パート1
激闘を乗り越えた次の日。
8月7日。
この日の午後、俺と総二は曽クラブギルディと戦ったショッピングモールに来ていた。
クラブギルディ…昨日の事を鮮明に思い出させる。
だが、今回、俺と総二がここに来た理由はそれを思い出させる事ではない。
明日、8月8日は俺の友達であり総二曰く親友の津辺愛香の誕生日なのだ。
同じクラスメイト、同じツインテール部、何より侵略者軍団アルティメギルから世界を守る正義のヒロイン(本当はヒーローが良かったが)集団ツインテイルズの仲間の誕生日、何かプレゼントしてやりたいと思った俺は、愛香の片想い相手のツインテール馬鹿の総二と一緒に買い物に来ていると言うわけだ。
それに、総二を狙うヒロイン候補は何人かいる。異世界から来た変態科学者、トゥアール。生徒会長とロリ、そして変身するとM属性が足される慧理那先輩。オマケ程度の尊先生。だが、俺個人としては愛香を応援している。
理由は、幼馴染みどうしの方が何かとドラマチックだし、何より、愛香の方が総二へと思いを募った日々は長いと思うんだ。
だから、応援する。
その一つとして、総二自身から愛香へプレゼントを渡すという事をしてもらう。
そんな事をしていれば、このツインテール馬鹿でも、いつかは愛香の気持ちがわかると思うんだ。
そんなこんなで、愛香に贈るプレゼントを探しにショッピングモールまで来たって訳。
ショッピングモールで俺と総二が各々にプレゼントを選ぶ。
総二は髪留めのコーナーに、俺は手鏡のコーナーにてそれぞれプレゼントを選ぶ。
そして、俺と総二はプレゼントを買って総二の家に向かったのであった。
帰る(総二からしたら)途中…
歩きながら
「輝跡は何買ったの?」
と総二が聞いてきた。
「俺は、青い手鏡。総二は?」
「ツインテールを結ぶ為のアクセサリー付きの髪留めだよ」
「へー」
とそんな感じの会話をしていた。
そして、総二の家が目の前に差し掛かった時…
俺と総二は何かに引っ張られた。いや、引っ張られたというよりも吸い込もうとしていると言った方がいいのだろうか。吸い込もうとしている方を見ると、アニメとかでありそうな黒い渦巻きがあった。
「そ、総二!なんだよあれ!!」
「俺が聞きたいよ!!」
空中にある黒い渦巻きは何故か俺と総二だけを吸い込もうとしているように見えた。
買い物を始めたのは午後から。現在は夕方。人通りは無いこの通路にて助けを求めても、こんな非日常的な事に好きで首を突っ込む人なんかいないだろう。一部例外を含むが。増してや人がいないのだ。誰も助けてはくれないだろう。
何とかその場で踏ん張っていた総二と俺はその引力に少しずつ引っ張られてしまい、そして…
黒い渦巻きの中へ入ってしまったのだった。
帰りが遅い総二向かえに行った愛香とトゥアールは総二の家の近くにラッピングされた箱を二つ見付ける。
愛香とトゥアールは、そのラッピングされた箱の持ち主が総二では無いだろうかと考え始め、そして、トゥアールが何やら調べ始める。
そこからわかった事は…二摘輝跡と観束総二がこの世界から消えた…いや、別の世界に行ってしまったということだった…
愛香の誕生日会まで…残り24時間
目を覚ますと、凄く寒かった。
「寒!!」
半袖、薄着の俺にとってはとても寒い。
立ち上がり回りを見渡す。
何処かの家だろうか、その家の裏側にいるようだ。それと、先程から息か白い。どうやら相当空気が冷えているようだ。
「ん…ここは」
いつの間にか隣で寝ていた総二が起きる。
「わからねぇ…でも、取り合えず、寒い…」
その言葉を聞いた総二も寒さに気が付いたのか震え出す。
「と、取り合えず、そこの家に暖を取らせて貰おうぜ?」
「そ、そ、そうだな…」
とここで、俺はあることに気が付く。確かに俺は半袖である。だが、半袖なのに対して服がブカブカ、靴も、ズボンもブカブカである。
そして、総二の方を見てみる。
「あ、あれ?そ、総二…お前幼くなってねぇーか?」
少し震えながらも、総二の顔が若干幼くなっているように見える事を指摘してみる。それに、良く見ると総二も服とかがブカブカだ。
