「……此処何処だ?」
俺(名前が思い出せないから『名無し』としよう)は気が付くと真っ白な空間で浮かんでいた。
……地平線まで真っ白な場所だ。
「俺が誰で此処が何処だかを知るのは後だ、今は此処に他の人間がいないか探そう」
俺は立ち上がろうとして足が無いのを知った。ついでに腕がない、体がない、頭もない、口もない、眼もない、人体を構成するものが何も無い。
なのに……空間は見える。
「……訳がわからん」
『おやおや……やっと見つけたと思ったら魂が意思を持っていて考え事をしているよ』
俺が声に振り向くとそこには俺より巨大な光の球があった。
「あんたは誰だ? 此処は何処なんだ?」
『あ~此処は神の間……平たく言うと現世と天国の間だ。ついでに言うと現世と地獄の間は閻魔の間だよ』
成る程、つまり俺は一応天国には行けそうだと……
『妙に冷静だね、君はついでに君のような魂には天国行きして輪廻転生までの時間を待つの他にもう一つ選択肢があるんだ』
「……それはなんだ?」
『君達がアニメだのラノベだのと言う平行世界への転生さ、君のような魂は少なくてね。僕らみたいな人間……要するに君達が神様と呼ぶ存在だね、も娯楽が少なくてさ。君達のような人間が足掻く所を観たくてウズウズしているのさ』
……神様ってのは随分と悪趣味だな。
『否定はしないよ。で? 君はどうする? 天国で退屈しながら輪廻転生を待つか、平行世界に転生して僕らの退屈しのぎになるか……二つに一つだ』
「……」
俺は目の前の神様の言葉を聴きながらふっと笑う。
「……平行世界に転生する」
『……そうか、じゃあ君の転生する際の特典を決めてくれ。あ、転生特典の限界は三つだ。あ、因みに神様になるとかそんなんじゃなければどんな事でも可能だ』
俺は神様の言葉を聴いてにんまりと笑う。
「……一つ目は未来永劫俺より後に平行世界に転生した奴等が全員死亡すること、二つ目は俺より先に転生した奴等が全員死亡すること、三つ目は……神様、あんたが未来永劫その転生者達の水先案内人をすることだ」
『……な……に…?』
俺の言葉に神様が愕然とし……俺はにんまりと笑いながら光に包まれた……
…………
それから数年後、最悪の転生特典を願った少年が転生したのはリリカルなのはの世界だった。
最も、これは関係ないが。
彼が三つの特典を願った後、多数の転生者がこの世界に来たり、来ていたりしたが……
『全員』少年の願い通りに死亡した。
ある者は銀髪オッドアイを気味悪がられて捨てられて野垂れ死に、またある者は踏み台と呼ばれる転生者と戦い突如力に目覚めた踏み台転生者と相討ちになり死亡した。
ある者はその力を危険視されて暗殺され、ある者は何をやっても上手くいかずに自殺した。
全ての転生者が少年の願い通りに死に、消えていく。
そして……
『やれやれ……彼は僕ら神様を退屈で殺す気かねえ……? 娯楽が無いんでロキがラグナロクを起こそうとしているよ』
少年を転生させた神様は溜め息を吐きながら転生者を転生させていた。
そして神は呟く。
『彼って、神様にとっての疫病神だったのかもね』と……