ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く 作:始まりの0
~零side~
一誠がミョルニルにより使用した事で、辺り一面が光りに包まれた。光が納まると、零は目を開き一誠の姿を確認した。
「上手くいったか……」
そう言うと、視線をルシュカスの方に向けた。
「ぐっ……あぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
突然ルシュカスの身体が徐々に透明になっていく。
「ぐぅ……何故……何故デす?!何故私を拒むのですか!?何故私よりもあの獣を選ぶのですか!?」
「我が盟友を貴様の様な女を比べるなどありえん。我が盟友に無礼であろうが……さっさと失せろ。これ以上は世界に負担が掛かる」
「っ……ぐぁ……良いでしょう、此度はこれにて失礼するとしましょう。ですが何時か、必ず貴方様をあの獣の呪縛から解放します。絶対に」
狂気の宿った目で零に向かいそう言うルシュカス。そして零に向かい手を伸ばす、だがその手は眩い光により遮られた。
「誰の子に触れようと言うのです、戦神?」
「なっ?!……おお…か…み。何故此処に」
その光の正体は天照であった。突然天照は零とルシュカスの間に現れた。
「嫌な力を感じて来てみれば……戦神ルシュカス、何故この世界にいるのですか?まぁそんな事はどうでもいいのですが………その手で誰に触れようとしたのか……教えて頂きたいのですが」
天照は何時もの慈愛に満ちた表情から想像もできない程、怒りと憎しみに満ちている。例えるなら鬼神・般若が可愛く見え、裸足で逃げ出す様な………その表情で天照はルシュカスを見降ろしている。
「母様……何故此処に?」
天照はくるっと周り、零の方を向いた。しかし怒りと憎しみに満ちていた表情が一変し満面の笑みを浮かべた。その時間は一秒にも満たない。
「ぁあ!零!またその様に傷付いて、ぁあ大変早く消毒しないと……しかもまた神殺しを使って」
「この程度、唾を付けとけば治ります。神殺しは条件が揃っていたので使ったまで……って母様、何故そんなに息を荒くして近付いているんですか?」
「だったら母が舐めてあげます。はぁはぁ」
「目が怖いんですが………って」
《ガタッガタッ……ドクッ!ドクッ!ドクッ!》
先程まで沈黙していた神殺しが脈動を打ち、先程ルシュカスを縛り痣を付けた黒い鎖を天照に向け放たれた。
「止めろ!母様だ」
零が神殺しを掴むと、鎖は動きを止め直ぐに神殺しに収納された。
「全く……此奴は…けど俺に害を成そうとするものしか襲わない筈なんだが……(もしかしたら、端から見たら襲われてる風に見えたのか………)」
神殺しは主である零を護る為に、主に襲い掛かる者には容赦なく牙を剥ける。顔を赤くし息を荒げて近付く天照を神殺しは敵と見做したのだろう。まぁ2人が親子と知らなければ、零が襲われてると勘違いしても可笑しくないだろう。
零は神殺しを地面から引き抜くと、神殺しは消えた。
「それよりも母様……何故此処に?」
「ぁあ、そうでした。何故此処に来たのか……可愛い息子にアバz……コホン、クソア………蟲が近付く予感がしたので光を越えて来ました。母の予感は的中していた様ですね」
そう言うと、倒れているルシュカスに向き直ると一変して冷たい眼を向ける。
「さてさて……貴女は何故この世界に来たのですか?」
「ぁ……その……えっ……と…私はその……」
「まさか大した理由もなくこの世界に来たのですか?それがどれ程の罪か分かっておいでですか?」
「ッ!?」
「貴女の御母君の命令であろうと、私の許可なく世界を渡るなど………まぁそれ自体はどうでもいいのです。問題は私の息子にその汚い手で触れようとしたこと…怪我をさせたことです」
天照より発せられた高熱を帯びた光が消えていくルシュカスに当たる。
「っ~~~!」
「まぁその辺りは
それを聞くとルシュカスは身体をビクッとさせ、怯えた様子で消えた。
