神々の戦争   作:tuki21

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第46話:師の背中

 和輝(かずき)とクリノの師弟対決を目の前に、ロキは思う。

 現状、和輝はクリノに圧倒されていると言っていい。これが、和輝とクリノ、ひいてはトッププロとの実力差だろう。

 だがそれはあくまでも現時点では、の話だ。

 ロキは信じている。例え今は及ばずとも、和輝はそこで膝を屈しはしないだろう、と。

 不屈の精神で立ち上がる。今だってきっと、ここままじゃ終わらない。必ず相手に、その秘めたる牙を届かせようとするだろう。

 そして、いつか必ず、その牙は届くはずだ。

 

 

和輝LP2200手札6枚

ペンデュラムゾーン赤:なし青:なし

場 永続罠:永遠の魂

伏せ 1枚

 

クリノLP8000手札2枚(うち1枚はカゲトカゲ)

ペンデュラムゾーン赤:なし青:なし

場 キングレムリン(攻撃表示、ORU(オーバーレイユニット):)、No.(ナンバーズ)52 ダイヤモンド・クラブ・キング(守備表示、ORU:召喚僧サモンプリースト、)、仮面魔獣デス・ガーディウス(攻撃表示)、No.23 冥界の霊騎士ランスロット(攻撃表示、ORU:アンブラル・グール、アンブラル・アンフォーム)、永続罠:エンペラー・オーダー

伏せ 1枚

 

永遠の魂:永続罠

「永遠の魂」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):以下から1つを選択してこの効果を発動できる。●自分の手札・墓地から「ブラック・マジシャン」1体を選んで特殊召喚する。●デッキから「黒・魔・導」または「千本ナイフ」1枚を手札に加える。(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分のモンスターゾーンの「ブラック・マジシャン」は相手の効果を受けない。(3):表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動する。自分フィールドのモンスターを全て破壊する。

 

キングレムリン 闇属性 ランク4 爬虫類族:エクシーズ

ATK2300 DEF2000

レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから爬虫類族モンスター1体を手札に加える。

 

No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング 地属性 ランク4 岩石族:エクシーズ

ATK0 DEF3000

レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。ターン終了時まで、このカードの守備力を0にし、攻撃力を3000にする。このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。また、エクシーズ素材の無いこのカードは、攻撃された場合ダメージステップ終了時に攻撃表示になる。「No.52 ダイヤモンド・クラブ・キング」は自分フィールド上に1体しか表側表示で存在できない。

 

仮面魔獣デス・ガーディウス 闇属性 ☆8 悪魔族:効果

ATK3300 DEF2500

このカードは通常召喚できない。「仮面呪術師カースド・ギュラ」「メルキド四面獣」の内いずれかを含む自分フィールドのモンスター2体をリリースした場合に特殊召喚できる。(1):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動する。デッキから「遺言の仮面」1枚を装備カード扱いとして対象のモンスターに装備する。

 

No.23 冥界の霊騎士ランスロット 闇属性 ランク8 アンデット族:エクシーズ

ATK2000 DEF1500

レベル8モンスター×2

(1):X素材を持っているこのカードは直接攻撃できる。(2):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。(3):1ターンに1度、このカード以外のモンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動する。その発動を無効にする。

 

エンペラー・オーダー:永続罠

(1):モンスターが召喚に成功した時に発動するモンスターの効果が発動した時、この効果を発動できる。その発動を無効にする。その後、発動を無効にされたプレイヤーはデッキから1枚ドローする。

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 戦況は和輝に圧倒的不利。幾度攻め立てても、クリノはのらりくらりと躱してしまうし、反撃の一撃は手ひどく和輝を痛めつけた。

 だが、いつものことだ。師であるクリノは容赦せず、常に全力でこちらを仕留めにかかってくる。

 そしてそれに抗うのだ。いつも、いつまでも。

 それに状況は不利だが絶望的でもない。先程のクリノのターンに発動された壺の中の魔術書のおかげで、和輝の手札は潤っている。

 戦力は十分にあるのだ。

 

「やってやるさ。俺は貪欲な壺を発動します!」

「――――冥界の霊騎士ランスロットの強制効果を発動します。ORUを一つ取り除き、貪欲な壺の発動を無効にします」

 

