神々の戦争   作:tuki21

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第37話:王の力

 和輝(かずき)はデュエル開始とともに己の心臓を抑えた。

 心臓から湧き上がる確かな高揚感。それは心地よく、同時にかすかな痛みも与えていた。

 デュエルキングとの戦い。心躍らないわけがない。同時に、六道(りくどう)と自分にどれだけの差があるのか、見極めなければならない。

 両者の胸元に宝珠が輝く。和輝は彼の滾る思いを代弁したかのような赤。六道は、王者の存在感あふれる、金色。

 

 

和輝LP8000手札5枚

六道LP8000手札5枚

 

 

「私の先攻」

 

 先攻は六道。彼はドローフェイズ、スタンバイフェイズをつつがなく消化し、メインフェイズ1に入る。

 

「まずは、これでいこう。永続魔法、魔神王の契約書を発動。これで私は、融合カードなしで融合召喚が可能となった。

 

 ここで、魔神王の契約書の契約書の効果を発動。手札のDDケルベロスとDDリリスで融合!」

 

「いきなり融合召喚か!」

 

 半透明のロキが叫ぶ。和輝は渋い表情だ。

 

「キングのDDデッキは融合、シンクロ、エクシーズ、そしてペンデュラムといった、エキストラデッキからの召喚方法を全て使える。できることが多すぎるから、その変幻自在な戦法は見る者を魅了するんだ」

 

 和輝の眼前で、六道のフィールドの空間が歪み、渦を作る。その渦に、六道の手札から二体のモンスターが飛び込んだ。

 

「三つ首の魔犬よ、楽園の毒婦よ。今一つに混ざり合い、新たな王を導け! 融合召喚、燃え上がれ、DDD烈火王テムジン!」

 

 渦の中から巨大な力が現れる。

 新たに現れた融合モンスター、黒い肌に赤い盾と剣、そしてところどころに棘の様な装飾が施された軽装鎧姿。それは防御力を最低限に、攻撃力と速度を高めたような姿だった。その全身からは炎のように揺らめく赤いオーラが立上っていた。

 

「さらに、私は手札から、DDナイト・ハウリングを召喚。効果で、墓地からDDリリスを特殊召喚する」

 

 六道の手は止まらない。新たに現れたずらりと牙が並ぶ巨大な口。目らしきパーツはあるが、それ以外は身体はおろか、顔さえもない奇怪なモンスター。その咆哮が轟くと、それが死者を冥府から目覚めさせる鐘の音となった。墓地から、下半身が茎を、上半身が花弁を模したと思われる、歪な姿の女性型悪魔が現れた。

 

「この瞬間、烈火王テムジンと、リリスの効果発動の権利を得たが、今、その権利は行使しない。このままシンクロだ。レベル4のDDリリスに、レベル3のDDナイト・ハウリングをチューニング」

 

 融合召喚の次はシンクロ召喚。三つの緑の光の輪となったナイト・ハウリング。その輪をくぐり、四つの白い光星となったDDリリス。光星に光の道が走る。

 

「夜の咆哮者よ、楽園の毒婦よ。今一つに響き合い、新たな王を導け! シンクロ召喚、駆け抜けろ、DDD疾風王アレクサンダー!」

 

 光の帳がフィールドに降り立ち、その向こうから現れる新たな王。

 頭頂部が長い兜を被った白い騎士姿。緑のマントを翻し、緑色の風をその身に纏わせている。

 

「DDモンスターの特殊召喚に成功したため、テムジンの効果発動。墓地から、DDケルベロスを特殊召喚する」

 

 アレクサンダーの登場に呼応するように、テムジンが右手の剣を天高くつきあげる。すると、その仕草が何らかのトリガーとなったのか、六道の墓地から、ベルト状の拘束具で拘束された、人間の様な下半身に、三つ首の魔犬の前半分がつなげられた、一般に想像するケルベロスの斜め上を行く異形の怪物が現れた。

 

「さらに、DDモンスターの特殊召喚をトリガーとして、アレクサンダーの効果を発動。墓地からDDモンスター、DDリリスを特殊召喚。自身の特殊召喚に成功したため、DDリリスの効果発動。墓地のDDナイト・ハウリングを手札に戻す」

「また、モンスターが揃った。なるほど、さっきDDリリスを特殊召喚した時に烈火王テムジンの効果を使わなかったのは、新たな展開を考えてのことか」と納得顔のロキ。

「そして、キングの場には二体のレベル4モンスター、つまり次に来るのは――――」

 

 笑みを浮かべる六道。「そう、これだ。DDケルベロスとDDリリスでオーバーレイ!」

 エクシーズ召喚。六道の頭上の空間に、星瞬く広大な銀河のような、渦を巻く空間が展開。その空間の中心点に、二体のDDモンスターが紫の光と化して飛び込んだ。

 

「二体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 虹色の爆発が、銀河の中心点から巻き起こる。

 

「三つ首の魔犬よ、楽園の毒婦よ。今一つに重なり合い、新たな王を導け! 破砕せよ、DDD怒濤王シーザー!」

 

