新次元ゲイムネプテューヌVⅡ SSRと言う名のG(凍結)   作:藤和木 士

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どうも、皆様お元気でしょうか。もうすぐ学校のテスト期間に入るので、それに向けての勉強もしています、藤和木弘です。

シエラ「ご苦労様ね、藤和木。けど、胃腸風邪でダウンだなんて、まだまだね。どうも皆様。藤和木の風邪がうつらないようにマスクをしているわ、シエラ・ムルセーヌよ」

ソニア「藤和木さん、あまり無理はしないでくださいね?ジャンヌさんをまた心配させちゃいますよ?どうも、皆様!こっちの少女漫画も読みたいなぁって思い始めてるソニア・A・ワスプです!」

学校の授業が終わって即病院行ったら診断されました……胃腸風邪ってマスクで防げるの……?まぁ、それは置いておくとして、今日は第145話の投稿です。

ソニア「いよいよ猛争・武装化状態のワレチューさんとの決戦ですね!光樹さん達は勝てるんでしょうか?」

シエラ「暴虐の限りってところからしてみても、苦戦は必至でしょうね。けれど止めなきゃ街の人に被害が及ぶから、なんとしてでも食い止めないと……!」

それでは本編へ!


第145話 暴虐の限りを尽くす巨大ネズミ

 

 最初に先制したのは女神・ゴールドサァド・ガンダム混合チームであった。海優のパープルプロテクターと絵里奈のR-ZXがビームアサルトライフルとANPXアームズギアによる射撃攻撃を放つ。

 

「いけっ!」

 

「連弾の嵐ぃー!!」

 

 2人の向ける銃口から放たれる弾丸の雨がワレチューに襲い掛かる。けん制程度の弾幕だったのだが、その雨を喰らったワレチューが少しのけ反り空に吠える。

 

「ぢゅっ!?……ぢゅううううううう!!!!」

 

 右前脚となっている右手を目の方に当てている。おそらく、弾丸の1つが目に直撃したのだろう。いきなりダメージを与えるというのは少し予想外だったが、それを確認して真っ先に声を上げた人物を見て納得することとなる。

 

「やったぁ!大当たりぃー!!」

 

「やるわね……。いきなり1発を当てるだなんて……」

 

 攻撃を当てたことで喜ぶ絵里奈。やはり狙撃の腕で彼女の左に出るものはそうはいないだろう。狙撃用の武器でないのに正確に敵の急所とも言える部分に当てるなど、到底できない。海優の発言も当然だろう。

 だが、こちらとしても攻撃の起点を作ることが出来たのは幸いだ。すぐに2人の後方にいた光樹とDRX、加えて絵里奈とビーシャが敵を囲うように散開する。そして、その中央を抜けるようにパープルハートが突撃する。

 対するワレチューも目のダメージ減となっていたANPXアームズギアから放たれたANノイズドエナジーシュリケンを無理矢理引き抜き、迎え撃つ姿勢を取る。その間に目のダメージも瞬時に回復する。

 やっぱり、多少のダメージじゃあすぐに回復されるみたいだな。AN粒子の出し惜しみは出来ない……!

 光樹も心の中でそう思うと、機体の出力をドライブモードに切り替える。DAIモードは既に制限時間を使い果たした。そうなれば、この機体の最大出力で大ダメージを見込めるのはトランザム、カートリッジシステム、フルバーストモードもしくはクロスカップリングシステム、今起動させたドライブモード、そして今まで一度も実戦で起動させたことのないブラスターモードと共振くらいだ。ただし、いくつかの機能は他の機能と競合するものもあるため、同時運用は現状最高でも5つか6つ程度だろう。

 しかし、相手は初めて戦うタイプの敵。状況を見て使っていく必要がある。光樹はその事を頭にしっかりと入れて、その右手にANブラスターソードエッジ・マグナムモードの持ち手を握る。パープルハートが敵の間合いに入る直前に、攻撃指令が放たれる。

 

「みんな、今よ!」

 

「おう!喰らいな、ガウン・デストロイヤー!!」

 

「うん!バズーカ連射!!」

 

「オッケー!ANミラージュブラスターソード、ミラージュブラスター!!」

 

