神々の戦争   作:tuki21

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第128話:胸に宿る希望は奪えない

「一ターン長らえただけ、貴方はそう言いますが、それでいいのです。こうやって永らえて、耐えて、そして逆転への道筋を見つけます。希望を、信じて」

 

 災厄の女、パンドラを前にして、エーデルワイスは毅然とそう言い放った。

 対するパンドラは、唇だけの薄ら笑いを浮かべ、

 

「信じたところで、そんな希望はまやかしです、よ。だって、神話の時代からずっと、あたしが箱の中に閉じ込めてしまっているのですから、ね」

 

 それでもエーデルワイスの表情は変わらない。凛々しげな表情を崩さずに、言い放つ。

 

「いいえ、いいえ。希望は、希望だけは、たとえ箱に閉じ込められようとも、各々の心の中から生まれます。私は、そう信じます」

 

 

エーデルワイスLP4800手札3枚

ペンデュラムゾーン赤:なし青:なし

モンスターゾーン 銀河の魔導師、

魔法・罠ゾーン フォトン・チェンジ、

フィールドゾーン なし

 

パンドラLP4500手札3枚

ペンデュラムゾーン赤:なし青:なし

モンスターゾーン 地縛神 Ccarayhua(攻撃表示)、

魔法・罠ゾーン 冥界の宝札、冥界の宝札、伏せ1枚

フィールドゾーン 地縛牢

 

 

「私のターン、スタンバイフェイズに、フォトン・チェンジは自身の効果で墓地に送られます。

 手札のフォトン・エンペラーを捨てて、二枚目のトレード・インを発動します」

 

 二枚のドローカードを確認した時、エーデルワイスの目が僅かに見開かれた。

 

「これなら……ッ! 今墓地に送られたフォトン・エンペラーの効果を発動し、自身を守備表示で特殊召喚します! さらにこのターン、私は通常召喚とは別に、光属性モンスターを召喚できます!」

 

 紫のマントをはためかせて、現れる巨躯のモンスター。

 金と紫のマッシブな鎧、フルフェイスの王冠を思わせる形状の兜、肩が突起している鎧、身体を覆うはフォトンモンスター共通の青白い光。

 

「銀河の魔導師のレベルを、自身の効果を発動して8にします。さらに銀河の召喚師(ギャラクシー・サモナー)を召喚。効果を発動し、墓地の銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)を特殊召喚します」

 

 現れるエーデルワイスの三体目のモンスター。足はなく、白いローブ、目深にかぶられたフード、機械仕掛けに見えなくもない、細身の身体に対して太い両腕。淡く緑に輝く宝珠を備えた杖、フードの下から覗くのは、杖と同じ宝珠をはめ込まれた仮面の顔。得体の知れない召喚師は、無言のまま杖を振るう。

 すると、杖の軌跡に合わせて光の粒子が舞い、粒子は集まってエーデルワイスの墓地から銀河眼の光子竜を導き、彼女のフィールドに蘇らせた。

 

「レベル8のモンスターが三体。行けるか、エーデルワイス」

 

 契約者の考えを読み取ったルーの声音に喜色が浮かぶ。エーデルワイスも口元に微笑を浮かべた。

 

「はい、行きます! レベル8となった銀河の魔導師に、銀河眼の光子竜、フォトン・エンペラーでオーバーレイ! 三体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 右腕を突き上げるエーデルワイス。その頭上に、渦を巻く銀河のような空間が展開され、その渦に中心に向かってエーデルワイスの三体のモンスターが白い光となって飛び込んでいく。

 

「逆巻く銀河よ。今こそ我が力となりて、化身の龍となってこの地に来たれ! これが私の祈り。私が出せる全て! 超銀河眼の(ネオギャラクシーアイズ)光子龍(フォトンドラゴン)!」

 

 虹色の爆発が起こり、巨大な気配が爆誕する。

 その姿は銀河眼の光子竜によく似ていたが、フォルムはよりマッシブになり、外殻も隆起している。肩口には新たに二つの頭部が生え、合計で三つ首のドラゴンという有様。最大の違いは全身が青白い光ではなく、真紅に輝いていることだった。

 

