神々の戦争   作:tuki21

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第122話:旅人の巡礼

 神々の戦争のバトルフィールド内、そこで対峙する二人。

 岡崎和輝(おかざきかずき)とサラ・アクエリア。

 すでに二人の胸元には宝珠が輝き、戦いを告げる言葉は放たれた。

 ならば後は、雌雄を決するのみ。

 

 

和輝LP8000手札5枚

サラLP8000手札5枚

 

 

「あたしの先攻。あたしのフィールドに魔法、罠カードが存在しないから、手札から彼岸の悪魔 ガドルホックを特殊召喚。同じ条件で、手札から彼岸の悪鬼 スカラマリオンを特殊召喚」

 

 早々に、サラのフィールドに二体の悪魔が現れる。

 黒い体躯、溶岩が何かの間違いで人型を取り、動き出したような外観、赤い瞳、短い角、振り上げるハンマーのような拳の悪魔――ガドルホック――。その傍らに現れる銀色の総髪、仮面を被ったような顔、翼、刀剣類のように長い爪を持つ悪魔――スカラマリオン――。

 

「彼岸、か……」召喚されたモンスターたちを見て、呟く和輝。

「知ってるカテゴリー?」水を向けるロキ。和輝は首を横に振った。

(エクシーズ)モンスターの、ダンテは有名だが、他は詳しくは知らない。ただ、ほとんどの彼岸モンスターは今みたいに自分のフィールドに魔法、罠が存在しない場合に手札から特殊召喚できる効果と、彼岸以外のモンスターが自分の場にいれば自壊する共通効果を持っていたはずだ」

 

 それ以上は知らない。と言って締めくくる和輝。サラはクスリと口元だけで微笑を浮かべる。

 

「見ていればわかるよ。あたしはガドルホックとドラゴネルでオーバーレイ。二体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚」

 

 サラの頭上に、渦巻く銀河のような空間が展開される。二体の彼岸モンスターが紫の光に変換されて、頭上の空間に飛び込んだ。

 虹色の爆発が起こる。

 

「彼の旅路はここから始まる。九つの地獄と七つの煉獄がお前を待っている。いざ歩け、彼岸への道筋を。煉獄の旅人 ダンテ、守備表示!」

 

 爆発の向こうから現れたのは、頭に月桂樹の冠を被り、シンプルな赤い衣装に身を包んだ青年。その顔には決意と悲壮が張り付いており、これからの彼の旅路を暗示させる。その周囲に衛星のように回る二つの光の玉、即ちORU(オーバーレイユニット)

 

「ダンテの効果発動。ORUを一つ使って、デッキトップから三枚を墓地に送り。そして攻撃力を1500アップ」

 

 サラのデッキトップからカードが三枚、墓地に滑り落ちていく。それらは旅人の結彼岸、彼岸の悪魔 ドラゴネル、そして輝きの光来巨神テイア。

 

「神のカードが落ちたか!」

 

 さすがにこれは和輝にも予想外だった。確かにこの手の墓地肥やしのカードは、神のカードが手札に来る確率を上げてくれるが、墓地に行く確率も同様にある。

 

「ついてるね。神は総じて強力だが重い。そして特殊召喚できないものが多いから、一度墓地に落ちてしまえば回収にも手間がかかる」

 

 ロキの言うことはもっともだ。だが和輝に楽観はない。なぜなら神が墓地に落ちたというのに、サラも、その後ろで半透明でにこやかに笑っているテイアも、全く動揺していない。

 彼女たちは神が墓地に落ちたことを全く不利だと思っていない。これは油断できない。

 

「墓地に送られたドラゴネルの効果で、デッキから彼岸カード一枚をデッキトップに置く。これで分かったかな? 彼岸モンスターはセンパイが言った共通効果のほかに、墓地に送られた場合に固有の効果を発揮する。これは場所を指定しない。フィールドでも、手札でも、デッキでも、勿論、ORUでも。

 カードを一枚セットして、ターンエンド。そしてこのエンドフェイズに、ダンテのORUとして墓地に送られたスカラマリオンの効果が発動する。デッキからスカラマリオン以外の悪魔族、闇属性、レベル3モンスター一体を手札に加える。これで、あたしは魔界発現世行きデスガイドを手札に加える」

 

 

彼岸の悪鬼 ガドルホック 闇属性 ☆3 悪魔族:効果

ATK1600 DEF1200

「彼岸の悪鬼 ガトルホッグ」の(1)(3)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。(1):自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。(2):自分フィールドに「彼岸」モンスター以外のモンスターが存在する場合にこのカードは破壊される。(3):???

 

彼岸の悪鬼 スカラマリオン 闇属性 ☆3 悪魔族:効果

ATK800 DEF2000

このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。(1):自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。(2):自分フィールドに「彼岸」モンスター以外のモンスターが存在する場合にこのカードは破壊される。(3):このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。デッキから「彼岸の悪鬼 スカラマリオン」以外の悪魔族・闇属性・レベル3モンスター1体を手札に加える。

 

彼岸の旅人 ダンテ 光属性 ランク3 戦士族:エクシーズ

ATK1000 DEF2500

レベル3モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分のデッキの上からカードを3枚まで墓地へ送って発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果を発動するために墓地へ送ったカードの数×500アップする。(2):このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。(3):???

