イタチとキラー・ビーと一緒にダンジョンを一時間くらい潜り続けていると地下十八階層まで辿り着いた。
地下十八階層はモンスターが出現しない上に天井にある水晶群が光を放っているため地上のように明るく、その事から「迷宮の楽園」と呼ばれているそうだ。
そしてこの迷宮の楽園には、ここに来てそのまま居着いた冒険者達が同業者相手に商売をしている「リヴィラの街」というのがあるらしく、俺達三人は休憩を兼ねてそのリヴィラの街へ向かうことにした。
「ここがリヴィラの街か……。随分と活気があるんだな」
リヴィラの街の中を見回してみると、そこら中から露店を開いている冒険者が同じく冒険者の客に威勢の良い声で売り込みをしている光景が見えた。こうして見るとここがダンジョンの中だとは思えないな。
「ここは下の階層で手に入ったアイテムを売る冒険者も多いですから、物価は地上に比べてずっと高いですけど掘り出し物も結構ありますよ」
リヴィラの街を案内してくれているイタチが耳よりな情報を教えてくれる。へぇ、そう言うことだったらベル君やヘスティア様のお土産をここで探しても良いかもしれないな……って、ん?
「……なあ、イタチ? キラー・ビーはどこに行ったんだ?」
「え? ……そういえば」
気がつけばさっきまで一緒に歩いていたキラー・ビーの姿がどこにもおらず、イタチと二人で辺りを見回してみると……少し離れた場所に人だかりができていて、そこから何やら聞き覚えがある声がしてきた。
「俺様が♪ 八尾がサビのキラー・ビー♪
リヴィラの街で♪ 突然ビリビリ電撃ライブ♪ ウィー!」
「「ウィー!」」
キラー・ビーの右腕を掲げながら言った言葉に何人もの冒険者達が同じく右腕を掲げながら叫び返す。ああ、なるほど。リヴィラの街に来て大勢の冒険者達を見つけたからゲリラライブをしようと思ったわけね。
……しかしこう思ってはキラー・ビーに失礼なんだが、NARUTO時代の不人気さを知っている身としてはあの人気ぶりは見ていて寒気がするんだが?
「キラー・ビーの奴……。ああなったらしばらくここを動かないぞ? どうするイタチ? ……って、イタチ?」
ノリノリでライブを始めたキラー・ビーを見て俺はため息をつきながらイタチに話しかけようとしたが、そしたら今度はイタチの姿が見えなくなっていた。
「あ、あの! 『魔眼』のイタチさんですか!?」
「ええ、そうですが?」
「やっぱり! 私達、イタチさんのファンなんです! サインを書いてもらえませんか?」
「あっ、ハイ。それは構いませんが……」
「………」
イタチを探していたらイタチの奴、女性の冒険者達に囲まれてサイン攻めにあっていた。
まあ、イタチは顔も性格も良くて、ここで三人しかいないLv.7の冒険者だもんな。しかもNARUTO時代の悪い噂はここに来た他の忍者達のお陰で真相が知られているみたいだし、そりゃあ人気も出るよな。
「しかしイタチもキラー・ビーもしばらくここから動けないとなると俺はどうしたら……え?」
「やっと見つけました! 何をこんなところで油を売っているんですか!?」
イタチもキラー・ビーもそれぞれファンに囲まれているのでその間どうしようかと考えていると、突然誰かに腕をとられてしまった。
俺の腕をとったのはまだ若いエルフの少女で、その細い腕からは想像できない力強い腕力で俺を引きずるように走っていく。……え? いや、この子誰?
「ちょっ!? ちょっと待ってくれ! 君は誰だ? 人違いなんじゃ……?」
「いいから走ってください! もう集合時間はとっくに過ぎているんですからね!」
俺はエルフの少女に人違いだと言うのだが、エルフの少女はよっぽど急いでいるのか俺の言葉に耳をかそうとせず走り続ける。
いや、本当にこの子誰? 俺は一体どこに連れて行かれるんだ?