奇妙少年スタンドつねよし   作:夢六

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 思い付きの見切り発進。

 一応設定(スタンド使いが海鳴にいる理由、天敵とは何かetc)と最後は決めていますが骨組みだけなので亀更新になると思います。

 それと“ゴリ押し”“『ゃ』『ぁ』『ぇ』など小さな文字の多用”“『――』『“”』『・・・・』なども多用”

 それ以外も不快に思われる部分が出てくるかもしれないのでお気をつけください。




ダイヤモンドを叩き割れ その1

 海鳴にはこんな噂がある。

 

 

 曰く、幽霊がいる。

 

 

 曰く、それは人に憑りついている。

 

 

 曰く、憑りつかれた者は超能力を使える。

 

 

 曰く、その幽霊の事を総じて――『スタンド』と言う。

 

 

 

 

 

 これは海鳴を舞台に繰り広げられる”魔法少女”と”スタンド使い”の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おうおうおうおうおう、人にぶつかっておいて”すみません”だけで済むなんて思ってんじゃぁねえだろうな」

 

 俺、千場(せんば) 常善(つねよし)には今巷で噂の”スタンド”が憑いている。スタンドが憑りついた、正確に言うならば”発現”したのはスタンドの噂が広がり始めた高校一年の頃。

 最初こそ驚き恐怖したが、それが自身に危害を与えるモノではない、むしろ有益とわかり喜んだ。

 スタンドは他人には見えないと言う特性があるため、やりたい放題な訳だがそうしなかった。正確には出来なかった、させてもらえなかった。

 ”Do you understand”が口癖の先輩に”きつく”言われていた。

 それはもう一つのスタンドに纏わる噂が関わってくる。

 

 

 曰く、スタンドには天敵がいる。

 

 

 曰く、スタンドの能力を使った者はその天敵に殺される。

 

 

 曰く、天敵にはスタンド以外の超能力がある。

 

 

 そしてその噂とやらが真実なのだ。それがスタンドなのか、それとも別のナニカなのかは不明だがスタンド使いを襲う化物がいる。

 何人かのスタンド使いを集め大々的に暴れようとした時にソイツは現れ、スタンド使い達を文字通り瞬殺したそうだ。

 それの生き残りが先輩だ。命からがら逃げ延びたらしい。

 故にスタンドで好き放題しようとしていた俺を全力で止めたと本人は言っていた。

 半信半疑だが先輩の顔の青ざめ方を見れば従わざるを得ない。先輩のスタンドの能力を考えると“擬装”の可能性は拭えないがそこは色々と指南してくれたので従う事にした。

 

「はんっ、今度からは気をつけるんだな!」

 

 結果、チンピラにボコボコにされ道に転がされる事になる。

 スタンドなんて持っていたところで大っぴらに使えないなら意味をなさない。精々、家で手の届かない所にあるリモコン取るくらいだ。

 俺のスタンドは細かい作業、正確に言うならば精密動作が壊滅的で、更に無駄に力が強いためリモコンなんて取ろうとした日にゃぁリモコンがゴミに成り果てる。

 能力の方はかなり使える部類に入るが、日常のしかも一目につかない所で、と条件付けられるとさほど使えない。

 自分だけの力を手に入れたのに”一般人”でいなければならないなんて最悪だ。

 

 いっその事、死を覚悟に暴れてやろうか、ワンチャン勝てるかもなんて思っていると電話が鳴った。

 

「もしもし」

 

『――最初に言っておく。これは冗談でも茶化しでもエイプリルフールでもねぇ。一字一句聞き漏らすんじゃぁねぇ』

 

「は? いきなりなんすか」

 

 電話の相手は先輩だった。何時もの”鏡に映った僕ちんかっこうぃ”みたいなふざけた雰囲気ではない。何事かと聞き返すも焦った様子で一方的に話続けた。

 

『天敵を覚えているな? そう、俺達スタンド使いの天敵だ。スタンドを使わない、超能力者。

 勝てるわけがねぇ、それで温厚なら話は別だが実際は”超好戦的”だ。それもスタンド使い限定のな。

 理不尽だし、腹も立つ。でもよぉ、良ぉく考えたら奴は”暴れようとした奴””悪事を働こうとした奴”しか襲ってねぇんだ。証拠にお前も俺も生きている。

 だから俺も納得したしスタンドを悪用するなんて思わなかった。

 でもそれで”はい、そうですか”なんて我慢出来る奴ってのは少数派だ。今か今かと天敵の”隙”を狙ってやがる

 そしてどうしてそうなったか、何故そんな状態に陥ったのか、理由は定かでは無いが今、この海鳴には()()()()()()

 

「えーと、どう言う?」

 

『馬鹿かてめぇは! 天敵と言う歯止めがねぇ今、悪意のあるスタンド使い達が暴れるかもしれねぇって事だよ! ドゥーユゥーアンダスタンンンンドゥ!?』

 

「いや、そんな凄まれても困るんスけど」

 

『兎に角、気を付けろ。”スタンド使いは惹かれ合う”俺とお前が出会ったようにな。Do you understand?」

 

「あ、I understood it」

 

『上出来だ』

 

 丁度、電話が切れた時だった。眼鏡をかけた背の低い少年が通りすぎた。何処にでもいるような特徴も何も無い少年。

 

 

 

 

 ――まさか、後にこの少年と敵対するなんて鐚一文も思わなかった。

 

 だってそうだろ? すれ違っただけなんだぜ?