 ここまでは予想通りの展開だ、冥界の霊騎士ランスロットの無効化効果は強制効果なので、クリノにも手綱を握れない。そしてこの効果にはもう一つ弱点がある。それは――――

 

「なら、ランスロットの効果にチェーンして、禁じられた聖杯を発動! ランスロットの攻撃力を400上げる代わりに、効果を無効にします!」

「!? なるほど、やってくれましたね、和輝」

 

 冥界の霊騎士の頭上から、穢れた聖杯の中身が降り注ぐ。聖杯の中身を受けた騎士の身体から、その能力が失われた。禁じられた聖杯に対する自身の無効化効果も発動しない。

 

「冥界の霊騎士ランスロットは同一チェーンに自身の効果を二回以上使用できません。つまり――――」

「一度目の無効化効果にチェーンして発動したカード効果は、逆順処理で通る。けれど今回はさらに場合が異なる」

「あっ、そうか。逆順処理でまず禁じられた聖杯の効果が適用され、ランスロットの効果が無効化。その後ランスロットの効果が発動するけど、既に禁じられた聖杯で無効になっているから、効果は発動せず不発。結果として、和輝が最初に発動した貪欲な壺も妨害されずに通るわけか」

 

 パチンと指を鳴らすロキ。正解とばかりにクリノが微笑み、和輝は効果が通った貪欲な壺の効果で、墓地からクリバンデット、スターダスト、幻想の黒魔導師、ハイパー・ライブラリアン、マジック・ストライカーを戻して二枚ドローした。

 

「よし、この手札なら、先生の布陣を突破できる! 相手フィールドにのみモンスターが存在するため、太陽の神官を特殊召喚します。さらに俺の手札からモンスターの特殊召喚に成功したこの瞬間、墓地のミスト・レディの効果を発動し、このカードを特殊召喚します」

 

 現れる、褐色の肌にどこかの民族衣装に杖を持った大柄な男と、全身が霧や水のような流体でできた女。ミスト・レディは一ターン目、和輝がクリバンデットの効果で墓地に送ったカードたちだ。和輝は最初の布石を、ここで一気に使うつもりだった。

 

「いきます! レベル5の太陽の神官に、レベル3のミスト・レディをチューニング!」

 

 シンクロ召喚。三つの緑の輪となったミスト・レディと、その輪をくぐって五つの白い光星となった太陽の神官。そしてそれらの光星を貫く一筋の光の道。

 

「集いし八星(はっせい)が、最果に住まいし極光竜を紡ぎ出す! 光さす道となれ! シンクロ召喚、光の彼方から現れろ、ライトエンド・ドラゴン!」

 

 光の帳の向こうから現れる新たなモンスター。

 純白の体躯、後光を思わせる金色の輪状の装飾パーツ、天使のような四枚羽根。その姿は西洋のドラゴンのように四肢ある物ではなく、東洋の龍のような、手足のない蛇状のもの。以前から和輝が使っているダークエンド・ドラゴンの対極にいるモンスターだ。

 

「ライトエンド・ドラゴンですか。確かにそのカードならば、私のデス・ガーディウスも破壊できるでしょう。ですが、それだけですか? だとすれば、突破の一手としては足りないですよ」

「分かっています。まだ俺の手は終わっていません。召喚僧サモンプリーストを召喚します。効果で守備表示に変更。効果を発動します。手札のワンダー・ワンドを捨て、デッキからライトロード・アサシン ライデンを特殊召喚します」

 

 再び揃ったチューナーと非チューナー。合計レベルは8。そして、サモンプリースト(非チューナー)モンスターの属性は闇。ならば来るのは――――

 

「なるほど、光と闇の竜を並び立てようというのですね」

「正解です。オレはレベル4、闇属性のサモンプリーストに、同じくレベル4のライデンをチューニング!