 粉塵の向こうから、重々しい足音を響かせて現れる、新たな王。

 濃い青を基調にした重装甲の鎧に身を包んだ、戦車のごとき重装戦士。手にする身の丈よりも巨大な両刃の剣、そして全身からあふれ出る、水をイメージした青いオーラ。

 

「一ターン目から、融合、シンクロ、エクシーズ、か。大盤振る舞いだね」

「しかも手札消費三枚。やべぇぜ」

 

 冷や汗を流す和輝とロキ。その眼前、六道が一枚のカードをデュエルディスクにセットした。

 

「闇の誘惑を発動。カードを二枚ドローし、DDナイト・ハウリングを除外。カードを一枚セットし、多次元の宝札を発動」

「あー、あれは、和輝も使っていたねぇ」

「このターンに融合、シンクロ、エクシーズ召喚に成功した数だけ、カードをドローできるドローブーストカード……」

「その通り。私はこのターン、三回のエクストラデッキからの特殊召喚を行った。このままエンドフェイズに移行し、カードを三枚ドロー。ターン終了」

 

 

魔神王の契約書:永続魔法

「魔神王の契約書」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・フィールドから、悪魔族の融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。「DD」融合モンスターを融合召喚する場合、自分の墓地のモンスターを除外して融合素材とする事もできる。(2):自分スタンバイフェイズに発動する。自分は1000ダメージを受ける。

 

DDD烈火王テムジン 炎属性 ☆6 悪魔族:融合

ATK2000 DEF1500

「DD」モンスター×2

「DDD烈火王テムジン」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):このカードがモンスターゾーンに存在し、自分フィールドにこのカード以外の「DD」モンスターが特殊召喚された場合、自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。(2):このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合、自分の墓地の「契約書」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

 

DDナイト・ハウリング 闇属性 ☆3 悪魔族:チューナー

ATK300 DEF600

(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力・守備力は0になり、そのモンスターが破壊された場合に自分は1000ダメージを受ける。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は悪魔族モンスターしか特殊召喚できない。

 

DDリリス 闇属性 ☆4 悪魔族:効果

ATK100 DEF2100

「DDリリス」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分の墓地の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。

●自分のエクストラデッキから、表側表示の「DD」Pモンスター1体を手札に加える。

 

DDD疾風王アレクサンダー 風属性 ☆7 悪魔族:シンクロ

ATK2400 DEF2000

「DD」チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

「DDD疾風王アレクサンダー」の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):このカードがモンスターゾーンに存在し、自分フィールドにこのカード以外の「DD」モンスターが召喚・特殊召喚された場合、自分の墓地のレベル4以下の「DD」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

DDケルベロス 闇属性 ☆4 悪魔族:ペンデュラム

ATK1800 DEF600

Pスケール:赤6/青6

P効果

(1):1ターンに1度、自分フィールドの「DD」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターのレベルを4にし、攻撃力・守備力を400アップする。

モンスター効果

(1):このカードが手札からP召喚に成功した時、「DDケルベロス」以外の「DD」モンスターが自分フィールドに存在する場合に自分の墓地の永続魔法カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

 

DDD怒濤王シーザー 水属性 ランク4 悪魔族:エクシーズ

ATK2400 DEF1200

悪魔族レベル4モンスター×2 

「DDD怒涛王シーザー」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このターンに破壊されたモンスターをバトルフェイズ終了時に、自分の墓地から可能な限り特殊召喚する。次のスタンバイフェイズに自分はこの効果で特殊召喚したモンスターの数×1000ダメージを受ける。この効果は相手ターンでも発動できる。(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「契約書」カード1枚を手札に加える。

 

闇の誘惑:通常魔法

(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。

 

多次元の宝札:通常魔法

「多次元の宝札」は1ターンに1枚しか発動できない。(1):発動ターンのエンドフェイズ、自分がエクストラデッキからモンスターを特殊召喚した数だけ、カードをドローする。

 

 

DDD怒濤王シーザーORU(オーバーレイユニット)×2

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 ターンは和輝に移る。気合の声を上げ、カードをドロー。必要以上に声を上げているのは、キングとのデュエルの緊張によるものか。

 

「さて、相手は一ターン目から飛ばしてきた。君はどうする?」

「決まってる。守りに入れば俺のライフは一瞬で消し飛ぶ。だから、攻める! 苦渋の決断を発動! デッキから通常モンスター、ギャラクシーサーペントを墓地に送り、デッキから二枚目のギャラクシーサーペントを手札に加える。そして、デッキトップからカードを三枚墓地に送り、光の援軍を発動。ライトロード・メイデンミネルバを手札に加える。

 さらに今手札に加えたミネルバを捨てて、ソーラー・エクスチェンジを発動。二枚ドローし、デッキトップから二枚墓地に送る。さらにミネルバの効果で、追加で一枚、墓地に送る。」

 

 墓地を肥やす。まずは下準備だ。相手はかつてない強敵。だが負けるつもりはない。負けないために、今打てる手は全て打っておく。

 送られたカードは合計六枚。それぞれ千本ナイフ、タスケルトン、ライトロード・アサシンライデン、ガガガマジシャン、スピリット・バトン、ガード・オブ・フレムベル、以上の六枚だ。

 