「やっと帰りましたか…………零、大丈夫ですか?」
「えぇ、この程度問題ありません………あの時の……盟友を失った時の痛みに比べれば……」
今にも泣きそうな顔をしている零、先程まで狂った様に笑いながら戦っていた人物と同じとは思えない。
「零、泣くなら……母の胸で泣きなさい!」
そう言って両手を広げて、零を受け入れる体勢を取っている天照。
「別に泣くつもりはないんですが………」
「そっ……それは母はもう要らないという事ですか………およよよよよ」
零に否定されたと思い込み泣き崩れる天照。
「いやそう言う訳ではなくですね」
「では母は必要なのですね!では」
バッと両手を開き受け入れる体勢満々なのだが、零は行く気はない様だ。
「と言うか母様、一応日本の大神なのに勝手に
「はい、問題ありません。権能を感じてから此方に来たので……それに可愛い息子に近付く蟲がいたのに気付きましたので、五月蠅い者達は月読と素戔嗚に任せて来ました」
~数刻前の高天原~
「離しなさい!息子に近付く毒虫がこの世界に来まています!殺します!殺してやります!」
冥界に行こうとしている弓やら剣、鎧の完全装備の天照を必死に止めている日本の神々。
「落ち着いて下さい、大神!」
「大神が冥界に行けば、悪魔共との戦争になりまする!」
「どうか、冷静に!」
そう言って、天照を抑えている男神と女神達。
「その様な事、知ったことではありません!」
天照は悪魔達との戦闘なんて知った事ではないのだ。
「五月蠅い……こっちは寝てるのに」
「おいおい、何の騒ぎだよ?」
騒ぎを聞いてやって来たのは、天照の妹神、弟神……月読と素戔嗚だった。
「月読様!素戔嗚様!どうか大神を御止め下さい!」
「「???」」
何がなにやら分からない月読と素戔嗚の頭の上には?が浮かんでいる。
「月読!素戔嗚!邪魔するつもりですか!?」
ギラッと鋭い天照の視線に只ならぬ状況だと気付いた2人。
「邪魔するつもりないけど……一体どういう状況で?」
取り敢えず何が起きたのかを確認する事にした。
「零に……可愛い息子に蟲が近付こうとしているのです!行かなければ!」
「蟲……まさかあのクソ女ァァァァァ!」
「そりゃ一大事だ!ハッ!!!」
天照の説明により、何が在ったのか理解した月読は神を振り乱し叫び、素戔嗚は直ぐに天照を抑えている神々を引き剥がした。
「すっ素戔嗚様?!何を!?」
「良いから黙っとけ……姉上、此処は俺達に任せて行ってくれ」
「その通りだ!姉上!邪魔するなら消してやる!」
圧倒的な力を持つ最高神逹の意志が1つになっている以上、それは高天原の意志である。故に他の神々が逆らえる訳がない。
~現在 冥界~
そんな事が起きていたのだろうと想像していた零。
「(ちょっと同情するな……)はぁ…っ!」
零は突然、顔を抑え膝を着いた。何故かその表情は苦痛に歪んでいる。
「があぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
胸を押さえ、地面を転げまわっている。何時もの零からは想像できないほどの叫びを上げる。
「ぜっ零!しっかりするのです!」
天照も息子の悲痛な姿を見て慌てている。
「「「零さん(零・ご主人様)!!」」」
その姿を見て、離れた場所に居たアーシア達が駆け寄って来た。
「けっ怪我をなさったんですか!?直ぐに私が治し……お義母様?」
「これは怪我ではありません……反動です」
天照はそう言うが、皆は何が何なのか分かっていない。
「ぐぅぅぅぅぅ……あぁぁぁぁぁっぁ!」
零の身体が光り出し、闇が溢れ出てもう1人の【半身】が現れた。普段の零……【分身】の方も何時もの姿に戻っている。2人?は同じ様に胸を押さえ苦痛で表情を歪めている。
「零は幼い頃の事件で……その身体と心を2つに別けてしまったのです。本来別れてしまった身体と心を元に戻すのは、簡単な事ではないのです。零は、あの蟲を倒す為に無理矢理に元に戻した。………ですがあくまでそれは一時的にです。時間が経てばそれはまた2つに別れてしまう………その際には無理矢理元に戻した反動により、身体を引き裂かれる苦痛を味わう事になるのです」