 集いし八星が、深淵に潜みし暗黒竜を紡ぎだす! 光さす道となれ! シンクロ召喚、深き闇より現れよ、ダークエンド・ドラゴン!」

 

 ずんと、重々しい音が再び現れた光の帳を押し破る。

 現れたのは、和輝のデュエルに何度も登場している、二つの顔を持つ闇の竜。

 

「さらに! 永遠の魂の効果を発動し、墓地からブラック・マジシャンを復活させます!」

 

 これで和輝のフィールドにはダークエンド・ドラゴン、ライトエンド・ドラゴン、そしてブラック・マジシャンと、攻撃力2500級が三体揃った。

 

「行きます! まずはダークエンド・ドラゴンの効果を発動! 自身の攻守を500下げて、ダイヤモンド・クラブ・キングを墓地に送ります!」

 

 和輝の宣言が飛んだと同時、彼のフィールドのダークエンド・ドラゴンの腹部の口が開き、そこから闇の奔流が放たれる。

 闇は地面を駆け、ダイヤモンド・クラブ・キングを捕えると同時に中へと沈めてしまった。

 

「なるほど。攻撃力の壁ならば突破できる、が、守備力となるとそうはいかない。だからこそ、君は守備力3000のダイヤモンド・クラブ・キングを先に除去したのですね」

 

 笑みを浮かべるクリノ。その表情は、和輝がどう出るのか、あらかた分かっているかのようだ。

 

「ここからバトルです! まずはブラック・マジシャンで冥界の霊騎士ランスロットを攻撃!」

 

 一撃目。黒衣の魔術師が裏切りの霊騎士に向かって緩やかに移動、手にした杖の先端を突き付け、黒い雷を幾重もの束にして打ち出した。

 雷の群を全身に受け、身体から煙を吹かせて(くずお)れていく霊騎士。その末路を見もせずに、和輝はさらに声を上げた。

 

「次! ダーク・エンド・ドラゴンでキングレムリンに攻撃! ダメージステップに墓地のスキル・サクセサーの効果を発動! ダーク・エンド・ドラゴンの攻撃力を800アップさせます!」

 

 これまた一ターン目、クリバンデットの効果によって墓地に落ちたトラップカード。最初の布石を一気に使う。和輝が決めた方針に迷いはなく、躊躇いもない。

 クリノの伏せカードは反応しない。よって、予定調和通りに破壊されるキングレムリン。その向こうから、和輝はさらに攻撃命令を下す。

 

「ライトエンド・ドラゴンでデス・ガーディウスに攻撃!」

 

 残った最後の一体。光のドラゴンが優雅に、そして雄々しく宙を泳ぐ。

 

「ダメージステップに、ライトエンド・ドラゴンの効果発動! 自身の攻守を500ダウンさせ、デス・ガーディウスの攻撃力を1500ダウンさせます!」 

 

 ライトエンド・ドラゴンの全身から白い光が放たれ、その光を浴びたデス・ガーディウスの身体から見る見るうちに力が失われていった。

 そして、光が物理的な攻撃力を備えた瞬間、デス・ガーディウスの体は砂のように罅割れ、粉々に崩れてしまった。

 

「デス・ガーディウスまでやられましたか。ですが、デス・ガーディウスの効果発動です。デッキから遺言の仮面を発動させます。対象は、ダークエンド・ドラゴン」

 

 クリノのデッキから一枚のカードが飛び出して、実体化する。それは、何とも禍々しい、表情と呼べるものさえ浮かべているのかわからない、歪な仮面。その仮面が和輝のダークエンド・ドラゴンの頭部に装着された瞬間、ダークエンド・ドラゴンは自身が所属する陣営を和輝からクリノに鞍替えしてしまった。

 

「コントロール奪取効果持ちの装備魔法、か。厄介なカードだけれど、これやばくない?」

 

 そう、和輝のフィールドにはもう攻撃可能なモンスターがいない。次のクリノのターン、彼はダークエンド・ドラゴンの効果を使って、ライトエンド・ドラゴンは除去できる。そして、手札次第では更なるモンスターも呼び出せるだろう。クリノのモンスターはランク4のエクシーズモンスターが主流なので、デッキのモンスターも必然、レベル4が主だが、冥界の霊騎士ランスロットの様にランク8も入っているならば、レベル8のモンスターがいても不思議ではない。

 妥協召喚などでリリースなしでも召喚できるレベル8が多くなってきている昨今、いきなりランク8が飛んでくる可能性もあるのだ。

 だが、和輝は不敵な表情を浮かべていた。

 

「俺は、先生とは何度もデュエルしているんだぜ? 遺言の仮面のことだってちゃんと考えてるさ。こんな風にな!

