神々の戦争   作:tuki21

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第17話:迅雷の闘神

 唸り声をあげるドラゴンの群。

 和輝(かずき)が対峙する烈震(れっしん)(しもべ)たちだ。

 手強い相手だ。だが今は反撃の“流れ”だ。ならば、臆することなく、立ち向かうだけだ。

 

和輝LP1200手札2枚

ペンデュラムゾーン赤:なし青:なし

場 ナイトエンド・ソーサラー(守備表示)

伏せ 0枚

 

烈震LP4500手札3枚

ペンデュラムゾーン赤:なし青:なし

場 レッド・デーモンズ・ドラゴン(攻撃表示)、ブラックフェザー・ドラゴン(攻撃表示)、永続魔法:天輪の鐘楼、永続罠:リビングデッドの呼び声(対象:なし)

伏せ 1枚

 

 

ナイトエンド・ソーサラー 闇属性 ☆2 魔法使い族:チューナー

ATK1300 DEF400

このカードが特殊召喚に成功した時、相手の墓地に存在するカードを2枚までゲームから除外する事ができる。

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン 闇属性 ☆8 ドラゴン族:シンクロ

ATK3000 DEF2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードが相手の守備表示モンスターを攻撃したダメージ計算後に発動する。相手フィールドの守備表示モンスターを全て破壊する。(2):自分エンドフェイズに発動する。このカードがフィールドに表側表示で存在する場合、このカード以外のこのターン攻撃宣言をしていない自分フィールドのモンスターを全て破壊する。

 

ブラックフェザー・ドラゴン 闇属性 ☆8 ドラゴン族:シンクロ

ATK2800 DEF1600

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

自分がカードの効果によってダメージを受ける場合、代わりにこのカードに黒羽カウンターを1つ置く。このカードの攻撃力は、このカードに乗っている黒羽カウンターの数×700ポイントダウンする。また、1ターンに1度、このカードに乗っている黒羽カウンターを全て取り除く事で、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、その攻撃力を取り除いた黒羽カウンターの数×700ポイントダウンし、ダウンした数値分のダメージを相手ライフに与える。

 

天輪の鐘楼:永続魔法

「天輪の鐘楼」はフィールドに1枚しか表側表示で存在できない。(1):自分または相手がS召喚に成功した場合に発動できる。そのプレイヤーはカードを1枚ドローする。

 

リビングデッドの呼び声:永続罠

(1):自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

 

「俺のターンだ、ドロー!」

 

 ドローし、引き寄せたのは貪欲な壺。即座に発動し、墓地のマジカル・アンドロイド、バルムンク、ドラゴエクィテス、ジャンク・シンクロン、フォーミュラ・シンクロンをデッキに戻して二枚ドロー。そして、ドローカードを確認後、にやりと口端を吊り上げた。

 

「よっし来た! 墓地のワイバースターとコラプサーペントを除外し、カオス・ソーサラーを特殊召喚!」

 

 和輝のフィールドに現れたのは、黒いローブで身を包み、両腕に紫色のオーラを炎のように揺らめかせた男性の魔術師。

 

「反撃の狼煙(のろし)か、確かに、ふさわしいモンスターを引いてきたようだな……ッ!」

「引き込む力が強いな。ロキがパートナーに選ぶだけのことはあるぜ」

 

 目を軽く見開き、驚きを表現する烈震と僅かな戦慄をにじませるトール。一人と一柱に相対する和輝はさらに突き進む。

 

「カオス・ソーサラーの効果発動。レッド・デーモンズ・ドラゴンを除外する」

 

 和輝の命令が下り、カオス・ソーサラーが手にした両手の紫色のオーラを放出。炎のような揺らめく光はそのまま霧のように爆発的に広がり、意志ある物のごとく蠢き、揺らぎ、レッド・デーモンズ・ドラゴンを捕獲、焼き尽くした。

 

「これで、残るはブラックフェザー・ドラゴンのみ! 俺は、レベル6のカオス・ソーサラーに、レベル2のナイトエンド・ソーサラーをチューニング!」

 

 シンクロ召喚。

 二つの緑の光の輪となったナイトエンド・ソーサラーと、その輪をくぐって六つの白い光星となったカオス・ソーサラー。

 

「集いし八星(はっせい)が、星海切り裂く光の竜を紡ぎだす! 光さす道となれ! シンクロ召喚、響け、閃珖竜(せんこうりゅう) スターダスト!」

 

 一筋の光の道が攻勢を貫き、新たなモンスターを呼び出す(しるべ)となる。

 現れたのは、烈震が操っていたスターダスト・ドラゴンに酷似したモンスター。相違点は、オリジナルにはないラインが体に入っていることくらいか。

 

「天輪の鐘楼の効果で一枚ドロー。さらに俺は、召喚僧サモンプリーストを召喚する」

 

 追加で召喚されたのは、紫のローブで身を包んだろう魔術師。ぶつぶつと呪文を唱える姿は厳格で老練な僧侶の風情。

 