 

 

「俺のターンだ―――――」

「待って、まだドローしないで、センパイ。この瞬間、あたしの墓地にある輝きの光来巨神テイアの効果が発動する」

 

 ターンは移り、和輝の許へ。ドローしようとした矢先、サラが待ったをかけた。ドローしようとしたままの中途半端な姿勢で、和輝が止まる。

 

「テイアがあたしの墓地にある時、自分と相手のドロー前に、ターンプレイヤーのデッキトップを確認して、そのカードをデッキトップに戻すか、デッキボトムに置くことができる。さ、デッキトップ、つまり今ドローするはずのカードを、あたしに見せて。勿論、センパイは見ないで」

 

 ピーピングに、限定的なデッキ操作効果。直接的なアドバンテージには繋がらないが、自分のデッキの回転は良くし、相手のデッキの邪魔をするいやらしい効果だ。

 

「ごめんねー。人間ってさ、昔は目にものが映るのは、自分たちの目から光が投射されて、その光がモノに反射して、視覚情報として受け取れると考えていたらしいの。で、私はそんな、目から出ている光の神格化ってわけ。だから、この()()()からは逃れられないよ。君のデッキトップもね」

 

 サングラス越しなので確かなことは言えないが、テイアは今間違いなく油断のならない眼差しで和輝を見ていた。なぜか見えないのにそんな確信があった。

 

「地味だけど、面倒な効果だね」

 

 とロキ。神の強力な効果とやらの割には嫌がらせ特化だと、和輝は思った。

 

「……ほらよ」

 

 注意してデッキトップをめくり、カードをサラに見せる。サラは和輝がめくったカードを確認して、眉をひそめた。

 黒の魔導陣。面倒なカード。和輝は有名なので、彼がブラック・マジシャンをメインに据えたデッキを使っていることはサラも知っていた。

 そのうえで、嫌なカードを引き寄せる。そう思う。

 

「デッキの一番下において」

「分かった」

 

 とはいえピーピングとデッキ操作は一ターンに一度だけ。改めてカードをドローし、手札に加える。

 

「マジシャンズ・ロッドを召喚」

 

 和輝のフィールドに現れたのは、一振りの杖。

 宝珠を先端に、細かな装飾を施されたそれはブラック・マジシャンの杖に酷似しており、さらにその杖を、青白く発光する魔導師の影が手にしていた。

 

「マジシャンズ・ロッドの効果発動――――」

「させない。リバーストラップ、ブレイクスルー・スキル。これでマジシャンズ・ロッドの効果を無効にする」

 

 冷静に、サラはデュエルディスクのボタンを押し、伏せカードを翻す。これが通ればマジシャンズ・ロッドの効果は無効となり、和輝はロッドのサーチ効果を使えない。

 出鼻を挫かれる。だが和輝は慌てず、手札からカードを引き抜いた。

 

「なら手札から速攻魔法、イリュージョン・マジック発動。マジシャンズ・ロッドをリリースし、デッキから二枚のブラック・マジシャンを手札に加える。

 そして、マジシャンズ・ロッドがフィールドを離れたため、ブレイクスルー・スキルは対象不在で不発だ。つまり、マジシャンズ・ロッドの効果は問題なく発動できる。おれは永遠の魂を手札に加える」

 

 攻防の結果は和輝の勝利。サラは不満げに顔をしかめた。

 

「今までダウナーだったけど、年相応の反応は可愛らしくていいね」とロキ。和輝は隣の邪神に白い目を向け、

「軽口はやめろ。切り裂かれし闇を発動し、黒の魔術のヴェールを発動。1000ライフを払い、手札のブラック・マジシャンを特殊召喚する」

 

 和輝のフィールドに現れる、彼のデッキのエースモンスター。

 黒い魔導服、帽子から覗く端正な顔つき、宝珠がはめ込まれた杖、不敵な表情がその美貌に浮かんでいる。

 

「切り裂かれし闇の効果で、一枚ドロー。さらに融合を発動。手札のブラック・マジシャンとガード・オブ・フレムベルを融合!」

 

 和輝の頭上、その空間が渦を描いて歪む。その渦に、和輝の手札から飛び出した二体のモンスターが飛び込んだ。

 

「黒の魔導師は竜に導かれ、騎士の力を得る。新たな進化よ、今ここに! 融合召喚、竜騎士ブラック・マジシャン!」

 

 現れる新たなモンスター。

 緑色の体躯を持つ、雄々しく巨大なドラゴン。その背に立ち、威風堂々と佇むのは、魔導服を彷彿とさせる黒の鎧を身に纏ったブラック・マジシャン。攻撃力は3000。さらに場にいる限り、自分の魔法、罠を守れるため、和輝が手札に加えた永遠の魂や、ドローソースにして火力強化の切り裂かれし闇を守れる。

 

「つまり和輝にデッキにとって相性抜群の、心強いモンスターってわけだね」

「そういうことだ。バトルだ。ブラック・マジシャンでダンテを攻撃。この瞬間、切り裂かれし闇の効果を発動し、ダンテの攻撃力分、ブラック・マジシャンの攻撃力をアップさせる!」

 

 黒い魔導師が杖を振るい、先端の宝珠から黒い稲妻が幾条も放たれた。勢いを増した稲妻は彼岸の旅人に直撃。その体を焦げ滅ぼした。

 モンスターの破壊による大音量に、サラが顔をしかめながら、その衝撃に負けぬと声を張り上げる。

 

「く……ッ! ORUとなっているガドルホックと、ダンテの効果発動! まず、ガドルホックは墓地に送られた場合、墓地の彼岸モンスター一体を特殊召喚できる。あたしはスカラマリオンを守備表示で特殊召喚!

