神々の戦争   作:tuki21

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第44話:ウェールズの森で

 ガタン、ゴトン。列車が揺れる。

 和輝(かずき)は電車の窓から外の景色を見据えた。

 目に映る色は白と緑。

 白は一面に漂う霧の色。そして緑はその下、地面に広がる草原だ。

 線路を蹴立てる鉄の車輪。上がる断続音はどこか呼吸めいている。

 そして、霧のヴェールの向こう側、そこに見えるのは、大きな森だ。

 自然と共存し、術の秘奥を納めていった民たちが住んでいたと、そう思える。

「霧に森、か。なんだか魔女とかが出てくるファンタジー世界みたいだな」

「あながち間違いじゃないよ、それ」

 ボックス席の向かいに座るロキが、同じく窓の外の景色を眺めながら言った。

 眉目秀麗な彼の容姿は、乗客の少ない車内では一際よく目立つ。若い白髪という和輝が霞むほどで、同じ車内の人は皆ロキに目をやり、特に女性は何度も視線を送っている。中には熱烈な視線もあるが、ロキはすべて涼しげに受け流していた。

 

「お、今国境を通過したね」

「国境?」

 

 窓の外を眺め、笑みを浮かべるロキが、怪訝な表情を浮かべた和輝を見据えた。

 

「和輝、君、昨日君がいたロンドンや、今日これから向かうウェールズが、同じ国だと思っているのかい?」

「違うのか?」

 

 首を傾げる和輝に、ロキは苦笑。

 

「全部イギリスなのは一緒だけれどね。イギリスは四つの国を一つにまとめたのさ」

 

 窓を開けるロキ。開け放たれたロキから冷たい空気が流れ込んできた。

 

「イギリスの正式名称はグレート・ブリテンおよび北アイルランド連合国。内訳はイングランド、スコットランド、北アイルランド、そして――――」

「これから向かう、ウェールズか」

 

 ロキの台詞を拾う和輝。ロキはよくできましたとばかりに頷いた。

 

「イギリスは森を切り開いた伐採の歴史だけれど、この辺りはまだ森が残っている。アイルランド、ウェールズ、スコットランドなどにいったケルトの民が、イングランドの侵略に抗い、森の民の誇りを守り通したんだろう」

「……なんか、詳しいな、お前」

 

 和輝は不思議だった。ロキは北欧神話の神。ケルト神話とは地域が合わない。なのにここまで詳しいとは、ちょっと意外だった。

 

「ああ、実のところ、ボクら北欧と、ケルトは決して無関係ではないんだよ。神じゃなくて、人間の話だけどね」

 

 難しい表情のロキは、そのまま和輝から視線を外して、言った。

 

「もともと北欧の民もケルトの民も、源流は一つだった。そのうち、ゲルマンとケルトに分かれた。ゲルマンはそのまま流れ、一部が北欧の民になったというわけさ。だから、ちょっとした感傷さ」

 

 そんなものか、と和輝は頷いた。そして思う。これから向かうのは、ウェールズの、とある森。通称、妖精の森。この現代社会でも、妖精が出ると噂される地域だ。

 そこに住むある男に、和輝はこれから会いに行くのだ。

 

 

 クリノ・マクベス。といった。

 幼い和輝に、岡崎(おかざき)の両親が引き合わせた心理カウンセラーだ。

 幼い頃、心の中で囁く怪物に怯えていた和輝は、クリノと出会い、カウンセリングという名の交流を続け、精神的な安定を取り戻し、成長した。もしも彼との出会いがなければ、和輝は今のようにまっすぐ育つことはできなかったかもしれない。

 もしくは、怪物の声に負けて、発狂するか、自殺していたかもしれない。

 ある意味今の和輝を形作るきっかけになった恩人であり、()()でもある。

 今回和輝がイギリスに来た理由は、久しぶりに両親に会うことも勿論あったが、彼に会い、カウンセリングを受けることも目的にあったのだ。

 そして和輝としては、カウンセリングとは別に、もう一つ、クリノに会わなければならない理由があった。

 