「なかなかの落ち」

「それくらいしてもらわなければ、戦いに来た甲斐がない」

 

 デュエルディスクを使い、和輝の墓地に落ちたカードを確認したオーディン陣営は、感心するオーディンと、淡々と受け流す六道という構図。和輝は意識してそんな相手チームの様子を頭から締め出す。何しろ、ようやく動く準備が整ったのだ。

 

「行くぜ! 相手フィールドにのみモンスターが存在するため、太陽の神官を特殊召喚! さらにギャラクシーサーペントを召喚!」

 

 和輝のフィールドに現れたのは、褐色の肌にどこかの民族衣装に杖を持った大柄な男。そしてその傍らに、光り輝く美しい身体を持つ、銀河の海を泳ぐ蛇竜。

 

「レベル5の太陽の神官に、レベル2のギャラクシーサーペントをチューニング!」

 

 六道に負けじと、和輝もシンクロに手を出す。

 右手を振り上げる和輝。そのフィールドで走るシンクロエフェクト。二つの光の輪となったギャラクシーサーペントと、その輪をくぐり、五つの光星となった太陽の神官。光の道が、星の行く末を導く。

 

「集いし七星(しちせい)が、魔石の力操りし女魔導師を紡ぎだす。光さす道となれ! シンクロ召喚、現れろ、アーカナイト・マジシャン!」

 

 光の帳が辺りに降りる。そして現れるシンクロモンスター。

 紫の意匠を施された白いローブに身を包んだ女魔術師。その周囲を、ほのかに光るエメラルドグリーンの光が二つ、まるで蝶のように舞い踊る。このエメラルドグリーンの輝きこそ、彼女のシンクロ召喚時に乗せられる二つの魔力カウンターだ。

 

「アーカナイト・マジシャン効果発動! このカードの上に乗っている魔力カウンターを一つ取り除き、烈火王テムジンを破壊する!」

 

 アーカナイト・マジシャンの周囲を蝶のように舞うエメラルドグリーンの光のうち、一つが主の女魔術師の命に従って弾丸と化す。

 自律ビットのように変幻自在の動きを見せた光弾がテムジンに襲い掛かる。

 

「うん。テムジンは相手によって破壊された時、墓地の契約書を回収できる。けど今、オーディンの契約者の墓地に契約書カードはない。気兼ねなく破壊できるってわけだ!」

 

 ロキの言う通りであり、それが和輝の狙いだ。だが、六道が淡々とデュエルディスクのボタンを押した。同時に、彼の足元に伏せられていたリバースカードが翻る。

 

「チェーン、速攻魔法、契約破棄(リース・ブレイク)を発動。私の場の契約書一枚を破壊し、二枚ドローする。私が破壊するのは、魔神王の契約書。二枚ドロー」

「あ!」

 

 しまったと目を見開く和輝。だがもう遅い。アーカナイト・マジシャンが放ったエメラルドグリーンの光弾がテムジンに直撃。破壊する。

 

「この瞬間、テムジンの効果が発動。墓地の魔神王の契約書を手札に加える」

「なんてこった。相手のカードを破壊したはずなのに、相手の手札が一気二倍になった」

 

 だが今らさ止められない。止まる気もない。

 

「……バックは剥がした。それでいい。それに、今度こそ墓地に契約書は送れないはずだ。俺はもう一度アーカナイト・マジシャンの効果を発動! 魔力カウンターを一つ取り除き、シーザーを破壊する!」

 

 先ほどの焼廻しのように、エメラルドグリーンの光弾が発射。やはり複雑な軌道を描いて、シーザーに直撃、破壊した。今度は六道側に動きはなかった。

 

「次だ! 手札から魔法カード、黒魔術のヴェールを発動。1000ライフを払い、墓地のガガガマジシャンを特殊召喚!」

 

 和輝のフィールド、アーカナイト・マジシャンの傍らに現れたのは、背中に「我」の字が入った黒衣に覆面、チェーンで己を飾った男の魔術師。魔術師というよりは、喧嘩好きな番長、そんな印象だ。

 召喚されたモンスターを見て、ほぅと声を上げる六道。「ガガガマジシャン、次はエクシーズか」

 吠えるように答える和輝。「おうよ! ガガガマジシャンの効果で、自身のレベルを7に変更!」

 これで和輝のフィールドには、レベル7のモンスターが二体。出すにはころあいだ。

 

「レベル7となったガガガマジシャンと、アーカナイト・マジシャンで、オーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 走るエクシーズエフェクト。虹色の爆発が起こり、周囲に音をまき散らす。

 

(うつつ)と幻想の操り手よ、色褪せぬ忠義の持ち主よ。今こそ出でよ! 幻想の黒魔導師!」

 

 粉塵の向こうから現れたのは、ブラック・マジシャンに酷似したモンスター。違うところといえば、ローブの色が若干淡く、蒼に近くなり、肌の色が褐色になったこと、そしてローブの上から、金に縁どられた藍色の魔導鎧を着込んだことか。

 その周囲に衛星のように旋回する二つの光球、即ちORU。

 

「幻想の黒魔導師、効果発動。ORUを一つ取り除き、デッキからブラック・マジシャンを特殊召喚!」

 

