神々の戦争   作:tuki21

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第126話:全雷万霆の至上天神

 思い出すのは、この身を貫く稲妻の痛み。

 全身を熱が貫き、一瞬後に激痛が駆け抜ける。そしてこの身が失墜していく絶望と冷たさ。

 神話の時代、一時は神々さえも退け、ギリシャ世界を制するまであと一歩だった。

 この屈辱と憎悪、それがテュポーン(おのれ)を形作る全て。

 ああ、ああ、消えるものか、消させるものか。この復讐の炎を。

 ゼウス、貴様を八つ裂きにしても、なお飽き足らぬ。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 狩谷(かりや)は肉食獣のような笑みを浮かべ、右手中指を立てたファックサインでテュポーンに啖呵を切る。

 テュポーンもまた、好戦的に笑う。己に対して舐めた口を利くこの人間の、思い上がりを叩き潰すことに、嗜虐と愉悦を感じながら。

 

 

狩谷LP4400手札2枚

ペンデュラムゾーン赤:なし青:なし

モンスターゾーン 超越竜グレイスザウルス(攻撃表示)、竜王キング・レックス(攻撃表示)、

魔法・罠ゾーン 伏せ1枚

フィールドゾーン なし

 

テュポーンLP3000手札3枚

ペンデュラムゾーン赤:覇王門零、青:

モンスターゾーン 

魔法・罠ゾーン ペンデュラム・エボリューション、連成する振動

フィールドゾーン なし

 

 

「オレのターンだ!」

 

 フィールドの状況は狩谷に傾いている。だがテュポーンにとって、この程度は屈辱と戦意を増す薪に過ぎない。

 

「壺の中の魔術書発動だオラァ! 互いに三枚ドローだ!」

「ホウ。なかなか気前がいいな。このドローカードが貴様を葬らなければよいがな」

 

 ゼウスの挑発を聞き流し、テュポーンはカードをドロー。ドローカードを一瞥で確認し、即座に動く。

 

「覇王眷竜ライトヴルムを(ペンデュラム)ゾーンにセット! ライトヴルムのPスケールは8、これでオレはレベル1から7までのモンスターを同時に召喚できるってわけだ。

 さらに手札のオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを捨て、ペンデュラム・コール発動!デッキから黒牙の魔術師と、紫毒の魔術師を手札に加える。

 さらにペンデュラム・エボリューションの効果発動! 手札の白翼の魔術師をデッキに戻し、アストログラフ・マジシャンを手札に加える!

 覇王がお呼びだ、疾く馳せ参じろ下僕ども! ペンデュラム召喚! 手札から黒牙と紫毒の魔術師を、EXデッキから覇王眷竜ダークヴルムと覇王門の魔術師をペンデュラム召喚だ!」

 

 テュポーンのフィールド、ライトヴルムがセットされたことで再びPスケールが揃い、P召喚のためのアークが描かれる。

 テュポーンの頭上に開いた異界の扉、そこから四つの光が飛び出し、怪物のフィールドに降り立った。

 EXデッキから来た二体は1ターン目に召喚されたものと同じ、覇王門の魔術師とダークヴルム。

 さらに現れる二体の魔術師。

 魔法使いらしからぬ筋骨隆々とした体躯に魔法使いらしいマント、とんがり帽子、杖を携えた男魔術師。即ち黒牙の魔術師。

 その傍らに新たな魔術師。

 紫のローブ、赤いバイザー、赤く太い鞭、怪しい笑みを浮かべた男魔術師。

 

「特殊召喚された覇王門の魔術師と、ダークヴルムの効果発動! デッキから光翼の竜と覇王門無限を手札に加える!

 連成する振動の効果でライトヴルムを破壊し、一枚ドロー! そしてこの瞬間、手札のアストログラフ・マジシャンの効果発動! こいつを特殊召喚する!」

 

 テュポーンの行動は止まらない。盤上の駒を動かすように、次々とカードが現れる。

 現れるは宇宙のような青一色の身体をした魔法使い。マントらしき物や、鎧らしきものを装着しているようだが、身体と一体化しているように島見えない。

 

「アストログラフ・マジシャンの効果で、今破壊されたライトヴルムと同名、まぁつまり二体目のライトヴルムを手札に加える! そしてここからだ! アストログラフ・マジシャンの効果発動! オレのフィールド、墓地、手札のペンデュラム・ドラゴン、シンクロ・ドラゴン、エクシーズ・ドラゴン、フュージョン・ドラゴン、そしてアストログラフ・マジシャンを除外することで、覇王龍ズァークを融合召喚する! 黒牙と紫毒の魔術師は、それぞれエクシーズ・ドラゴン、フュージョン・ドラゴンとして扱われるため、条件は達成だ!