 

 まぁ、相手はそうじゃなかったみたいだが――

 

 

 

 

 

「見つけたよ、千場常善」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先輩が何故あれ程に焦っていたのかを考えていた。

 天敵相手で言えば確かに先輩は雑魚でしか無いがそれ以外、つまりスタンド使いの中ではトップに入るレベルだと思う。

 他にどんなスタンドがあるかは知らないが、初見で先輩を倒すのは俺には無理だ。断言出来るほどの能力を先輩のスタンドは持っている。

 故にわからないのだ。あそこまで焦る理由が。

 俺自身、そこまで頭が回る方じゃない。その理由を探ったところで、ましてや天敵不在について考えた所で意味は無い。無駄だ。

 

 思考結果、こうなった。

 

 必要以上に頭を使い疲れた俺はフラッと喫茶店に寄った。見た目は何処にでもありそうな喫茶店。

 

「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」

 

「 」

 

 言葉を失った。

 

 俺を出迎えたのは店員と言うには若すぎる、どちらかと言うとバイトをしている高校生くらいの少女だった。

 此方に振り返った時に揺れた茶髪のサイドテール。誰でもない、俺に向けられた笑顔。全てが美しい。

 

 なるほど、これが――

 

「――女神か」

 

「えーと、お客様?」

 

「あ、あぁすみません。一人です」

 

 不思議そうに首を傾げていた少女に連れられ、満員と言う事で相席へ案内された。そこにいたのは眼鏡をかけた背の低い少年だった。

 珈琲とケーキを注文し、先程の可愛らしい少女を眺めていると不意に話し掛けられた。

 

「可愛いよね、彼女」

 

 気の弱そうな”可愛いよね”なんて言いそうもない少年から、その言葉が出てきた事に驚きワンテンポ遅れながらも返事をした。

 

 ”俺の人生の中で一番の美少女だね。お近づきになりてぇが……まぁ無理だな”

 

 ”いやいや、案外いけるかもよ?”

 

 なんて話してる内に気を許しても良い、友達と言っても過言ではない程度には仲良くなったと俺は思っていた。

 

「ところで、その彼女に危険が迫ったら君ならどうする?」

 

「急に何だよ。……そうだな、俺に出来る範囲ならその”危険”とやらをはね除けるかな」

 

「それを聞けて良かった」

 

 俺の返答に満足したのか少年はニッコリと笑い、何の躊躇も無く手にしたフォークを彼女へと投げ付けた。

 考える前に体が動く。正確に言えばスタンドが動いく。

 俺の体から幽体離脱するように飛び出したスタンドは一瞬で飛翔するフォークを叩き落とした。

 

 何をする、と言おうとしたところで異変を感じる。眼鏡の少年の背後から尋常じゃない()()()が発せられていた。

 

「これで確信した。千場常善は()()()使()()だ。しかし……全力じゃないにしろ僕のスタンドの投擲に追いつくとは……やはり”奴”の関係者なだけはある」

 

 突然立ち上がる少年。何故、彼女に向かいフォークを投げつけたのか。何故俺の名前を知っているのか。そんなチャチなことはどうでもいい。

 ここで俺が聞かなければならない事は一つだけ。

 

「おいおい、今、何て言った? スタド使いっ聞こえたんだが……もしかして、ひょっとして、いや、聞く必要もねぇか」

 

 先輩からの警告、凡そ人では出せない速度での投擲、オーラ、そして彼から感じる敵意。

 

 疑う必要もない。”隙”を狙っていた”過激派”のスタンド使いに違いねぇ!