 幻想の黒魔導師の周囲を旋回していた光球の一つが消失。そして、その最後の輝きに導かれるように、和輝のデッキから黒衣の魔術師、ブラック・マジシャンが現れた。

 

「バトル! ブラック・マジシャンでアレクサンダーに攻撃! この瞬間、幻想の黒魔導師の効果により、アレクサンダーをゲームから除外する!」

 

 杖を手足の様に巧みに、風車のように旋回させ、先端の宝珠をアレクサンダーに突き付けるブラック・マジシャン。その動きに合わせるように、幻想の黒魔導師もまた、杖を繰り出す。

 合体攻撃。ブラック・マジシャンが放った稲妻の群が幻想の黒魔導師の援護を受けて、空間に突き刺さる(くさび)と化す。

 楔がアレクサンダーの背後の空間に着弾。その衝撃が空間自体を破壊、割れた空間が虚ろな穴となり、そこから発生した吸引力がアレクサンダーを捕え、吸い込んでいった。

 

「これでがら空きだ! 和輝!」

「ああ、今が攻め時! 相手モンスターの数が変化したため、攻撃対象を変更! ブラック・マジシャンでダイレクトアタック!」

 

 一気呵成に攻め立てようとする和輝。だがその出鼻が挫かれた。攻撃をしようとしたブラック・マジシャン、そして次に控えていた幻想の黒魔導師の動きが止まった。

 

「これは――――」

「手札からバトルフェーダーの効果を発動。このカードを特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる」

「残念だったな、契約者の少年」

 

 止められた。渾身の攻めをあっさり躱されて、和輝の瞳が僅かに揺れる。

 思考を切り替える。貴重な手札からの防御カードを潰したのだと、そう考えるのだ。

 

「カードを一枚セットして、ターンエンド!」

 

 声を荒げているのは、気圧されているからでは断じてない。

 

 

苦渋の決断:通常魔法

「苦渋の決断」は1ターンに1枚しか発動できない。(1):デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を墓地へ送り、その同名カード1枚をデッキから手札に加える。

 

光の援軍:通常魔法

(1):自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送って発動できる。デッキからレベル4以下の「ライトロード」モンスター1体を手札に加える。

 

ソーラー・エクスチェンジ:通常魔法

手札から「ライトロード」と名のついたモンスター1体を捨てて発動できる。デッキからカードを2枚ドローし、その後自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

 

ライトロード・メイデンミネルバ 光属性 ☆3 魔法使い族:チューナー

ATK800 DEF200

このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「ライトロード」と名のついたモンスターの種類以下のレベルを持つドラゴン族・光属性モンスター1体をデッキから手札に加える事ができる。このカードが手札・デッキから墓地へ送られた時、自分のデッキの上からカードを1枚墓地へ送る。また、自分のエンドフェイズ毎に発動する。自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

 

太陽の神官 光属性 ☆5 魔法使い族:効果

ATK1000 DEF2000

相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。フィールド上のこのカードが破壊され墓地へ送られた時、デッキから「赤蟻アスカトル」または「スーパイ」1体を手札に加える事ができる。

 

ギャラクシーサーペント 光属性 ☆2 ドラゴン族:チューナー

ATK1000 DEF0

 

アーカナイト・マジシャン 光属性 ☆7 魔法使い族:シンクロ

ATK400 DEF1800

チューナー+チューナー以外の魔法使い族モンスター1体以上

このカードがシンクロ召喚に成功した時、このカードに魔力カウンターを2つ置く。このカードの攻撃力は、このカードに乗っている魔力カウンターの数×1000ポイントアップする。また、自分フィールド上の魔力カウンターを1つ取り除く事で、相手フィールド上のカード1枚を選択して破壊する。

 

契約破棄:速攻魔法

「契約破棄」は1ターンに1枚しか使用できない。(1):自分の手札、またはフィールドの「契約書」カードを1枚破壊し、カードを2枚ドローする。

 

黒魔術のヴェール:通常魔法

(1):1000LPを払って発動できる。自分の手札・墓地から魔法使い族・闇属性モンスター1体を選んで特殊召喚する。

 

ガガガマジシャン 闇属性 ☆4 魔法使い族:効果

ATK1500 DEF1000

1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に1から8までの任意のレベルを宣言して発動できる。エンドフェイズ時まで、このカードのレベルは宣言したレベルになる。「ガガガマジシャン」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。このカードはシンクロ素材にできない。

 

幻想の黒魔導師 闇属性 ランク7 魔法使い族:エクシーズ

ATK2500 DEF2100

レベル7モンスター×2

このカードは自分フィールドのランク6の魔法使い族Xモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。「幻想の黒魔導師」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。手札・デッキから魔法使い族の通常モンスター1体を特殊召喚する。(2):魔法使い族の通常モンスターの攻撃宣言時、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを除外する。

 

ブラック・マジシャン 闇属性 ☆7 魔法使い族:通常モンスター

ATK2500 DEF2100

 

バトルフェーダー 闇属性 ☆1 悪魔族:効果

ATK0 DEF0

(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、その後バトルフェイズを終了する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 

幻想の黒魔導師ORU×1

 

 