 竜の因子が結合し、ここに覇王が降臨する! 一切合切頭を垂れてひれ伏せ! 融合召喚、覇王龍ズァーク!」

 

 テュポーンが両手を広げ、喝采のように叫ぶ。彼のフィールドにいた二体の魔術師と一体のマジシャン、さらに墓地に送られた二体のドラゴンが光となって飛び出し、テュポーンの頭上に一つに混ざり合う。

 混ざり合った光は、やがて大きくはじけ飛んだ。

 周囲を閃光と轟音が満たし、衝撃波が周囲を洗う。

 

「派手だなぁ、まったく!」

 

 自身も手で顔を庇いながら、半透明のゼウスが毒づいた。

 

「派手な割にうざってェ。ンで、どンなのが出て汲ンだ?」

「こいつだ!」

 

 はじけた光の中から巨大な影が現れる。

 メタリックブラックの巨体、鎧のような金色の外骨格、長い尻尾、翼とも、角とも思える突起パーツ、無機質と有機物を混合させる圧巻のドラゴン。

 

「出す手間がかかるだけあって、攻撃力4000の大物だな」

 

 ゼウスの言葉ももっともだった。そんな宿敵に応えるように、テュポーンの笑みが深くなる。

 

「覇王龍ズァークの効果発動! テメェの場にあるカードを全て破壊する!」

「ンだとォ! だが墓地から復活したグレイスザウルスは戦闘、カード効果で破壊されず、効果の対象にもならない!」

「だがキング・レックスと伏せカードは破壊だなぁ!」

 

 覇王龍ズァークの全身からエメラルドグリーンの光が放たれ、矢となって狩谷のフィールドに降り注ぐ。

 キング・レックスと伏せカードが抗えずに破壊される。だがグレイスザウルスの分厚い氷の鎧は覇王龍ズァークの熱戦をはじき返した。結果、グレイスサウルスのみ破壊されずに生き残った。

 

「キング・レックスが破壊されたことで、手札の岩竜ベアロックを、守備表示で特殊召喚する!」

 

 狩谷もただでは転ばない。グレイスザウルスの傍らに、岩でできた体を持つ巨大な巨竜モンスターが現れる。ステゴザウルスのように背中に剣山のような隆起物を持ち、強面(こわもて)を不満げに歪め、身を屈めて守備態勢をとる。

 

「ハッ! このくらいは想定の範囲内ってやつよ! オレは覇王の威圧発動! これはオレのフィールドに覇王龍ズァークがいる時に発動できる! このターン、相手フィールドのモンスター効果を無効にし、さらに相手はこのターン、モンスター効果を発動できない!」

「ンだとォ!」

 

 驚愕に目を見開く狩谷。ゼウスも渋い表情で、

 

「これでは超越竜の自己復活や、ベアロックの蘇生効果は使えんか……!」

 

 それどころか手札誘発や墓地で発動するモンスター効果も使用できない。伏せカードも除去された以上、これからのテュポーンの攻撃に対して防御手段がない。

 

「でなぁ、おい。グレイスザウルスの効果が無効になったため、効果の対象にもできるわけだ! ここで覇王門無限をPゾーンにセットし、P効果発動! グレイスザウルスの攻撃力分、オレのライフを回復する!

 さらにペンデュラム・エボリューションの効果! このターン、ズァークに全体攻撃を付与する!」

 

 逃がさない。テュポーンはこのターンで決着をつけるつもりだ。何よりその双眸が、千の言葉よりも如実にそう告げている。

 

「バトルだ! 覇王龍ズァークでグレイスサウルスを攻撃!」

 

 覇王龍ズァークがその巨体の胸を逸らすと、その部分に黒碧色の球体が出現。エネルギーが凝縮され、濁流となってグレイスサウルスに迫り、氷の巨体を焼き砕いてしまった。

 

「まだまだぁ! 覇王龍ズァークの効果発動! EXデッキから覇王眷竜スターヴ・ヴェノムを特殊召喚!」

 

 覇王龍ズァークが天に向かって(いなな)くと、それを号令としたのか、緑の体躯に紫の外殻を持った、毒々しい食虫直物を擬竜化したようなドラゴンが現れた。

 

「追い詰めるぞゼウス! 覇王龍ズァークでベアロックを攻撃!」

 

 追撃。覇王龍ズァークの全身から放たれたエメラルドグリーンの光線が、ほとんど直角で曲がり、ベアロックを粉砕していく。

 渋い顔のゼウス。「まずいぞ……。ベアロックは破壊された時に墓地から恐竜か岩石族を特殊召喚できるが――――」

 唸る狩谷。「覇王の威圧の効果で、オレはこのターン、モンスター効果を発動できねェ。ただ破壊されただけだ」

 笑うテュポーン。「当然、ズァークの効果発動! デッキから覇王眷竜オッドアイズを特殊召喚し、オッドアイズでダイレクトアタックだ!」

 

