神々の戦争   作:tuki21

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第49話:新デッキ始動

 この敵は、今までと違う。

 和輝(かずき)は初見でそう思った。

 思わず女子と見紛ってしまう、華奢な体躯に美しい顔立ちの青年だった。

 だがそんなのは外見だけだ。悪魔が人間の前に現れる時、しばしば絶世の美形として現れるように、この青年の美しい外見の裏に、どのような深淵が広がっているのか、計り知れない。

 ――――楽しい楽しい楽しいなぁ! キハハハハハハハハ!

 和輝のうちに潜む得体の知れな怪物が、ここまでテンション高く、そしてこちらを死に誘うでもなく、自らの喜悦に従って哄笑しているのだ。こんなことは今までなかった。

 否、一つだけ。東京大火災の跡地を訪れた時のみ、この笑いはあった。それもまた、ここまで自らの愉悦だけを表現したものではなかったが。

 

「初めまして。黄泉野平月(よみのひらつき)と言います」

 

 青年、平月はこちらに一礼した。

 

「黄泉野平月君、ね。君がバロールの契約者なのかな?」

 

 さりげなくエーデルワイスを庇う立ち位置に移動する和輝の姿を横目で見ながら、ロキが質問する。相手がどう出るかわからないので、まずは軽い言葉のジャブでイニシアチブを取りたいがためだ。

 

「いいえ、ぼくはバロールの契約者ではありません」

 

 にこりと微笑を浮かべたまま、平月は答える。そしてその答えに、和輝は警戒の表情を浮かべ、ルーもまた身構えた。

 この、バロールに支配された森に、無関係な第三者が偶然現れる。そんな展開が二度も起こるとは思えない。

 疑惑の視線が集中する中、平月は平然として言った。

 

「ぼくが契約した神は――――」

「おれだよ!」

 

 するりと、その人影は平月の背後から現れた。

 おかしな現象だった。平月の身長は百七十を超えていない小柄なもの。にもかかわらず、現れた人影の身長は百九十を優に超えていた。

 男だった。褐色の肌、ショートカットの金の髪、黒いサングラスで目を隠し、服装は何故かサイケデリックな柄のアロハシャツ。

 

「くっはははは! まったく、今日は僥倖良き日だなぁおい! バロールのところにちょっかいかけに行ってみれば、こんな面白いことが起こった! まさかあの子供が! ()()()()()()()()()()()()()()()()! まったくもって、面白くて予想外で、びっくりだ!」

 

 テンション高めに言いながら、男の姿が()()()()()()()()

 

「!?」

 

 和輝とエーデルワイス(人間たち)から息を呑む気配がした。ロキとルー(神々)は完全に戦闘態勢に入った。

 歪んだ姿は一瞬で元に戻る。ただし、そこにいたのはもう男ではなかった。

 後ろで束ねた黒髪、白い肌、赤い瞳、男物のワインレッドのスーツを着ているが、ネクタイを外し、胸元を大きく開けた、扇情的な女。男装でありながらもどこまでも「女」を強調した、妖艶な姿。

 

「なるほど……、君か、ナイアルラトホテップ。ついに君自身が、ボク達の前に出てきたわけだ」

 

 苦笑したロキが神の名を告げる。

 

「そう、そうだよ、ロキ。フローラとトラソルテオトル、そしてアレスとエリス。君たちとは化身を通して関わってきた。君たちを、化身を通して観察してきた。ここでこうして出会ったのは偶然だが、だからこそ、この偶然を大切にしたいものだよ」

 

 くすくす笑いのナイアルラトホテップ。先ほどとテンションががらりと変わり、高くはないが、本質的に享楽的となっている。

 ナイアルラトホテップ。和輝はその神の名に聞き覚えがあった。

 そう、いつかロキが教えてくれた、要注意リスト筆頭の神。

 

「ああ安心してくれていい。今回ぼく達はバロールの許にいたけれど、彼に協力するつもりはない。彼の復讐は彼自身が果たすだろう」

「だから、ぼくらの目的は、君ではないんですよ。エーデルワイス・ルー・コナーさん」

 

 自分の名前を呼ばれ、エーデルワイスがびくりと震える。そんな彼女の反応を置き去りにして、

 

「ぼくらが興味があるのは――――」

「君なんだよ。岡崎和輝君」

 

 やはり和輝の名前も知られていた。驚くことではない。化身を通して、それくらいの情報は仕入れているはずだ。

 和輝にとって疑問なのは、なぜ自分にそこまで興味を持ったのか、だ。

 ナイアルラトホテップの化身と戦ったのは大きく分けて二度。一度目はともかく、二度目の時はほかに龍次(りゅうじ)烈震(れっしん)もいた。

 なぜ彼らではなく、自分に興味を持ったのか。

 

