真・女神異聞録 ペルソナ -Wild of Shadow-   作:日陰。

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サブタイの通りここから中学生になります。

プロローグからエピローグまでの大体の流れは頭の中で出来上がってるのに
それを分解して小話にするのが難しいなぁ 特に書き出しがいつも困る




第1章 夢幻の監獄
1-1 中学生日記


孤独を感じた少年は 光が欲しくて闇に手を伸ばす

 

 

    『もう少し、そうあとちょっと』 

 

 

 どこかで聞こえた声を頼りに 必死に手を伸ばす

 

          だが

 

 踏みしめていた土など幻想で 黒より暗い闇へと沈む

 

  一寸先も見えぬ暗がりの中 少年が選ぶものは

 

 

       行動か  停滞か

 

 

 どちらを選ぼうとも、時は等しく誰をも未来へと連れ去っていく…                     

 

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - -

 

 

さわさわと涼しげな風が開け放たれた窓から侵入し、呆けていた俺の顔をなでつけた。

室内には複数の子供たちが、どこか賢明な表情で数枚の紙切れとにらみ合いをしている。

 

中には大人も1名いるが偶に室内を見回すだけで、特にこれといったアクションを起こさない。

 

なにもすることがなくつい、あくびが出そうになった時パキッと誰かのシャー芯が折れた。

その音に意識を戻された俺は仕方なしに机上の紙切れと向き合い。何度目かの見直しをするのだった。

 

キンコーンカンコーン

 

「はいそこまでー 一番後ろの人は解答用紙集めてきて-」

 

 

「おわった~~~~っっ‼」

 

 

誰が最初か分からないが誰かが発した声を発端に教室内に喧騒が溢れてくる。

 

「いやー やっと終わったぜー これで遊び放題っ‼」

 

そんな光景を眺めていると前の席の男子がこちらを振り返り話しかけてくる。

彼の名前は三国 幸樹(みくに こうき)俺のクラスメートで数少ない友人の一人だ。

 

「おーう お疲れさん。解放されて浮かれてんのは分かるがあんまはっちゃけんなよ」

 

「そんなん言われても無理だねー ただでさえ勉強なんて嫌いなのに。テストなんてやらされちゃ

イライラしてしょうがないよ それから解放されたんだ。もう遊ぶしかないね」

 

人がせっかく注意してやったのにこいつは… まぁいい、一応の注意はした。あとは

もう一人の友人に任せるとしよう。俺なんかよりも得意な奴だ。

 

「そんなことを言っているから成績が悪いままなのだよ幸樹」

 

「げっ‼ なおちんっ」

 

おっと噂をすれば何とやら 実際に言葉に出したわけではないが、頭に浮かべた人物が実際に現れるのは不思議な感覚だ。彼は神崎 直哉(かんざき なおや) 俺の友人Bである。

 

「なんだそれは 人の顔を見て吐く言葉か」

 

「いや だってよー 毎回俺と会うとなにかと言ってくるからつい…」

 

幸樹という話し相手を奪われ、手持無沙汰になった俺は。頬杖を突きながら友人同士の語り合いを眺めていた。

しばらくそのまま眺め、目に映る光景にほほえましいだなんだと、親父臭い思考が浮かんできたと急に視界が塞がれた。

 

「だーれだっ♪」

 

耳に残る高い音域と背中に当てられたやわらかい感触… 十中八九相手は女子だろう。

もっとも異性相手にこんな悪ふざけをするような奴を俺は一人しか知らないが。

 

「…いきなりなにすんだ千葉」

 

「おーせいかーい よくできましたー♪」

 

微塵も反省の色が見えない彼女は千葉 愛梨(ちば あいり)異性の中でただ一人俺が友人と言える人物。

 

「いろいろと言いたいことはあるが、とりあえず離せ 前が見えない」

 

「えー なんだその反応ー 淡白でつまらないぞー」

 

不満げな声色で文句を垂れているが できれば早く離れて欲しい精神衛生上よろしくない。

そのまま人の背中から離れないこやつと数分格闘していると教室に担任の先生が入ってくる。

今日の日程は先ほどのテストで終わりなようだ。

 

 

「…まぁいいや 今日はこの辺にしといてあげよう どうだ参ったか‼」

 

「あーはいはい まいったまいったー」

 

数人の男子が羨ましそうな目でこちらを見て来るが、毎度毎度こいつの悪ふざけに付き合わされる身にもなってほしい。本人は気にしてないだろうが、周りと比べ発育がよく顔もスタイルも整っている彼女は人気があるのだ。

彼氏彼女の関係でもないのにあまりべたべたされるのは困る。

 

帰りのホームルームが始まることでようやく離れた彼女を見送りながら俺は小さくため息を漏らした。

 

 

*  *  *

 

 

「これで連絡事項は終わりだー 部活の奴もそうでないのも寄り道せずにまっすぐ帰れよー」

 

ホームルームが終わり、生徒各々が一斉に動きだしがやがやと騒がしい音を立て始める。

颯爽と教室から出ていく者、部活に向かう連中、教室の中で未だ喋る奴。

にぎやかな喧騒の中腰を上げると直哉に声を掛けられる。

 

「やぁ 明。君も部活に行くだろ。一緒に行かないかい?」

 

俺と直哉は同じ剣道部に所属している。正直言って俺の腕前なぞ、素人に毛が生えたようなものだが

長年続けていた週間のためか自然と剣道部へと足を運んでおり、今でも続いている。

 