「行くぞ、ANブラスターソードエッジ、マグナムモード!!」

 

 4人の一斉砲撃が仕掛けられる。このままでは当然パープルハートも危険だ。だが言った直後にパープルハートは身を引き、攻撃範囲から逃れている。一方のワレチューの方は向かってきたパープルハートにカウンターを仕掛ける動きであったが、その行動によって大きく隙を晒すこととなる。

来ると思っていたパープルハートを迎え撃つように前に出たからだと尻尾が前のめりの姿勢になる。だがそこには当然パープルハートの体などなかった。地面に突き立てられた尻尾と大きく突き出した両腕部。防御姿勢のまともに取れないその状態へ、ビームと実弾の弾幕が直撃し、大爆発を起こす。

 爆発でまだワレチューの状態が見えない状態であったが、それに構わず光樹達は次の攻撃に移る。光樹はゴッドクロスの左肩のANデストロイランチャーを展開、DRXも両腕部のハイフィンガーバスターを爆炎が上がる中央付近に向ける。

 2機の攻撃が同時に放たれる。暴力的なまでの弾幕と集中砲火は炎の中に飲み込まれると更により一層大きく爆発し、その炎を燃え上がらせる。

 ここまでは光樹達の流れであった。完全に相手を抑え込み、ダメージを与えている。この流れをなるべく維持したいところである。爆炎が少し晴れ、ワレチューの姿が少し見えると、パープルプロテクターの海優が突撃を駆ける。

 

「よし、動きが止まってるなら!!」

 

 ビームアサルトライフルをブレードモードに切り替え、スラスターを全開に炎の海を突っ込んでいく。剣先を中心にしたシェアフィールドで突っ込んでいくため、通っていった後の炎が2つに分かたれていく。

 この中でよく突っ込んでいけるなぁ、と心の中で思う光樹であったが今はこのペースを掴むためには攻撃を途絶えさせないことが大事だ。コンボを繋いでいき、大ダメージを重ねていくのが理想な流れ。なら海優の攻撃を止める必要はない。

 だが、何もせずに見ているわけではいかない。こちらからも援護攻撃を行う必要がある。すぐに射撃が可能なメンバーが動く。

 

「こっちも支援攻撃だ!」

 

「了解~、光樹君!」

 

「あぁ、ぶっ放すぜぇ!」

 

「拡散弾に切り替えて……よし、撃つよ!!」

 

 絵里奈、DRX、それにビーシャがそれぞれの射撃武装を撃つ。ビームと拡散弾の雨が地上と空からワレチューを攻めたてる。未だにワレチューは動かない。攻撃を浴びせた地点からそのままだ。一方海優は先に攻撃を一発決める。反対側に脱出し、反転してもう一発叩き込む流れだ。

 

「もう一撃!たぁぁぁぁ!!」

 

 海優の2度目の突撃が成功する。銃剣の刃先が装甲の隙間を抜け見事ワレチューの体に刺さる。その体から血飛沫と粒子が上がる。かなりのダメージが期待できそうだ。

 とはいえ、あまりダメージが入り過ぎるのも考え物である。相手は敵とはいえ顔見知りのワレチューだ(悪い方での、だが)。特にコンパが悲しむ可能性がないこともない。加えてチューコからの話ではワレチューが庇ってくれなければ、チューコがあれと同じものになっていたという。ならば、したくはないがますます情けをかける必要がある。流石にダメージ過多で消滅なんてことにするのは不味い為海優にやり過ぎないように呼びかける。

 

「すげぇダメージだな。あ、でも殺したら駄目だからなー?」

 

「ちょっ……!?殺すなって面倒くさい注文押し付けないd」

 

 ところが海優のその言葉は最後まで言う前に途切れる。直後に大きな金属音が響く。その音はまるで金属が無理矢理壊されたような音だ。その音の方向は、ちょうど海優の方角。

その視線の先で、海優のパープルプロテクターは右肩部から先を吹っ飛ばされていた。それを見て、パープルハートが叫ぶ。

 

「海優!?」

 