 さらにダンテも、墓地に送られた場合にあたしの墓地の彼岸カード一枚を手札に加えることができる。この効果で、ガドルホックを回収する」

 

 やはり軽い発動条件は厄介だ。さらのフィールドに壁となる悪鬼が現れる。

 だがモンスターを残すのはうまくない。

 

「竜騎士ブラック・マジシャンでスカラマリオンを攻撃。バトルを終了し、墓地のマジシャンズ・ロッドの効果発動。ブラック・マジシャンをリリースしてこのカードを回収する。カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

「なら、エンドフェイズに今破壊されたスカラマリオンの効果発動。デッキから彼岸の悪鬼 ラビキャントを手札に加える」

 

 

輝きの光来巨神テイア 神属性 ☆10 幻神獣族:効果

ATK0 DEF0

このカード名の(4)の効果はデュエル中に1度しか使用できない。このカードは特殊召喚できない。このカードは3体のモンスターをリリースしてのみ通常召喚できる。(1):このカードは神属性、幻神獣族モンスターの効果以外のカード効果ではフィールドを離れず、コントロールも変更されない。(2):このカードが相手のカードの効果を受けた時、エンドフェイズにこのカードに対するそのカード効果を無効にする。(3):このカードが墓地に存在する時、自分または相手のドローフェイズのドロー前に発動する。ターンプレイヤーのデッキの一番上を確認して、デッキの一番上または一番下に戻す。(4):???

 

マジシャンズ・ロッド 闇属性 ☆3 魔法使い族:効果

ATK1600 DEF100

「マジシャンズ・ロッド」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。「ブラック・マジシャン」のカード名が記された魔法・罠カード1枚をデッキから手札に加える。(2):このカードが墓地に存在する状態で、自分が相手ターンに魔法・罠カードの効果を発動した場合、自分フィールドの魔法使い族モンスター1体をリリースして発動できる。墓地のこのカードを手札に加える。

 

ブレイクスルー・スキル:通常罠

(1):相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。(2):自分ターンに墓地のこのカードを除外し、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手の効果モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

イリュージョン・マジック:速攻魔法

「イリュージョン・マジック」は1ターンに1枚しか発動できない。(1):自分フィールドの魔法使い族モンスター1体をリリースして発動できる。自分のデッキ・墓地から「ブラック・マジシャン」を2体まで選んで手札に加える。

 

切り裂かれし闇:永続魔法

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):自分がトークン以外の通常モンスターの召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。(2):以下のいずれかの自分のモンスターが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。その自分のモンスターの攻撃力はターン終了時まで、その相手モンスターの攻撃力分アップする。

●レベル5以上の通常モンスター

●通常モンスターを使用して儀式召喚したモンスター

●通常モンスターを素材として融合・S・X召喚したモンスター

 

黒魔術のヴェール:通常魔法

(1):1000LPを払って発動できる。自分の手札・墓地から魔法使い族・闇属性モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

ブラック・マジシャン 闇属性 ☆7 魔法使い族:通常モンスター

ATK2500 DEF2100

 

融合:通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 

竜騎士ブラック・マジシャン 闇属性 ☆8 ドラゴン族:融合

ATK3000 DEF2500

「ブラック・マジシャン」+ドラゴン族モンスター

(1):このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「ブラック・マジシャン」として扱う。(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの魔法・罠カードは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。

 

彼岸の悪鬼 ガドルホック 闇属性 ☆3 悪魔族:効果

ATK1600 DEF1200

「彼岸の悪鬼 ガトルホッグ」の(1)(3)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。(1):自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。(2):自分フィールドに「彼岸」モンスター以外のモンスターが存在する場合にこのカードは破壊される。(3):このカードが墓地へ送られた場合、「彼岸の悪鬼 ガトルホッグ」以外の自分の墓地の「彼岸」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

彼岸の旅人 ダンテ 光属性 ランク3 戦士族:エクシーズ

ATK1000 DEF2500

レベル3モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分のデッキの上からカードを3枚まで墓地へ送って発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果を発動するために墓地へ送ったカードの数×500アップする。(2):このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。(3):このカードが墓地へ送られた場合、このカード以外の自分の墓地の「彼岸」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

 

 

和輝LP8000→7000手札2枚

サラLP8000手札5枚

 

 

「あたしのターン、テイスの効果で、デッキトップをデッキボトムへ。改めてドロー。魔界発現世行きデスガイド召喚。効果で、デッキから彼岸の悪鬼 グラバースニッチを特殊召喚」

 

 サラのフィールドに、車掌服に赤い髪、赤い瞳の悪魔が現れる。悪魔は首にかけた笛を思いっきり吹いて、新たな悪魔を呼び出していく。

 現れた悪魔は大きな上半身に短めな足、犬の頭に棘付きの首輪、悪魔の証明のような翼を生やした、ややアンバランスなもの。本来なら彼岸モンスターの共通効果で破壊されるが、デスガイドの効果によって特殊召喚されたため、効果は無効化されている。

