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さあ今日も通常開店だ
からんころん
ドアが開く
「いらっしゃい」
お客さんに声をかける
お客さんは立派な鎧に身を包み
戦国時代の人だと一目瞭然だった
髪はちょんまげ
しかし顔は中々ハンサムだった
爽やかな好青年であった
「えと、カシスオレンジで」
と小さな声で言った
「わかりました」
カシスオレンジはアルコールも低く
甘くて飲み易いのが売りである
確かに顔からしてお酒に強そうではないな
「お客さん、お名前は?」
「あ、明智 光秀です」
わぉ、明智さんか
明智光秀
織田信長配下の武将
なんやかんやありまして本能寺の変で
主人でもある信長に反逆
その後山崎の戦いで秀吉に負ける
敗走中に地元農民に殺される
という人
「へぇーあの明智さんか....」
「やめてくださいよ、そうゆうの」
できたカシスオレンジを明智さんの前に置く
彼はそれを手に取り少し口に付ける
そして俯きながら黙って何か考え事をしているように見える
ふむ
明智さんには悪いがそろそろあの人が来るんだよな
常連さんである
気不味い空気になりそうなので告げておこう
「来たばかりで申し訳ないのですが、あの人がきます」
「!?、ほ..本当ですか!?」
かなり動揺している
まぁそうだろうね
「し、失礼いたします!」
ドアに向かって早歩き
そしてドアノブに手を掛けたその時
からんころん
「来たぞ!いつものソルティドックだ!」
「あ、」
鉄の南蛮鎧に身を包んだ
豪快そうな中年男性
そう 織田信長その人だった
「あ....いらっしゃい」
明智さん顔面真っ青である
「なんだ、光秀じゃないか!一緒に飲もうじゃないか?」
「は...はい、」
こうして2人は丸椅子の席に座り自分達が頼んだ
物を飲み始める
「光秀よ、まだ気にしているのか?」
信長さんは光秀さんの顔を覗き込む
「はい、それはもう謝罪で許されない事なので」
俯きながら震えた声で喋る
「もう気にしとらんよ、昔の事だし」
呆れた様に話しながらカウンターに肘をついた
「ですが....そんな」
「ええいくどいぞ光秀」
「ひぃ!」
いきなり立ち上がり怒鳴った
それに驚いたのか恐怖したのか
情けない声が出た
日本を代表する武将のひぃという悲鳴
聞きたくなかった
「もう何年前だよお前、引きずりすぎだろ!
昔から変わってないなあ!」
「申し訳ありません!」
土下座してる
武将の土下座である
洗練された動き
無駄が無かった
素人から見ても綺麗だった
「という事でもうなしだぞ、」
「わかりました」
落ち着いた様だ
というわけでこの2人にはこの話を振ってみるか
「お二人といえば有名な本能寺の変ですよね」
「ああ、本能寺の変か。」
信長さんの気の抜けた声
黙って俯く明智さん
「あれって結局原因なんだったの?光秀」
「色々ありすぎてもう何が何だか....覚えてないです」
「へー、そう」
元々興味が無かったのかそれ以上聞かなかった
「てかさ、俺人間人生50年とか言ってたらさ
マジでこうなったわけよwうけるわー」
信長さんは享年49だったっけ?
たしかに50年である
「今の俺ってゲームとかでクソカッコ良くて
マジ最高!無双最高!
でも大体光秀は俺以上にイケメンなんだよなぁ。」
どんどんキャラが壊れていく
まあこのBARではいつものことだ
「申し訳ありません...信長」
光秀さん悪くないのに
ん?信長?
様付なかったな今
「がはは!きにするな!」
光秀さんを見ると顔が赤くなっている
え?もう?
早くないか?
「て、光秀!もう顔が赤くなってるじゃないかw
お前酒弱すぎw」
「仕方ないじゃないだろぉ、こればっかりは
鍛えたりできないから」
「お前の酒の弱さは異常だったもんな」
「ああ、そうだったね」
「お前酒飲んだら性格変わるな」
そして一旦落ち着く
静かになる
「そういやあの後どうなったの?」
「あの後?」
「俺殺した後」
「あれ?聞いてないの?」
「ハッキリとは聞いてない」
「ええとだな、あの後天下取ってルンルン気分だったんだけど
思った以上に早く中国地方の秀吉が早く帰ってきて
京都で迎え撃ったけど負けたわ
それで敗走していた途中地元農民に竹槍で殺された」
「ぶw」
「おい、笑うなよ」
「いやだ、ふふ、」
「............(恥)」
「いやだって俺なんか配下の武将に裏切られた
悲劇の大名だぞ?めちゃかっこいいじゃん
竹槍....武将.....ふふふ」
「いや竹槍って痛いんだぞ
馬乗ってて下から刺されたから肝臓辺りだったわ、確か
めちゃ痛いの、わかる
レバーよレバー」
「俺、焼失」
「ごめん」
てか性格変わりすぎだろ
普通にタメ口じゃないか
「でもなんか本能寺の変ってなんで
変なの?」
「さぁ、なんでだろうね」
ここで一旦落ち着く
信長さんはマルガリータを注文
光秀さんはモスコミュール
暫く黙って飲んでいた2人
この2人には死線を乗り越えて来たオーラがある
いやあった
今はない
そして彼らは戦国談義に花を咲かせた
「家康ってシフト入ってるのか?明日」
「入ってないっすよ、フリーらしいっす」
光秀さん、まさかの語尾が「〜っす」に
先輩と後輩のみたいだ
「じゃあ斎藤は?道三」
「道三は用事らしいっすよ」
「いや、なんか怪しいぞ?お前酒飲んだら色々忘れるだろ
酔ってる時も、後も」
「え?そっすか?」
ピーンときた
性格が豹変する
よく忘れる
この二つの酒癖からわかった
「光秀さん、本能寺の変を起こした理由が
なんとなく察しがつきました」
「まじっすか?!」
「おい、本当か?」
「多分酒飲んで酔った勢いでやったんですよ。
若気の至りですね、はい」
沈黙の一同
そして口を開いたのは
「あ、うっすら思い出してきたっす」
「なんと!?」
「酒飲んでて、お前に信長殺せねーよみたいなノリになって
それでああやったるよ、見とけよっみたいな事になって
ほんで本当にやったらビビってた、みたいな」
「俺は酒の勢いで殺されたのか....」
項垂れる信長さん
土下座する光秀さん
学生のノリかよ
高校生かよ
えっとまぁ仕方ないね
若さゆえの過ちだよ、うん
色々やってしまいました
ごめんなさい
こんな感じで書いていきます
よろしくお願いします