 登場した、オッドアイズ・ドラゴンをさらに凶悪な面構えにし、全身から黄緑の稲妻を迸らせた、覇王龍の眷属が唸りの声を上げながら突進。狩谷は宝珠を防御し、耐える選択をした。

 

「がぁ!」

 

 直撃。衝撃は凄まじく、狩谷の身体が宙を舞う。

 

「舐めてくれンじゃねェか!」

 

 だが狩谷は空中で態勢を整えて、足から着地。膝を曲げ、身体を屈めて衝撃を逃がす。

 そして叫ぶ。

 

「この瞬間、オレの墓地の生存への足搔きの効果発動だ! オレがダイレクトアタックを受けた時、墓地のこのカードを除外し、墓地から恐竜族モンスター一体を特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる! オレはゼノ・メテオロスを特殊召喚だ!」

 

 このカードは先程のターンにセットし、ズァークの効果によって破壊されたカードだった。テュポーンはこのターンで決めるつもりだったようだが、狩谷はさらに保険を張っていたのだった。

 テュポーンは苛立たちを現すように地面を蹴りつけた。

 

「くそが! からオレはカードを二枚伏せて、ターンエンドだ!」

 

 

壺の中の魔術書:通常魔法

「壺の中の魔術書」は1ターンに1枚しか発動できない。(1):互いのプレイヤーはカードを3枚ドローする。

 

ペンデュラム・コール:通常魔法

「ペンデュラム・コール」は1ターンに1枚しか発動できず、「魔術師」PモンスターのP効果を発動したターンには発動できない。(1):手札を1枚捨てて発動できる。カード名が異なる「魔術師」Pモンスター2体をデッキから手札に加える。このカードの発動後、次の相手ターン終了時まで自分のPゾーンの「魔術師」カードは効果では破壊されない。

 

黒牙の魔術師 闇属性 ☆4 魔法使い族:ペンデュラム

ATK1700 DEF800

Pスケール8

P効果

(1):1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力をターン終了時まで半分にする。その後、このカードを破壊する。

モンスター効果

このカードはルール上「エクシーズ・ドラゴン」カードとしても扱う。(1):このカードが戦闘・効果で破壊された場合、自分の墓地の魔法使い族・闇属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

紫毒の魔術師 闇属性 ☆4 魔法使い族:ペンデュラム

ATK1200 DEF2100

Pスケール1

P効果

(1):1ターンに1度、自分の魔法使い族・闇属性モンスターが戦闘を行うダメージ計算前に発動できる。そのモンスターの攻撃力はダメージステップ終了時まで1200アップする。その後、このカードを破壊する。

モンスター効果

このカードはルール上「フュージョン・ドラゴン」カードとしても扱う。(1):このカードが戦闘・効果で破壊された場合、フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

アストログラフ・マジシャン 闇属性 ☆7 魔法使い族:ペンデュラム

ATK2500 DEF2000

Pスケール1

P効果

このカード名のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。このカードを破壊し、手札・デッキから「星読みの魔術師」1体を選び、自分のPゾーンに置くか特殊召喚する。

モンスター効果

(1):自分フィールドのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。その後、このターンに破壊された自分か相手のモンスター1体を選び、その同名モンスター1体をデッキから手札に加える事ができる。

(2):自分の手札・フィールド・墓地の、「ペンデュラム・ドラゴン」「エクシーズ・ドラゴン」「シンクロ・ドラゴン」「フュージョン・ドラゴン」モンスター1体ずつと、フィールドのこのカードを除外して発動できる。「覇王龍ズァーク」1体を融合召喚扱いでEXデッキから特殊召喚する。

 

覇王龍ズァーク 闇属性 ☆12 ドラゴン族:融合・ペンデュラム

ATK4000 DEF4000

Pスケール1

P効果

(1):このカードがPゾーンに存在する限り、相手フィールドの融合・S・Xモンスターは効果を発動できない。(2):1ターンに1度、相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた時に発動できる。そのカードを破壊する。

モンスター効果

ドラゴン族の融合・S・X・Pモンスター1体ずつ合計4体

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。(1):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。相手フィールドのカードを全て破壊する。(2):このカードは相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。(3):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動できる。デッキ・エクストラデッキから「覇王眷竜」モンスター1体を特殊召喚する。(4):モンスターゾーンのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを自分のPゾーンに置く。

 

岩竜ベアロック 地属性 ☆6 恐竜族:効果

ATK2300 DEF1800

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分の手札・フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが相手によって破壊された場合、このカード以外の自分の墓地の恐竜族か岩石族のモンスターを2体まで対象として発動できる(同じ種族は1体まで)。そのモンスターを特殊召喚する。