 

「二体のモンスターで、もう一度彼岸の旅人 ダンテを(エクシーズ)召喚!」

 

 先ほどと同じエフェクトが走り、虹色の爆発の向こうでもう一度彼岸の旅人が現れる。ただし、先程と違い、今度は攻撃表示だ。

 

「もう一度、ダンテの効果発動。ORUを一つ使って、デッキトップから三枚墓地に送ってダンテの攻撃力を1500アップ。さらにORUとして使われたグラバースニッチの効果発動。

 このカードが墓地に送られた場合、デッキからグラバースニッチ以外の彼岸モンスターを特殊召喚できる。あたしは彼岸の悪鬼 ハックスルパーを特殊召喚」

 

 ダンテの効果によって、戦線復帰、クレーンクレーン、闇の誘惑の三枚が墓地に落ちた。そしてそのダンテの傍らに現れる新たなモンスター。

 四足の下半身。頭に四本の角、石造りのようなのっぺりとした顔面と体つき、背に身を包めそうな大きな翼。今までの彼岸の悪鬼よりも、異形感が強く、おどろおどろしい。

 

「さらに彼岸の悪鬼 ラビキャントを、自身の効果で特殊召喚する。あたしは――――」

 

 さらに右腕が天に向かって掲げられる。開かれた掌が天を向く。

 

「レベル3の彼岸の悪鬼 グラバースニッチに、レベル3の彼岸の悪鬼 ラビキャントをチューニング」

 

 (シンクロ)召喚。ラビキャントが三つの緑の光の輪となり、その輪を潜ったグラバースニッチが三つの白い光星となる。

 白い星を、光の道が貫いた。

 

「旅人の行く末を(つづ)るは偉大なる魔術師。かの者の旅路を謡い、語り、どこまでも伝えるがいい。シンクロ召喚、彼岸の詩人 ウェルギリウス!」

 

 光が満ち、中から現れたのは赤い髪、黒を基調とした衣装に鍔広の帽子を被り、青白い炎を噴き出させている弦楽器を構えた吟遊詩人。

 

「S素材となって墓地に送られたハックスルパーの効果発動。墓地に送られた場合、フィールドにセットされた魔法、罠一枚を手札に戻す。勿論、戻すのはセンパイの伏せカードだよ」

 

 サラからすれば、和輝の伏せカードは分かっているも同然だ。ただもしも伏せカードが()()()だった場合、あの伏せカードは手札に戻るだろう。

 

「仕方ない。リバースカード、永遠の魂を発動だ。効果も発動し、墓地のブラック・マジシャンを攻撃表示で特殊召喚する。切り裂かれし闇の効果で一枚ドロー」

 

 サラの想定通りに翻る伏せカード。そして和輝のフィールドに現れる黒衣の魔導師。

 

「ウェルギリウスの効果発動。手札の彼岸モンスター、カドルホッグを捨てて、相手フィールド、墓地のカード一枚をデッキに戻す」

「デッキバウンスか!」

 

 およそデュエルモンスターズでの最強の除去、デッキバウンス。墓地に送られた場合に発動する効果どころか、フィールドを離れた時に発動する効果さえ、デッキバウンスでは発動できない。完全な無力化だ。これでは竜騎士ブラック・マジシャンの加護も意味はない。

 

「あたしはこの効果で、センパイの場にある切り裂かれし闇をデッキに戻す」

「チ……!」

 

 和輝の舌打ち。自分の思惑通りに事が運び、サラが自慢げな笑みを浮かべる。

 

「いいねサラ! だけど永遠の魂じゃなくてよかったの?」

「デッキバウンスじゃ永遠の魂のフィールドを離れた時の効果が発動しないから、センパイのモンスターを道ずれにできないし。盾としてうざいカードよりも、鉾としてうざいカードの方が残ってほしくないし。ドローソースも面倒だし……」

 

 テンションの高めなテイアに対して、サラは低いテンションのまま返答する。一人と一柱のやり取りを、和輝は自身が不利になっていく実感とともに聞いた。

 

「ウェルギリウスのコストで墓地に送ったカドルホッグの効果発動。墓地のダンテを特殊召喚。そして、手札の彼岸の悪鬼 リビオッコを捨てて、今蘇生したダンテ一体でオーバーレイ! 一体のモンスターで、オーバーレイネットワークを再構築! エクシーズ召喚!」

 

 このデュエル三回目のX召喚。エフェクトが走り、虹色の爆発が起こり、そこから新たなモンスターが現れる。

 

「彼岸を行く旅人の胸に去来するは、今は届かぬ女の姿。汝永遠を求めるなかれ。幼少の淡い想いは、過ぎ去ったからこそ美しい。出でよ永遠の淑女 ベアトリーチェ!」

 

 現れたのは白い女。

 輝く白い髪、肌、衣装。瞳は悲しげで僅かに伏せられ、衣装の上に白い軽装鎧を身に纏った女。武器らしいものは持たず、ただ手を広げて誰かを待つような姿勢を崩さない。

 

「リビオッコの効果は発動しない。墓地の旅人の結彼岸効果発動。墓地のこのカードを除外して、ウェルギリウスの攻撃力を800アップ。バトルだ。ウェルギリウスで竜騎士ブラック・マジシャンを攻撃」

