会い、それはヴラディ家の前当主が死に誰が次を継ぐのが相続権を持つ身内たちで争っていた。その争いによって傷付いたラムドは何とか逃げ延びたが湖の近くに在るの家の前で力尽き倒れてたのだ。

 

 その家に住んでいたのはアスティアだった。アスティアは祖母と暮らしていたのだが、祖母が亡くなってからは1人で暮らしていた。

 

 アスティアは倒れていたラムドを見つけると助けた。当初ラムドは人間を下等な生き物だと見下していた、そしてアスティアの事も唯の自分の食料としか見ていなかったが、次第に純粋に自分を救おうとするアスティアに惹かれ、自分の正体を明かしても変わらずに自分を看護してくれるアスティアに自分の想いを告げた。アスティアもそれを受け入れ、互いに愛し合った。

 

 だがその時間も直ぐに終わりを告げた。相続権を持つ者達が一族の中で一番力を持つラムドを消す為に、相続権を持つ者達が力を合わせ襲撃をかけた。ラムドはそれを何とか返り討ちにし、相続争いは何とか終結した。

 

 こうして相続争いは終了し、今代の当主となった。ラムドは当主となり、アスティアを妻として迎えるが問題が起きた。人間であるアスティアを妻にする事に反対する者達が出て来た。ならばとラムドはアスティアに自分が血を吸い、アスティアを吸血鬼にする事を提案したがアスティアは「私は人として生きたい」と告げた。ラムドはそれを聞くとアスティアの意志を尊重する事にした。

 

 しかしそうなれば一族の者達も黙っていない。だがラムドはそれを権力を使い黙らせた。吸血鬼は自分より上位の者には逆らえない、ラムドは吸血鬼の中でも上位の存在故に逆らう者はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうして私と貴方は愛し合った……そして貴女が生まれたのです、ギャスパー」

 

 アスティアはそう言うと、ギャスパーの頭を優しく撫でて抱き締めた。

 

 

「おか……あ…さん」

 

 ギャスパーの瞳から涙が溢れる。夢ではない、現実の母の温もり。ギャスパーが最も求めていたもの、それは愛情。同じ痛みを持つ零であっても決して与える事はできない、純粋な母の愛。

 

 

「ぁ……ぁあ……ああぁぁ」

 

 それを見て、ラムドは涙を流す。ラムドにとってこの光景は夢にまで見た光景だった、死んでしまった最愛の妻、護ろうと自分から遠ざけてしまった最愛の娘。本来であればこの2人が此処に揃う筈がない。だが誰かさん()のお節介のお蔭でそれが叶った。

 

 

「貴方」

 

 アスティアはラムドに手を差し伸べる。ラムドはゆっくりとその手を取り、アスティアと共に我が子を抱きしめた。

 

 こうして時間との家族を時間を過す事でギャスパーの何かが変わるだろう。父との、母との時間がギャスパーが何かを手にするだろう。

 

 それが何なのかは未だ分からない、だがその何かはきっとギャスパーにとって……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 零【半身】はその光景を見て、笑みを浮かべていたのは言うまでもない。

 

 

「フム……身を挺して叔父上に頼んだだけの価値はあったな。ギャスパーよ、この一刻の時間がお前に与えるものはお前にとって光となるか、それとも闇となるか……全てお前次第だ。これからお前は自分の脚で地を踏み、歩んでいかなければお前の中にある奴もお前自身の力も制する事はできないからな。だが忘れるな………」

 

 零【半身】はそう言うと、ギャスパー達を見守っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前は1人じゃない』

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