「サモンプリーストの効果発動。手札の融合を捨てて、デッキからE・HERO(エレメンタルヒーロー) プリズマーを特殊召喚」

 

 現れたのは鏡のような体をしたヒーローモンスター。もっとも、今は攻撃に労力を割くわけではない。

 

「プリズマーの効果発動。エクストラデッキの融合モンスター、超魔導騎士ブラック・パラディンを提示し、その融合素材のバスター・ブレイダーをデッキから墓地に送る。

 そして、プリズマーとサモンプリーストをオーバーレイ!」

 

 エクシーズ召喚。右手を大きく掲げた和輝の頭上に、渦を巻く光の銀河のごとき空間が展開。同時に、プリズマーが白の、サモンプリーストが紫の光に変じて、上空の空間に向かって飛びこんだ。

 

「二体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 天空の渦から、虹色の爆発が起こった。

 

「研ぎ澄まされた反逆の牙、屈せぬ心! 吠えろダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!」

 

 粉塵から咆哮が轟く。

そして現れたのは、全身が僅かに光沢を放つ漆黒のドラゴン。

 歪な牙のような形状の翼に、下顎から突き出した、鋭い爪とも、剣の切っ先、槍の穂先とも見える突起物。そして全身から迸らせる稲妻。

 

「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果発動! オーバーレイユニットを二つ取り除き、ブラックフェザー・ドラゴンの攻撃力を半分にし、その数値分、このカードの攻撃力をアップさせる!」

 

 攻撃力を強奪され、翼による揚力が弱まったブラックフェザー・ドラゴンが大地に体を横たえてしまう。ズンという重々しい音ともに土埃が舞う。

 

「ぬぅ……」

「こりゃやばいぜ!」

「バトルだ! ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンでブラックフェザー・ドラゴンに攻撃!」

「行け! 和輝!」

 

 二人の人間と二柱の神のリアクション。そして、反逆の黒竜が咆哮を上げ、全身に紫電を纏わせながら解き放たれた一本の矢のようにブラックフェザー・ドラゴンに肉薄。下顎の突起を矢の先端に見立てての突撃に、弱り切ったブラックフェザー・ドラゴンは反応できない。

 激突。ブラックフェザー・ドラゴンは苦痛の絶叫を断末魔として果て、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンは悠々と和輝のフィールドに戻っていった。

 

「ぐ……ッ!」

 

 ダメージのフィードバックに胸を抑え、わずかに体をかがませる烈震。その隙を、和輝は見逃さない。

 

「これで、止め! スターダストでダイレクトアタック!」

 

 間髪入れない攻撃命令が下る。スターダストが、威力よりも早さを重視した光の息吹(ブレス)を放つ。

 宝珠狙いの一撃。これが決まれが和輝の勝利。

 だが、

 

「させ――――るかぁ! リバーストラップ発動! 星堕つる地に立つ閃珖(スターダスト・リ・スパーク)! その攻撃を無効にし、カードを一枚ドロー! そして、墓地からスターダスト・ドラゴンを復活させる!」

 

 声を荒げ、気迫を放つ烈震。その気迫に応えるように、墓地から復活したスターダスト・ドラゴンがとどめの一撃になるはずだった攻撃を、身体をはって受け止める。

 

「防いできた。やっぱりトールのパートナー。一筋縄ではいかないか……」

「できればドラゴンの一撃に対してこの身がどう対応できるか試してみたかったがな。このまま敗北になってしまうのはまた勿体ない(、、、、)ので、防がせてもらった」

「…………できれば、ここで決めたかったな。カードを一枚セットして、ターンエンドだ」

 

 

貪欲な壺:通常魔法

(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。

 

カオス・ソーサラー 闇属性 ☆6 魔法使い族:効果

ATK2300 DEF2000

このカードは通常召喚できない。自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを1体ずつゲームから除外した場合に特殊召喚できる。1ターンに1度、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択してゲームから除外できる。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。

 

閃コウ竜 スターダスト 光属性 ☆8 ドラゴン族:シンクロ

ATK2500 DEF2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して発動できる。選択したカードは、このターンに1度だけ戦闘及びカードの効果では破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

召喚僧サモンプリースト 闇属性 ☆4 魔法使い族:効果

ATK800 DEF1600

(1):このカードが召喚・反転召喚に成功した場合に発動する。このカードを守備表示にする。(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードはリリースできない。(3):1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて発動できる。デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。

 

E・HERO プリズマー 光属性 ☆4 戦士族:効果

ATK1700 DEF1100

(1):1ターンに1度、エクストラデッキの融合モンスター1体を相手に見せ、そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスター1体をデッキから墓地へ送って発動できる。エンドフェイズまで、このカードはこの効果を発動するために墓地へ送ったモンスターと同名カードとして扱う。

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 闇属性 ランク4 ドラゴン族:エクシーズ

ATK2500 DEF2000

レベル4モンスター×2

(1):このカードのX素材を2つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップする。

 