 

 ついにサラの軍勢が動き出した。ウェルギリウスが弦を鳴らすと、楽器の炎が躍る。炎は蛇のようにうねり、鞭のようにしなって竜騎士ブラックマジシャンに巻き付き、跨ったドラゴンごと焼き尽くした。

 

「くそ……!」歯噛みする和輝。

「まだまだ行くよ」得意げなサラ。「ダンテでブラック・マジシャンを攻撃!」

 

 ダンテとブラック・マジシャンの攻撃力は互角。だがダンテは破壊された時に発動する効果もある。このバトルは和輝だけが一方的に損をする。

 だが受けないわけにはいかない。ブラック・マジシャンが迎撃のために放った黒い稲妻を、ダンテはその身に浴びながら疾走し、肉薄し、身体を焼き焦がせながらついには手にした短剣をブラック・マジシャンの心臓に突き刺した。

 壮絶な相討ち。これこそサラの狙い通りに。

 

「ダンテの効果を発動し、墓地のガドルホックを回収する。そしてベアトリーチェでダイレクトアタック!」

 

 さらに右手が和輝を指し示す。ベアトリーチェが主の意を汲んで両手を広げた。

 広げた腕に沿って炎が躍る。踊る炎はベアトリーチェの手の動きに従い、鞭のようにしなって和輝に叩きつけられる。

 和輝は地を蹴って横っ飛びに跳躍。しなる炎を間一髪で回避。ただし、一度地面を打ち付けた鞭が跳ね上がり、和輝の右足首に巻き付いた。

 

「くそ!」

 

 悪態も一瞬。和輝の身体は力任せに振り回されて、投げられた。

 少年の身体が地面を滑る。回転する勢いのまま起き上がって構える。バトルフィールドの効果で身体能力が上がっていることに感謝する。そうじゃなければだいぶひどいことになっていただろう。

 

「さすがの身のこなしだね、センパイ」

「生意気な後輩ちゃんだ。だがただじゃやられねぇ。俺がダメージを受けたこのタイミングで、手札のマジクリボーの効果発動! 手札のこのカードを捨て、俺のデッキか墓地からブラック・マジシャン、またはブラック・マジシャン・ガールを特殊召喚する。俺は墓地のブラック・マジシャン扱いの竜騎士ブラック・マジシャンを特殊召喚する!」

 

 再び和輝のフィールドに現れる、ドラゴンを駆る魔術師。

 

「さすが、転んでもたたでは起きない。カードを二枚伏せて、ターンエンド」

 

 

魔界発現世行きデスガイド 闇属性 ☆3 悪魔族:効果

ATK1000 DEF600

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。手札・デッキから悪魔族・レベル3モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは効果が無効化され、S素材にできない。

 

彼岸の悪鬼 グラバースニッチ 闇属性 ☆3 悪魔族:効果

ATK1000 DEF1500

このカード名の(1)(3)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。(1):自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。(2):自分フィールドに「彼岸」モンスター以外のモンスターが存在する場合にこのカードは破壊される。(3):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「彼岸の悪鬼 グラバースニッチ」以外の「彼岸」モンスター1体を特殊召喚する。

 

彼岸の悪鬼 ハックスルパー 闇属性 ☆3 悪魔族:効果

ATK1400 DEF0

「彼岸の悪鬼 ハックルスパー」の(1)(3)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。(1):自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。(2):自分フィールドに「彼岸」モンスター以外のモンスターが存在する場合にこのカードは破壊される。(3):このカードが墓地へ送られた場合、フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。セットされたそのカードを持ち主の手札に戻す。

 

彼岸の悪鬼 ラビキャント 闇属性 ☆3 悪魔族:チューナー

ATK100 DEF2100

このカード名の(1)(3)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。(1):自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。(2):自分フィールドに「彼岸」モンスター以外のモンスターが存在する場合にこのカードは破壊される。

 

彼岸の詩人 ウェルギリウス 光属性 ☆6 魔法使い族:シンクロ

ATK2500 DEF1000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

「彼岸の詩人 ウェルギリウス」の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):「彼岸の詩人 ウェルギリウス」は自分フィールドに1体しか表側表示で存在できない。(2):1ターンに1度、手札から「彼岸」カード1枚を捨て、相手のフィールド・墓地のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主のデッキに戻す。(3):フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。

 

永遠の魂:永続罠

「永遠の魂」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):以下から1つを選択してこの効果を発動できる。●自分の手札・墓地から「ブラック・マジシャン」1体を選んで特殊召喚する。●デッキから「黒・魔・導」または「千本ナイフ」1枚を手札に加える。(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分のモンスターゾーンの「ブラック・マジシャン」は相手の効果を受けない。(3):表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動する。自分フィールドのモンスターを全て破壊する。

 

永遠の淑女 ベアトリーチェ 光属性 ランク6 天使族:エクシーズ

ATK2500 DEF2800

レベル6モンスター×2

このカードは手札の「彼岸」モンスター1体を墓地へ送り、自分フィールドの「ダンテ」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。この方法で特殊召喚したターン、このカードの(1)の効果は発動できない。(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキからカード1枚を選んで墓地へ送る。この効果は相手ターンでも発動できる。(2):???