「超銀河眼の効果発動! 銀河眼の光子竜をORUにしたこのカードは、フィールドの自身以外の表側表示カードの効果を無効にします!」

 

 パンドラの表情が歪む。

 

「効果の無効化です、か。なるほどこれなら――――」

「地縛神にも手が届く、というわけだ。エーデルワイス!」

 

 ルーの鼓舞するような亜声に、エーデルワイスも力強く頷いた。

 

「銀河召喚士と銀河修道士をオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! 銀河光子竜(ギャラクシー・フォトン・ドラゴン)をエクシーズ召喚!」

 

 新たに追加される、人に近い身体、青白く発光する身体に、それを覆う鎧のような白い外骨格。翼を広げて人間のように降り立つ。

 

「銀河光子竜の永続効果で、超銀河眼の攻撃力は500アップします。

 さらに銀河光子竜のもう一つの効果を発動します。ORUを一つ使って、デッキから新しい銀河騎士(ギャラクシー・ナイト)を手札に加えます。

 バトルです。超銀河眼の光子龍で地縛神 Ccarayhuaを攻撃!」

 

 巨大な三つ首竜が、さらに巨大な邪神へと肉薄する。

 その三つの(アギト)を開き、口内に赤い光とため込み、一気に放出した。

 三重の砲撃。光の瀑布が地縛神 Ccarayhuaを飲み込み、その体の大半を消し飛ばした。

 

「これで――――」

「神殺しなど、不敬の極みです、ね。そんなことだから、罰を受けるのです、よ。Ccarayhuaの効果発動! 自身以外のカード効果によって破壊された時、フィールドの全てのカードを破壊します、よ!」

「な―――――」

 

 目を見開き、言葉を失うエーデルワイスの眼前で、崩れ落ちていくCcarayhuaの身体から黒い旋風が突如として出現し、荒れ狂う嵐となってフィールドを蹂躙した。

 

「相手の攻撃抑制を潜り抜けたら、今度はリセット効果とはな……。二段構えの悪辣な効果だな」

「仕方がありません。追撃の手段もありませんし、これでターン終了です」

 

 

フォトン・エンペラー 光属性 ☆8 戦士族:効果

ATK2800 DEF1000

このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがフィールド以外から墓地へ送られた場合、このカード以外の「フォトン」モンスターか「ギャラクシー」モンスターが、自分のフィールドか墓地に存在していれば発動できる。このカードを守備表示で特殊召喚する。

(2):このカードが召喚・特殊召喚した時に適用する。このターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに光属性モンスター1体を召喚できる。

 

銀河の召喚師 光属性 ☆4 魔法使い族:効果

ATK1600 DEF1400

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚した場合、「銀河の召喚師」以外の自分の墓地の、「フォトン」モンスターか「ギャラクシー」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

(2):自分フィールドの他の光属性モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルをターン終了時まで4にする。

 

 

超銀河眼の光子龍 光属性 ランク8 ドラゴン族:エクシーズ

ATK4500 DEF3000

レベル8モンスター×3

「銀河眼の光子竜」を素材としてこのカードがエクシーズ召喚に成功した時、このカード以外のフィールド上に表側表示で存在するカードの効果を無効にする。1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手フィールド上のエクシーズ素材を全て取り除き、このターンこのカードの攻撃力は取り除いた数×500ポイントアップする。さらに、このターンこのカードは取り除いた数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

 

銀河の修道師 光属性 ☆4 魔法使い族:効果

ATK1500 DEF600

このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。①:自分フィールドの、「フォトン」Xモンスターまたは「ギャラクシー」Xモンスター1体を対象として発動できる。手札のこのカードをそのモンスターの下に重ねてX素材とする。②:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、自分の墓地の「フォトン」カード及び「ギャラクシー」カードの中から合計5枚を対象として発動できる(同名カードは1枚まで)。そのカードをデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。

 

銀河光子竜 光属性 ランク4 ドラゴン族:エクシーズ

ATK2000 DEF0

レベル4モンスター×2

このカード名の②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの他の光属性モンスターの攻撃力は500アップする。

②:このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから「フォトン」カードか「ギャラクシー」カード1枚を選び、手札に加えるか墓地へ送る。