「そ、そういう輝跡こそ…」
ここで俺達は気付く。
「「小さくなってる!?」」
そう。小学生とは言わないが、中学生程度の若さになっているのだ。
「ととと、兎に角、暖を…」
と言って俺は家の前方の方へ歩いて行き、玄関らしき所に立ち何回かノックする。
「す、す、す、すみませーん」
しかし返事が無い。
「なあ、輝跡…別な所に行った方が…」
と後ろからついてきた総二が言おうとした時だった…
「あのー、家に何か用ですか?」
その声の主の方を見る。そこにはジャージを着た小学生程度のツインテール少女だった。
少女を見た(具体的にはツインテールを見た)俺と総二は…
「「なんて素晴らしいツインテールだ」」
と言葉を漏らした。
それを聞いた少女は頭の上にクエスチョンマークを出して首を傾げる。
そして、俺は自分と総二が言った馬鹿発言に気が付く。
「馬鹿野郎!!今はそんな事を言ってる時じゃねーよ!」
何処かの良く裏切る誰かさんのように罵倒した後、俺は今の状況を思い出す。
「そ、そうだった!ねえ、君、ここはどこだい?」
「ここ?ここは大島だよ」
「大島って確か東京都の島だったような…あ、後、今、何月かわかる?」
「え?1月だけど?逆に聞いていい?」
「なんだ?」
「私の家の前を薄着でなにしてたの?」
う…ここは、嘘よりも、真実を言った方がいい。
「実は俺達、変な黒い渦に巻き込まれて、気が付いたらここにいたんだよ。で、薄着の理由は、渦に巻き込まれる時、夏だったからなんだ」
「輝跡の言う通りだ」
少し悩み始める女の子。そんな事を言っても、普通なら、増してはこんな小学生の女の子が信じるはずが無い。それに、家の前に夏服(ブカブカな)を着た男二人が立っていたら直ぐ様110に連絡してしまう可能性がある。
「わかった。お爺ちゃんに伝えれば何とかなるかもしれない」
ん?
何か進展があったか?
「お二人さんは別の世界から来たって事でいいんですよね?」
「え…ええと…まぁ…そうなる…かな…」
このツインテール少女…俺らより頭良いかも知れねぇ。だって、俺達は黒い渦に巻き込まれたこと、そして、夏だったのにいきなり冬になっていることしか言ってない。
そこから推測したのか!?
「そういったことはお爺ちゃんが詳しいから家に上がっていてください。ストーブもつけますんで」
な、なんて優しいツインテール少女なんだ!
あ、そうだ…
「名前、聞いて無かったね。俺、二積輝跡」
「俺は、観束総二」
「輝跡さんに総二さん…ですね。私、一色もも、と言います」
「ももちゃん…でいいのかな?」
「はい!」
と俺達に心強い人が(小学生位だけど)味方になった。それに、この人のお爺さんが何か知ってるみたいな口振りだしね。
けど、俺と総二の頭の中では…
((相変わらず素晴らしいツインテールだ))
と結論付けていた。
そんな結論を付けた時だった。
何やらサイレンのような音が聞こえ始めたのだ。このサイレンは、パトカーとか救急車とかでは無く、空襲とかに知らせるために町中から流すようなサイレンだ。
「え!?もしかして…アローン!?輝跡さん!総二さん!早く家に入ってください!」
「何がおきるんだ!?」
俺は咄嗟にももという女の子に質問した。
「正直な所、わかりません…」
と、その時、爆音が聞こえた。爆音が聞こえた方向を見る。
見張らしがいいこの家からは海が見えた。だが、海に浮かんでいるものは穏やかな物では無かった。
戦艦が何隻も浮かんでいるのだ。そして、砲弾を何発も撃っていた。
その撃っている方向には…
黒い菱形の飛行物体が浮かんでいた。
黒い菱形の飛行物体に戦艦から撃たれた砲弾が命中するが、掠り傷すら無い。黒い菱形の飛行物体の角から光が放たれる。その光は放物線を描きながら戦艦に当たって行き、戦艦は光が当たった場所から爆発が起きていた。
俺と総二はその現実離れした光景に目が焼き付きになっていた。
「やっぱり…アローン…早く!輝跡さん!総二さん!」
この時、ももの声は俺と総二には聞こえなかった。
(…あの菱形…なんて事を!!)