 手札を一枚捨て、手札から速攻魔法、超融合発動! 俺の場のブラック・マジシャンと、先生の場のダークエンド・ドラゴンを融合させる!」

 

 和輝とクリノ、二人のフィールドのちょうど中間地点で、空間の歪みが発生。その渦にブラック・マジシャンとダークエンド・ドラゴンが飛び込み、一つに混ざり合う。

 

「深淵の暗黒竜よ、黒衣の魔術師よ。今一つとなって魔を断つ竜魔導士へと変じよ! 融合召喚、現れろ、呪符竜(アミュレット・ドラゴン)!」

 

 渦の中から現れる、新たなモンスター。体中に魔術文字が浮かび上がった、緑の体色のドラゴンと、その背に跨ったブラック・マジシャン。

 

「呪符竜の効果発動! 俺と先生の墓地の魔法カードを全て除外して、除外したカード×100ポイント、呪符竜の攻撃力をアップさせます。除外したのは全部で十四枚なので、1400アップで攻撃力は4300ですね。

 そして、まだ俺のバトルフェイズは終了していない。このまま呪符竜でダイレクトアタック!」

 

 がら空きのクリノのフィールド、千載一遇のチャンスに、和輝は踏み込んだ。

 呪符竜のドラゴンの口が大きく開かれ、そこから金色の息吹(ブレス)がクリノに向かって放たれた。

 だが和輝はこのターンで決めるつもりだった。ゆえに、もう一手、手を放った。

 

「この瞬間、俺の墓地のタスケルトンの効果発動! このカードを除外し、呪符竜の攻撃を無効にします!」

「タスケルトン……。そうか、超融合のコストで墓地に……!」

 

 クリノは思う。このタイミングで、わざわざ自分の攻撃を無効にする。その理由は何か。分かっている。手札か、あるいは、一ターン目からずっと沈黙を保っていた伏せカード、どちらかが本命だ。自分のライフを奪い去るための。

 

「タスケルトンによって呪符竜の攻撃が無効にされたこの瞬間、リバースカード、オープン! 速攻魔法、ダブル・アップ・チャンス! 呪符竜の攻撃力を倍にして、もう一度攻撃します!」

 

 先ほどに倍する莫大な量の金色の奔流が、今度こそクリノを襲う。

 今、呪符竜の攻撃力は9800、この攻撃が通れば、たとえ初期値の8000あるライフを持つクリノといえども敗北する。

 

「素晴らしいですよ、和輝。成長しましたね」

 

 クリノは、弟子の成長を素直にほめたたえた。

 弟子は師を超えるもの。そして、乗り越えられるのは師として最大の喜び。そう、クリノは思っていた。だからこそ、和輝がここまでやったのは見事の一言に尽きた。

 クリノは思う。成長した和輝。自分は彼に敗北するだろう、と。

 だが――――()()()()()()()()

 

「リバーストラップ、発動! 体力増強剤スーパーZ! これで私は、ダメージを受ける前にライフを4000回復します」

「な!?」

 

 驚愕の声を上げる和輝。金色の奔流がクリノを飲み込んだ。

 

「くぅぅぅぅ! さ、さすがにソリットビジョンだとわかっていても、攻撃力9800のダイレクトアタックは堪えますね。ですが、私のライフは残りました。これ以上、追撃はありますか?」

 

 ない。今の全力だ。全ての布石も使いきった。

 

「……ターンエンドです」

 

 

貪欲な壺:通常魔法

(1):自分の墓地のモンスター5体を対象として発動できる。そのモンスター5体をデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから2枚ドローする。

 

禁じられた聖杯:速攻魔法

(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時までそのモンスターは、攻撃力が400アップし、効果は無効化される。

 

太陽の神官 光属性 ☆5 魔法使い族:効果

ATK1000 DEF2000

相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。フィールド上のこのカードが破壊され墓地へ送られた時、デッキから「赤蟻アスカトル」または「スーパイ」1体を手札に加える事ができる。

 

ミスト・レディ 水属性 ☆3 魔法使い族:チューナー

ATK1300 DEF1000

(1):自分の手札、またはデッキからモンスターの特殊召喚に成功した場合に発動できる。墓地のこのカードを特殊召喚する。この効果によって特殊召喚されたこのカードがフィールドを離れた時、このカードをゲームから除外する。

