天使はいつだって憧れの君を見てる   作:ぶーちゃん☆

1 / 14



はじめましての方ははじめまして!


やってしまいました。まさかの戸塚ストーリーです。
勢いで思わずやってしまったお話ですので、続くかどうかは分かりませんっ!


第一部【友達との遭遇編】
とつかわいい①


 

 

 

「あ!せんぱーいっ!これどうぞぉ!」

 

 

ジャージの袖で汗を拭っていると、後輩の女子部員がタオルとドリンクを渡してきてくれた。

 

 

「うんっ!ありがとっ!」

 

 

その親切心がとっても嬉しかったから、心からの感謝を込めてお礼を言ったら顔を真っ赤にして……

 

「い、いえ!とんでもないですぅ………ああ、可愛いっ……」

 

…………?

なんだか最後にぽしょっと可愛いとかって聞こえた気がするんだけど、んー、気のせいかな?

 

 

ぼく戸塚彩加は、総武高校テニス部に所属する二年生の男の子。今は放課後の部活動中なんだっ!

大好きなテニスでちょっとでも身体を鍛えて、強い男の子になるのが目標なんだよね。

 

 

よくみんなからは女の子みたい!とか、男なの!?嘘でしょ!?

とかって言われちゃうことが多いんだけど、ぼくってそんなに女の子みたいに見えるのかなぁ……。

ぼく、強くてかっこいい男の子になりたいんだけどな……。

 

 

そんなぼくには、ずっと気になってる人がいるんだ!とってもかっこよくて、ぼくの憧れの人。

同じクラスの比企谷八幡くん!

 

 

あ!変な意味じゃないよ!?

た、ただ憧れてるだけって意味で、そういう意味なんかじゃ絶対ないんだから!

だって……ぼくは男の子だもん!

 

 

× × ×

 

 

比企谷くんとは一年生から同じクラスなんだけど、まだ一度もお話した事がないんだよね……。

というよりは、比企谷くんが誰かとお話しているところを見た事がないんだ。

 

比企谷くんは入学初日に交通事故にあって、しばらく学校に登校出来なかった。

ようやく登校出来るようになった時にはクラス内ではほとんどグループが出来上がっちゃってて、彼には居場所が無くなっちゃってた……。

 

 

いつも一人で居る比企谷くんに、ぼくは何度か声を掛けてみようと思ったんだけど、すっごく緊張しちゃって無理だった……。ぼくの意気地なしっ!

 

 

でもね、比企谷くんはそんな状況なのに、別に何でもないかのようにいつも平気な顔をしていたんだ……。

 

林間学校だって文化祭だって体育祭だって、ずっとずっとひとりぼっちだったのに、それなのにいつも平気そうにしてた。

むしろ自分から他人と関わらないようにしているようにさえ見えたんだ。

 

その姿がなんだかとても強くてかっこよくて、でもどこか寂しげで儚げで……。

 

だからぼくはそんな彼に、比企谷八幡くんに惹かれたんだと思う。

ぼくは女の子みたいで弱っちくて頼りないから、そんな比企谷くんに憧れた。

強くなりたい!ぼくも比企谷くんみたいに……。

 

 

そしてぼくは比企谷くんとお友達になりたい……。

誰とも関わろうとしない彼に、ぼくを……戸塚彩加という存在を関わらせてみたいと、ずっと願っていたんだ!

 

 

× × ×

 

 

そんなチャンスは二年生に上がってからようやくやってきた。しかも二つも!

ていうかそんなチャンスをただ待っていないで、頑張って自分から話し掛けてみれば良かっただけなのにね……。

ホントぼくって……。

 

と、とにかくチャンスなんだ!今度こそ絶対に比企谷くんに話し掛けるぞーっ!

 

 

そのチャンスとは……まずは一つ目。体育の選択授業で同じ種目になれたんだっ♪

一年の時だって何度か同じ種目になれた事はあったんだけど、今回は今までとはわけが違うんだから!

 

そうなんだ!ぼくの大好きなテニスなんだもんっ!

比企谷くんがテニスを選んだって知った時は嬉しくてつい飛び跳ねちゃった。

 

 

比企谷くんと一緒にテニス……。とっても楽しいんだろうな……!

 

 

でもね、神様はいじわるだよ……。

せっかくペアで誘ってみようと勇気を振り絞って近付いて行ったら、比企谷くんてば

 

「あの、俺あんま調子よくないんで壁打ちしてていいっすか。迷惑かけることになっちゃうと思うんで」

 

って、すぐさま壁打ち始めちゃうんだもの!

 

 

もうっ!神様のいじわるっ!

せっかく勇気を出して声を掛けようと思ったのに、なんで今日に限って比企谷くんの体調を悪くしちゃうの!?

…………比企谷くん、体調大丈夫なのかなぁ……。

 

 

結局他の子に誘われちゃったけど、こういうのって最初のペア分けで大体その後もそのまま決まっちゃうんだよね……。

次の授業でペアを替えちゃったらその人に悪いし。

 

ていうかそんな風にちょっとでも考えちゃってる時点で、せっかく誘ってくれたペアの子にすっごく失礼だよね……。

ぼくのばかぁっ!

 

 

ぼくは自己嫌悪に陥りながらもペアの子と打ち合いを始めた。

だけどやっぱりどうしても気になっちゃう!

一応ぼくは経験者だし、ペアの子は初めてみたいであんまり上手じゃなかったから、チラチラと比企谷くんの壁打ちを気にする余裕があった。

 

「比企谷くんって……テニス経験者なのかな……?すっごく綺麗なフォームで上手だし、なんだかとってもカッコいい……!」

 

ぼくはつい見惚れちゃって、打ち合いが疎かになってしまった。

 

「戸塚くーん!僕初心者だからってあんまり手を抜かないでよー……」

 

はっ!!ぼくはなんて失礼な事をしてしまったんだろう……!