俺はその無惨な光景に怒りが湧いていた。
~総二の心情~
(あの菱形野郎!こんな素晴らしいツインテールを脅えさせやがって!!)
俺は総二が唇を噛み締めて怒りを表している事に気が付いた。
そう、俺と総二の答えは決まっていたのだ。
俺と総二はタイミングを同じにして走り出す。
「ちょ!?何処へ行くんですか!?」
ももの声が聞こえる。だが、振り向いている余裕は無い。
「ももちゃんは安全な所に!!」
俺は気休め程度に走りながら言う。
道なりに走って行くうちにいつの間にかあの家が見えなくなっていた。
場所はちょっとした住宅地。だが、殆どの人が避難したのか、人の気配がしなかった。
「いくよ!総二!!」
「おう!」
「「テイルオン!!」」
二人で右手を翳し、変身する。
光に包まれた俺と総二は、ツインテールの戦士、テイルレッドとテイルエアーに姿を変えて走り始める。
先程よりも強化されて張力を使い黒い菱形の飛行物体のある方向へ向かった。
…向かったのだが、黒い菱形の飛行物体は空に浮かんでいる。しかも、その浮かんでいる場所が海の上。
俺とレッドは海岸まで来て万策に尽きていた。
確かに、レッドと俺は空を飛ぼうと思えば飛べる。だが、それは制限時間がある。しかも、菱形の角から放たれる光の量が半端無い。あの弾幕をくぐり抜けるのは難しい。普通に空を飛んで行くのは自殺行為に等しい。だったら、どうするか…
取り合えず、海岸にいるよりも、菱形の近くにある大きな橋に向かう事にした。
「レッド、あの橋に向かおう」
「ああ。そうだな」
俺とレッドはそう言って橋に向かった。
その傍ら俺は横目で菱形と戦艦の戦闘を見る。
どうやら、戦艦だけでは無く、戦闘機も参戦し始めたようだ。だが、戦況は非常に良くない。
次々に撃墜される戦闘機。
それを俺は苦虫を潰したような表情で見ていた。アルティメギルでもこんな事はしない。
確かに好きという気持ちが無くなってしまうのはとても辛い事だ。それは死ぬと同意義だと思う。でも、死んでいい訳が無い。撃墜された戦闘機からパラシュートみたいなのが見える。そこから、戦闘機に乗ってた人達が脱出しているのがわかる。撃沈された戦艦からも小型のボートが沢山近くに浮かんでいる事から脱出出来ているのだと思う。でも、下手をしたら死んでしまうようなこの光景。
俺はただ、この酷い光景に…いや、あの黒い菱形飛行物体に怒りがあった。人を殺す気で攻撃しているのだから。殺す気なら、此方は抵抗する。それが人間だ。ただただ、抵抗している…それだけだ。
俺とレッドは走る速度を維持しながらなんとか橋まで辿り着いた。
「で、これからどうするんだ?イエローみたいに遠距離攻撃は出来ないし、ブルーみたく投てき出来ないぜ?俺ら」
「うーん…」
シャーマは飛べるし、ザインも岩とか飛ばして攻撃出来るかもしれない。でも俺やレッドには遠距離攻撃の手段や飛ぶ手段は…一応あるけど奥の手として取っておきたい。そうなると…
ここで、俺はブルーを思い出す。そして…
「壱武装!アロンダイト!!」
俺は黄緑色のフレームの眼鏡をかけてアロンダイトを出現させる。
「何か策があるのか?」
「アロンダイトのビーム刃じゃ無い方でレッドを野球ボールみたく飛ばす」
「はぁ!?」
俺は思いっきりアロンダイトを野球選手のバッターみたく振りかぶる。
「おいおいおい!!正気か!?」
「タイミング合わせてね!振りかぶった瞬間にアロンダイトのビーム刃じゃ無い方を足場にして思いっきり飛んで!!」