 不意打ちだった。ライフルのブレードを押し込んだ海優がこちらを少し向いた隙に、ワレチューの変異した2本の尻尾のうち1つがパープルプロテクターの肩部を貫いたのだ。尻尾をよく見るとハートの形が分かたれ、テール部分が2本付いていたので、正確には4本だが、それを今考えている暇はない。

 唐突な攻撃を受けて海優は慣性で後ろに下がる。だが下がるといっても回避しているわけではないのでまだ攻撃される範囲内。当然猛争・武装化ワレチューが追撃を仕掛けてくる。

 

「ぢゅぢゅっ!!」

 

「くあ……っ!?」

 

 飛んで回避しようとした海優のパープルプロテクターの脚部を再び尻尾による刺突で粉砕する。主推力の1つを失ったパープルプロテクターは当然炎の燃え広がっている地面に落ちる。その状況はいくら装甲で守られているとはいえ、何かに引火する危険性もあった。すぐにパープルハートが海優の回収を指示する。

 

「海優っ!誰か、海優の回収を!」

 

「あぁ、分かってる」

 

 その声にすぐに反応する。ゴッドクロスの機体をクロスカップリングモードに移行させ、推力をドライブモードと合わせて強化して突撃する。近づいてくる光樹に気づいたワレチューは海優へのとどめの一撃を放棄し、光樹への迎撃を行う。尻尾と大型化した両腕部の射撃ユニットからの砲撃の雨が光樹を襲う。だが、こちらもクロスカップリングモードを起動させている。並大抵の攻撃ではそう簡単には当たらない。順調に距離を詰める。

 光樹の救助行動に合わせ、他の味方も動く。絵里奈はいつも通りのANHXキャノンバスターでの精密射撃で尻尾を狙い撃つ。攻撃は回避されるも、狙いを絞らせない。ビーシャも散弾でワレチューの気を引こうとする。そしてDRXが最大まで溜めたガウン・デストロイヤーをワレチューの体右半分に向けて放つ。DRXの攻撃が一番威力も大きく、爆発を起こしてワレチューを怯ませた。

 全員の攻撃で隙が生まれたところで光樹は海優の元に駆け寄る。かなり酷い損傷だが、それでも海優の方は見た感じでは無事のようであった。駆けつけた光樹に対し、海優が謝罪する。

 

「ご、ごめん、光樹……」

 

「今はいい。とにかく下がるぞ」

 

「うん……」

 

 海優の機体を抱えると光樹はすぐにパープルハートの方角に向かって飛ぶ。ワレチューの方を背にしての飛行で少し心配だったが、3人が足止めをしてくれていたのでそれを信じて飛行する。パープルハートの元にたどり着くと、いったん着地して安否を伝える。

 

「何とか回収は出来た。……けど、これ以上の戦闘は無理だな」

 

「そう……。申し訳ないけど、海優は物陰に隠れていて。決着はわたし達で付けるわ」

 

「……はい。頼みます」

 

 少しの沈黙があったものの、海優は素直に従う。女神を置いて自分が戦えないというのが悔しいんだろう。けど、今のダメージじゃ何も出来ないのが現実だな。

 パープルハートが代わりに前に出たのを見て、光樹は鈴達のいる方の瓦礫に向かう。そこまでたどり着き、瓦礫の影に海優を降ろすと、近くに丁度いた鈴が現状を聞いてくる。

 

「光樹、状況は……って、聞くまでもないわね」

 

 鈴も海優の現状を見て察したようだ。光樹もそれを理解し手短に説明する。

 

「あぁ。悪いけど海優の機体を頼む。一応体は別にあるから撃墜されても問題ないだろうけど、機体は大事にしないといけないから」

 

「了解したわ。って言っても、今のあたしじゃどうしようも出来ないから、海優は先にフェードアウトして中佐さんに状況を伝えてあげて」

 

「そうね。そうさせてもらうわ……光樹、ネプテューヌ様を頼んだわよ?」

 

 鈴からの要請にそう答えると、海優は機体とのアクセスを切る。機体のツインアイの光が消え、それが分かる。海優が残した言葉に、光樹は機能を停止させたパープルプロテクターの前で返す。

 

「あぁ。任せてくれ」

 