③:自分フィールドに光属性モンスターが特殊召喚された場合、その内の1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルをターン終了時まで4か8にする。

 

地縛神 Ccarayhua 闇属性 ☆10 爬虫類族:効果

ATK2800 DEF1800

「地縛神」と名のついたモンスターはフィールド上に1体しか表側表示で存在できない。フィールド魔法カードが表側表示で存在しない場合このカードを破壊する。相手はこのカードを攻撃対象に選択できない。このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。また、このカードがこのカード以外の効果によって破壊された時、フィールド上のカードを全て破壊する。

 

 

エーデルワイスLP4800手札4枚

パンドラLP4500→2800手札4枚

 

 

「あたしのターンです、ね。ドローします、よ」

 

 ドローフェイズでドローした二枚を見た時、パンドラの表情に変化があった。

 今までのような貼り付けたような薄っぺらい笑顔ではなく、嗜虐に満ちたサディスティックな笑顔に。

 これこそがこの女の心の一端なのか、そう思ったエーデルワイスは背筋に冷たいものを感じた。

 

「神殺しの不敬。その(あがな)いは、これから嬲ることで果たされるでしょう、ね。おろかな埋葬を発動。デッキから、地縛神 スカーレッド・ノヴァを墓地に送ります、よ。

 そして墓地のスカーレッド・ノヴァの効果を発動します、ね。このカードを除外し、手札の地縛神 Uruを墓地に送り、EXデッキから地縛戒隷 ジオグレムリーナを特殊召喚します、ね」

 

 パンドラの墓地からカードが一枚抜き取られる。次の瞬間、彼女のフィールドに赤黒い煙が立ち込め、その中から巨大な影が現れた。

 黒い体躯の全身に走った黄色いライン。背の左側からのみ生えた小さな翼、両手を手枷で拘束され、両足も鎖でつながれている。

 首はなく、全体的にずんぐりむっくりしている印象だが、オレンジの双眸の鋭さがその印象を裏切っている。

 

「ジオグレムリーナの効果により、デッキから二枚目のグランド・キーパーを手札に加え、召喚します、よ。

 当然、グランド・キーパーの効果を発動します、ね。墓地のストーン・スィーパーを特殊召喚します、よ。

 ここで、レベル5のストーン・スィーパーに、レベル1のグランド・キーパーをチューニングします、よ」

 

 薄ら笑いを浮かべるパンドラのフィールドで、彼女が召喚した二体の地縛囚人が宙を舞う。

 レベル1のグランド・キーパーが一つの緑色の光の輪となり、その輪をくぐったストーン・スィーパーが五つの白い光星(こうせい)となる。

 

「地に縛られし下僕は、ここに従属の魔として神に(かしず)くのです。シンクロ召喚。地縛戒隷ジオグレムリン!」

 

 まばゆい光が当たりを照らし、現れたのはジオグレムリーナによく似たモンスター。

 黒い巨体に体中に走る青いライン。両脚は足かせと鎖でつながれており、胴体にはなぜか首枷のような枷、腕にも鎖が下がっており、何かに縛られている印象を与える。

 

「行きます、よ。バトルフェイズです。二体の地縛戒隷でダイレクトアタック!」

 

 二体の巨大な悪魔が、エーデルワイスの華奢な体を握り潰そうと迫る。

 

 ルーの警告するような叫び。「エーデルワイス!」

 即座に反応するエーデルワイス。「はい! 手札からクリフォトンの効果を発動します! 2000ライフを払い、このターン、私が受けるダメージを0にします!」

 

 防御札は手札に保持しておいた。エーデルワイスの手札から飛び出した小さな影が、彼女を守るように健気な壁となる。

 クリフォトンに激突するジオグレムリンの振り下ろした拳。

 衝撃が辺りに飛び散り、今はすっかり変貌してしまったゾルディック本社の周りの建物の窓ガラスを粉砕する。

 

「くぅ……ッ!」

 

 衝撃に、エーデルワイスの息が詰まる。巻き起こされた風に目を細めながらも、彼女は見た。

 パンドラのフィールド、まだ残っているジオグレムリーナが攻撃態勢を解いていないことを、だ。

 