身体を2つに裂かれる痛みなど想像もつかない。
「「はぁはぁ……がぁ……ぐぅ」」
【分身】と【半身】の身体が光り出すと、徐々のその身体が小さくなっていく。光が納まると【分身】は5歳位の子供に、【半身】は赤ん坊になってしまった。
「「「「「…………えっ?」」」」」
白音・黒歌・アーシアや後から走って来た一誠やリアス達も、驚いている。2人になったのは前に見ていたが、いきなり子供になったのには流石に驚いている。
「ぅ~………きゅ~」
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
「ホホホ、これは可愛らしい姿になったのぅ……」
オーディンはそう言うと、【半身】の方を抱き上げようとするが………。
「触るな、私の息子が汚れる」
バシッと天照が袖から取り出した扇子でオーディンの手を叩いた。
「……お主、儂を何じゃとおもっとるんじゃ?」
「エロ爺、ド変態、歩く猥褻物、汚物……零が汚れるので、半径1キロに入らないで下さい」
「父に向かってその言い様はあんまりじゃないかのぅ?」
「それは
ゴミを見る様な目をオーディンに向け、零達に視線を戻すと慈愛に満ちた目となり【分身】と【半身】を抱き上げる。
「苦しかったですね……取り敢えず、家に帰りましょう。黒歌さん、白音ちゃん、アーシアさん、オーフィスちゃん、ギャスパーちゃん、私と共に来て下さい。零の……えっとシオンさんでしたか、直ぐに素戔嗚を寄越しますので後の事を御任せしても宜しいですか?」
「はい、大いなる女神よ。お任せください……1つ御伺いしても宜しいでしょうか?」
シオンが天照の言葉にそう答え、膝を着いた。それに続きサガやカノン達も膝を着いた。
「えぇ、構いませんよ」
「王の……御身体は」
どうやらシオン達は零の事を心配して居る様だ。
「今は眠っています。ただ……身体を裂かれる痛みは当分の間、続くでしょう。それが先程の力の代償です。あの蟲の相手をすると同時に世界を護るには、あれを使うしかなかった。前に使用した時はかなり長い間、苦しみました。一先ずは私の神殿へ行きます、この子も神気の満ちる所の方が治りも早いでしょう」
「そうですか……ありがとうございます。此方の事は御任せ下さい」
「では頼みましたよ、行きましょうか、皆さん」
「「「「「はい(うん)!」」」」」」
天照とアーシア達は光と共にその場から消えてしまった。
「むぅ……行ってしまったのぅ」
「オーディン、奴は一体何者だ……私の権能をいとも容易く打ち消す程の権能の持ち主などそうは居らん、それこそ貴様の様な主神レベルだぞ?」
「それは………まぁのぅ、儂にとっては可愛い孫じゃ……それにあの子の持つ権能は儂等の間でも特殊じゃからな。本来無い筈の権能……」
それを聞いて、ロキは目を見開き驚いている。
「まさか……在り得ぬ……いやしかしそれなら説明が付く」
「それよりも、お主はどうするつもりじゃ?まだ
納得した様な顔をしているロキに、オーディンはそう尋ねた。オーディンの手にはミョルニルが握られている。もしロキが続ける気ならば………。
「フン……止めておこう。私は奴に負けた……敗者は勝者に従うものだ。奴に負けた以上、私はもう行動を起こすつもりはない」
「そうか、それはなによりじゃ………ムッ?」
こうして
ある者達には謎を残し、ある者達には恐怖を残し、事は終わった。
「ロスヴァイセ?どうかしたのか?」
顔を赤くして呆然としているロスヴァイセ。
「………はっ!?べっ別になんでもありません!そうですなんでもありません!」
「………(こやつ、零に惚れたのぅ。流石儂の孫じゃのぅ……しかし本人は無自覚、これまでどれ程の女子が泣かされてきたか……ん?そう言えば…零に惚れる女子は幼いのが多い様な………まぁよいか、はぁ早く曾孫の顔が見たいのぉ)」