 

旅人の結彼岸:通常魔法

(1):自分の手札・フィールドから、「彼岸」融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。(2):自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、フィールドの「彼岸」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力は次の相手ターン終了時まで800アップする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

マジクリボー 闇属性 ☆1 悪魔族:効果

ATK300 DEF200

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):戦闘または相手の効果で自分がダメージを受けたターンのメインフェイズ及びバトルフェイズに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。自分のデッキ・墓地から「ブラック・マジシャン」または「ブラック・マジシャン・ガール」1体を選んで特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。(2):???

 

 

和輝LP7000→6700→4200手札3枚

サラLP8000手札2枚

 

 

 ターンは和輝に移る。彼のドローフェイズ、サラは当然テイアの効果を発動。和輝のデッキトップを確認する。

 めくられたのは、閉ざせし悪戯神ロキ。

 ……マジ? それがサラの率直な感想だった。先程の黒の魔導陣といい、つくづく危険なカードを引き込んでくる。この、強引に流れをもぎ取ろうとする運命力も、彼の強さの一端か。

 今はこちらが有利だが、油断はできない。

 

「そのカードはデッキボトムにやって」

「あいよ。じゃあ、改めてドローだ」

 

 サラが和輝の引きに(おのの)いている頃、和輝もまたサラのプレイングに舌を巻いていた。

 

「どうにも攻めきれないというか。うまいことこちらの攻撃手を剥がされている感じがするねぇ」とロキ。和輝も首肯。

「だがいつまでもそういうわけにもいかない。俺はマジシャンズ・ロッドを召喚。効果を発動し、デッキから黒の魔導陣を手札に加え、発動。発動時の処理で、俺はデッキトップから三枚めくり、ブラックマジシャン関連の魔法、罠があれば、一枚手札に加える。――――ゲット。俺は、師弟の絆を手札に加え、残りを好きな順番でデッキに戻す」

 

 立て続けに和輝のフィールドにカードが出現。それらをサラは眉一つ動かさずに見逃した。彼女のデッキは彼岸モンスターの展開を邪魔しないため、フリーチェーンが多い。それは和輝も見越しており、だからこそカウンター罠で邪魔される可能性は低いとみて、大胆に動く。

 すでに自分のデッキの特性を把握されているサラは歯がゆさがないわけではないが、流す。

 そんなサラの内心を知ってか知らずか、和輝は不敵な笑みを浮かべたまま、動くのをやめない。

 

「永遠の魂の効果を発動し、墓地のブラック・マジシャンを特殊召喚。そしてここで、黒の魔導陣の効果を発動。ウェルギリウスを除外する」

「させない。リバースカード、デストラクト・ポーション発動。ウェルギリウスを破壊して、その攻撃力分のライフを回復する。さらにウェルギリウスの効果を発動。カードを一枚ドローするよ」

 

 やはりうまく躱してくる。だがこのくらいはやると和輝も思う。厄介な効果を持っているウェルギリウスを盤面から排除できればいいのだ。ならばその目的は達している。

 

「師弟の絆を発動し、デッキからブラック・マジシャン・ガールを特殊召喚。さらに追加効果で、デッキから黒・魔・導・連・弾(ブラックツインバースト)をセットする」

 

 和輝のフィールド、ブラック・マジシャンの傍らに現れる彼の弟子の少女。

 金の髪、青い瞳、まだ幼さの残る顔立ち、青い魔導着に身を包み、師匠の物よりも短い魔法の杖を手に戦場に現れる。

 

「さらに今セットした黒・魔・導・連・弾を発動! 俺のフィールドのブラック・マジシャンの攻撃力を、ブラック・マジシャン・ガールの攻撃力、即ち2300アップさせる!

 バトルだ。竜騎士ブラック・マジシャンでベアトリーチェを攻撃!」

 

 一気呵成に責める和輝。彼の手指が静かに佇むベアトリーチェを指し示し、竜騎士がその意を汲んでドラゴンを駆り、杖から黒い波動を放つ。

 波動は停滞なく永遠の淑女を打ち砕く。

 

「ッ! だけどこの瞬間、ORUのダンテと、破壊されたベアトリーチェの効果発動! まずダンテの効果で、墓地のハックスルパーを回収! そしてベアトリーチェの効果! このカードが相手によって破壊され、墓地に送られた場合、EXデッキから彼岸モンスター一体を、召喚条件を無視して特殊召喚する!

 さぁ来い! 巡礼の後の答えをあたしに見せてみろ! 彼岸の巡礼者 ダンテ!」

 

 ベアトリーチェが道をつけ、現れたのは巡礼者ダンテ。旅人の時に比べ、年経た姿。青い髪、全身を包む白のローブ、宝珠を嵌めた木の杖。巡礼の旅を歩み、多くの物を背負ってきた男の重みを感じさせる。

 

「だが攻撃力は2800止まり。ブラック・マジシャンで巡礼者 ダンテを攻撃!」

 

 黒・魔・導・連・弾の効果によって、ブラック・マジシャンの攻撃力は大きく上昇している。このままバトルが成立すればサラに大きなダメージを負わせることができる。

 

「そんな単純は攻撃は通さない! リバースカード、プライドの咆哮発動! 2000ライフを失うけれど、これで彼岸の巡礼者 ダンテの攻撃力は、ブラック・マジシャンよりも300上回る!」