「エーデルワイス! 奴はダメージを与えられずとも攻撃を続行するつもりだ! 宝珠を守れ! ともすれば、お前の命まで危険だ!」

 

 ルーの警告が飛び、エーデルワイスははじかれたようにその場から飛びのいた。

 次の瞬間、手足を縛られた雌型悪魔が全身を使ってエーデルワイスに向かって()()()()()。プロレスのパワーボムに近いか。

 神々の戦争のバトルフィールドの効果による身体能力の上昇、そのおかげか、エーデルワイスの必死の回避行動は間一髪成功し、彼女はジオグレムリーナの下敷きになることは回避できた。

 だが巨体が地面に激突した時の衝撃が、エーデルワイスを捕まえた。突然見えない手に掴まれて、めちゃくちゃに振り回されるような衝撃が彼女を襲った。

 エーデルワイスが自分の体が大きく宙を舞ったことは認識できたが、そこまでだった。

 一瞬の浮遊感の後、見えない手に振り回さされる、抵抗は無駄だという無常感が彼女を襲った。

 上下左右前後、すべてがわからなくなり、ただ自分の体がかろうじて背中から地面に落ち、そのまま転がっていることは認識できた。

 一瞬のブラックアウトの後、意識を取り戻したエーデルワイスは、自分が右半身を下にして地面に倒れていることを悟った。手札とデュエルディスクを離していないことが奇跡のようだ。

 だがこれで攻撃は終わった。そう思った。

 だが――――――

 

「まだだエーデルワイス!」

 

 ルーの、戦神としての直感がまだ終わりではないと、その声を上げさせた。

 

「ッ!」

 

 そしてその声が、エーデルワイスの朦朧(もうろう)とした意識を覚醒させた。

 痛みを務めて無視して、エーデルワイスは体を跳ね起こした。その直後、ルーの言葉を証明する等に、パンドラが動く。

 

「ジオグレムリンの効果を発動します、ね。ジオグレムリンと、ジオグレムリーナを、その場で除外融合します、よ」

 

 さらなる追撃。パンドラのフィールドに存在していた二体のモンスターの体が溶けるようにフォルムを崩し、蠢き、一つとなる。

 混ざりあった地縛戒隷が新たな形を作り出す。

 

「地を這う下僕は、牙を研ぎ、大いなる力となる。来なさい、ね。地縛戒隷 ジオグラシャ=ラボラス!」

 

 新たな地縛戒隷の出現。

 現れたのは、やはり黒い巨躯を持つ悪魔。

 フォルムはドラゴンに近い。人に近い四肢に長い首、鋭角的な頭部、長い尻尾、背中の翼、漆黒の体に走る赤い発光ライン。ジオグレムリンやグレムリーナと違い、その体を拘束する拘束具らしきものはない。

 その攻撃力は3000。

 

「追撃で、攻撃力3000が出てくるとはな」

 

 苦い顔で言うルーだったが、パンドラの狙いはわかりきっていた。

 クリフォトンによって、このターン、パンドラはエーデルワイスにダメージは与えられない。しかし実体化した巨体によって、エーデルワイスの体をひき潰すなり、宝珠を砕けば、彼女は神々の戦争から脱落する。

 

「神の力の前で、膝をつきなさい、ね! 地縛戒隷 ジオグラシャ=ラボラスでダイレクトアタック!」

 

 巨大な悪魔が動く。翼を広げ、赤い発光ラインがさらに赤く、強く輝く。

 

 

「逃げろエーデルワイス!」

 

 言われるまでもない。エーデルワイスは地を蹴り駆ける。ジオグラシャ=ラボラスの翼の赤い円形部分がさらに強く光り輝き、そこから閃光を放った。

 赤い光線は鋭角的に曲がり、エーデルワイスを狙う。

 

「クゥ……っ!」

 

 エーデルワイスの眼前に赤い光線が降り注ぐ。こちらの回避ルートを塞ぐためだということは分かる。が、止まらざるを得ない。だからとっさに体を丸めて宝珠を守りながら、身を投げ出した。

 直後に先ほどまでエーデルワイスがいた場所に本命の光線が着弾。衝撃と粉塵、そして破片をまき散らす。

 

「あぁ!」

 