「無茶言うなよ!!」
「大丈夫!行くよ~」
「他に選択肢は!?」
「問答無用!!逝っけーーーー!!」
「慈悲すらねぇ!?」
思いっきり振りかぶったアロンダイトを足場にして、テイルレッドを空の彼方に吹っ飛ばす。
そして、テイルレッドは黒い菱形飛行物体の方向に飛んでいき、姿が見えなくなる所までとんで行ってしまった。
「ふぅ…なんだろ…なんかスッキリした」
リア充(仮)を吹っ飛ばしたためか、スッキリした気分になっていた。
そんな気分を味わっていた時、俺の立っている橋の近くで黒い渦が発生した。
その渦は、俺と総二を吸い込んだ物と瓜二つ。だが、その渦は出現したと思ったら、渦から大量の白い全身タイツの変態と、まるでトカゲをモチーフにした白い怪人が出てきて、渦は消えた。
その色は違うが、全身タイツとトカゲの怪人には見覚えがあった…
「り…リザドギルディ!?」
そう、俺とレッドが始めて戦ったエレメリアン、リザドギルディと瓜二つなのだ。
驚く俺。そんな俺を他所に白いリザドギルディと全身タイツの戦闘員は周りをキョロキョロと見回した後、俺に気が付いた。
「…この世界の戦士か…だが、データではこんな戦士はいなかったはず…まあ、良い。ここで潰せばな」
俺は直ぐに気が付いた。こいつは…リザドギルディじゃない…いや、エレメリアンじゃ無いと…。
「行け!ザレドロイド達よ!あの者を消し去れ!!」
「「「「ギャレーーー!!」」」」
白い全身タイツの変態共はアルティメギルの戦闘員とは違う声を発しながら、俺に襲い掛かってきた。俺は咄嗟に両腕で顔を守るようにガードをする。この時、壱武装は解除していた。
迫ってくる戦闘員。
だが、戦闘員達は俺に拳を振るう寸前、銃声がした。見ると拳を振るおうとした戦闘員達の体からバチバチと火花を散らしていた。
銃声は止まず次々と戦闘員を倒し、光にしていく。
「な!なんだ!?」
白いリザドギルディが銃撃を行ったと思われる方向に対してそう叫んだ。
その方向を見る。そこには、銀色の壁があった。先程、そんな壁は無かったのに…。
その壁はまるで後ろに下がるように移動し、中から一人の青年が現れる。その青年は右手にカードホルダーを銃のように持っている赤いジャケットを着た青年だった。しかし、その青年は、光に包まれ、一瞬にして小さくなり、中学生程度の身長になってしまった。
「…これが、この世界での姿か…」
赤いジャケットを着た青年だった少年はそんな事を呟いた後、そのカードホルダーから一枚のカードを取り出す。
「取り合えず、多勢に無勢は目に余るんでな。可戦させてもらう……変身…」
そう言って赤いジャケットを着た青年だった少年(この言い方長いな…)はカードを腰にいつの間にか付いていたベルトに入れた。
そして、ベルトを閉じた。
《KAMENRAID DECEDE》
と電子音が響き、幾つかの残像がその赤いジャケットの少年(略しました)に重なり姿を変える。その姿は、まさしく…
「仮面ライダー…」
仮面ライダーだった。俺はつい声を出してしまう。
仮面ライダーになった少年は先程の青年と殆ど同じ身長になっていた。
「き、貴様!何者だ!!」
白いリザドギルディに聞かれる謎の仮面ライダー。
「俺は…通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておかなくていい」
そう言って謎の仮面ライダーは白いリザドギルディに向かって走り始めた。
俺と、廻周りの白い戦闘員達もそれをただただ見ていた。