 

ライトエンド・ドラゴン 光属性 ☆8 ドラゴン族:シンクロ

ATK2600 DEF2100

チューナー+チューナー以外の光属性モンスター1体以上

このカードが相手モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる。このカードの攻撃力・守備力を500ポイントダウンし、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力・守備力はエンドフェイズ時まで1500ポイントダウンする。

 

召喚僧サモンプリースト 闇属性 ☆4 魔法使い族:効果

ATK800 DEF1600

(1):このカードが召喚・反転召喚に成功した場合に発動する。このカードを守備表示にする。(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードはリリースできない。(3):1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて発動できる。デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。

 

ライトロード・アサシン ライデン 光属性 ☆4 戦士族:チューナー

ATK1700 DEF1000

自分のメインフェイズ時に発動できる。自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。この効果で墓地へ送ったカードの中に「ライトロード」と名のついたモンスターがあった場合、このカードの攻撃力は相手のエンドフェイズ時まで200ポイントアップする。「ライトロード・アサシン ライデン」のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。また、自分のエンドフェイズ毎に発動する。自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

 

ダークエンド・ドラゴン 闇属性 ☆8 ドラゴン族:シンクロ

ATK2600 DEF2100

チューナー+チューナー以外の闇属性モンスター1体以上

1ターンに1度、このカードの攻撃力・守備力を500ポイントダウンし、相手フィールド上に存在するモンスター1体を墓地へ送る事ができる。

 

ブラック・マジシャン 闇属性 ☆7 魔法使い族:通常モンスター

ATK2500 DEF2100

 

スキル・サクセサー:通常罠

自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで400ポイントアップする。また、墓地のこのカードをゲームから除外し、自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択した自分のモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで800ポイントアップする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できず、自分のターンにのみ発動できる。

 

遺言の仮面:通常魔法

(1):このカードをデッキに戻してシャッフルする。(2):このカードが「仮面魔獣デス・ガーディウス」の効果で装備されている場合、装備モンスターのコントロールを得る。

 

超融合:速攻魔法

このカードの発動に対して魔法・罠・モンスターの効果は発動できない。(1):手札を1枚捨てて発動できる。自分・相手フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 

呪符竜 闇属性 ☆8 ドラゴン族:融合

ATK2900 DEF2500

「ブラック・マジシャン」+ドラゴン族モンスター

このカードは上記カードを融合素材にした融合召喚または「ティマイオスの眼」の効果でのみ特殊召喚できる。(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、自分・相手の墓地の魔法カードを任意の数だけ対象として発動する。そのカードを除外し、このカードの攻撃力はその除外したカードの数×100アップする。(2):このカードが破壊された場合、自分の墓地の魔法使い族モンスター1体を対象として発動できる。その魔法使い族モンスターを特殊召喚する。

 

タスケルトン 闇属性 ☆2 アンデット族:効果

ATK700 DEF600

モンスターが戦闘を行うバトルステップ時、墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。そのモンスターの攻撃を無効にする。この効果は相手ターンでも発動できる。「タスケルトン」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。

 

ダブル・アップ・チャンス:速攻魔法

モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスター1体を選択して発動できる。このバトルフェイズ中、選択したモンスターはもう1度だけ攻撃できる。その場合、選択したモンスターはダメージステップの間、攻撃力が倍になる。

 

体力増強剤スーパーZ:通常罠

(1):自分が2000以上の戦闘ダメージを受ける場合、そのダメージ計算時に発動できる。自分は4000LP回復する。

 

 

ライトエンド・ドラゴン攻撃力2600→2100守備力2100→1600

呪符竜攻撃力2900→4300

 

 

和輝LP2200手札2枚

クリノLP8000→7900→7300→7000→11000→2400手札2枚(うち1枚はカゲトカゲ)

 

 

「私のターン、ドロー」

 

 終わった、と、ロキは思った。

 今のターンで、和輝は勝負を決めるべきだった。あれが最後の勝機だったのだ。ロキは今、完全に勝利の女神が和輝にそっぽを向いてしまったことを理解した。おそらく、和輝もそうだろう。

 