「和輝、君は明日クリノのところだろう? 時間は確認したまえよ。あそこは交通の便が良くないからね」

 

 食後のワインを飲んでいた父、正晴(まさはる)がそう告げる。和輝は頷き、

 

「分かってるよ。何度か行ったことあるし。今回は、長くなる。この前のエキシビジョンマッチのチケットをくれた礼も言いたいし」

「何か、相談したいことがあるようだね。ふむ、我が友は今の時期、オフシーズンだし、君のために時間をとることはしてくれるだろう」

 

 グラスの中の赤ワインを飲み干して、正晴はふむと頷いた。

 

「うまいなこれは! 芳醇な甘みが満ち満ちている! 何杯でも行けてしまうぞ! さぁ和輝、綺羅(きら)! 君たちも飲みたまえ! 愛すべき子供たちとの、そして君たちからは尊敬すべき父との再会記念だぶほ!?」

 

 酔っぱらいの戯言は強制的に打ち切られた。未成年の子供二人に酒を勧める正晴に、妻の正美(まさみ)が手にしたお盆で天誅を下したからだ。

 具体的には手にしたお盆で正晴の頭をひっぱたいたのだ。

 

「ダメですよぉ正晴さん。和輝さんも綺羅ちゃんも、未成年なんですから。アルコールを勧めちゃ」

「む、ぅ……。そうだったね、反省しよう」

 

 正気に戻った正晴はそこで和輝に真摯な表情を向けた。

 

「和輝。お前の陰鬱とした気持ちは晴れただろう。だがお前の悩みや、問題の根源は消えていない。そうだな? それは、私たちにも言えぬ問題なのだろう。それは構わない。家族にだって隠しておきたい秘密はある。

 だがそれでも、忘れないでくれ、和輝。相談できずとも、()()()()()()()()()()()()。お前は断じて孤独(ひとり)ではないのだ。誰かが側にいてくれる。その事実だけは忘れないでくれ」

 

 

 甲高いブレーキ音。鉄と鉄が軋みを上げる音に、和輝の意識は現実に引き戻された。

 

「ここだね、和輝」

 

 目的の駅についたことを確認し、席を立つ。ロキもそれに続く。ロキが列車を降りることに残念がる客の視線を感じたが、完全無視だった。

 

「ここからはバスで行くの?」

「いつも近くの村まではバスがある。一日に二本か三本しか来ないけどな。そっからは歩きだ」

 

 なるほどねと頷くロキ。そこから丁度現れたバスに乗って移動する。

 バスから降りて、ここからは徒歩となる。妖精の森に近づくころ、ロキは実体化を解き、姿を消した。

 

 

 目的の森、正確にはその入り口に、一軒の家があった。ごく普通の民家だが、人里から離れたところにあるのでひどく目立つ。

 この森の奥にはとある貴族の血筋が所有している別荘があるらしく、電気も引かれているので、不便はないらしい。

 扉をノック、する前に開かれた。

 

「やあ、待っていましたよ、和輝」

 

 穏やかな声が出迎えた。現れたのは一人の男。

 やや痩せ型、赤い髪は少しだけ伸びているので後ろでくくり、理知的な茶色の瞳をやや細めている。微笑を浮かべたその姿は暖かな森の日差しを思わせ、白いワイシャツの上に黒いマントを羽織った姿は、さながら人里離れて森に隠れ住む隠者、或は賢者の風情だ。

 そして和輝は知っている。肌の質といい、見た目は二十代でも通用しそうな外見だが実際の年齢は岡崎正春(ちち)と大して変わらないということを。

 

「久しぶりです、クリノ先生」

 

 クリノ・マクベス。それがこの男の名前だった。

 

「入りなさい。良い葉っぱが手に入ったので、まずはお茶にしましょう。話は、お茶でも飲みながら、ということで」

 

