ハイスクールD×D 勇者の絆を持つ神の子が往く   作:始まりの0

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EP79 親子

 ~兵藤家 和室~

 

 一誠と朱乃はデート中、リアス達を撒く為に走った結果……大人のホテル街に辿り着き必然か、それとも偶然か……そこで出会ったのは北欧神オーディン、そしてオーディンの護衛の堕天使……朱乃の実父バラキエルだった。

 

 流石に話し合いの出来る場所でないので、改装した一誠の家の和室にやって来たのだが……。

 

 

「「「………」」」

 

 無言の沈黙が痛い。

 

 

「朱乃……何故そこの赤龍帝と逢引きしていたのだ?」

 

 

「着やすく名前を呼ばないで下さい……私が誰と何処に居ようと貴方に関係ありませんわ!」

 

 

「関係なくなどない、私は父として…「私は貴方を父と思った事などありません!」」

 

 朱乃はそう言うと、その場から立ち上がり出て行こうとする。襖を開いて部屋から出ようとしたが、目の前には此処にはいない筈の者が居た。

 

 

「れっ零?!」

 

 

「えっ…あっ……貴方が何故此処に?」

 

 

「ん……何処から入って来たか?玄関からだ……木場が出て来た時は驚いたが、ぁあ…爺が木場にセクハラしようとしてたのでボコっておいたぞ」

 

 そう言って零が後ろを指差すと、タンコブを作り床に倒れているオーディンがいた。

 

 

「でっでもなんで家に?」

 

 

「ぁあ?お前じゃなくて、姫島朱乃に話しが在って来たんだ」

 

 

「私に?」

 

 一体何の話なのだろうと一同は思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 机を挟み、バラキエル、朱乃、一誠、零が座っている。

 

 

「まぁ……姫島朱乃よ、お前の気持ちも分からんでもない。そこに居る堕天使は一応お前の父親だろう?」

 

 

「母さまを見殺しにした男など父と思った事はありません!!!」

 

 

「ッ!!!」

 

 バラキエルがその言葉を聞くと、苦悶の表情に変わる。朱乃は直ぐに出て行こうとするが、襖は開かない。

 

 

「これは……結界……どういうおつもりですか天王理君!?」

 

 この場には零の結界が張られたので、出る事ができない様だ。

 

 

「落ち着かんか……話し合いが終わるまで、お前を此処からはださん。無理にでも出るなら構わんぞ、まぁ出来ればの話だが」

 

 にやっと笑みを浮かべ出されたお茶を啜る零。朱乃は思案するが、此処は大人しく零に従うようにした様で渋々一誠の隣に座る。

 

 

「別に俺は嫌がらせの為に此処に来たんじゃないんだ……俺はそれほど暇じゃないしね」

 

 

「……それで……日本の太陽神の御子が、御自分がお嫌いな悪魔の家になんの御用なんです?」

 

 

「ぉう……そう睨まんで欲しい、出来れば君とは仲良くしたいんだ……」

 

 

「ムッ!まさか朱乃をねr「一先ず黙ってろ、馬鹿父」ぐほっ!?」

 

 零が朱乃を狙っていると勘違いしたバラキエルを蹴り飛ばし黙らせた。

 

 

「全く……元はと言えば貴様が悪いのであろうバラキエル。貴様が今まで娘と真摯に向き合わなかったからこのような事態になっているのだぞ」

 

 

「うぐっ!?」

 

 

「姫島朱乃とお前の間に何が在ったかは聞いている。話を聞けば一番悪いのはお前だ馬鹿烏!」

 

 そう言って零はバラキエルを指差した。

 

 

「お前と姫島朱璃が愛し合い、姫島朱乃が産まれた。だがお前は考えておくべきだった、五大宗家の神社の娘が堕天使の子供を産んだとしれば一族の者がどう動くかと言う事を」

 

 

「ちょっ……ちょっと待て!零!何が何なのか訳が分からないんだけど………」

 

 黙っていた一誠が訳が分からないので声を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 五大宗家……古くより日本を妖怪や魑魅魍魎から守護してきた5つの一族。朱乃の母、姫島朱璃は五大宗家、「朱雀」を操る【姫島】の人間だ。

 

 朱璃は一族の中でも優れた術者であったが、傷付き倒れている堕天使の幹部バラキエルを助け、手厚く看病した末、2人は恋に落ち結ばれた。そして朱乃が産まれたのだ。此処まではいい話だ……しかし本人達以外…つまり姫島家の人間はそうは思わなかった。一族の人間が堕天使が子を孕まされたなどと聞けば快く思わない人間がいる。

 

 そして十数年前に事件は起きた、姫島家の人間が家に押し入り朱乃を始末しようとしたのだが……朱璃は拒否した。

 

 

『この子は渡しません!この子は私の大切な娘!そしてあの人の大切で、大事な娘!絶対に!絶対に渡しません』

 

 

『憐れな……黒き天使に心まで汚されてしまったか……致し方あるまい』

 

 朱璃は朱乃を庇い斬られた。そして一足遅くバラキエルが到着し術者達を殺害したのだが……そこで見たのは、変わり果てた最愛の妻と母の血に塗れる朱乃の姿だった。

 

 

『朱乃……朱璃……』

 

 

『触らないで!』

 

 朱璃に触れようとしたが、朱乃の声でバラキエルは止まった。

 

 

『どうして!?どうして母さまのところにいてくれなかったの!?ずっと待ってたのに……今日だって早く帰るって……本当はお休みだって言ってたのに!お父さまが居てくれれば、母さまは死ななかったのに!』

 

 そう言われてバラキエルは何も言えなかった。自分が今日此処にいればこの様な事にならずに済んだ、少なくとも朱璃が死ぬようなことはなかったのだと。

 

 