「残念だったね、サラの先輩君!」

 

 翻るサラの二枚目の伏せカード。同時、ブラック・マジシャンが放った黒い稲妻を切り裂いて、彼岸の巡礼者 ダンテが放った光の槍がブラック・マジシャンの心臓を貫いた。

 

「……ッ! だがこの瞬間、墓地のマジクリボーの効果が発動する。魔法使い族のブラック・マジシャンが破壊されたため、墓地のこのカードを手札に加える」

「残念だったね、センパイ。だけどわざわざ攻撃表示で場に出したんだから、罠の警戒はしないとね。勢い任せのテンションだから、こうして足元を掬われる」

 

 和輝の攻撃を凌いだサラは、微笑を浮かべてそう言った。それは精神的な優位を取るための挑発でもあったか。

 だが和輝は人を喰ったような笑みを浮かべて、言った。

 

「それはどうかな? ()()()()()()()()()()()()()()()?」

「だけど、センパイのモンスターたちじゃダンテは倒せない。攻撃力が足りないよ」

 

 和輝の笑みは薄れない。その上で、まるで講師が生徒にするように、右手の人差し指を立てた。まるで教えを授けるように。

 

「俺のフィールドに永遠の魂がある以上、モンスターを除去するタイプのカードは伏せても意味がない。彼岸デッキの構築上の問題点で、フリーチェーン以外のカードもセットし辛い。

 しかしこちらの攻撃に対してそれでも防御を固めるならば、やはりコンバットトリック用のカードは捨てがたい。今のようにな」

「……迎撃されて、ブラック・マジシャンがやられることを読んでいたってこと?」

 

 和輝の笑みが深くなる。サラの背筋に冷たい悪寒が奔る。

 

「その答えがこれだ。手札から速攻魔法、黒魔術の秘儀発動! 俺の場にいる竜騎士ブラック・マジシャンと、ブラック・マジシャン・ガールを融合!」

 

 和輝のフィールドに融合召喚のエフェクトが奔る。二体の魔導師が渦に飛び込み、一つに混ざり合う。

 

「黒の魔導師は、弟子とともに高め合い、新たな扉を開く。新たな進化よ、今ここに! 融合召喚、超魔導師-ブラック・マジシャンズ!」

 

 新たに現れた姿は、ブラック・マジシャン、ブラック・マジシャン・ガールの魔術師師弟。何か追加の要素はないが、二人で一体のモンスターとなっている。

 

「ブラック・マジシャンズはバトルフェイズ中での特殊召喚なため、まだ攻撃する権利が残っている。ブラック・マジシャンズで彼岸の巡礼者 ダンテを攻撃!」

「ただでやられない。彼岸の巡礼者 ダンテの効果発動! 一ターンに一度、手札の彼岸カード一枚を墓地に送って、一枚ドローできる。 あたしは彼岸の悪鬼 カドルホッグを捨てて、一枚ドロー! カドルホッグの効果を発動し、墓地のグラバースニッチを守備表示で特殊召喚する!」

 

 両者の攻撃力は互角。魔術師師弟の放った雷炎と巡礼者の炎が互いに相手に直撃。互いに消滅させる。

 

「この瞬間、ブラック・マジシャンズの効果発動! 破壊された場合、手札、デッキ、墓地からブラック・マジシャンとブラック・マジシャン・ガールを一体ずつ特殊召喚する! 俺は墓地の竜騎士ブラック・マジシャンとブラック・マジシャン・ガールを特殊召喚!」

 

 和輝の攻撃はまだ終わらない。彼の墓地から現れる竜を駆る魔術師と、その弟子。サラは暑さとは無関係の汗を頬から伝わらせながら、声を出す。

 

「彼岸の巡礼者 ダンテが破壊された場合、その効果が発動する! センパイの手札一枚を墓地に送るよ!」

「構わない。マジシャンズ・ロッドでグラバースニッチを攻撃!」

 

 怒涛の攻撃宣言。マジシャンズ・ロッドがグラバースニッチをあっさりと撃破する。

 

「グラバースニッチの効果発動! デッキから二枚目のスカラマリオンを守備表示で特殊召喚!」

「薄い壁だ! ブラック・マジシャン・ガールでスカラマリオンを攻撃!」

 

 攻撃宣言は終わらない。ブラック・マジシャン・ガールが放った黒い炎の球がスカラマリオンを塵も残さず消滅させる。

 

「竜騎士ブラック・マジシャンでダイレクトアタック!」

 

 ブラック・マジシャンが杖を振るうと、主に応えたドラゴンがその(アギト)を開き、金色の息吹(ブレス)を放った。

 

「宝珠を守って、サラ!」テイアの叫びが飛ぶ。サラは宝珠を守るように体を丸めた。

 

 直後に竜の一撃が彼女の小さな体に降り注いだ。

 

「きゃあああああああああああ!」

 

 絶叫。和輝の意志が走り、ドラゴンが首を巡らせる。首の動きに沿って息吹もサラの小さな体から逸れ、近くの建物を破壊した。

 

「優しいね、和輝。あのまま浴びせ続けるのもありだったかもだけど」とロキ。

「……俺はティターン神族を倒したいだけで、来年からの後輩を傷つけたいわけじゃない」ぶっきらぼうな和輝。

 