 

覇王の圧力:通常魔法

(1):自分フィールドに「覇王龍ズァーク」が存在する場合に発動できる。相手フィールドのモンスターの効果を無効にし、相手はこのターン、モンスターの効果を発動できない。

 

覇王眷竜スターヴ・ヴェノム 闇属性 ☆8 ドラゴン族:融合

ATK2800 DEF2000

闇属性Pモンスター×2

このカードは融合召喚及び以下の方法でのみ特殊召喚できる。●自分フィールドの上記カードをリリースした場合にEXデッキから特殊召喚できる(「融合」は必要としない)。(1):1ターンに1度、このカード以外の自分または相手のフィールド・墓地のモンスター1体を対象として発動できる。エンドフェイズまで、このカードはそのモンスターと同じ、元々のカード名・効果を得る。このターン、自分のモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。

 

覇王眷竜オッドアイズ 闇属性 ☆8 ドラゴン族:ペンデュラム

ATK2500 DEF2000

Pスケール4

P効果

(1):自分フィールドの「覇王眷竜」モンスター1体をリリースして発動できる。このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のPモンスター1体を手札に加える。

モンスター効果

(1):自分フィールドの「覇王眷竜」モンスター2体をリリースして発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。(2):自分のPモンスターが相手モンスターと戦闘を行う場合、相手に与える戦闘ダメージは倍になる。③:自分・相手のバトルフェイズにこのカードをリリースして発動できる。自分のEXデッキの表側表示のPモンスターの中から、「覇王眷竜オッドアイズ」以外の「覇王眷竜」モンスターまたは「覇王門」モンスターを合計2体まで選んで守備表示で特殊召喚する。

 

生存への足搔き:通常罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1)相手モンスターの直接攻撃で、自分のライフが0になる場合に発動できる。デッキからモンスター1体を守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターは、このターン、戦闘で破壊されない。(2):相手の直接攻撃によってダメージを受けた時、墓地のこのカードをゲームから除外し、墓地の恐竜族モンスター1体を対象にして発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる。

 

 

狩谷LP4400→4000→1500手札4枚

テュポーンLP3000→5600手札2枚

 

 

「やってくれンじゃねェか。だがそれくらいじゃないと喰いでがねェってもンだ。オレのターン! ゼノ・メテオロスの効果発動! 手札のベビケラサウルスを破壊し、デッキからフロストサウルスを特殊召喚! さらに破壊されたベビケラサウルスの効果で、デッキから幻創のミセラサウルスを特殊召喚! ンでもってよ、ヘルカイトプテラを召喚だ」

 

 狩谷が次々に恐竜族モンスターを並べていく。

 先ほども現れたフロストサウルスに加え、現れたのは骨となっても動き続けるトリケラトプス、という印象のモンスター、全身から立ち上る青いオーラと、前脚部に角のような器官が生えた、幻創のミセラサウルス。

 さらに翼を羽ばたかせた茶色い体色のプテラノドン、ヘルカイトプテラ。先程のターンに召喚されたゼノ・メテオロスを合わせて、全部で四体。

 

「並べたはいいが、小せぇなぁ! 雑魚をいくら並べても、オレの覇王龍どころか、その眷属も倒せねぇぞ!」

 

 両手を広げ、煽るように叫ぶテュポーン。対する狩谷は不敵に笑うだけだ。

 

「慌てンな、ここからだ。まずはヘルカイトプテラの効果で、融合のカードをサーチすンぞ。ンで発動! 場のヘルカイトプテラとミセラサウルスで融合!」

 

 狩谷の頭上の空間が歪み、渦を作る。彼のモンスター二体がその渦に飛び込んで、一つに混ざり合った。

 

「天を駆ける黒き影! 来たりて啄め我が敵を! 融合召喚、ヘルホーンドザウルス!」

 

 渦の中から飛び出す巨大な黒い影。

 のっぺりとした表皮の黒い翼竜。大きな翼を広げ、足の爪を広げて獲物を狙う。

 

「ヘルホーンドザウルスの効果発動! 融合召喚成功時に、フィールド魔法をデッキ墓地からオレのフィールドに発動できる! オレはロストワールドを発動するぜ!」

 

 瞬間、周囲の景色が変化する。

 狩谷とテュポーンを囲む周囲が、鬱蒼とした熱帯の森へと変化する。

 気候を含め、人間よりも恐竜が地上の覇権を握っていたころの再現のように。

 

「ロストワールドがある限り、恐竜族以外のモンスターの攻撃力は500ダウンすンぞ。だがまだだ! オレは墓地のグランド・ゼノの効果発動! このカードを除外し、オレの手札とフィールドで融合召喚を行う! オレはゼノ・メテオロスとフロストザウルスを融合!」