 ばさりとマントを翻し、クリノが家の中へ。和輝もそれに続いた。

 

(不思議な雰囲気の人だね。まさに森に住む魔法使いみたいだ)

 

 非実体化しているロキの感想は、まさに幼い和輝が抱いた、クリノに対する第一印象そのままだった。

 

 

 クリノが淹れてくれたハーブティーを味わいながら、和輝は家の中を見回してみる。

 といっても、立地条件こそ特殊だが家の内装はごく普通だ。両親が住んでいるロンドンの家と変わりない。

 違う点を上げるとするならば、本棚にある本の種類か。カウンセリングを行っている関係か、人間心理に関する本が多い。

 

「さて、本当に久しぶりですね。最後にあったのは、君が高校に上がる前ですから、二年近く前になりますか」

「本当は、春休みにでも行っておくべきかと思ったんですけどね」

「予定が合わなかったのならば仕方がありませんよ。では、早速ですが、本題に入りましょう」

 

 まだ湯気の上がるカップをおいて、クリノはまっすぐ和輝を見た。

 射抜くような視線を受けて、和輝もまたカップを受け皿の上に置いた。

 かちゃりという、陶器と陶器がぶつかるかすかな音が立つ。

 

「和輝。君にはまだ、内なる声が聞こえますか? 怪物の、声が」

 

 クリノの質問に、和輝は一端黙った。

 呼吸を整え、ハーブティを一口。左胸、即ち心臓に軽く手を当てる。大丈夫、落ち着いている。

 

「はい、聞こえます」

「どういう時に聞こえますか?」

 

 いつの間にか、クリノは片手にバインダーに挟んだカルテを持っていた。和輝の“診察”が始まったのだ。まったく唐突に。

 

「一言で言うなら、危機的状況、ですね」

「それは、ここに来始めた時と同じような?」

 

 和輝は首を横に振った。

 

「あの時とは違います。日常生活では、もう声は聞こえません」

 

 かつては違った。七年前、東京大火災から救出された直後は、それこそ寝ているとき以外、ことあるごとに聞こえてきた。

 階段を降りようとすれば、「ここから飛び降りれば、パパとママのところに行けるぞ?」

 キッチンに入れば、「包丁を手に取れ、そうすれば、パパとママのところに行けるぞ?」

 道を歩いているだけでも、「車の前に身を投げろ。そうすれば、パパとママのところに行けるぞ?」

 日常生活で、少しでも命が危険にさらされる場面があれば、必ず声が聞こえていた。己の内側から届く、怪物の声が。

 

「なるほど……。ではかつてのように、死亡の確率が1%未満でも、必ず聞こえているわけではないと。君を死へと誘惑する怪物の声も、今は遠い。しかしなくなったわけではない。危機的状況……。和輝、君は、()()()()()()()()()()、命の危険を頻繁に感じているのですか?」

 

 クリノの視線は鋭く和輝を射抜いた。

 和輝は息を呑む。怪物の声が聞こえるのは、最近では神々の戦争の最中ばかりだ。命がけの戦いだし、窮地に陥ることだって多い。

 だがそのことを、いくら担当医とはいえ、話せるのだろうか?

 嘘を交えて説明しようにも、クリノに付け焼き刃の嘘が通用するとは思えない。

 考え過ぎるが故に沈黙している和輝を見据え、クリノがぽつりと呟いた。

 

「言えないのは、さっきから君の後ろにいる方が関係しているからですか? 半透明とは、またずいぶん珍しい友人がいたものですね」

「!?」

 

 実体化を解いているロキが見えている。その事実に和輝は愕然とし、思わず椅子から腰を浮かしていた。

 

「先生、先生は……」

 

 神々の戦争の参加者なのですか、そう言おうとした。だがその前にロキから声がかかった。

 

「何故、君はボクを視認できた?」

 

 和輝の脳裏に直接響く念話ではなく、空気を震わせる肉声で、ロキは言う。

 トンと、木床に軽やかな音が立つ。実体化したロキが、足を踏みしめたのだ。

 突然現れた正体不明の男にも、クリノは微動だにしない。微笑を浮かべたままだ。

 