 身を投げ出していたエーデルワイスの体が衝撃波に煽られて加速する。それでも彼女は猫のように体を丸めることに成功したため、危険な姿勢で投げ出されることはなかった。

 頭を庇い、背中から()()できたのは僥倖であった。

 

「無事か、エーデルワイス!?」

「はい、何とか……」

「そのまま潰れてしまえばよかったのですが、ね。バトルを終了。再びフィールド魔法、地縛牢を張り、カードを一枚セット。永続魔法、フィールドバリアを発動し、ターン終了です、よ」

 

 

おろかな埋葬:通常魔法

①:デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

地縛神 スカーレッド・ノヴァ 闇属性 ☆12 悪魔族:効果

ATK3500 DEF3000

このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

①:「地縛神」モンスターはフィールドに1体しか表側表示で存在できない。

②:自分・相手のメインフェイズに、手札・墓地のこのカードを除外して発動できる。自分の手札・フィールド(表側表示)から「地縛神」モンスターか「レッド・デーモンズ・ドラゴン」1体を墓地へ送る。その後、以下の効果から1つを適用できる。

●デッキ・EXデッキから「地縛」モンスター1体を特殊召喚する。

●EXデッキから「スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン」1体をS召喚扱いで特殊召喚する。

 

地縛戒隷 ジオグレムリーナ 闇属性 ☆6 悪魔族:融合

ATK2000 DEF1000

「地縛」モンスター+闇属性モンスター

このカード名の①②③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:このカードが特殊召喚した場合に発動できる。デッキから「地縛」モンスター1体を手札に加える。

②:自分フィールドの闇属性Sモンスター1体を対象として発動できる。このターン、そのモンスターは直接攻撃できる。

③:相手フィールドのモンスターが「地縛」カードの効果で破壊された場合、その破壊されたモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

地縛戒隷 ジオグレムリン 闇属性 ☆6 悪魔族:シンクロ

ATK2000 DEF1000

闇属性チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

①:自分・相手のメインフェイズに、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。相手は以下から1つを選び、自分はその効果を適用する。

●対象のモンスターを破壊する。

●対象のモンスターの攻撃力分だけ自分のLPを回復する。

②:自分・相手のバトルフェイズに発動できる。自分の手札・フィールド・墓地のモンスターを融合素材として除外し、「地縛」融合モンスター1体を融合召喚する。

 

クリフォトン 闇属性 ☆1 悪魔族:効果

ATK300 DEF200

このカードを手札から墓地へ送り、2000ライフポイントを払って発動できる。このターン自分が受ける全てのダメージは0になる。この効果は相手ターンでも発動できる。また、このカードが墓地に存在する場合、「クリフォトン」以外の「フォトン」と名のついたモンスター1体を手札から墓地へ送って発動できる。墓地のこのカードを手札に加える。「クリフォトン」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

地縛戒隷 ジオグラシャ=ラボラス 闇属性 ☆10 悪魔族:融合

ATK3000 DEF1800

「地縛」融合モンスター+「地縛」Sモンスター

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

???

 

 

エーデルワイスLP4800→2800手札3枚

パンドラLP2800手札1枚

 

 

「く……。私のターンです!」

 

 先のターン、ダメージこそクリフォトンのおかげで2000に抑えられたが、体が受けたダメージは大きい。

 

「エーデルワイス、闇のカードによるダメージは深刻だ。だから―――――」

「わかっています。このターンで、決めます」

 

 そうしなければ体がもたない。ゆえにこのターンで決着をつける必要がある。

 そのためには、パンドラの伏せカードが気になる。あれは―――――

 

「パンドラがわざわざフィールド魔法を張り直し、それを守る手段まで設けたのならば、あの伏せカードはリビングデッドの呼び声のような、モンスターを蘇生させる罠だろう」

 

 その可能性が一番高い。再びAslla piscuを蘇生されてはたまらない。

 

「ですけど、今は地縛神以外のモンスターがパンドラのフィールドに存在しています。ならば、このターンでグラシャ=ラボラスを攻略し、彼女のライフを0にすればいいのです。

 私は銀河騎士(ギャラクシー・ナイト)を召喚! 効果で、墓地の銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)を特殊召喚します!」