 

 二回目の融合召喚。再び巨大な影が現れる。

 

「太古の大地を駆ける恐竜たちよ! 思うがまま、望むがまま蹂躙し、駆け、干ばつ砂漠を踏破せよ! 絶滅を超越しろ! シンクロ召喚、超越竜ギガントザウラー!」

 

 現れたのは見上げんばかりの巨大な体を持つ恐竜族。見た目はメガザウラーに酷似している。というより、メガザウラーが進化した姿に見える。

 トリケラトプスを彷彿とさせる巨体と角、ただしその角は二本どころかいくつもねじくれ、生えている。表皮は硬く、水分を必要とせずに絶対的な“渇き”に適応、超越した姿だった。

 

「ギガントザウラーの効果発動! こいつの特殊召喚成功時に、墓地の恐竜族一体を手札に加える。オレはゼノ・メテオロスを手札に加えンぞ。バトルだ! ギガントザウラーで覇王龍ズァークに攻撃!」

 

 ロストワールドの効果によって、恐竜族以外のモンスターの攻撃力はダウンしている。ズァークも例外ではなく、その攻撃力は3500、攻撃力3800のギガントザウラーで打倒可能だ。

 

「温いんだよ! リバースカードオープン! 攻撃の無敵化! これでこのターン、覇王龍ズァークは戦闘、効果では破壊されない!」

 

 翻るテュポーンの伏せカード。同時、見えない障壁によって、ギガントザウラーの突進は弾かれてしまった。

 

「覇王門〇のP効果により、覇王龍ズァークがいる限り、オレへのダメージは全て0だ!」

「むぅ……。だとすれば、ヘルホーンドザウルスのダイレクトアタックも意味はないか、どうする我が契約者よ?」

 

 顎に手を当てて、ゼウスが問いかけてくる。狩谷は犬歯を鳴らし、

 

「追撃もダイレクトアタックも意味はねェってか。ならカードを二枚セットして、ターンエンドだ」

 

 

ヘルカイトプテラ 風属性 ☆4 恐竜族:効果

ATK1400 DEF1000

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手フィールドに風属性モンスター以外の表側表示モンスターが2体以上存在する場合、その相手モンスターはこのカードを攻撃対象に選択できない。

(2):自分メインフェイズに発動できる。デッキから「融合」1枚を手札に加える。

(3):このカードが除外された場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。その後、自分の墓地から「融合」1枚を手札に加える事ができる。

 

ヘルホーンドザウルス 闇属性 ☆6 恐竜族:融合

ATK2000 DEF1800

「ヘルカイトプテラ」+恐竜族・ドラゴン族モンスター

このカード名の①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが融合召喚した場合に発動できる。自分のデッキ・墓地からフィールド魔法カード1枚を自分のフィールドゾーンに表側表示で置く。

(2):このカードは特殊召喚したターン、直接攻撃できる。

(3):自分メインフェイズに発動できる。恐竜族かドラゴン族のモンスター1体の召喚を行う。

 

ロストワールド:フィールド魔法

(1):恐竜族以外のフィールドのモンスターの攻撃力・守備力は500ダウンする。(2):1ターンに1度、恐竜族モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動できる。相手フィールドに「ジュラエッグトークン」(恐竜族・地・星1・攻/守0)1体を守備表示で特殊召喚する。(3):相手フィールドにトークンがある限り、相手はトークン以外のフィールドのモンスターを効果の対象にできない。(4):1ターンに1度、フィールドの通常モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにその数だけ自分の手札・デッキの恐竜族モンスターを破壊できる。

 

超越竜ギガントザウラー 地属性 ☆12 恐竜族:融合

ATK3800 DEF2000

恐竜族モンスター+通常モンスター

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地の恐竜族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。このカードが墓地から特殊召喚されていた場合、さらに自分の手札・フィールドのカード1枚と相手フィールドのカード1枚を選んで破壊できる。

(2):このカードが破壊された場合に発動できる。自分の墓地から通常モンスター1体を選んでデッキに戻す。その後、このカードを特殊召喚できる。

 

攻撃の無敵化:通常罠

バトルフェイズ時にのみ、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターはこのバトルフェイズ中、戦闘及びカードの効果では破壊されない。

●このバトルフェイズ中、自分への戦闘ダメージは0になる。

 

 

「オレのターン! ――――――来たぜ、サイクロン発動! こいつでロストワールドを破壊する!」

 

 一陣の風が刃となって、発動されたいフィールド魔法を切り刻む。せっかく発動したロストワールドもこれで除去。下がったテュポーンのモンスターたちの攻撃力も元に戻る。

 

「む、これはまずいな」

 