和輝LP8000→7000手札2枚

六道LP8000手札5枚(うち1枚は魔神王の契約書)

 

 

「私のターン、ドロー」

 

 ドローカードを確認している六道の耳に、半透明となったオーディンの声が届いた。

 

「やるものだな、あの少年。あの布陣を一ターンで切り返したぞ」

「ああ。少し、楽しい」

 

 六道が穏やかな笑みを見せたのは一瞬。すぐさま無表情に近い、(いわお)のような表情に戻った。

 

「だから、続けるとしよう。永続魔法、地獄門の契約書を発動。効果を使用し、デッキからDDウロボロスを手札に加える」

「また、動き始めるみたいだね」

「ああ。今度は何が出てくるか……」

 

 身構える和輝とロキ。その眼前で、六道はデッキをデュエルディスクから外し、扇状に広げた後、一枚のカードを手札に加えた。

 

「手札のDDD反骨王レオニダスを、ペンデュラムスケール赤にセッティング」

 

 六道のフィールドに、青白く輝く光の柱が二本、屹立する。そのうちの一本に、反骨王レオニダスが収まり、レオニダスの下方に楔形の「3」が表示された。

 

「そして、手札のDDウロボロスの効果発動。手札のDDウロボロス(このカード)を捨て、私のフィールドのDDまたは契約書カードを一枚破壊、そして、デッキからレベル4以下のDD一体を特殊召喚できる。

 私が破壊するのは、ペンデュラムゾーンにセッティングされたレオニダス。効果でデッキからDDラミアを特殊召喚。レオニダスはエクストラデッキに送られる」

 

 スケール破壊。同時に光の柱が消失し、六道のデッキから更なるカードが排出、彼の手札に加えられた。

 新たに現れたのは、葉っぱ、花弁、蛇、女をかけ合わせたような、形容しがたい異形のモンスター。

 

「次。バトルフェーダーをリリースし、DDプラウド・オーガをアドバンス召喚」

 

 六道のフィールドにいたバトルフェーダーが、白い光の粒子となって消えていく。

 そして新たに現れたモンスター。白銀の鉄鋼鎧に身を包み、鎧を赤の戦衣で覆った斧持つ鬼。ステータスは上級モンスターの中でも平凡だが、その本領はスケール8のペンデュラムモンスターであること。そしてその効果か。

 

「プラウド・オーガの効果発動。エクストラデッキから、反骨王レオニダスを効果を無効にした状態で特殊召喚する」

 

 現れたのは、ローマの剣闘士(グラディエーター)が被るような、モヒカン状の冑に、黄金の鎧甲冑、巨大な円形の盾を備え、同じく巨大な剣を振るう殿(しんがり)の王。

 だがそれさえも、六道にとっては己の戦術の一行程に過ぎない。

 

「レベル7、DDD反骨王レオニダスに、レベル1、DDラミアをチューニング」

 

 シンクロ召喚。先程と同じシンクロエフェクトが走り、光の帳が下りる。

 

「スパルタの英霊よ、怨念の母蛇よ。今一つに響き合い、新たな王を導け! シンクロ召喚、出でよ呪血王サイフリート!」

 

 現れる新たな王。青白い肌、白銀の鎧と、銀の髪。赤いマフラーをなびかせ、身の丈ほどの大剣を手足の様に操るその姿は英霊に相応しい。

 

「サイフリート、こいつはまずいぜ」

 

 和輝の表情は苦しげだ。

 サイフリートは一ターンに一度、フィールドの魔法、罠の効果を次のスタンバイフェイズまで無効化できる。これは相手ターンにも使用でき、こいつが居座っている限り、和輝が発動した魔法や罠は無力化される。永続カードならともかく、通常、速攻に分類されるカードは無効化され、そのまま効果を発動できずに墓地送りだ。

 

「牽制としても十分すぎるね……」

「そして何よりやばいのが、まだ終わりそうにないってことだ……ッ!」

 

 戦慄する和輝の眼前で、六道はさらにカードを繰り出した。

 

「再び魔神王の契約書を発動し、効果を使用。墓地のDDD怒濤王シーザーとDDケルベロスを除外融合」

 

 融合召喚。六道のフィールドの空間が歪み、渦を作り、その渦に二体のモンスターが飛び込んだ。

 

舌剣(ぜっけん)鋭き英霊よ、三つ首の魔犬よ。今一つに混ざり合い、新たな王を導け! 融合召喚、破砕せよ、DDD剋竜王ベオウルフ!」

 

 現れる新たな王。

 金の金具で(よろ)われた黒衣を見に纏った、蒼い人狼。武器はない。寧ろ、その爪が、牙が、いかなる名剣をも凌駕する、彼の王の至高の武器か。

 

「バトルだ。サイフリート、ベオウルフでブラック・マジシャン、幻想の黒魔導師を攻撃」

 

 下る攻撃宣言。二体のDDDがそれぞれの獲物に向かって肉薄。サイフリートの剣が、ベオウルフの爪が、二体の黒衣の魔術師を切り裂く。

 

「ぐああああ!」

 

 フィードバックのダメージが和輝を襲う。彼は二、三歩よろめき、踏みとどまった。

 しかし追撃に容赦はない。

 