「まずは、エンペラー・オーダーを墓地に送り、マジック・プランター発動。カードを二枚ドローします。そして、二枚目のアンブラル・アンフォームを召喚、その召喚に対して、手札の二枚目のカゲトカゲの効果を発動。自身を特殊召喚します。

 アンブラル・アンフォームとカゲトカゲでオーバーレイ! 二体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 エクシーズ召喚。クリノの頭上に、渦巻く銀河のような空間が展開し、その中に、紫の光となって二体のモンスターが飛び込んだ。

 虹色の爆発が起こる。

 

「深層心理の海より浮上せしは、人を、世界を、神さえ笑う古の邪神! 汝心せよ。破滅は無貌の姿でやってくる! 這い寄れ、外神ナイアルラ!」

 

 虹色の爆発の向こうから現れたのは、異形にして異様な、形容しがたき存在だった。

 タコやイカに類するような軟体生物と思わしき、吸盤の付いたぬらぬらとした体表の身体に、いくつも見える人間のものに近い口。干からびた枯れ枝のような腕、和輝からしても直視したくなくなるモンスターだった。

 

「ナイアルラのエクシーズ召喚成功時の効果は発動しませんが、もう一つの効果は発動しましょう。このカードのORUを全て取り除き、墓地のNo.104 仮面魔踏士(マスカレード・マジシャン)シャイニングを、このカードのORUとします。この瞬間、このカードの属性、種族はユニットにしたモンスターと同じになります」

 

 ナイアルラの周囲を旋回していた光の玉が二つとも消失し、代わりに彼の墓地から飛び出したオーバーハンドレッドナンバーズが新たなORUとなる。その瞬間、異形だったナイアルラの身体が、まるで粘土のように変形し、変形が収まった時にはシャイニングの姿になっていた。

 

「ここで、シャイニングを再利用?」

「念のための処置ですよ。もう発動できるモンスター効果もなさそうですがね。魔法カード、RUM(ランクアップマジック)-リミテッド・バリアンズ・フォース発動! ナイアルラを、ランク5のCNo.(カオスナンバーズ)へとランクアップさせます!」

「ランクアップ! やばい!」

 

 和輝が血相を変えた。だがもう遅い。既に終幕への一手は始まっている。

 

「私は、場のモンスター一体でオーバーレイネットワークを再構築! ランクアップ・カオス・エクシーズチェンジ!」

 

 クリノの頭上に、紫の稲妻閃く暗雲のような空間が展開され、その空間に白い光となったシャイニングが飛び込んだ。

 虹色の爆発が起こる。

 

「深層心理の海より浮上せしは、光り輝く虚飾の舞台より滲み出し、濃く深い真実の影。光が強ければ、影もまた深くなる。光を呑む真実よ、姿を現し世界を嘲弄せよ! 現れろカオスオーバーハンドレッド! CNo.104 仮面魔踏士 アンブラル!」

 

 現れる新たなモンスター。前身のシャイニングから大きく逸脱した姿。のっぺりとしたマスクに悪魔を思わせるウィングパーツ。赤いコート姿と、煌びやかなシャイニングとはどもまでも対照的な、暗色の色彩。その手には身の丈ほどありそうな長さのステッキを持っていた。

 

「さぁ、アンブラルの効果発動です。和輝、君の場にいる永遠の魂を破壊します」

「ッ!」

 

 アンブラルには特殊召喚成功時に、相手の魔法・罠カードを一枚破壊する効果がある。そしてそれが今放たれた。

 アンブラルの翼から蠢いている触手が、一斉に鞭のようにしなり、和輝の永遠の魂に向かって殺到。槍のような鋭さで永遠の魂のカードを貫いた。

 

「く! 永遠の魂の効果により、俺の場のモンスターを全て破壊します。けど、呪符竜の効果で、墓地からブラック・マジシャンを守備表示で復活させます」

 

 これが和輝の最後の守りだ。これが突破されれば、あとは無防備なライフをさらすしかない。

 もしもクリノの手札に、盾を突破した後、和輝を刺し貫く槍があれば――――

 

「いや、あれば、じゃない。あるね」

 

 ロキの断言。和輝も、それは承知していた。何しろ、そういう()()だ。

 