 ゼウスの言う通り、これで覇王龍ズァークの攻撃力は狩谷のモンスターを上回ってしまった。このまま彼の伏せカードが沈黙してれば、始まるのは一方的な蹂躙だ。

 

「さらに覇王門無限のP効果を発動! オレのライフをギガントザウラーの攻撃力分回復! さらに墓地の覇王眷竜クリアウィングの効果発動! オレのフィールドの覇王眷竜ダークヴルムとスターヴ・ヴェノムをリリースし、自身を特殊召喚!」

 

 テュポーンのフィールドにいた二体の覇王眷竜がガラスが砕けるような音ともに消滅し、代わりに墓地から現れたのは、このデュエル序盤に破壊された覇王眷竜クリアウィング。(シンクロ)召喚ではないため、モンスター破壊の効果は発動しないが、戦闘した相手を破壊し、バーンダメージを与える効果は健在だ。

 

「残念だったなぁ。追撃して、オレのモンスターゾーンを空けることを嫌ったんだろうが、それも無駄だったわけだ。さらにオレはレベル8の覇王眷竜オッドアイズに、レベル4のライトヴルムをチューニング!」

 

 S召喚。八つの光の輪となった覇王眷竜オッドアイズ。その輪を潜った覇王眷竜ライトヴルムが四つの光星となり、星を、光の道が貫いた。

 

「平伏せよ愚民ども! てめぇらの終わりを告げる覇王の凱旋だ! シンクロ召喚、覇王龍ズァーク-シンクロ・ユニバース!」

 

 光が辺りを照らし、新たに現れるのは二体目の覇王龍ズァーク。

 ただし融合モンスターではなくシンクロモンスター。しかも尻尾の先には覇王眷竜クリアウィングが生えている。尻尾同士で接続された異形のドラゴン。それが新たな覇王龍ズァークだった。

 

「さらに伏せていた光竜の翼を発動! デッキから二体目の覇王門の魔術師を特殊召喚! 当然その効果を発動し、覇王の逆鱗をサーチ!

 サービスだ! 二体の覇王門の魔術師をオーバーレイ! 二体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚! 来やがれ、ダーク・アンセリオン・ドラゴン!」

 

 X召喚のエフェクトが走り、虹色の爆発がテュポーンのフィールドで起こる。

 現れたモンスターはどことなくダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンに似ていた。

 黒紫色の体躯、骨のように白い外骨格、鎌のような翼。共通点が多いが、一回りほど大きく見える。

 

「バトルだ! 覇王眷竜クリアウィングで超越竜ギガントザウラーを攻撃!」

 

 覇王眷竜クリアウィングの効果をまともに喰らえばギガントザウラーは破壊され、狩谷のライフは0になる。

 

「クソまずいモンは喰いたくねェな! リバースカードオープン、ホーリーライフバリアー! 手札を一枚捨て、オレへの戦闘ダメージ、効果ダメージを0にする! この戦闘ダメージは、モンスター同士との戦闘でも0になるため、オレのモンスターは破壊されねェ! さらに捨てた一枚は代償の宝札。その効果で二枚ドローだ!」

 

 翻る狩谷の伏せカード。これでこのターン、テュポーンは狩谷のライフを0にすることはできない。

 

「よし! これでこのターンは安全だな」右拳を握って小さなガッツポーズを作るゼウス。

 

 舌打ちし、歯ぎしりするテュポーン。「だがクリアウィングの効果でギダントザウラーは破壊される!」

 ガラスが砕け散る音がして、ギガントザウラーの身体が砕け散る。しかし狩谷は不敵な笑みを崩さない。

 

「この瞬間、リバーストラップ、レベル・レジスト・ウォール発動! デッキからクラップ・ラプター、メガロスマッシャーX、幻創のミセラサウルスの三体を効果を無効にして特殊召喚! さらにギガントザウラーの効果発動! 墓地のメガザウラーデッキに戻し、このカードを特殊召喚!」

 

 翻る二枚目の伏せカード。直後に狩谷のフィールドに三体の恐竜族モンスターが出現し、そのすぐ後に、先ほど破壊された巨体、即ちギガントザウラーが墓地より蘇った。

 

「蘇生されたギガントザウラーの効果発動! 墓地の岩竜ベアロックを回収! さらにギガントザウラーが墓地から蘇生された場合、オレの手札かフィールドのカード一枚と、相手フィールドのカード一枚を破壊できる! オレは場にいるヘルホーンドザウルスとテメェのダーク・アンセリオン・ドラゴンを破壊!」

 

 狩谷の宣言通り、ヘルホーンドザウルスとダーク・アンセリオン・ドラゴンの身体が床に叩きつけられた陶器のように砕け散った。

 

「ああああああああああああああああああああくっそがああああああああああああああ!」

 