「プラウド・オーガでダイレクトアタック」

 

 がら空きのフィールドを驀進する鎧の戦鬼。手にした斧が和輝の宝珠を狙う。

 

「終わ……れるか!」

 

 よろめきながらも和輝は動いた。両手を上げ、クロスさせる。直後、振り下ろされた斧の一撃が、頭上にあげた両手にヒット。衝撃が和輝の全身を駆け抜けた。

 

「があああああああああああ!」

 

 激痛に、和輝は膝をつく。通常であれば今の一撃で両手は砕かれるか、切断され、そのまま脳天までかち割れていたことだろう。

 

「ば、バトルフィールドの恩恵ってやつか……」

 

 身体能力の向上、肉体強度の上昇。そして物質の脆さ。それらが重なったおかげで、和輝の両腕はくっついていたし、骨に異常もなかった。

 

「カードを一枚セットし、ターンエンド」

 

 

地獄門の契約書:永続魔法

「地獄門の契約書」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):自分メインフェイズに発動できる。デッキから「DD」モンスター1体を手札に加える。(2):自分スタンバイフェイズに発動する。自分は1000ダメージを受ける。

 

DDD反骨王レオニダス 闇属性 ☆7 悪魔族:ペンデュラム

ATK2600 DEF1200

Pスケール赤3/青3

P効果

(1):自分が効果ダメージを受けた時にこの効果を発動できる。このカードを破壊し、さらにこのターン、LPにダメージを与える効果は、LPを回復する効果になる。

モンスター効果

(1):自分が効果ダメージを受けた時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、受けたダメージの数値分だけ自分のLPを回復する。(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分が受ける効果ダメージは0になる。

 

DDウロボロス 闇属性 ☆2 悪魔族:効果

ATK500 DEF300

「DDウロボロス」の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):手札のこのカードを墓地に捨て、自分フィールドの「契約書」または「DD」カード1枚を対象にして発動できる。デッキからレベル4以下の「DD」モンスター1体を特殊召喚する。

 

DDラミア 闇属性 ☆1 悪魔族:チューナー

ATK100 DEF1900

「DDラミア」の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):このカードが手札・墓地に存在する場合、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、「DDラミア」以外の「DD」カードまたは「契約書」カード1枚を墓地へ送って発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

DDプラウド・オーガ 闇属性 ☆6 悪魔族:ペンデュラム

ATK2300 DEF1500

Pスケール赤8/青8

P効果

(1):1ターンに1度、500LPを払い、自分フィールドの「DD」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力は500アップする。(2):もう片方の自分のPゾーンに「DD」カードが存在しない場合、このカードのPスケールは5になる。

モンスター効果

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。自分のエクストラデッキから、表側表示の闇属性Pモンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「DD」モンスターしか特殊召喚できない。

 

DDD呪血王サイフリート 闇属性 ☆8 悪魔族:シンクロ

ATK2800 DEF2200

チューナー+チューナー以外の「DD」モンスター1体以上

「DDD呪血王サイフリート」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードの効果は次のスタンバイフェイズまで無効化される。この効果は相手ターンでも発動できる。(2):このカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動する。自分は自分フィールドの「契約書」カードの数×1000LP回復する。

 

DDD剋竜王ベオウルフ 闇属性 ☆8 悪魔族:融合

ATK3000 DEF2500

「DDD」モンスター+「DD」モンスター

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分の「DD」モンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。(2):自分スタンバイフェイズに発動できる。お互いの魔法&罠ゾーンのカードを全て破壊する。

 

 

和輝LP7000→6700→6200→3900手札2枚

六道LP8000手札1枚

 

 

「俺のターン!」

 

 和輝の劣勢は明らか。というより、サイフリートが厄介だ。

 

「あいつが居座っているだけで、こっちの魔法、罠は大半が妨害される。モンスター効果は防げないけど、それを成せるカードが今、手札にはない、と。絶体絶命、かな?」

 

 ロキの言葉は真実だ。和輝の手札二枚では六道の布陣は突破できない。

 

「…………」

 

 無意識のうちに、和輝は無手の右手を己の左胸、心臓のある部分に当てていた。

 ドクンドクン。脈動が聞こえる。まだ諦めていない。自分も、この心臓の半分を担う神も。

 

「ロキ、俺は諦めない。まだこのドローが残っている。少しでも可能性が残っているのなら、俺はそれを手放さない!」

 

 和輝の返答に、ロキは満足げに笑った。この邪神は、和輝の心が抗うことを知っていてこう言ったのだ。そうすれば、和輝がなお奮起すると確信して。

 

「ドロー!」

 

 カードを引く和輝。ドローしたのは――――――

 

「よし! 墓地のアーカナイト・マジシャンとガガガマジシャンを除外し、カオス・ソーサラーを特殊召喚!」

 

 和輝の墓地から二体の魂が取り除かれる。魂はやがて混沌を作りだす場となり、新たな魔術師を呼び覚ます。

 現れたのは混沌の波動を両手に宿した、黒衣のローブを纏った魔術師。引き当てたカードこそが、形勢逆転のための切り札。

 

「引き当てたか」と感心したかのような六道。

「行く!」前に出ようとする和輝。

 