「これで終わりです。私は、墓地のエフェクト・ヴェーラーとカゲトカゲを除外して、カオス・ソルジャー―開闢の使者-を特殊召喚します」

 

 現れたのは、デュエルモンスターズ最初期に登場し、大きな人気を誇った伝説の戦士、カオス・ソルジャー、そのリメイクカード。

 手軽な召喚条件、二つの強力な効果で、古参プレイヤーの心強い味方にも、強大な敵にもなったモンスターだ。それも今では入手困難な幻のレアカードとなっている。

 

「終わらせましょう。開闢の使者の効果でブラック・マジシャンを除外し、アンブラルでダイレクトアタックです」

 

 カオス・ソルジャーが手にした剣を横一文字にふるうと、その軌跡に沿って空間に切れ目が入り、異空間が覗く空間の切れ目が、凄まじい吸引力を発揮、ブラック・マジシャンを捕え、その次元の狭間に吸い込んでしまった。

 追撃にして終わりの一撃が来る。アンブラルが手にしたステッキを槍のように旋回させ、翼の触手も交えて和輝を襲う。

 和輝は動かない。黙して結果を受け入れる。

 触手が和輝を貫き、ステッキが叩きつけられた。

 

 

マジック・プランター:通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在する永続罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。デッキからカードを2枚ドローする。

 

アンブラル・アンフォーム 闇属性 ☆4 悪魔族:効果

ATK0 DEF0

このカードの攻撃によってこのカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた時、デッキから「アンブラル」と名のついたモンスター2体を特殊召喚できる。「アンブラル・アンフォーム」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

カゲトカゲ 闇属性 ☆4 爬虫類族:効果

ATK1100 DEF1500

このカードは通常召喚できない。自分がレベル4モンスターの召喚に成功した時、このカードを手札から特殊召喚できる。このカードはシンクロ素材にできない。

 

外神ナイアルラ 地属性 ランク4 悪魔族:エクシーズ

ATK0 DEF2600

レベル4モンスター×2

(1):このカードがX召喚に成功した時、手札を任意の枚数捨てて発動できる。このカードのランクは、捨てた枚数分だけ上がる。(2):1ターンに1度、このカードがX素材を持っている場合に自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。このカードのX素材を全て取り除き、対象のモンスターをこのカードの下に重ねてX素材とする。このカードの種族・属性は、この効果でX素材としたモンスターの元々の種族・属性と同じになる。

 

RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース:通常魔法

自分フィールド上のランク4のエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターよりランクが1つ高い「CNo.」と名のついたモンスター1体を、選択した自分のモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

 

CNo.104 仮面魔踏士アンブラル 闇属性 ランク5 魔法使い族:エクシーズ

ATK3000 DEF1500

レベル5モンスター×4

このカードが特殊召喚に成功した時、フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊できる。また、このカードが「No.104 仮面魔踏士シャイニング」をエクシーズ素材としている場合、以下の効果を得る。●1ターンに1度、相手フィールド上で効果モンスターの効果が発動した時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。その発動を無効にする。その後、相手の手札をランダムに1枚墓地へ送り、相手ライフを半分にする事ができる。

 

カオス・ソルジャー―開闢の使者- 光属性 ☆8 戦士族:効果

ATK3000 DEF2500

このカードは通常召喚できない。自分の墓地から光属性と闇属性のモンスターを1体ずつ除外した場合に特殊召喚できる。このカードの(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。(1):フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。(2):このカードの攻撃で相手モンスターを破壊した時に発動できる。このカードはもう1度だけ続けて攻撃できる。

 

 

和輝LP0

 

 

「まぁ、和輝。よくわかったと思いますが、君は私に一ターンしかダメージを与えられませんでした」

 

 デュエルが終了し、再びクリノの家の中に戻った二人と一柱は、改めて淹れてもらった紅茶を飲みながら、先程のデュエルの反省会を行っていた。

 

「一度しかチャンスがなく、それも躱されてしまう。これが、今の君と、トッププロとの力の差です」

 

 和輝は何も言えない。自分でも思っていたからだ。

 

「俺は、どうすれば勝てますかね、そういう連中に」

 

 神々の戦争にはトッププロや、そのレベルの猛者も参加しているだろう。そして、頂点(デュエルキング)も。

 