 苛立ちを露わにしながら、テュポーンは地面を蹴りつけ、頭を掻き毟る。

 爪が剥がれ、顔の皮膚が剥けて血が流れようがお構いなしだ。すでに使っている人間の身体のことなど欠片も考えてはいない。

 

「やめろテュポーン、見苦しいぞ」

「うるせぇ! お前らがさっさと死ねば、オレの恨みも晴れ、この人間の身体もこれ以上傷つかねぇんだよ!」

「戯言、妄言、聞くに堪えん。吾輩たちを倒したところでお前の嵐のような気性はついて回り、憑依している人間を大切に扱うような、殊勝な心掛けもありはしない。それがお前、嵐の化身、暴威の象徴、暴れ暴れて、最後に討たれて朽ちるまでの、怪物よ」

 

 掻き毟りをやめて、テュポーンは狩谷を、その傍らにいるゼウスを、射殺さんばかりに睨みつける。

 

「次だ、次こそ殺す。カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 

 

サイクロン:速攻魔法

(1):フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

 

覇王龍ズァーク-シンクロ・ユニバース 闇属性 ☆12 ドラゴン族:シンクロ・ペンデュラム

ATK4000 DEF4000

Pスケール1

P効果

このカード名のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドの、「覇王眷竜」Pモンスターか「覇王門」Pモンスター1体をリリースして発動できる。このカードを特殊召喚する。

モンスター効果

チューナー+チューナー以外の闇属性Pモンスター1体以上

(1):このカードはモンスターゾーンに存在する限り、カード名を「覇王龍ズァーク」として扱う。

(2):このカードが、戦闘で相手モンスターを破壊したダメージ計算後、または相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。自分のデッキ・EXデッキ・墓地から「覇王眷竜」モンスターを2体まで守備表示で特殊召喚する。

(3):モンスターゾーンのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを自分のPゾーンに置く。

 

光翼の竜:速攻魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分・相手のメインフェイズに発動できる。デッキから「覇王眷竜」Pモンスターか「覇王門」Pモンスター1体を手札に加える。自分フィールドに「覇王龍ズァーク」が存在する場合、手札に加えず特殊召喚する事もできる。

 

ダーク・アンセリオン・ドラゴン 闇属性 ランク7 ドラゴン族:エクシーズ・ペンデュラム

ATK3000 DEF3000

Pスケール10

P効果

(1):1ターンに1度、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの元々の攻撃力はターン終了時まで半分になる。

モンスター効果

レベル7モンスター×2

レベル7がP召喚可能な場合にEXデッキの表側表示のこのカードはP召喚できる。(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップする。この効果は相手ターンでも発動できる。(2):モンスターゾーンのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを自分のPゾーンに置く。

 

ホーリーライフバリアー:通常罠

手札を1枚捨てる。このカードを発動したターン、相手から受ける全てのダメージを0にする。

 

レベル・レジスト・ウォール:通常罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。(1):自分フィールドのモンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合、そのモンスター1体を対象として発動できる。レベルの合計がそのモンスターと同じになるように、デッキからモンスターを任意の数だけ選んで守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

 

狩谷LP1200手札4枚

テュポーンLP5600→9400手札1枚

 

 

「次こそ殺す、か。間抜けな話だ、次なんかあるかよ! オレのターン! メインフェイズ1開始時に、強欲で金満な壺発動! EXデッキのカードを裏側で六枚除外し、二枚ドロー!」

 

 この土壇場でのドローブースト。だが狩谷はドローカードを一瞥しただけだ。このドローに一縷の望みを託していたようには見えない。

 その証拠に、狩谷は思案も迷いもなく、手札からカードを引き抜いた。

 

「スクラップ・ラプター、メガロスマッシャーX、幻創のミセラサウルスをリリース!」

 

 三体のリリース。それ即ち、神の召喚。

 テュポーンの顔が歪む。それはかつて味わった屈辱を、今こうして思い浮かべたからか。

 

「神話の再現、ケラウノスの一撃を受けてみるか? テュポーンよ!」

 

 ゼウスの声が、それこそ雷鳴のように轟く。

 狩谷のフィールドにいた三体のモンスターは光の粒子となって消えていき、巨偉大な力を迎え入れる「場」であり「門」になる。

 

「来やがれ! 全雷万霆(ぜんらいばんてい)至上天神(しじょうてんしん)ゼウス!」

 