 二人の視線が交錯、そして、

 

「カオス・ソーサラー効果発動! 攻撃を放棄する代わりに、呪血王サイフリートをゲームから除外する!」

 

 サイフリートの背後の空間が割れ、その空間から伸びた無数の黒い腕が竜殺しの英霊を掴み、その何もない亜空間に引きずり込んでしまった。

 

「これでこいつが使える。リバースカード、リビングデッドの呼び声! これでギャラクシーサーペントを復活! そして!」

 

 和輝の右手が天へと掲げられた。

 

「レベル6のカオス・ソーサラーに、レベル2のギャラクシーサーペントをチューニング!」

 

 シンクロ召喚。緑の輪と光星、そしてそれらを貫く光の道が走る。

 

「集いし八星(はっせい)が、深淵に潜みし暗黒竜を紡ぎだす! 光さす道となれ! シンクロ召喚、深き闇より現れよ、ダークエンド・ドラゴン!」

 

 光の向こうから噴き出す闇。現れた、頭部のほかに腹部にも顔を持つ、深淵からの来訪者、即ちダークエンド・ドラゴン。

 

「ダークエンド・ドラゴン効果発動! 攻守を500下げ、プラウド・オーガを墓地に送る!」

 

 ダークエンド・ドラゴンの腹部の口が開かれ、そこから闇の奔流が溢れ出す。

 闇は地面を走り、プラウド・オーガに向けて突き進み、捉え、飲み込んだ。

 

「――――――プラウド・オーガはペンデュラムモンスター。よって墓地へはいかず、エクストラデッキに行く」

 

 だが六道は訝しんだ。ダークエンド・ドラゴンがいるならば、墓地に送るのはプラウド・オーガではなく、ベオウルフにするべきだ。

 もっというならば、ここで効果を使わず、一度バトルフェイズに入り、ダークエンド・ドラゴンでプラウド・オーガを撃破してから、効果でベオウルフを除去すればいい。

 それをしなかったのは――――

 

「なるほど。手札にシンクロキャンセルがあるか」

 

 読まれていた。だが突き進む。

 

「手札から魔法カード、シンクロキャンセル発動! ダークエンド・ドラゴンをエクストラデッキに戻し、墓地からシンクロ素材となったカオス・ソーサラーとギャラクシーサーペントを特殊召喚!

 そして再びカオス・ソーサラーの効果発動! ベオウルフを除外!」

 

 カオス・ソーサラーが放った混沌の魔術が、人狼の王を捕える。異空間に放逐されるベオウルフ。そして、六道への道が開いた。

 

「再びレベル6のカオス・ソーサラーに、レベル2のギャラクシーサーペントをチューニング!」

 

 二度目のシンクロ召喚。先ほどと同じシンクロエフェクトが走り、光が満ちる。

 

「集いし八星が、星海切り裂く光の竜を紡ぎだす! 光さす道となれ! シンクロ召喚、響け、閃珖竜(せんこうりゅう) スターダスト!」

 

 ただし今度は別のドラゴンが現れた。

 閃珖竜スターダスト。攻撃に長じたダークエンド・ドラゴンで相手フィールドを掃除したのならば、次は防御に優れたこのモンスターで、カウンターを警戒しつつの進軍。それが和輝の考えだった。

 

「さらにレスキューラビットを召喚し、効果発動! 自身を除外して、デッキから魔法剣士ネオを二体、特殊召喚!

 

 そして二体のネオをオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 二連続シンクロの次はエクシーズ召喚。虹色の爆発が和輝の頭上で発生、新たなモンスターを生み出す。

 

「大自然の守護者、能なき者達の導き手! 来たれダイガスタ・エメラル!」

 

 現れるエメラルドの身体持つ翼をはやした鉱石戦士。

 

「ダイガスタ・エメラル効果発動! ORUを一つ取り除き、墓地のブラック・マジシャンを復活! 

 

 バトルだ! 三体のモンスターでダイレクトアタック!」

 三連続攻撃。まずダイガスタ・エメラルが放ったエメラルドの散弾。六道は背後に跳躍しつつ、胸元の宝珠を庇ってガード。散弾から守った。

 

「ぐ……!」

 

 だが当たったことに変わりはない。追撃のブラック・マジシャンが放った黒い稲妻に対しても、同じく宝珠を庇う。

 

「ぬぅ……!」

 

 雷が六道を襲う。確かにいくつかはまともに食らったようだ。だが宝珠は守られた。

 いずれか、攻撃は宝珠に当たっているはずだ。実際、細かい罅は入っている。だが宝珠を砕くまでには至っていない。それは、六道の意思の強さ、戦意の強靭さを表してもいた。

 そして宝珠はたとえ傷つこうとも、砕かれぬ限りデュエル終了後、次のデュエルの時には修復されている。

 

「これならどうだ! スターダスト!」

 

 最後の一撃は竜の息吹(ブレス)。まともに食らえば宝珠を砕ける可能性が一番高い。

 

「当たれぇぇぇぇぇぇ!」

 