「先ず君は、捨て身の姿勢を捨てることが重要かもしれませんね」

「捨て身の姿勢?」

「攻め気が強すぎる、と言いましょうか。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 その言葉に、和輝はぐさりと何か心の奥の、脆くて柔らかい部分をナイフで刺されたような気がした。

 守りに入ることを恐れている。そうなのだろうか? 自覚したことはないが――――

 

「守ってばかりじゃ、勝てません」

「けれど攻めてばかりでも、勝てませんよ。今回のようにうまく躱されて、カウンターで痛い目を見ます」

 

 確かに、思い当たることはある。昨日やった咲夜(さくや)とのデュエルも、止めを刺せると全力を注ぎこんだ攻撃を躱され、返しのターンで負けた。

 

「攻め続けることが、勝利を呼び込むことも確かにあります。けれど守りを完全に捨てては斬り捨てられてしまう。格上相手は特にそうです。それに――――」

 

 じっと、クリノは和輝の目を見据えた。

 クリノの目。穏やかで、優しくて、けれど底の底まで見透かしてしまいそうな、深くて、けれど透明な目。

 和輝は戸惑った。攻め気が強いのは元来の性質だし、今更そう簡単に変えられるとも思えないのだが……。

 

「まぁ、あまり考えなくていいですよ。守りに入り続けて、そのままジリ貧になって負ける、ということもありますしね。君はそうなることを恐れているかもしれませんし。

 君は一度落ち着いて、今が全力の出しどころか、それとも余力を残しておくべきか。デュエル中でも冷静に考えてみることですね。テンションに身を任せて勝てるのは、せいぜいCランク上位からBランク下位くらいですよ」

 

 ぐぅの音も出ない和輝。ここ最近の連敗で、特にそう思った。

 クリノは黙り込んでしまった和輝を見て、苦笑を見せる。席を立って、奥に去っていった。

 

「ここ最近の連敗、か。けれど和輝。トップの強さを知るっていうのは重要だよ。壁の高さを知らなきゃ、足掻くこともできやしない」

「分かってるさ」

 

 実際問題、ここからどうするべきか。デッキの強化は急務だと思うが、さて、どのような方向でいくか。

 思ったのは、昨日の咲夜とのデュエル。彼女が出した新カード、即ち、ペンデュラムモンスター。

 確かに、ペンデュラム召喚を使えば、神召喚のための生贄を揃えることも難易度が格段に下がる。それに、元々和輝が多用する融合、シンクロ、エクシーズ召喚もやりやすくなる。

 

「だがなー」

 

 問題としては、ペンデュラムカードは多くがカテゴリー内のカードである、という点だ。

 六道天(りくどうたかし)が使っていたDDなどがそうだ。全てではないが、スケールの高い、よりレベルの高いモンスターをペンデュラム召喚できるカードは必ず、同じカテゴリーのモンスターしかペンデュラム召喚できない縛りがある。

 そうなれば、和輝は己のデッキを完全に切り替えなければならなくなってしまう。

 できればそれはしたくない。ブラック・マジシャンには、思い入れがあるのだ。

 

「君の考えていること、何となくわかりますよ、和輝」

「え!?」

 

 びくりと和輝の身体が椅子から二ミリは浮いた。それほど驚いたのだ。それほど、自分の考えに没頭していたともいえる。

 奥から出てきたクリノが、笑顔でやってきた。その手にはカードファイルが一冊。

 

「和輝、君にこのファイルのカードを上げましょう」

「え?」

 

 言って、クリノがファイルを和輝に差し出した。開いてみると、そこには――――

 

「これ、ペンデュラムモンスター!? それだけじゃない、ブラック・マジシャンの強化サポートカード……」

 

 和輝は渡されたカードに魅入られた。これらのカードを、自分のデッキにうまく組み込み、嚙合わせることができれば、和輝の戦力は飛躍的に上昇するだろう。

 

「いいんですか?」

「もともと次に君とあった時、差し上げようと思っていたカード達です。私のデッキよりも君のデッキのほうが、うまく使えるでしょう。今日は泊りでしょう? 一晩考えて、改良してみてください、君のデッキを、新たな姿に」

 

 にこりと微笑して階段を上っていくクリノに、和輝は「ありがとうございます!」と深く、深く頭を下げた。

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