 迎え入れるように雷が天より絶え間なく降り注ぐ。

 目を、耳を、全身を打ち据えるような轟音と閃光に、テュポーンが思わず目を細める。

 だが次の瞬間には見開かれる。

 雷の帳の向こう側から、己が恨んでやまない怨敵が現れたからだ。

 見た目は私服姿とそう変わらない。

 荒々しい金髪に白い肌、奥に炎がちらつく氷河のような青い瞳。端正でダンディでセクシーな伊達男、その筋骨隆々の肉体を包むのは黄金の鎧。

 肩に牡牛の角のようなパーツ、シンプルな外観に、蔦のような装飾。籠手や具足には迸る稲光の装飾を。背には赤いマント、腰にあるのは豪奢な装飾を施された赤塗りの鞘に収まった短剣。

 身体のいたるところを走るのは黄金色の雷、それもまた、ゼウスを彩る装飾品。

 そしてひときわ目を引くのは、ゼウスの右腕に握られた、彼の身の丈ほどもありそうな巨大な鎚。バカでかい直方体に太い丸棒をつけたような簡素で武骨なデザインのはずだが、至る所に光るボルトがはめ込まれており、()()()()帯電していた。

 

「ゼウスの効果発動! 一ターンに一度、相手フィールドのカードを効果を無効にして除外する!」

「なに!?」

 

 目を見開くテュポーン。以下に耐性があるモンスターを並べていようとも、その効果自体を無効にされ、さらに除外されればPモンスターでも意味はない。

 ゼウスの手にした大槌の装甲を繋ぎ止めていた光のボルトが一斉に外れ、装甲――否、拘束具が解除され、装甲が宙に散る。

 そして現れたのは、天へと昇る、太陽を彷彿とさせる巨大な雷の球。

 その大電球こそゼウス最大の権能、ケラウノスの中身。触れるものを逃さず、あらゆる防御を剥ぎ取って焼き尽くす。

 

「終わりだテュポーン。貴様の軍勢を、焼き、潰し、滅ぼしてやろう」

 

 ゼウスが残ったケラウノスの柄の部分を振り下ろすと、連動して頭上の大電球がテュポーンのフィールドに振り下ろされる。

 テュポーンが何事か叫ぶが、空気まで帯電するこの状況下で、声は散り散りになり狩谷とゼウスまで届かない。

 着弾。同時に雷の柱が天へと昇り、テュポーンの軍勢を影さえ残さず焼き尽くす。

 

「ぐ……が……」

 

 揃えた軍勢を殲滅させられて、テュポーンは言葉もない。狩谷はそんな怪物を前に、己の心臓に手を当て、言った。

 

「かなり食いでのあるやつで悪くねェ。が、それじゃァオレの命を使いきるには足りねェな。テメェはここで終わりだ。ゼウスは除外されているカード一枚につき、攻撃力が1000アップする。これで終わりだ。ゼウスでダイレクトアタック!」

 

 ゼウスは無言で頷く。すでにテュポーンとの間に会話は必要ないとばかりに。

 自身の効果による強化と合わせて、ゼウスの攻撃力は19000。9400のテュポーンのライフを消し飛ばすのに十分すぎる。

 ゼウスの全身から一瞬、稲妻が迸ったと思った次の瞬間、その姿が消える。

 どこへ行ったのか? 思った時にはすでにテュポーンの眼前。そこで、ゼウスは右拳を振りかぶっていた。

 テュポーンへ向かって疾駆し、拳を握って振りかぶる。その一連の動作をカットしたような現象。すでに躱すこともできず、テュポーンはゼウスの拳をまともに喰らった。

 

「――――――――――――!」

 

 断末魔の絶叫は、遅れて起こった攻撃による轟音と衝撃によってかき消させた。

 残されたのは結果のみ。テュポーンのライフが0となり、ギリシャ神話最強の怪物は再び葬られたのだという事実のみだった。

 

 

強欲で金満な壺:通常魔法

(1):自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側のカード3枚か6枚をランダムに裏側で除外して発動できる。除外したカード3枚につき1枚、自分はドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。

 

全雷万霆の至上天神ゼウス 神属性 ☆12 幻獣神族:効果

ATK5000 DEF5000

このカードは特殊召喚できない。このカードは3体以上のモンスターをリリースしてのみ通常召喚できる。(1):このカードはこのカード以上のレベルまたはランクの神属性、幻神獣族モンスターの効果以外のカード効果ではフィールドを離れず、コントロールも変更されない。(2):このカードが相手のカードの効果を受けた時、エンドフェイズにこのカードに対するそのカード効果を無効にする。(3):1ターンに1度発動できる。相手フィールドの表側表示のカード効果を無効にし、相手フィールドのカードを全てゲームから除外する(4):このカードの攻撃力は、ゲームから除外されたモンスター1体につき、1000ポイントアップする。(5):???

 

 

テュポーンLP0

 

 

「さぁ、次に行くぞ、狩谷。我が契約者」

「ああ、分かってるぜ、ゼウス。敵はクロノスだ」

 

 ゼウスと狩谷は互いに肯き合い、先に進んだ。

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