こんなんじゃ大好きなテニスにも申し訳ないよっ!

 

「うん!ごめんね!次は集中するからー」

 

ぼくは比企谷くんの壁打ちの様子に後ろ髪を引かれながらも、ちゃんと自分の役割に集中しようと決意した。

 

 

「……ああ、比企谷くんの壁打ちもっと見たいなぁ……。ん!ダメダメ!集中しなきゃっ!」

 

 

× × ×

 

 

はぁ〜……結局せっかくのチャンスも生かす事が出来なかった……。

自分の意気地の無さがホントに嫌になる。

 

でも、こんなに弱い自分を変えたい為に憧れの比企谷くんと仲良くなってみたいのに、こんなに弱いから比企谷君に話し掛けられないって、それってもうダメダメなスパイラルに陥ってるって事だよね……。

 

 

ん……。こんなんじゃダメだ。

そんなネガティブなことばっかり考えてる暇があるなら、少しでも強くなれるように努力しなくっちゃ!

 

 

ぼくの所属するテニス部は、実のところとっても弱いんだ。

そのうえ受験勉強で三年生が抜けちゃったら、もう部活として立ちゆかなくなっちゃうかもしれない……。

 

だから最近、一・二年生のモチベーションを少しでも上げたいなって思って、ぼくはお昼休みに自主練を始めてみた!

ぼくなんかでも少しは上手くなれば部員のみんなもやる気出してくれるかも知れないし、ぼく自身が自分を鍛えたいって気持ちがあるから一石二鳥だよね!

 

 

そんな気持ちで自主練を始めてから、ぼくはとんでもない事に気付いたんだ。

 

そう。これが二つ目のチャンス。なんとお昼休みに比企谷くんがテニスコートの近くに居たんだ!

 

一年生の時から、お昼休みはいつもどこに行ってるんだろう?ってずっと思ってたら、まさかこんなに近くに居るだなんて!

 

 

だから自主練を始めた当初は、すっごく比企谷くんの視線を意識しちゃって緊張しまくってカッコ悪いとこ見られちゃったんだけど、ぼくっていう存在を認識してもらえるチャンスだ!って、出来る限り気にしないで練習してたんだ。

 

 

今日もやっぱり居る!

う〜……やっぱり緊張するなぁ……。

 

でも頑張るぞっ!少しでもいいとこ見せなくっちゃね。

 

 

× × ×

 

 

うんっ!よし!すっごくいい感じ!

今日は壁とのラリーが気持ち良く続いてるよっ。

 

 

比企谷くん見てくれてるかな……?とチラリと様子を伺うと…………えっ!?

比企谷くんが誰か女の子と喋ってる!

 

あれって……あ!由比ヶ浜さんだ!

今まで比企谷くんと由比ヶ浜さんがお話してる所なんて見たこと無いけど……って言うか比企谷くんがクラスメイトとお喋りしてるとこ自体ほとんど見たことないんだけど……。

 

でもなんだか由比ヶ浜さんとっても楽しそう……。

仲……良いのかな……?

 

 

これは……、今度こそ神様がくれたチャンスなのかも知れない……。

 

今までは一人でいる比企谷くんに声を掛ける事に勇気を出せずに逃げちゃってたけど、由比ヶ浜さんが居てくれるんならぼくにも出来るかも知れない。

 

 

由比ヶ浜さんはとってもいい娘だしぼくとも仲良いもん!

由比ヶ浜さんに話し掛けさえすれば、その流れで比企谷くんともお話できるよね。

 

なんであの二人が仲が良いのか……どういう関係なのか……、そこは確かに気になるんだけど、こんなチャンスはもうやってこないかも知れない!

あとで由比ヶ浜さんに、比企谷くんとは仲が良いの?なんて恥ずかしくて聞けないもん。

 

 

「よしっ!行くぞ……ぼく!」

 

 

ぼくは誰にも聞こえないくらいの小さな声で自分に気合いを入れた。

そして練習が終わったフリをして汗を拭きながらゆっくりと……ゆっくりと二人に近付いて行く……。

 

 

「おーい!さいちゃーん!」

 

 

……!!

先に由比ヶ浜さんがぼくに気付いて声を掛けてくれたっ!

 

よしっ!今だ!

ぼくは今気付いたフリをして二人のもとへと駆け寄って行く。

比企谷くんの視線がぼくに向けられている事に緊張しながらも、ようやく二人のもとへとたどり着いた……。

 

 

 

彼の事が気になってからもう少しで早一年。

この日、ついにぼくと比企谷くんは初めての会合を果たす事となる。

 

 

これは、そんなぼくと比企谷くんの友情を紡ぐ物語の、その始まりの始まりのお話。

 

 

 

 

 

続く………かも?




ありがとうございました!

前書きでも述べましたが、なんか書いてみたくなってしまいつい出来心で書いてしまったので、続くかどうかは分かりません!

チラ裏でも良かったかもしれませんね><


ところでコレって警告タグでBLって載せといた方がいいんでしょうか?

ただの友情ストーリーだし戸塚の性別は天使なので、悩んだ末に一応はずしておきました。



追記・・・

早速低評価を頂いてしまったので(理由は定かではありませんが)、念の為ボーイズラブタグを付けておきました。

もちろん今後続くとしても、そういう描写はありません。


追記②・・・

読者さまから、BL目当てで見に来てガッカリされてしまうかも……とのありがたいご指摘を頂いたので、やっぱりボーイズラブタグははずしておきます!

もしやはり気になる方がおられましたら、お申し出くださいませっ!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。