「答えなよ。君からは神の気配がしない。なのに何故、姿を消していた(ボク)の姿を視ることができたんだい?」

 

 穏やかな口調はいつも通りだ。だがロキの表情に笑みは張り付いていない。あのニマニマ笑いは鳴りを潜め、戦場で見せる険を孕んだ表情だ。

 

「そう警戒しないでください。元々、私は人とは違う眼を持っていた。その眼は、この世にあらざるものを視ることができた。それだけです。霊感が鋭いとか、そう解釈していただいても構いませんよ」

「……先生が、よく他人に見えないものを視ることができるって言ってたけど、あれ比喩じゃなかったのか」

「はい。だから和輝。子供の頃の君に幽霊の存在を教えたのは、決して冗談ではなく。本当にあの場に迷える魂がいたということですよ」

「それ言われたら余計に怖いわ!」

 

 思わず突っ込む和輝。ロキは踏むと顎に手を当てて、

 

「神の力を、引いているのかもね。そのせいで普通とはチャンネルの違う眼を持ったんだ」

 

 以前、ロキは言っていた。遥かな昔、人間の中に混じった神々の力。世代を超え、時を超え、その力はどんどん薄れていき、普通の人間と変わらなくなったが、まれに隔世遺伝ともいうべき、特殊な能力を持った人間が現れる。

 以前戦ったエリスの契約者、オデッサのように、クリノもまた、そういう特殊能力を持った人間というわけだ。

 

「先生の浮世離れした雰囲気は、それが原因だったのか」

「まぁ、幼少期はともかく、今は特に困るようなこともありませんよ。人間とそうでないものの区別もつきますし」

 

 穏やかに微笑むクリノの内心は分からない。人間と、そうでない存在を揉み続けた彼の内心は、和輝のごとき若造には計り知れない。

 

「さて、和輝。君の事情は見えませんが、反応から、そこの彼が関わっているようですね」

 

 和輝とロキは目線を交わした。ロキはかすかに頷いた。

 和輝はゆっくりと語りだした。ロキとの出会いのこと、神々の戦争のこと、そして、東京大火災から七年後、ついに自分の肩を掴んだ因縁についても。

 

「神々の戦争、世界中の神話の神による、世界を使ったバトルロイヤル、ですか……」

 

 スケールが大きいですねと、クリノは言う。

 

「ならばやはり、君の心の内側から聞こえる声は、ただの君自身の心の在り方だけ、というわけではないかもしれませんね」

「……けれど、声が聞こえる頻度は減っています。それこそ神々の戦争で、命の危険が、危機的状況が、窮地が、身近に感じるくらいにならないと」

「君が、首筋に死の息吹を感じる。そういう局面で、死に踏み出させる怪物の声が来る、と」

 

 さらさらとカルテに書き込み、クリノはふと和輝を見た。

 

「和輝、君はこの声のビジョンを見たことがありますか?」

「ビジョン?」

「声が聞こえる時、脳裏に映像が見えるようなことは?」

「ない……です……」

「ではイメージは湧きますか? 声から、どんな怪物をイメージしていますか?」

「近いのは、犬、ですね。前身真っ黒い犬。大きさはまちまちです。小犬サイズもあれば、大人よりも大きそうな時もある。そして、異形ですね」

「異形? どのような?」

「目がありません。眼窩はある、けれど眼球がない。代わりにあるのは、人間の様な歯並びをした、口です」

「目の部分が口に成り代わっている、犬。口は犬の口ではないのですね?」

「犬の牙っぽさはありませんでした」

 

 ふむと、頷くクリノ。ロキも静観している。

 

「和輝、君の症状は、過去の経験によるトラウマではない可能性があります」

「え?」

「質問が逆になってしまいましたが、まだ、火事の時の悪夢は見ますか?」

「時々……。綺羅(きら)にも心配されます」

「火事の光景のフラッシュバックが起こることは?」

「ありません」

 