 光樹は機体を翻す。戦いを繰り広げている者達の加勢をするために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 光樹が一旦海優を逃がすために抜けた後、パープルハートは暴走するワレチューとの格闘戦を演じていた。近づくパープルハートに対しワレチューは尻尾による迎撃を行う。素早い突き刺し攻撃を機械刀でいなしつつ、その装甲に一撃を撃ち込む。

何度も戦闘を行っていたプラネテューヌ防衛軍からの情報で、シェアを含んだ攻撃なら 機械化された装甲にもダメージが与えられるというのは分かっている。シェアを込めた一撃を繰り出せるのはパープルハートと先に攻撃した海優のパープルプロテクター。ゴールドサァドの力を持つビーシャも出来るかもしれない。

 理屈はともかくその一撃はワレチューを覆う装甲の一部に直撃する。甲高い金属音と共に、少しの切り傷がその装甲面に付けられたのが見えた。効いているのだ。それに呼応してワレチューも少し怯む。

 戦い方としては、やっぱり機械モンスターと同じような感じかしら。けれど、これだけ圧倒的なまでの防御力を持つ敵相手でも攻撃が通るだけまだいい方だというのは、思った方がいいかもしれないわね。

 敵の怯みを継続させるようにパープルハートは機械刀による上段振り下ろしを行う。その一撃がワレチューの頭部に炸裂する。攻撃により、ワレチューの体が少し地面に沈む。だがしかし、ワレチューからの反撃は早かった。攻撃を喰らった頭部をそのままに、両腕部を突き出してパープルハートの体に思い切り弾き飛ばす。刀を引く暇もなくパープルハートはもろにその攻撃を喰らう。勢いを殺そうとプロセッサユニットのウイングパーツからシェアエナジーを吹かす。何とかブレーキをかけて止まることに成功する。

 が、更なる追撃がパープルハートを襲う。ワレチューの口が突如大きく開く。更に肩部に存在したビーム砲も外側からこちらに向きを変えていた。そして、その3つの口から、光の熱線が奔流となって放たれる。

 

「ぢゅうううううう!!!!」

 

「粒子ビーム砲!?」

 

 思わず大声を上げてしまう。突然の攻撃を咄嗟にプロセッサユニットの推力を全開にして回避を行う。何とか回避には成功し、ビームは先程パープルハートがいたところを通り過ぎていく。通り過ぎたビームは建物に直撃し、大きな爆発を起こす。

 紙一重の回避だった。もし回避が遅れていれば、かなりのダメージであったのは必至だっただろう。しかしながらそれを見たことでこちら側も気を引き締める。ビーシャとDRXがこれ以上の攻撃をさせまいと攻撃を放つ。

 

「ねぷねぷ!!」

 

「それ以上は撃たせねぇ!!ガウン・デストロイヤー!!」

 

 バズーカの3連発と顔面からのビームがワレチューに向けて放たれる。ところがその攻撃はワレチューを覆った赤黒い粒子の壁により阻まれる。光樹も使う防御兵装、その名前を絵里奈が口にする。

 

「うー、やっぱりANフィールド持ってるよねー……」

 

「防御も完璧、ということね」

 

 光樹達の世界の機動兵器が持つ粒子による防壁、ANフィールド。今までも自分達を苦しめてきた障壁だ。攻撃をフィールドで受け止めたワレチューは攻撃を放ってきた2人にそれぞれ腕部、そして尻尾のビーム砲を向け、ビームの砲撃を開始する。

 弾幕による攻撃をビーシャは回避、そしてDRXはサイキックフィールドと自慢の十三港で防ぐ。ビーシャはゴールドサァドとしての追加装備によるブースター噴射で上手く躱していく。一方のDRXも光樹との戦いで見せていた鉄壁防御で攻撃を凌ぐ。だがそれもすべて攻撃を受けたパープルハートの隙を埋めるための行動である。パープルハートもその間に絵里奈と合流し、入れ替わりに同時攻撃を仕掛ける。パープルハートは頭上に光の剣「32式エクスブレイド」を形成する。絵里奈の方はというと手にANLXハルバードを構え、突撃する。

 絵里奈が突撃を開始すると同時にエクスブレイドを投下する。

 

「喰らいなさい……32式、エクスブレイドッ!!」

 