星堕つる地に立つ閃珖:通常罠

「星墜つる地に立つ閃珖」は1ターンに1枚しか発動できない。(1):特殊召喚された相手モンスターの直接攻撃宣言時、そのモンスターの攻撃力が自分のLP以上の場合に発動できる。その攻撃を無効にし、自分はデッキから1枚ドローする。その後、自分のエクストラデッキ・墓地から「スターダスト」モンスター1体を選んで特殊召喚できる。

 

スターダスト・ドラゴン 風属性 ☆8 ドラゴン族:シンクロ

ATK2500 DEF2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):フィールドのカードを破壊する魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードをリリースして発動できる。その発動を無効にし破壊する。(2):このカードの(1)の効果を適用したターンのエンドフェイズに発動できる。その効果を発動するためにリリースしたこのカードを墓地から特殊召喚する。

 

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン攻撃力2500→3900

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンORUなし

和輝LP1200手札1枚

烈震LP4500→2000手札4枚

 

 

(オレ)のターンだ、ドロー!」

 

 裂帛の気合いとともにカードをドローする烈震。その鋭くも重い動作故に発生した突風が和輝の顔を叩く。

 

「マジかよ、ここまで風が届きやがった」

「彼の闘気の高まりが尋常じゃないね」

 

 唖然とする和輝とロキ。そして、ドローカードを確認した烈震は笑みを浮かべた。今までのような泰然とした笑みではなく、猛き盛る炎のような笑みを。

 

「まずは墓地のブレイクスルー・スキルの効果発動。このカードをゲームから除外し、ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果を無効にする」

「さっきトライデント・ドラギオンの効果で破壊した伏せカードはそいつだったのか! 和輝!」

「おうさ! その効果発動にチェーンして、リバーストラップ、デストラクト・ポーション発動! ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンを破壊し、その攻撃力分、ライフを回復する!」

 

 攻撃力3900の大型モンスターをあっさり切り捨てた和輝。勿論理由はある。烈震があらかじめ墓地に送っておいたブレイクスルー・スキルを切ってきたのだ。ここが勝負所で、攻撃力が元に戻ったダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンを確実に葬る手段があると確信した。

 ならばあえて切り捨て、ライフを回復することで大ダメージを受けても敗北を免れるよう、和輝も動いたのだった。

 

「ライフ回復を優先したか。ブレイクスルー・スキルは対象を失い不発だ。己は金華猫を召喚する! 効果で、スポーアを特殊召喚!」

 

 烈震のフィールドに、全身が漆黒の、ただならぬ気配を放つ猫が現れる。その猫に誘われ、墓地からスポーアが這い出した。

 

「レベル1のチューナーと非チューナー、そしてスターダスト・ドラゴン。まさか!」

 

 和輝の脳裏に電光の様に閃くのは、あるシンクロモンスター。スターダスト・ドラゴンの進化系で、状況次第では大きな爆発力を発揮する。そして烈震のデッキならその爆発力を遺憾なく発揮できる可能性は高い。

 

「いくぞ! レベル1の金華猫に、レベル1のスポーアをチューニング!」

 シンクロ召喚。

 スポーアが変じた一つの緑の光の輪をくぐった金華猫もまた、一つの白い光星となり、その光星を貫く一本の光輝く道が指し現れた。

 

「連星集結、新地平開拓! シンクロ召喚、駆け抜けろフォーミュラ・シンクロン!」

 

 現れたのは、和輝も使用したF1カーに手足と頭をくっつけたようなおもちゃを思わせる外見のシンクロチューナー。

 これで、二枚のドローが確定し、カードアドバンテージが開く。少なくともロキはそう思っていたし、トールもそうするのだろうと思った。

 だが、

 

「天輪の鐘楼と、フォーミュラ・シンクロンの効果によるドローはしない(、、、)

「え!?」

 

 驚愕のロキ。無言の和輝。トールも驚きの表情を浮かべていた。

 だが烈震はこれでいいのだと、即座に次の行動に移った。

 

「レベル8のスターダスト・ドラゴンに、レベル2のフォーミュラ・シンクロンをチューニング!」

 

 更なるシンクロ召喚。先ほどと同じく、緑の輪、白の光星、光さす道が顕現。辺りを輝きに満たす。

 

「連星集結、流星襲来! シンクロ召喚、現れろシューティング・スター・ドラゴン!」

 

 光さす道の向こうから、大気を切り裂いて現れる巨影。

 白く、ほのかに発光する鎧甲冑を思わせる外骨格、直線型の翼、しなる尻尾、雄々しく力強く、それでいながら美しさを備えたモンスター。

 

「く……ッ!」

 

 現れる巨体に、圧倒されたように和輝は一歩、後ろに下がった。その怯みを見逃さず、烈震がさらに一歩踏み込む。

 

「天輪の鐘楼の効果は使わない。そしてシューティング・スター・ドラゴンの効果発動! デッキからカードを五枚めくり、その中にあったチューナーモンスターの数だけ、シューティング・スター・ドラゴンは攻撃できる!」