 和輝の答えを聞いて、クリノはふっと微笑んだ。

 

「私から見て、君は七年前から、順調に回復しています。まだ悪夢を完全に振り切ることはできないでしょうが、それも時間が解決してくれます。精神的に見て、君のトラウマは徐々に癒されている。問題は――――」

「怪物の声、だね」

 

 今まで沈黙を続けていたロキが、ここにきて初めて口を挟んだ。

 

「死の誘惑を放ち続ける怪物の声。これが君の深層心理に根付く、無意識に死を求める願望ならば、話は速いんだけどね」

「その場合、本当に危機的状況にならなければ声が聞こえないというのはおかしいのですよ。ロキ君」

 

 カルテをテーブルの上において、クリノはこめかみを軽く掻いた。

 

「本当に和輝が心の奥底、自分でも気づかない無意識の海で死を望んでいるとするならば、その怪物の声はもっと頻繁に聞こえていなければならない。それこそ、ここに来たばかりの頃のように、ちょっとした危険でも囁きが聞こえてもおかしくない。成長とともに精神も安定し、頻度は減ったとしても、例えば、高い所に登った時、不意に“ここから飛び降りたらどうなるだろうか”、そう思うように、怪物の囁きが聞こえてもおかしくはありません。そういうことはありますか?」

 

 和輝は黙って首を横に振った。

 

「なるほど……。和輝」

 

 真摯なクリノの視線が、和輝を射抜く。和輝はまっすぐ、その視線を見据えた。

 

「君の中から聞こえる怪物の声。君はそれを受け入れてはならない。けれど無視してもいけない。いつか、必ず、対決しなければならないから」

「対決……」

「それがどのような形になるのか。私には分かりません。ですか必ず来る。君は、君が生きるため、この試練を乗り越えなければならない」

 

 和輝は沈黙。その胸中を誰にも明かさず、けれど瞳に濁りはない。

 

「はい、先生」

 

 そして不敵に笑う。

 

「負けませんよ、俺は。怪物であろうと、なんであろうと」

 

 その答えを聞いて、くすりと、クリノは笑った。

 

 

 ハーブティーのおかわりを、今度は和輝、クリノ、ロキの二人と一柱で味わう。

 

「さて、和輝。落ち着けたところで、君の目的はカウンセリングだけではないでしょう?」

「はい」

 

 よろしいと言って、クリノは席を立った。いったん奥に引っ込む。

 

「カウンセリング以外にも、目的がある? なんだい?」

「俺が何のためのデッキを持ってきたと思っているんだ? クリノ先生はな、確かにカウンセラーだけど、もう一つ顔があるんだ。それは――――」

 

 お待たせしましたと、クリノが戻ってきた。その手にはデュエルディスクとデッキ。

 

「これが目的でしょう? 私とのデュエル」

「はい」

 

 クリノ・マクベスのもう一つの顔、それは――――

 

「先生は、Aランクのプロデュエリストでもある。イギリスのトッププロ。結構有名なんだぜ」

「医師としての仕事がありますので、最近は、七大大会には、世界大会くらいしか出場しませんけどね」

 

 苦笑するクリノ。ロキは納得したように頷いた。

 

「なるほど。つまり、クリノ先生は君の主治医であると同時に」

「俺の師匠だ。先生、今日こそ、師匠越え、させてもらいますよ。んで、いつかの約束を果たしてもらいます」

「私に勝てたら、あのカードを与える、ですね。構いませんよ。負けるつもりは毛頭ありませんが」

 

 

 外の出た和輝とクリノ。観戦するロキ。適度に距離をとった二人が、デュエルディスクを起動させる。

 

「行きますよ、先生」

「いつでもどうぞ、和輝」

 

 都会と、人の営みから隔絶された森の入り口で――――

 

決闘(デュエル)!』

 

 師弟の戦いが始まった。

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