 光の剣は真っ直ぐワレチューに向けて落ちる。直前にワレチューがANフィールドを張るかもしれないとも思ったが、その心配なくエクスブレイドがワレチューを貫き、爆発を起こす。

 エクスブレイドの貫通でワレチューの攻撃が途切れる。そこに絵里奈が追撃をかける。

 

「はぁぁーっ!!てぇい!!」

 

 ハルバードによる薙ぎ払い攻撃がワレチューの装甲を斬る。だが装甲までは斬れていない。それに構わず続けざまに突き攻撃がワレチューに放たれる。その突きは鋭く、貫きはしなかったものの、ワレチューの体を少しのけ反らせる。

 そのまま続けざまに攻撃、とは残念ながらいかない。すぐにワレチューが反撃に出る。尻尾による振り払いに絵里奈は後退する。その穴を埋めようと今度はDRXが格闘戦を仕掛けていく。その手にD・Oソードを構え、ワレチューの肩部に向けて振り下ろす。

 

「せぇいはぁーーーー!!」

 

 先程の戦いでも見られた、圧倒的な破壊力を持つ、DRXの必殺武装の1つ。その一撃がワレチューの肩部に直撃する。肩部にあったキャノン砲も巻き込んでの斬撃はキャノン砲の爆発を誘発させた。剣の威力と武装の爆発によりワレチューの体は再び揺れる。

 続けざまにビーシャも攻撃を仕掛ける。バズーカ砲から弾頭を連続して放っていく。

 

「はあああぁぁぁ!!」

 

 連続して放たれるバズーカ弾がワレチューの胸部に爆発を連鎖的に起こす。爆風で怯んだ隙にパープルハートとDRX、それに絵里奈の格闘武器で一斉に攻撃する。

 

「クロスコンビネーション!!」

 

「D・Oソード、3連切り!!」

 

「ANZXアームズ、ZXセイバーモード!!」

 

 3人の攻撃は見事ワレチューの装甲部に直撃する。パープルハートの連撃とその合間に絵里奈の切り抜け攻撃、そしてDRXの薙ぎ払いをワレチューはその身に喰らう。

 締めにパープルハートのスキル技「クロスコンビネーション」の最後の一撃が振り下ろされる。が、それは何にも当たることなく空を切った。回避したのだ。ワレチューは足元をCD上の浮遊ユニットに付けており、その浮力で攻撃を受けながらも回避することが出来た。

 

「回避された!?」

 

 攻撃を空振りし、思い切り機械刀が地面に当たる。その衝撃はパープルハートの体を巡る。その刹那の間に、ワレチューは次なる攻撃を放ってくる。その巨体を上空に大きく飛び上がらせるとCDユニットから円盤状のエネルギー物質を地上にばら撒く。

 上空からの攻撃に、全員が回避・防御行動に移行する。パープルハートとビーシャは回避、絵里奈は撃ち落とし、そしてDRXはフィールドでの防御で攻撃を凌ごうとする。だがそれらは上手くはいかない。

 

「ちぃ、攻撃が速い……ぐぅっ!」

 

「このっ!っ……きゃあ!?」

 

「数が多すぎるよぉ!!って、うわぁー!?」

 

 攻撃を1発喰らえば、すぐに次の攻撃が襲い掛かる。そのコンボでパープルハートとビーシャ、絵里奈の3人はダメージを受け、地面に叩き付けられる。早く立とうとするもその前に次の弾幕が3人を襲う。

 

「ビーシャ!っく!!弾幕が……ぐおっ!?」

 

 弾幕による制圧の悪循環に巻き込まれたパープルハート達を助け出そうとDRXが駆け寄ろうとするも、突如DRXの体が上に打ち上がる。CD状のエネルギー攻撃が下からの奇襲を行ったのだ。しかもそれがサイキックフィールドで覆われていない、更に光樹達との戦闘で破損し内部機械が剥ぎ出しとなっていた部分に喰らったのだ。

 不意打ちを喰らったDRXの上部に展開されていたサイキックフィールドが解除される。攻撃を受け止めていた障壁が消えたことでその分の攻撃が次々とDRXに襲い掛かる。その自慢の重装甲もあり、何とかサイキックフィールドの再展開を行えたものの、その装甲には痛々しい焦げの後が残っていた。