 

 言いながら、烈震はデッキトップから五枚のカードを一気にめくった。

 露わになったのは、ゾンビキャリア、TG(テックジーナス) ストライカー、アンノウン・シンクロン、バイス・ドラゴン、死者転生。チューナーモンスターは三枚。三回攻撃確定だ。

 

「連続攻撃効果。そうか、だから彼は天輪の鐘楼やフォーミュラ・シンクロンの効果を使わなかったんだ。チューナーをドローしないために。

 

 しかも今提示されたカードのうち、上三枚がチューナー。もしも天輪の鐘楼やフォーミュラ・シンクロンの効果でドローしていたら、手札にきていた。――――デュエリストとしての直感ってやつかな、凄いもんだ」

 

「そして、厄介だ」

「行くぞ岡崎。シューティング・スター・ドラゴンで閃コウ竜スターダストを攻撃!」

 

 攻撃宣言が下る。シューティング・スター・ドラゴンが手足を折りたたんで高速飛行形態に移行。さらに三回攻撃を現すように、本体に加え、その両隣に赤と青一色に光るシューティング・スター・ドラゴンの幻影が現れる。

 飛翔する三体の流星。一気に降下。まず一体目、赤い流星が閃珖竜を目指して突撃(チャージ)

 

「スターダストの効果発動! 自身に破壊耐性をつける!」

 

 走る和輝の声。スターダストが体を丸め、翼を前に折りたたむ。その小さくした体を覆う球状の薄膜のバリアーが展開。迫る赤い流星に対する防御とする。

 

「ダメージステップ、手札から速攻魔法、突進発動。シューティングスターの攻撃力を700アップさせる」

 

 烈震の追撃。迫撃の速度が大きく上昇したシューティング・スター・ドラゴンが、スターダストに迫る。

 激突。

 轟音、衝撃波、そしてなかなか聞く機会のないドラゴンの絶叫を轟かせ、閃コウ竜のバリアーが砕かれ、その巨体が大きく吹き飛ばされる。

 バリアーの破片をまき散らしながら、スターダストは地面に激突、運動エネルギーを殺しきれずにそのまま地面を滑る。

 薙ぎ倒される木々が粉塵を上げ、和輝もまた、頭上に振ってくる木の雨を上昇した身体能力を駆使して回避する。

 

「ッ! スターダストは健在だ!」

 

 和輝の言葉を証明するように、再び空に飛翔する閃珖竜。だが―――――

 

「しかし、二度目は耐えられまい。シューティング・スター・ドラゴンでスターダストに攻撃!」

 

 烈震の気合いが乗り移ったかのような、青い流星の一撃。今度はその身を守る(すべ)がなかったスターダストの身体は貫かれ、消滅した。

 

「がぁ……ッ!」

 

 フィードバックに苦しむ和輝。その眼前、最後の一体、即ち実体のシューティング・スター・ドラゴンが迫る。

 

「シューティング・スター・ドラゴン、ダイレクトアタック!」

 

 大気を押しのける超質量。まともに食らえば宝珠が砕けるのは必然。どころか、命まで落とすかもしれない。

 

「ぼ、墓地の虹クリボー効果発動! このカードを守備表示で特殊召喚!」

「壁にしかならん! 砕け!」

 

 防御手段はあった。和輝の墓地から飛び出した虹クリボー。この小さな盾が、流星の一撃を防ぎ切った。

 

「くぁ!」

 

 余波に吹き飛ばされ、地面を転がる和輝。倒木にぶつかって止まる。

 

「いってー。だが、耐えきったぜ!」

 

 立ち上がり、にやりと笑う。若いが覇気と自身に満ちた、ふてぶてしい笑み。この闘志に、烈震だけでなく、トールもまた好感を持った。なるほど確かに、この少年はなかなかにわくわくさせてくれる。

 

「自身の効果で特殊召喚した虹クリボーは、フィールドを離れた瞬間除外されるのだったな。己はカードを一枚セットして、ターンエンドだ」

 

 

ブレイクスルー・スキル:通常罠

(1):相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。(2):自分ターンに墓地のこのカードを除外し、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手の効果モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

デストラクト・ポーション:通常罠

自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。

 

金華猫 闇属性 ☆1 獣族:スピリット

ATK400 DEF200

このカードは特殊召喚できない。召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。このカードが召喚・リバースした時、自分の墓地からレベル1モンスター1体を選択して特殊召喚できる。このカードがフィールド上から離れた時、この効果で特殊召喚したモンスターをゲームから除外する。

 

スポーア 風属性 ☆1 植物族:チューナー

ATK400 DEF800

このカードが墓地に存在する場合、このカード以外の自分の墓地の植物族モンスター1体をゲームから除外して発動できる。このカードを墓地から特殊召喚し、この効果を発動するために除外したモンスターのレベル分だけこのカードのレベルを上げる。「スポーア」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

 