 逆転のチャンス。和輝は声の限り叫んだ。主の意気込みを受けて、スターダストが大きく身をそらし、次の瞬間、金色に輝く閃光を放った。

 六道は短い跳躍からの再度ステップで距離をとる。だがドラゴンの閃光の一撃から逃れられるとは思えない。

 直撃、粉塵が上がり、衝撃が広がった。

 

「これで―――――」

 

 どうだ。そう思った和輝だが、ロキの声が思考を戻す。

 

「ダメだ、和輝。オーディンの気配はまだある。宝珠は砕かれていない。やっぱりライフを0にするような一撃か、神の一撃のような膨大な超火力を叩き込まないと、そう簡単に宝珠は割れないみたいだね」

「俺みたいに背中を向けたりして庇ったのか」

 

 油断なく構える和輝。粉塵が晴れていく。同時に、伏せカードが翻った。

 契約洗浄(リース・ロンダリング)。六道は己のフィールドの契約書二枚を破壊し、2000ライフを回復、カードを二枚ドローした。

 

 

カオス・ソーサラー 闇属性 ☆6 魔法使い族:効果

ATK2300 DEF2000

このカードは通常召喚できない。自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを1体ずつゲームから除外した場合に特殊召喚できる。1ターンに1度、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択してゲームから除外できる。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。

 

リビングデッドの呼び声:永続罠

(1):自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

ギャラクシーサーペント 光属性 ☆2 ドラゴン族:チューナー

ATK1000 DEF0

 

ダークエンド・ドラゴン 闇属性 ☆8 ドラゴン族:シンクロ

ATK2600 DEF2100

チューナー+チューナー以外の闇属性モンスター1体以上

1ターンに1度、このカードの攻撃力・守備力を500ポイントダウンし、相手フィールド上に存在するモンスター1体を墓地へ送る事ができる。

 

シンクロキャンセル:通常魔法

フィールド上に表側表示で存在するシンクロモンスター1体を選択してエクストラデッキに戻す。さらに、エクストラデッキに戻したそのモンスターのシンクロ召喚に使用したシンクロ素材モンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、その一組を自分フィールド上に特殊召喚できる。

 

閃珖竜 スターダスト 光属性 ☆8 ドラゴン族:シンクロ

ATK2500 DEF2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して発動できる。選択したカードは、このターンに1度だけ戦闘及びカードの効果では破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

レスキューラビット 地属性 ☆4 獣族:効果

ATK300 DEF100

「レスキューラビット」の効果は1ターンに1度しか使用できない。このカードはデッキから特殊召喚できない。①:フィールドのこのカードを除外して発動できる。デッキからレベル4以下の同名の通常モンスター2体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。

 

魔法剣士ネオ 光属性 ☆4 魔法使い族:通常モンスター

ATK1700 DEF1000

 

ダイガスタ・エメラル 風属性 ランク4 岩石族:エクシーズ

ATK1800 DEF800

レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。●自分の墓地のモンスター3体を選択して発動できる。選択したモンスター3体をデッキに加えてシャッフルする。その後、デッキからカードを1枚ドローする。●効果モンスター以外の自分の墓地のモンスター1体を選択して特殊召喚する。

 

契約洗浄:通常罠

(1):自分の魔法&罠ゾーンの「契約書」カードを全て破壊する。破壊した数だけ自分はデッキからドローする。その後、自分はドローした数×1000LP回復する。

 

 

ダイガスタ・エメラルORU×1

 

 

和輝LP3900手札0枚

六道LP8000→6200→3700→1200→3200手札3枚

 

 

 和輝がターン終了を宣言したころ、煙が晴れてきた。俯いた六道の顔が上がった。前髪が払われ、表情が露わになる。

 

「――――――――――――!?」

 

 瞬間、和輝は全身に鳥肌が立った。氷の手で心臓を鷲掴みされたような、凍える感触が駆け抜けた。

 

「あ……」

 

 息と一緒に、意味をなさない呟きがこぼれた。

 原因は明白。和輝は見たのだ。六道の表情を。

 笑っていた。この上なく、悦楽に身をゆだねたような満面の笑みで。この上なく、歪んだ笑みで。この上なく、醜悪で、けれどこの上なく気高くて、そして、名状しがたい“餓え”を感じさせる、そんな、楽しいことに出会えた人のようであり、うまい獲物を前にした獣のようであり、面白そうな人間(おもちゃ)を見つけた悪魔のようであり、飽くなき闘争を求める鬼のような笑みだった。

 

「ロキの少年、名前を聞いてもいいだろうか?」

 

 六道の表情はすでに人間のものに戻っていた。和輝はごくりと喉を鳴らして唾を嚥下(えんか)し、

 

岡崎(おかざき)……和輝……」

 

 何とか答える。もっと堂々とすればいいのに、完全に呑まれていた。

 

「岡崎和輝。覚えておこう。久しぶりに、()を熱くさせてくれた」

 

 ゆらりと、和輝の方に一歩踏み出す六道。和輝は理解した。今まで六道は本気を出してなどいなかった。こちらが全力で食い下がっていても、相手は、まだ本気じゃなかったのだ。

 スロースターター。それが、六道(たかし)のスタイルだったのだ。

 

「だからここからは、俺の本気を、少し見せよう」

 

 戦慄する和輝に、六道はそう言い放った。

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