 

 再びエーデルワイスのフィールドに、銀河を内包する騎士と、ドラゴンが現れる。

 エーデルワイスはちらりとパンドラの伏せカードに目をやった。

 沈黙している。ならばこちらの展開を妨害する罠ではないようだ。つまり、エーデルワイスとルーの予想通り、パンドラの伏せカードは蘇生カードの可能性がますます高まった。

 

「私は、銀河騎士と銀河眼の光子竜でオーバーレイ! 二体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 右手を天に向かって振り上げたエーデルワイスの頭上、そこに虹色の渦を巻く銀河を思わせる空間が出現し、その渦の中心にエーデルワイスのモンスターが二体、白い光となって飛び込んだ。

 

「出でよNo.62! 青き光を身に纏い、今ここに銀河の竜は新たな存在へと転生する! これが私の信念!銀河眼の(ギャラクシーアイズ)!」

 

 虹色の爆発とともに、新たな竜がその姿を現す。

 青い発光体の体躯、鎧のような外殻に、背後へと延びるリング状の器官に肩口から噴き出る青い光。

 銀河眼の光子竜と大きく進化させたその姿に追随するように、二つの光球が衛星のように周囲を旋回していた。

 

「まだです! 私は、銀河眼の光子竜皇でオーバーレイ! 一体のモンスターで、オーバーレイネットワークを再構築! カオス・エクシーズ・チェンジ!」

 

 再びエーデルワイスのフィールドに、渦巻く銀河を思わせる空間が展開され、先ほど召喚されたドラゴンが白い光となって飛び込む。

 再び、銀河が虹色の爆発を起こした。

 

「来たれCNo.(カオスナンバーズ)62! その身に纏うは赤き力! 新たな銀河は、炎の中から新生する! これが私の、歩き続ける進化! |超銀河眼の光子竜皇《ネオギャラクシーアイズ・プライム・フォトン・ドラゴン》!」

 

 爆発の向こうから、産声のような咆哮が轟く。

 新たに現れたドラゴン。目を引くのはその全身から発される、灼熱の炎を思わせる輝く赤。ベースは銀河眼の光子竜皇だが、青く輝いていた銀河眼の光子竜皇と違い、全身は赤く輝き、両肩から二つの首が伸び、三頭龍となっている。

 全身から噴き出す赤い輝きに、その光を結晶化させたような赤い翼。鎧のごとき外骨格、長く鋭い尻尾。足はなく、宙に浮いた状態でパンドラと、彼女のモンスターを睥睨(へいげい)する。

 

「超銀河眼の光子竜皇は銀河眼の光子竜をORUとしている場合、自身のORUとなったモンスターのレベルまたはランク×100ポイント、攻撃力がアップします。よって攻撃力は2400アップし、6400。貴方のライフを削りきるには十分です。

 バトル! 超銀河眼の光子竜皇で、地縛戒隷 ジオグラシャ=ラボラスを攻撃!」

 

 とうとう攻撃宣言が下る。エーデルワイスの命令を受け、赤き竜皇が上体をそらし、息を胸部にため込んだ。

 一瞬後、放たれた三重螺旋の赤い光の息吹(ブレス)。轟音と閃光が辺りを満たし、それらを突き破って、とどめの一撃がジオグラシャ=ラボラスに迫る。

 パンドラの伏せカードは反応しない。だがその瞬間、パンドラは確かに笑った。それはまさに、自身の巣にかかった獲物を見据える蜘蛛のように。

 

「残念です、ね! 地縛戒隷 ジオグラシャ=ラボラスの効果発動です、よ! 戦闘する相手モンスターの好守を0にします!」

 

 種明かしをするならば、パンドラが伏せたカードはリビングデッドの呼び声。ルーとエーデルワイスの予想は当たっていた。

 だがパンドラは相手がそう読んでくることも想定していた。

 地縛神を蘇生される前に、攻撃可能なモンスターがパンドラのフィールドにいるうちに、そのモンスターを打倒し、決着をつけようとするだろうと。

 それこそがパンドラの狙い。そうして攻撃してきたところを、ジオグラシャ=ラボラスの効果で返り討ち。これで終わり。パンドラはそう確信していた。

 その確信は、一切希望を捨てていなかったエーデルワイスの叫びによってかき消される。

 