フォーミュラ・シンクロン 光属性 ☆2 機械族:シンクロチューナー

ATK200 DEF1500

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードがフィールドに存在し、自分または相手が、このカード以外のSモンスターのS召喚に成功した場合に発動する。このカードがフィールドに表側表示で存在する場合、自分はデッキから1枚ドローする。

 

シューティング・スター・ドラゴン 風属性 ☆10 ドラゴン族:シンクロ

ATK3300 DEF2500

シンクロモンスターのチューナー1体+「スターダスト・ドラゴン」

以下の効果をそれぞれ1ターンに1度ずつ使用できる。●自分のデッキの上からカードを5枚めくる。このターンこのカードはその中のチューナーの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃する事ができる。その後めくったカードをデッキに戻してシャッフルする。●フィールド上のカードを破壊する効果が発動した時、その効果を無効にし破壊する事ができる。●相手モンスターの攻撃宣言時、このカードをゲームから除外し、相手モンスター1体の攻撃を無効にする事ができる。エンドフェイズ時、この効果で除外したこのカードを特殊召喚する。

 

突進:速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで700アップする。

 

虹クリボー 光属性 ☆1 悪魔族:効果

ATK100 DEF100

「虹クリボー」の以下の効果はそれぞれ1ターンに1度ずつ発動できる。

●相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。この効果でこのカードを装備しているモンスターは攻撃できない。

●相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。

 

 

和輝LP1200→5100→3600→2100手札1枚

烈震LP2000手札2枚

 

 

「俺のターンだ、ドロー!」

 

 シューティング・スター・ドラゴンのドラゴンの猛攻を耐えきった和輝。返す刀は強烈である事を証明するために、即座に行動に出た。

 

「墓地の次元連結術式の効果発動!」

 

 効果の発動を宣言されたのはこのデュエルの序盤、四ターン目の和輝のデッキ圧縮によって墓地に落ちた魔法カード。そのカードが今、墓地から取り除かれる。

 

「墓地のこのカードを除外し、ゲームから除外されている魔法使い族モンスター一体を墓地に戻す! 俺はこの効果で、黒白(こくびゃく)の魔導師を墓地に戻すぜ!」

「そのカードは……ッ!」

 

 墓地に戻されたカードを見て、烈震の眼が見開かれる。あれは、さきほども和輝が使ったカードだ。確か効果は――――

 

「墓地のそのカードを除外し、墓地か手札からブラック・マジシャンまたはバスター・ブレイダーを特殊召喚するカード……」

「その通り! 俺は黒白の魔導師の効果を発動! 墓地のこのカードをゲームから除外し、墓地からバスター・ブレイダーを特殊召喚する!」

 

 ズンと大きな音を立てて現れる竜破壊の剣士。

 漆黒の甲冑、目を見張る大剣、威風堂々とした隙のない佇まい。決して折れず、鍛え抜かれた歴戦の武具の風情。

 

「知ってると思うが、バスター・ブレイダーは相手のフィールド、墓地のドラゴン一体につき、攻撃力を500アップさせる。お前のフィールド。墓地のドラゴンは全部で十体、よって攻撃力は5000アップだ!」

 

 攻撃力7600、このまま攻撃し、シューティング・スター・ドラゴンの撃破に成功すれば、そのまま烈震のライフをたやすく0にできる数値だ。

 

「バトル! バスター・ブレイダーでシューティング・スター・ドラゴンを攻撃!」

 

 踏み込む和輝。攻撃命令を下された竜破壊の剣士もまた踏み込む。爆発が起こったかと思うほどの踏み込み。銃弾どころかミサイルもかくやという速度の疾走、そして跳躍。

 まさにその通り名の証明。どんなドラゴンであろうとも一刀両断にする気迫と技量の一撃。

 

「シューティング・スター・ドラゴンの効果発動! このカードをゲームから除外し、その攻撃を無効にする!」

 

 烈震が下したのは回避命令。流星の竜はその身を幻のように霞ませる。

 急速に実体感を失っていくシューティング・スター・ドラゴン。その身が周囲の景色に同化するように消えうせた瞬間、バスター・ブレイダーの一刀が下る。

 大地を割る一撃。剣の切っ先から大地に亀裂が走り、吹き荒れる衝撃波が木々を断ち、葉を散らす。

 

「く……ッ! だがこれでシューティング・スター・ドラゴンは無傷! さらに己のエンドフェイズに帰還する!」

「読んでいた!」

 

 烈震の言葉に(おのれ)の言葉を重ねる和輝。その指が手札から一枚のカードを引き抜き、デュエルディスクにセットする。

 

「速攻魔法、異次元からの埋葬! これでシューティング・スター・ドラゴン、虹クリボー、黒白の魔導師を墓地に戻す!」

「!」

 

 防御には成功した。しかしそれさえも和輝の(てのひら)の上。シューティング・スター・ドラゴンが帰還するのはフィールドではなく墓地。結果、烈震は盾と矛を同時に失った。

 

「カードを一枚セットして、ターンエンドだ」

 

 