『あの人達が言ってた!父さまが黒い天使だから悪いんだって!黒い天使は悪い人なんだって!……嫌い!嫌い!こんな黒い翼大嫌い!皆嫌い!』

 

 バラキエルが悪い訳ではないが………小さい朱乃には目の前で母を失った事で心に余裕がある訳がなかった。それから朱乃は一族の追ってから逃げる日々だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とまぁ……こういう訳だ」

 

 

「朱乃さん……」

 

 

「ッ……」

 

 一誠は話しを聞いて朱乃の方を視線を向ける。

 

 

「ん?……ちょっと待てよ、レイがなんでそんな事知ってんだ?」

 

 

「聞いたから」

 

 

「誰に?」

 

 

「誰だと思う?」

 

 

「分からないから聞いてるんだけど……」

 

 零は立ち上がると、深呼吸する。そしてその身に宿る力を活性化させていく。

 

 

「今から起きるのはただの一刻の奇跡………この果てに、お前がどういう選択するか見せて貰うぞ姫島朱乃。『世界を構成する総ての存在よ、世界の理よ、原初の神の子である我に従え!【世界は神の意のままに(ワールティング・ザ・ゼロ)】』」

 

 零の身体より放たれた光と闇が世界を侵食し、白と黒で一面が染められた。

 

 

「なっなんだこれは!?」

 

 

「どうなっている!?」

 

 驚いている一誠達を余所に零は以前にギャスパーの時に使った人形を取り出した。

 

 

「我が冥界より呼ぶのは1つの魂、人形を依代として我は身体を与えよう」

 

 零の言葉と共に何処からか光球が飛来する。飛来した光球は人形に取り込まれると、周りの光と闇が人形に取り込まれていく。

 

 ギャスパーの時にも使用した死者を蘇生させる術……どの様な世界でも最も禁忌とされる術。本来なら成功するはずのない、神でも一部の者にしか許されない禁術………世界は神の意のままに(ワールティング・ザ・ゼロ)により世界の理を従えた零だからこそ成功する事である。だがこの禁術を行うには幾つか条件がある。

 

 1つ目は、蘇生に必要不可欠な死者の魂を冥界より呼び出すこと………だが魂を呼び出すには冥界の神の許可を取る必要があり……本来ある冥界に居るべき魂を現世に呼び出すには代償がいる。それは冥界の王である素戔嗚に頼めばいい、その為に子供の姿になってまで【お願い】したのだ。それに加え【お出かけ】だ、素戔嗚にとってはこれ以上にない代償だ。本来は1つの命だけでは賄えない程の代償が必要なのだが……。

 

 2つ目は、一時的にしろ蘇生させるのであれば依代がいる。今回は人形を用意したが、この人形には()の血、金、聖水など人間の間では貴重な物が使用されている。これについては()の血以外は用意しようと思えばできる。

 

 3つ目は、失った命を蘇生させる為に世界の理を変える為の代償。これは簡単ではない、世界の理を一時的にでも変える事など神でも簡単ではない。

 

 4つ目は、依代に魂を定着させ肉体を復元させるという術式。

 

 3つ目、4つ目は世界は神の意のままに(ワールティング・ザ・ゼロ)の力によりクリアしている。世界は神の意のままに(ワールティング・ザ・ゼロ)の効果は、世界の理も、何もかも思うがままとなる。

 

 

「さぁ…汝が生きている内に言えなかった言葉を伝えると言い。その男と娘にはお前の言葉が必要だ」

 

 現れたのは朱乃とそっくりな女性、この女性こそ姫島朱璃。バラキエルの妻であり、朱乃の母だ。

 

 

「大いなる太陽神の御子様、この度は夫と娘と話し合う機会を与えて頂き感謝いたします」

 

 朱璃は目を開け、零の姿を見ると礼を言い頭を下げる。

 

 

「ただ我は必要だと思う事をしているだけのこと。我がそうで在った様に……姫島朱乃にも母たる貴女の言葉が必要なのです、我はただその手助けをしただけですよ」

 

 零はアスティアの時もそうで在ったが、朱璃に対しても尊敬の念をもって接する。零は知っているからだ……母の偉大さ、強さを……特に異なる血を宿す者の母は強いのだ、身体的や力的な事ではないその心が…魂が強い。故に零は例え相手が自分の何万分の一しか生きていない人間であっても、敬意をもって接する。

 

 

「我への言葉よりもそこで固まっているばk……コホン、お髭のダンディーなおじさんと貴女に似た美人の娘が待ってますよ」

 

 

「ありがとうございます」

 

 朱璃は再び零に一礼すると、バラキエルと朱乃の方を向いた。

 

 

「貴方……朱乃」

 

 

「えっ……あぁ……しゅ……朱璃?」

 

 

「おっ……母さま?」

 

 2人は目の前で起きた事が理解できずに完全に固まっている。というより本当に現実なのかと思って居る様だ。

 

 

「言っておくが、これは夢でもなければ幻術でもない。目の前に居るのは正真正銘の姫島朱璃だ、我がこの身を呈した代償(幼児になって素戔嗚と買い物と言う意味)を支払って冥界より呼び出したんだ。ゆっくり話し合うといい……と言っても此処では話しあいのできる雰囲気じゃないか」

 

 零が指を鳴らすと、辺りの風景が何処かの家に変わる。朱乃は此処に見覚えが在った。

 

 

「此処は……私の家?」

 

 

「お前の記憶を読み取って再現したんだ、後は家族団欒としてくれ。時間は1週間、此処での時間と外との時間は違うから気にせずに過ごしてくれ。おい一誠、俺達は邪魔になるから行くぞ」

 

 

「えっ何処へ!?」

 

 零は一誠の腕を掴むと、引き摺って何処かに消えてしまった。

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