 

「その顔、やっと状況を把握したようだね。僕の名前は(くれ) 永治(えいじ)、そしてこれが僕のスタンド『クレイジー・ダイヤモンド』! ここは無関係の人が多い、場所を変えよう」

 

 

 スタンドが発現し約一年、初めてのスタンドバトルを知らせる鐘が鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――のと同時にもう一つの戦いが終わっていた

 

 

 

 

 

 

「胸糞わりぃぜ。確かに俺を俺だと判断するのは並大抵の事じゃぁ出来ねぇ。だがよぉ、だからって関係無い奴を殺して俺を誘き寄せるなんてナンセンス過ぎるぜビチグソが! 一応、殺しはしないが四肢は()()()()もらうぜ」

 

「まっ、待ってくれ! 俺は金で雇われただけなんだ! 見逃してくれ、知ってることは全部話す、話すから!」

 

 人気の無い路地裏、高校生とオーバーオールの男がいた。

 オーバーオールの男の方は血だらけで所々黄色い肉片のような物が付着し、そこからも血が出ている。

 何処からどうみても高校生がオーバーオールを倒した後の光景である。全力で戦い、結果オーバーオールは負けた。不意討ちで準備も整えたにも関わらずに、だ。

 不意討ちが失敗してもなお、オーバーオールは正面から立ち向かい、そのまま叩きのめされた。

 完全敗北とはこの事。誰が見てもオーバーオールに勝目はない。自身もそれを認め、命乞いをしている。

 

 だがこの男、腹の中では高校生が何時か見せるであろう”隙”を狙っていた。

 

 男、灰野(はいの) 塔蔵(とうぞう)には自信があった。自分のスタンドである『タワー・オブ・グレー』はパワーこそないがそれを補えるだけのスピードが備わっている。現に今までに二人のスタンド使いと対峙したがその両方を勝利で収めていた。

 故に灰野は負けを認めない。

 

(こいつのスタンドは確かに強力だ。だが油断をしている! 俺に闘志がないと、負け犬だと思っていやがる。 証拠にスタンドを()()()いやがらねぇ! チャンスだ、次に奴が口を開けたらそこに俺のスタンドを突っ込み舌を引きちぎる! それでしまいだぜ!)

 

「な――」

 

 ――らまずはてめぇみたいなビチグソを寄越した主犯は誰なのか、と聞こうとしたところで灰野が動いた。

 

「貰った! タワー・オブ・グレー!」

 

 灰野の陰から現れたクワガタムシの形をしたスタンド、タワー・オブ・グレーが目にも止まらぬ速さで高校生の口へ飛び込んだ。

 そして高校生の後頭部をぶち抜き飛び出した。タワー・オブ・グレーの顎には思惑通り舌が咥えられている。

 

「やった! 倒したぞ! この灰野塔蔵が勝ったぞ! 見ろ、血を流して倒れてやがる。疑う余地もねぇ! 俺の完全勝利、これで百万円は俺のもんだぜ、ひゃひゃひゃ!」

 

「間抜け過ぎてかける言葉もねぇ。脳の代わりに馬の糞でも詰まってんじゃぁねぇのか?」

 

「――あ?」

 

 跳び跳ねて喜んでいた灰野の背後で声がした。灰野は動きを止めてゆっくりと振り返った。

 

(おいおいおい、何でてめぇが立ってんだ? てめぇは今しがたド頭貫かれて死んだだろ! 偶然、貫き所が良くて生きていたとしても舌がなけりゃぁ喋れないだろうが! くそったれ!)

 

「なるほど、本当に馬鹿なようだな。人間以下のクソなお前のために説明してやるよ

 俺のスタンド『イエロー・テンパラス』は言わば肉の鎧、纏う事で絶対的な防御を持つスタンドだ。加えて肉の鎧化したイエロー・テンパラスは様々な姿に変化出来る。老若男女自由自在だ。一度変身してしまえば俺を俺だと判断するのは困難だ

 だからこそお前は無差別殺人と言う手で俺を誘きだした」

 

「それがなんだって言うんだ! 俺が知りたいのは()()のてめぇがどうやってタワー・オブ・グレーの攻撃を凌いだのかって事だけだぜ!」

 

「まだ気付かないのか? 今、俺は()()()()()()

 

「そんなわけはねぇ! だったらてめぇの足元に待機しているスタンドは何なんだ!」

 

「……馬鹿も大概にしな。変身に使っていない部分をこうやって、これ見よがしに出してりゃこの状況になるだろぉがドアホめ」

 

「……!?」

 

 灰野はそんな単純な罠に引っ掛かったのかと驚愕した。と同時に自分の馬鹿さにも驚愕した。

 

「ちっ、しかたねぇ! 一先ず退散だ!」

 

 今度は勝てないと判断し、灰野はその場から逃げようとした。

 

「無駄だ。見ろよ、周囲には既にイエロー・テンパラスを散りばめておいた。後はてめぇに向かって四方八方から飛ばすだけだ。逃げ道はねぇ! ドゥーユゥーアンダスタンンンンドゥ!?」

 

 

「あ、あああァアアアア!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 スタンド名、タワー・オブ・グレー

 

 本体名、灰野 塔蔵

 

 

 

 四肢を失い再起不能(リタイア)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 次回はvsグレイシーダイヤモンド。

 はたして主人公のスタンドとは




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