 不味いわ。この状況が続けば、こっちが先にやられる……。何とかしなければいけないと思ったわたしは思い切ってプロセッサユニットを吹かせる。何とか飛行することには成功するけど、問題はここから……。その時、背中に再び衝撃が走る。

 

「くぅっ!?」

 

 背中に再度のCD攻撃を受ける。だが今度はすぐに体を反転させ、そのCD攻撃を迎え撃つ。機械刀で弾き、攻撃を受けまいと振り続ける。何とか攻撃を捌くパープルハートではあったが、それも時間の問題。続く攻撃に疲労を見せ始める。

 

「女神がここまで押されるなんて……!」

 

 絶え間なく続く攻撃にパープルハートは舌打ちをする。このまま攻撃を捌いていては、いずれこの弾幕にやられる。しかし、攻撃に切り替える隙が見当たらない。先程までいた地点の近くで防御態勢を取りつつ迎撃を続けていた絵里奈も何とか狙撃で敵の動きを止めようとしていたものの、放つ弾丸はどれも途中でばら撒かれるCD攻撃の1つに当たってしまっていた。

 切り返すための一手を打てない状況。それを崩したのは、またも彼であった。横合いから声が響く。

 

「これ以上はやらせない!!」

 

 キリッとした声と共に放たれた光の一閃がCDの鏡面部分を直撃する。被弾の衝撃でワレチューの体がぐらつく。その一瞬のうちに駆ける機体がワレチューの乗るCDユニットと交差する。交差した直後に振り抜かれたビームサーベルの刃はしっかりとCDユニットを両断していた。

 光樹だ。光樹のシュバルトゼロ・ゴッドクロスが、トランザムを起動させて斬り抜けたのだ。切り裂かれたCDフライトユニットはスパークを散らせて爆発を起こす。浮遊する力を失った猛争・武装化状態のワレチューの巨体が地面へと落下する。

 CDユニットが破壊されたことで攻撃の雨は止む。その間にパープルハート達は態勢を立て直す。ダメージを受けたパープルハートとビーシャは後退し息を整える。対して機械にダメージを受けた絵里奈とDRXはダメージコントロールを行っていた。

 一方地面へと落下していくワレチューだったが、そこは機械化も合わさったモンスター。太い腕と比較してやけに細い脚と大きく広げられた羽に装備されたブースターを吹かせると、落下スピードを抑え、地面へと安全に着地した。

 

「ぢゅうううううう……」

 

 地面へと降り立ったワレチューがこちらを威嚇する。対してこちらに再合流した光樹がそれに相対するように降り立つ。

 戦いはまだ終わらない。敵が倒れるか、こちらが倒れるか。パープルハートは息を整えつつ、そのにらみ合いを注視する。

 

 

TO BE CONTINUED

 




今回もお読みいただきありがとうございます。

シエラ「あの……一ついいかしら?」

ん、何?

シエラ「海優っていうシェアプロテクターを纏った娘いたわよね?……あの子今回噛ませじゃないの?」

せやな。

シエラ「あっさり言ったわね!?」

ソニア「あの扱い、流石にひどすぎますよ……。攻撃は効いているのに、攻撃を受けてしょっぱなから離脱って……」

けど戦えているだけまだマシだと思うよ?それにシェアプロテクターはまだまだ未完成の機体だからね。性能はまだフルに発揮できていないのもあるから。

ソニア「え、シェアプロテクターってまだ強くなるんですか?」

うん。光樹君達のと比べてやけに武装が少ないでしょ。まだまだ武装増やしたりとかできるからねー。

ソニア「はわわ……それは凄いです!つまり今回のはそのための準備段階ってことなんですね!」

その通り!

シエラ「……だからって、扱いが悪いことには違いないと思うのだけれど?」

そこは……うん、否定しない。とりあえず、次回もまたワレチュー戦の途中なので、お楽しみに!それでは今回はここまで。

ソニア「次回は水曜日の投稿です!ちなみに藤和木さんのテスト週間は丁度水曜日からみたいです」

シエラ「それじゃあ、次回も見なさいよね。あと、海優を応援してあげてね」

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