「おう、行くか」

 

直哉に対し軽く返事をすると荷物を持って歩き始めた。

 

 

 

-----------

 

 

「ようしっ 今日の練習はここまでっ‼」

 

『ありがとうございましたーーー‼』

 

 

数時間の運動を終え、俺は床に座りうなだれていた。テスト期間が明け久しぶりの部活は普段よりもきつく感じた。周りをうかがうと多少なりとも息切れしてる部員が多く、案外きつく感じてたのは俺だけじゃないかもな。

なんてくだらないことを考えていると視界に直哉の姿が映った。

 

なんとなくそちらの方へ視線を向けると周囲のハァハァと激しい息使いの中、息ひとつ乱さず凛と立っていた。

地べたに座り込んでいる俺と真っ直ぐ立つあいつ。

その姿になにかを刺激された俺は無理やり立ち上がるとゆっくりと直哉に向かい歩き出した。

 

初めて直哉と会ったのは小学生の低学年だった。あのころはお互い竹刀すらまともに持てなかったのにいつから

こんなに差がついたのやら…

 

色々と込み上げてくるモノはあるがそれらは出さず。直哉の肩に手を掛けると小さく笑いながら

 

「おつかれー」

 

と、ひと声かけそのまま二人で部室に歩いて行った。

 

 

 

 

帰り支度を済ませた俺は部室で直哉と別れ 駐輪場へと向かっていた。

 

「あーあ 久々に身体動かすと疲れんな」

 

カシャンと小気味いい音でロックが外れたのを確認すると、颯爽と駈け出そうとするが横から待ったがかかった。

聞き覚えのある声だったので。疲れていたのもあり、素通りしようとすると前に躍り出て進行方向を塞がれる。

 

「あー待って待って一緒に帰ろーよ」

 

「…なんだよ急に そんなこと言ってきたの初めてじゃないか なに企んでる?」

 

普段からちょっかいを掛けてくることは多々あるが、一緒に帰ろうなんて言われたのは今日が初めてだ

スキンシップは多いが放課後に声をかけられたことなど無いので、そういったのは学校だけと線引き

がなされているものと思っていた。

 

「企んでるだなんてひどいなー たまたま見かけたから声かけただけだよ」

 

「たまたま見かけたねぇ 俺が前何度か声かけたらバッサリ断って走り去った奴のセリフとは思えんな」

 

そんなことを言うとあいつは動きを止めなにやらぶつぶつと悶え始めた。

耳を澄ませば小さく(そういやこいつ記憶力いいんだった)なんて聞こえてくる。

どうやら無視してもよさそうだ。

 

そのまま脇を抜けて素通りしようとするとサドルを掴まれる。

それに対し文句を言おうと振り返ると目と口角を釣り上げた鬼が居た。

 

「…一緒に帰ってくれるよね?」

 

「…はい」

 

 

結局根負けした俺は彼女と共に帰ることになった。そのまま無視する選択肢もあったのだろうが

あの顔を見てしまった時点で俺の負けだ。

 

「そもそも一緒に帰るも何も家の方向違うんだから、一緒に歩くのなんて10分かそこらだろうに」

 

「いいじゃないの途中までだって 細かいことを気にすると禿るよー?」

 

「……セリフのチョイス古、おっさんかよ」

 

「なんか言った?」

 

「いいや?なんでもございませんが?」

 

「ぷっ なにその敬語。変だよ」

 

「知ってる」

 

「あははっ なにそれ」

 

乗り気ではないが普段から仲がいいのもあり、自然と会話は途切れることは無かった。

偶にはこんなのもいいかなんて、素直じゃない感想を抱きながら隣人に合わせゆっくりと坂を下っていく。

 

「最近さー変な奇病が流行ってるらしいから気を付けてね」

 

「奇病? …あーなんか急に意識が無くなって動けなくなるってやつ?」

 

似たような内容をニュースで聞いたのを思い出すが多分それの事だろう。

なんで今言い出したかはわからないが。

 

「たしか原因不明なんだっけかそれ」

 

「そうそう怖いよねー〈原因不明〉なんて」

 

そう言う割には微塵も怖がる素振りを見せないが。そんなセリフをすんでのところで喉に留める。

また睨まれてはたまったもんじゃない。美人が怒ると怖いのだ。

 

「明は色々と中途半端だから気を付けた方がいいよー? 急にバッタリ倒れちゃうかも」

 

「おい、どんな理由だそれは」

 

普段の帰路よりも会話が多くのんびりと進んでいたが、気が付くと目的地である五差路へとたどり着いていた。

どんな場面でも楽しい時には時が過ぎるのが速いというのは共通なようだ。

 

「もうここまで来たのか思ったより歩いてたんだな」

 

「だね、なんかいつもより早く着いた気がする」

 

その場で軽く2,3話した後軽ーい感じで別れを告げる。

 

「じゃあ俺こっちだから また明日な」

 

「うん、またねー♪」

 

ちらりと後ろを向くと小さく手を振っている彼女に手を振りかえすと

先ほどまで彼女に合わせ押していた自転車にまたがり走り出した。

 

 

 

「…そう、君みたいな〈中途半端な立ち位置〉の人は狙われやすいんだから、ちゃんと見ててあげないとね」

 

 

 

そのまま自転車に乗った彼が遠ざかるのを確認すると、踵を返し暗がりへと消えて行った…

 

 

 

 

 

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