次元連結術式:通常魔法

このカードの(2)の効果はこのカードが墓地に送られたターンには発動できない。(1):ゲームから除外されている自分のレベルまたはランク7以下の魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。この効果で「ブラック・マジシャン」モンスターの特殊召喚に成功した時、カードを1枚ドローする。(2):墓地のこのカードをゲームから除外して発動する。ゲームから除外されている自分の魔法使い族モンスター1体を墓地に戻す。

 

黒白の魔導師 闇属性 ☆4 魔法使い族:効果

ATK1700 DEF1600

(1):墓地のこのカードをゲームから除外し、自分の手札、または墓地から「ブラック・マジシャン」、または「バスター・ブレイダー」1体を選択して発動できる。選択したモンスターを特殊召喚する。(2):手札のこのカードを墓地に捨てて発動できる。フィールドの魔力カウンターを乗せることができるカードの上に、魔力カウンターを2つ乗せる。

 

バスター・ブレイダー 地属性 ☆7 戦士族:効果

ATK2600 DEF2300

(1):このカードの攻撃力は、相手のフィールド・墓地のドラゴン族モンスターの数×500アップする。

 

異次元からの埋葬:速攻魔法

(1):除外されている自分及び相手のモンスターの中から合計3体まで対象として発動できる。そのモンスターを墓地に戻す。

 

 

バスター・ブレイダー攻撃力2600→7600

 

 

「己のターンだ、ドロー!」

 

 今は烈震は逆王手をかけられていた。

 彼の眼前に立ちはだかるのは攻撃力7000オーバーの竜破壊の剣士(バスター・ブレイダー)。ドラゴン族に対するキラーカードを打ち破るのはドラゴン族を主軸にしている彼のデッキでは厳しい。魔法や、罠による破壊を狙うしかないが、そのためのカードが手札にはない。

 

「だがよぉ、この状況を打開できる鍵はあるよな?」

 

 半透明のトールの問いかけ。烈震は頷く。一人と一柱の口元には挑戦的な笑み。

 

「そうだ。そのためのカードを、ここで引き当てる。岡崎にできたことだ、己にも可能は道理! 手札から魔法カード、貪欲な壺を発動! 墓地のクリアウィング・シンクロ・ドラゴン、フォーミュラ・シンクロン、スターダスト・ドラゴン、シューティング・スター・ドラゴン、ブラックフェザー・ドラゴンをデッキに戻し、二枚ドロー!」

「ここにきてドローブーストか!」

「うっわ、執念? 勝利への欲? なんであれとんでもないね!」

 

 烈震執念のドロー。ドローしたのは―――――

 

「行くぞ岡崎。これから、己の神を見せてやる」

 

 神召喚の宣言。息を呑む和輝とロキ、その眼前で烈震は自身の戦術を広める。

 

「まずは墓地の貪欲な壺を除外し、マジック・ストライカーを特殊召喚。さらに死者蘇生を発動。墓地からデブリ・ドラゴンを蘇生。その蘇生に対して手札のドッペル・ウォリアーの効果発動。自身を特殊召喚する」

 

 瞬く間に烈震のフィールドにモンスターが増えていく。

 北欧のヴァイキングを思わせる角付きの兜をかぶった、二頭身の人形のような戦士、マジック・ストライカー。

 スターダスト・ドラゴンをややデフォルメしたようなドラゴン、デブリ・ドラゴン。

 黒の軍服、ボーガンのような銃器を装備した姿が二重にぶれる(、、、)戦士、ドッペル・ウォリアー。

 三体のモンスターが揃う。神召喚のための生贄が。

 

「見るがいい。己の神を! 三体のモンスターをリリース!」

 

 三体のモンスターが次々と白い光の粒子となって、天へと昇っていく。

 それが新たな、そして強大な力を受け止めるための「場」となり、神聖なる存在を呼び込むための「門」となる。

 

「出でよ! 迅雷の闘神トール!」

 

 天空から青白い雷が降り落ちた。

 轟音。だが一つではない。二つ、三つ、飛んで十。

 落雷の帳を切り裂き、現れる神。

 短く乱雑に切られた緑の髪、挑戦的な金の双眸、前を開いたジャケットのように背中と肩程度しか守っていない緑の鎧、いくつもの雷球が日本の雷神の電電太鼓のようにトールの背後に展開され、右手には妙に柄の短いハンマー、ミョルニル。

 

「来たか、トール!」

「おうよ。ここまで熱い戦いだ、オレにも暴れさせてもらわねぇとな!」

 

 北欧神話に名だたる闘神にして雷神。そしてロキの親友である神が、今、烈震のフィールドに降臨した。

 

「来たぜロキ、お前の親友」

「ああ。相変わらず好戦的だね。あのせいで突っ込まなくてもいいトラブルに突っ込んだこともあったよ。だいたい、ボクが原因だけど」

「お前やっぱ最悪だな!」

「ま、こいつとはいろいろとあった腐れ縁だよ」

 