「いいえ! 超銀河眼の光子竜皇は、銀河眼の光子竜をORUとしている限り、相手モンスターの効果を受けません! よって攻撃力の変動は起こらず、私の勝ちです!」

「なんです、って……!?」

 

 歯ぎしりがするように、パンドラの表情が歪む。

 

「神の、命令が……! 希望なんて、どこにもないはずなのに……!」

 

 信じられないものを見るように、パンドラの両目が見開かれる。その眼前で、赤く輝く三重螺旋を受けたグラシャ=ラボラスの体が一瞬膨らみ、内部から破壊されて破裂した。

 

「あ――――――あぁ――――――!」

 

 絶望の満ちたパンドラの小さな断末魔。その首から下げられたチェーンが切れ、箱が地面に落ちた。

 同時に女の小さな体も頽れた。

 

 

 

銀河眼の光子竜皇 光属性 ランク8 ドラゴン族:エクシーズ

レベル8モンスター×2

(1):このカードが戦闘を行うダメージ計算時に1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このカードの攻撃力はそのダメージ計算時のみ、フィールドのXモンスターのランクの合計×200アップする。(2):「銀河眼の光子竜」をX素材として持っていないこのカードが相手に与える戦闘ダメージは半分になる。(3):「銀河眼の光子竜」をX素材として持っているこのカードが相手の効果で破壊された場合に発動できる。発動後2回目の自分スタンバイフェイズにこのカードの攻撃力を倍にして特殊召喚する。

 

 

地縛戒隷 ジオグラシャ=ラボラス 闇属性 ☆10 悪魔族:融合

ATK3000 DEF1800

「地縛」融合モンスター+「地縛」Sモンスター

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

①:このカードがモンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動する。そのモンスターの攻撃力・守備力を0にする。

②:相手モンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。相手フィールドのカードを全て破壊する。

③:表側表示のこのカードが相手によってフィールドから離れた場合に発動できる。デッキ・EXデッキから「地縛」モンスター1体を特殊召喚する。

 

CNo.62 超銀河眼の光子竜皇 光属性 ランク8 ドラゴン族:エクシーズ

ATK4000 DEF3000

光属性レベル8モンスター×3

このカードは自分フィールドの「No.62 銀河眼の光子竜皇」の上に重ねてX召喚する事もできる。

①:自分バトルフェイズ開始時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このカードはこのバトルフェイズ中、3回までモンスターに攻撃できる。

②:このカードが「銀河眼の光子竜」をX素材としている場合、以下の効果を得る。

●このカードは相手モンスターの効果を受けない。

●このカードの攻撃力は、このカードがX素材としているモンスターのレベル・ランクの合計×100アップする。

 

 

パンドラLP0

 

 

 倒れ伏したパンドラ――その依り代となっていた少女――の姿が消える。バトルフィールドから退去したのだ。

 彼女の無事は祈るしかない。

 

「やったな、エーデルワイス。強敵を退けたぞ」

「はい。ルー。ですが――――――」

 

 エーデルワイスはその場でふらつき、膝をついた。見ればその顔色は悪く、疲労困憊なのは誰の目にも明らかだった。

 

「エーデルワイス!?」

 

 実体化したルーがその華奢な体を支える。

 無理もない。闇のカードを用いたデュエルは、ただでさえ負担の大きい神々の戦争においても、さらに強大な負荷がかかる。たとえデュエルに勝利できても、即座に再行動は難しいかもしれない。

 それでもエーデルワイスは気丈に言った。

 

「大丈夫です、ルー。少し休めば、このくらい……」

 

 そういいながらも、エーデルワイスの声音は弱弱しい。ルーはその体を抱き上げ、すぐさまその場から離脱した。

 いずれにせよ、しばらく身を隠さなければならない。何よりも、契約者の身を守らなければならないのだ。

 

「ほかの神々よ、その契約者よ。せめて、無事を祈る。戦神の加護よあれ」

 

 戦いは続く。当然、倒れる者もでてくる。それでも戦いは続くのだ。全員が倒れてしまうか、敵を打ち倒すまで。

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