 和輝の眼前で、サラはしかしふらつきながらも立ち上がった。その宝珠の輝きは曇らない。

 

「大丈夫か?」

「平気だよ……、これくらい……ッ!」

 

 言葉ほど平気ではないだろう。しかしその戦意はいささかの陰りもない。

 

「バトルを終了。カードを一枚セットして、ターンエンドだ」

「……なら、そのエンドフェイズに墓地に送られたスカラマリオンの効果発動。デッキからグラバースニッチを手札に加える」

 

 

黒の魔導陣:永続魔法

「黒の魔導陣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):このカードの発動時の効果処理として、自分のデッキの上からカードを3枚確認する。その中に、「ブラック・マジシャン」のカード名が記された魔法・罠カードまたは「ブラック・マジシャン」があった場合、その1枚を相手に見せて手札に加える事ができる。残りのカードは好きな順番でデッキの上に戻す。(2):自分フィールドに「ブラック・マジシャン」が召喚・特殊召喚された場合、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。

 

デストラクト・ポーション:通常罠

自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。

 

師弟の絆:通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。(1):自分フィールドに「ブラック・マジシャン」が存在する場合に発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「ブラック・マジシャン・ガール」1体を選んで特殊召喚する。その後、デッキから「黒・魔・導」「黒・魔・導・爆・裂・破」「黒・爆・裂・破・魔・導」「黒・魔・導・連・弾」のいずれか1枚を選んで自分の魔法&罠ゾーンにセットできる。

 

ブラック・マジシャン・ガール 闇属性 ☆6 魔法使い族:効果

ATK2000 DEF1700

(1):このカードの攻撃力は、お互いの墓地の「ブラック・マジシャン」「マジシャン・オブ・ブラックカオス」の数×300アップする。

 

黒・魔・導・連・弾:通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。(1):自分フィールドの「ブラック・マジシャン」1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、お互いのフィールド・墓地の「ブラック・マジシャン・ガール」の攻撃力の合計分アップする。

 

永遠の淑女 ベアトリーチェ 光属性 ランク6 天使族:エクシーズ

ATK2500 DEF2800

レベル6モンスター×2

このカードは手札の「彼岸」モンスター1体を墓地へ送り、自分フィールドの「ダンテ」モンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。この方法で特殊召喚したターン、このカードの(1)の効果は発動できない。(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキからカード1枚を選んで墓地へ送る。この効果は相手ターンでも発動できる。(2):このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。EXデッキから「彼岸」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。

 

彼岸の巡礼者 ダンテ 光属性 ☆9 天使族:融合

ATK2800 DEF2500

カード名が異なる「彼岸」モンスター×3

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。(1):このカードは相手の効果の対象にならない。(2):1ターンに1度、手札の「彼岸」カード1枚を墓地へ送って発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。この効果は相手ターンでも発動できる。(3):フィールドのこのカードが相手の効果で墓地へ送られた場合、または戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。相手の手札をランダムに1枚選んで墓地へ送る。

 

ブライドの咆哮:通常罠

戦闘ダメージ計算時、自分のモンスターの攻撃力が相手モンスターより低い場合、その攻撃力の差分のライフポイントを払って発動する。ダメージ計算時のみ、自分のモンスターの攻撃力は相手モンスターとの攻撃力の差の数値+300ポイントアップする。

 

マジクリボー 闇属性 ☆1 悪魔族:効果

ATK300 DEF200

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):戦闘または相手の効果で自分がダメージを受けたターンのメインフェイズ及びバトルフェイズに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。自分のデッキ・墓地から「ブラック・マジシャン」または「ブラック・マジシャン・ガール」1体を選んで特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。(2):自分フィールドの表側表示の魔法使い族モンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。墓地のこのカードを手札に加える。

 

黒魔術の秘儀:速攻魔法

(1):以下の効果から1つを選択して発動できる。●融合モンスターカードによって決められた、「ブラック・マジシャン」または「ブラック・マジシャン・ガール」を含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールドから墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。●レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、「ブラック・マジシャン」または「ブラック・マジシャン・ガール」を含む自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、手札から儀式モンスター1体を儀式召喚する。

 

超魔導師-ブラック・マジシャンズ 闇属性 ☆8 魔法使い族:融合

ATK2800 DEF2300

「ブラック・マジシャン」か「ブラック・マジシャン・ガール」+魔法使い族モンスター

(1):1ターンに1度、魔法・罠カードの効果が発動した場合に発動できる。自分は1枚ドローする。そのドローしたカードが魔法・罠カードだった場合、自分フィールドにセットできる。速攻魔法・罠カードをセットした場合、そのカードはセットしたターンでも発動できる。

(2):このカードが破壊された場合に発動できる。「ブラック・マジシャン」「ブラック・マジシャン・ガール」を1体ずつ自分の手札・デッキ・墓地から特殊召喚する。

 

 

ブラック・マジシャン・ガール攻撃力2000→2600

 

 

和輝LP4200→3900手札1枚

サラLP8000→10500→10000→8000→5000手札3枚

 

「くそ……ッ! やってくれたね、センパイ」

 

 身体が軋む痛みに顔をしかめながら、サラは服の汚れを払う。

 形勢は和輝に傾いたが、それでもライフはいまだサラの方が上。両者ともに、これからだという気持ちを新たにした。

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