 和輝とロキの会話に割り込むトール。にやにやと笑いながら――しかし不快な感じは一切しない――ぽりぽりと無手の左手の指で頬を掻く。

 

「思い起こせばいろんな場所に行ったわな。主にロキが原因のトラブルから俺の血が騒いででかくなったトラブルとか」

「そうだね。ボクの些細な火種が、君がかかわった瞬間誰にも消せない大火事になったことも多々あったと思うよ」

 

 語り合う実体化したトールと半透明のロキ。互いに笑顔を浮かべている。同時に戦意も。

 

「こうなった間柄だが――――辛気臭ぇ恨みごとはなしでな。烈震!」

 

 トールがパートナーに呼びかける。これからの展開を。烈震も応じた。

 

「トールの効果発動。相手モンスター一体を選択し、選択したモンスターを破壊、さらに破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える」

「な、なんだと!?」

 

 目を見開く和輝。その眼前、トールの背後に浮遊していた雷球が頭上に集合、寄り集まって一個の巨大な大電球となる。

 

「そーらー、よ!」

 

 投擲。地上付近に出現した太陽を思わせる大電球はバリバリと奇怪な音を立てながらバスター・ブレイダーに向かう。

 大電球の光に照らされるバスター・ブレイダーと和輝。その時烈震は気づいた。大電球を見上げる和輝の口元に笑みが浮かんでいることに。

 

「悪いがこの勝負、勝ったのは俺だ! リバーストラップ、リフレクト・ネイチャー!」

 

 翻るリバースカード。和輝を守るように、蔦が巻き付いた巨大な鏡張りの障壁が屹立する。

 リフレクト・ネイチャーはバーンダメージを相手に跳ね返すカード。このカードは――――

 

「お前の言ってた神対策、ばっちり当たったな、ロキ」

「パズズ、ウェスタとライフに直接ダメージを与える神が続いてたからね。その対策をと思ったら、ビンゴだったみたいだね」

 

 今夜の戦いの前にロキから和輝に渡されたカード、それがこれだった。凶悪なバーンダメージが、そのまま相手を倒す一矢となるように。

 

「や、やろう! オレの攻撃事態を利用するたぁ味な真似を……ッ!」

「これで――――!」

 

 終わり、そう叫ぼうとした和輝は、烈震の眼差しによって止められる。

 敗北ではないと、そう叫ぶ眼差しに。

 

「何を――――――」

 

 和輝の視線が、烈震の足元に伏せられたカードの止まる。

 伏せカードが、翻った。

 

「チェーンして、リバーストラップ、発動。魂の死闘-スピリット・デスマッチ-!」

「な、なんだそのカードは!?」

 

 発動されたのは和輝の知らないカードだった。同時、今にもリフレクト・ネイチャーによって跳ね返されそうだった大電球がぴたりと制止した。

 

「これは……」困惑の和輝。

「スピリット・デスマッチの効果」解説する烈震。

「発動時に自分と相手のモンスターを一体ずつ選択し、バトルを行う。その際、互いのモンスターは破壊されず、戦闘ダメージはお互いに受ける」

「ッ!」

 

 二人のフィールドに存在しているモンスターはトールとバスター・ブレイダーのみ。必然、戦闘するモンスターは決定する。

 そしてバトルが成立すれば互いに戦闘ダメージが下り、二人ともライフは0になる。引き分けだ。

 

「ハッ! なんか出てきて早々しまいとはしまらねぇが。しかたねぇな! 相手が一枚上手だっただけだ!

 

 だがな烈震、それでもテメェは喰いついた。ただの敗北を、引き分けまで持って行った。十分だ。これからテメェは、もっと強くなれるぜ、ここでな」

 いやりと猛々しい笑みを浮かべ、トールはミョルニルを握り締めてバスター・ブレイダーに突貫(とっかん)。竜破壊の剣士の大剣と真っ向から打ち合った。

 閃光、衝撃、爆裂、轟音、そしてもう一度、白い極光が辺りを塗り潰した。

 

 

マジック・ストライカー 地属性 ☆3 戦士族:効果

ATK600 DEF200

このカードは自分の墓地に存在する魔法カード1枚をゲームから除外し、手札から特殊召喚する事ができる。このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

 

死者蘇生:通常魔法

(1):自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

デブリ・ドラゴン 風属性 ☆4 ドラゴン族:チューナー

ATK1000 DEF2000

このカードをS素材とする場合、ドラゴン族モンスターのS召喚にしか使用できず、他のS素材モンスターは全てレベル4以外のモンスターでなければならない。(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の攻撃力500以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

ドッペル・ウォリアー 闇属性 ☆2 戦士族:効果

ATK800 DEF800

(1):自分の墓地のモンスターが特殊召喚に成功した時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。(2):このカードがS素材として墓地へ送られた場合に発動できる。自分フィールドに「ドッペル・トークン」(戦士族・闇・星1・攻/守400)2体を攻撃表示で特殊召喚する。

 

迅雷の闘神トール 神属性 ☆10 幻神獣族:効果

ATK4000 DEF2500

このカードは特殊召喚できない。このカードは3体のモンスターをリリースしてのみ通常召喚できる。(1):このカードは神属性、幻神獣族モンスターの効果以外のカード効果ではフィールドを離れず、コントロールも変更されない。(2):このカードが相手のカードの効果を受けた時、エンドフェイズにこのカードに対するそのカード効果を無効にする。(3):1ターンに1度、相手モンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える。(4):???

 

リフレクト・ネイチャー:通常罠

このターン、相手が発動したライフポイントにダメージを与える効果は、相手ライフにダメージを与える効果になる。

 

魂の死闘-スピリット・デスマッチ-:通常魔法

(1):自分フィールドと相手フィールドに表側表示で存在するモンスターを1体ずつ選択して発動できる。選択したモンスターを攻撃表示に変更し、戦闘を行う。この戦闘でモンスターは破壊されず、戦闘ダメージはお互いに受ける。

 

 

和輝LP0

烈震LP0

 

 

 デュエル決着と同時に、バトルフィールドが解除されていく。あれほど破壊の限りを尽くされた自然公園は、木の一本も倒れてない平穏無事な本来の姿を取り戻した。

 ボロボロなのは和輝と烈震くらいか。

 和輝はデュエルの最中でのダメージが、烈震は最後の激突の際、攻撃力で劣っていたトールが防ぎ切れなかった攻撃の余波を回避するために、かなり無茶をしたようだ。

 

「勝ちきれなかったか」

「悪いが、己の修行はまだ終わらないのでな。ここでの敗北は望まない」

 

 肩をすくめる和輝と、腕を組む烈震。二人の表情にもう戦意はない。和輝に至っては疲れの色が濃い。このあたりは、二人の基礎体力の差が故か。

 

「お前はこれからどうするんだ?」

 

 デュエルディスクを待機状態にした和輝の問いかけ。烈震は「そうだな」と同じくデュエルディスクを待機状態に移行。

 

「この街にとどまる。元々、引っ越してきたからな」

 

 それに、と続ける。

 

「この街は神々の気配が濃い。神と神は惹かれ合う。これは神々の戦争の大前提だ。だとすれば、ここにとどまることが、己にとって有意義になる」

 

 今しがた戦いが終わったばかりだというのに、もう次の闘争に想いを馳せる烈震。和輝はさすがにそこまでの元気はない。

 

「そうかい。じゃ、俺は帰るから」

 

 だから早々に立ち去りたかった。ロキも「じゃあね、トール」と手を振り、完全に帰宅モードだ。正直、ここで再戦を申し込まれたら主義主張をかなぐり捨てて逃げる所存である。

 

「ああ、ではまた。近いうちに(、、、、、)

「?」

 

 気になる言い回しが最後にあったが今夜の戦いはこれにて幕を下ろした。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 翌日。

 しとしとと降る雨が教室の窓を濡らしている。

 十二星高校に登校した和輝は、教室のざわつきに眉をひそめた。

 くみ取れる感情は緊張だろうか。

 

「なんだ? 何かあったのか?」

 

 今日は朝から登校し、しかも起きていた龍次(りゅうじ)の姿を見つけ、和輝はそう問いかけた。

 

「ああ。転校生が来るんだってよ」

 

 クラスの雑踏に混じらない金髪一匹狼は興味なさげに応える。

 

「転校生、ねぇ。どーせかわいい女の子だといいが」

「残念。男だ」

 

 クラスメートの男子が一人割り込んでくる。確か情報通気取りの生徒だった。職員室に紛れ込んで情報を仕入れてくる少年。

 

「じゃあなんでこんなにざわついてるんだよ」

「それが結構危ないっつーか、見るからにその筋っていうか。とにかくやばそうなやつなんだってよ」

 

 演技過剰なクラスメートが自分の身体を抱くようにしてぶるぶる震える。噂や情報だけにしては堂に入った演技だ。

 

「なんか二メートル近い巨体でめちゃくちゃ喧嘩強くておまけに好戦的でとにかくやばいってよ!」

 

 息継ぎなしで喋りまくるクラスメート。元々武闘派で鳴らしていた龍次が興味を持つ。

 

「ほー」

 

 反対に和輝から興味が薄れている。何しろつい昨日、そんな武闘派な人間と人知を超えた争いをしたばかりだ。

 教室の扉が開かれ、教師が入ってくる。生徒たちが次々に自分の席に着席。教室に沈黙が入る。

 

「あー、もう噂になってるようだけど、転校生を紹介します。入ってきなさい」

 

 担任の男性教諭の声が教室に響く。

 ゆっくりと、大型な人影が教室に入ってくる。その全体像が露わになるにつれて、和輝の表情に驚愕が張り付いた。

 

「嘘……」ロキの呆然とした声。和輝も思わずうなずいていた。

「黒神烈震です。よろしくお願いします」

 

 神々の戦争は、いよいよ日常を大きく浸食してきたようだ。

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