「なかなか光栄なことを言うね。だがなんで俺に興味を持ったのか、よかったら教えてくれないか?」

 

 視界の端で、ロキが「話に乗るな」と言わんばかりの表情をしていた。和輝も、それは分かったし、この青年との会話を続けるのは得策ではないと思っていた。

 だが、心のどこかで、()()()()と言っていた。

 平月から逃げるな。ナイアルラトホテップから逃げるな。過去から逃げるな。そして――――

 

 ――――聞け、聞け! 楽しい楽しい楽しいなぁ! 奴の話を聞け! そうすれば、()()()()()()()()()()

 

 やはりいつもと違う誘いの文句を口にする怪物の声。そこから逃げるなと、和輝の心の奥の奥は言っていた。

 

「ええ、勿論。岡崎和輝さん。貴方が、七年前の東京大火災、その唯一の生き残りだからですよ」

「何……?」

 

 和輝は最初、平月の言っていることが理解できなかった。

 より正確に言えば、言いたいことが理解できなかった、と言った方がいいか。

 

「……ありえない」

 

 断言する声はどこか弱弱しい。何故か心臓がうるさいくらい鼓動をがなり立てていた。ロキの心臓、神の心臓が。まるで、これ以上は聞くなというように。

 

「あの火事は確かに凄まじい数の死傷者を出した。けれど、生き残りは、助けられた人は俺のほかにもいたはずだ。同じ病室にだっていたんだ」

 

 和輝の声は冷静だ。だが心は必死だった。必死に、否定したがっていた。

 

「ええ、ええ、その通りです。ではより正確に言いなおしましょう」

 

 我が意を得たりとばかりに、平月が笑う。背後のナイアルラトホテップも、嫌な笑みを浮かべていた。

 ドクンドクン。和輝の心臓が高鳴る。痛いほどの鼓動の強さだった。

 

「正確には、今現在、生きている被災者は貴方だけだ、ということです」

 

 ドクン! ひときわ高く、強く心臓が鳴った。

 

「どういう……意味だ……」

 

 和輝は自分が立っているのかわからなくなった。ぐらりと地面が揺れたように感じる。錯覚だと、動揺しているからだと言い聞かせて何とか踏みとどまる。

 そう、今揺れてはならない。一人ではないのだ。自分が揺れたらエーデルワイスは余計に恐怖に縛られてしまう。

 

「言葉通りです」喋りたがりの平月は、にこやかに笑みながら続ける。

「七年前の東京大火災。そこから救い出された人々は、早くてひと月、長くとも三年以内に、皆発狂、または自殺しています。今も生き残り、なおかつまっとうな生活を送れているのは、貴方だけなんですよ。岡崎さん」

「馬鹿な……」反論しようとする和輝。だが言葉が出てこない。自然、右手が左胸、心臓部分を掴んでいた。

「彼らは皆、今わの際や正気の瀬戸際で、こう言ったそうだよ」

 

 なまめかしい女の声が耳元に吹きかけられる。反射的に振り払う。くすくす笑うナイアルラトホテップが、ステップを踏んで下がった。

 何かを叫ぶロキ。「……!」だが聞こえない。和輝の耳には届かない。

 ナイアルラトホテップが笑みとともに告げた。

 

「頭の中で、怪物の声が聞こえる。楽しい楽しいと、笑いかけている、と」

 

 その一言が和輝の心臓を鷲掴みにした。

 

 

 エーデルワイスは困惑と恐怖のただなかにいた。

 ただでさえバロールの襲撃から一夜明けて、失ったもの、失われんとしているものが多すぎる。その上和輝と出会い、少し安心したと思ったら新たな神とその契約者の登場だ。

 しかもその神は、初見でわかる邪悪な存在。しかも狙いは和輝だという。

 岡崎和輝。さっき出会ったばかりの少年。けれど彼がこの事態の解決に乗り出していると言ってくれた時、嬉しかった。自分は一人ではないのだと、そう思えたからだ。

 だが今、彼は苦しんでいる。その理由は自分には理解できないが――そもそもアイルランドで、しかも人里離れた暮らしをしていたエーデルワイスは日本で起きた東京大火災も知らない――、黄泉野平月と名乗った契約者と、ナイアルラトホテップの言葉が、彼を追い詰めているのは明白だった。

 恐怖がひたひたと忍び寄ってくる。

 どうすればいいのか。怖くて動けなくなる。

 

「目をそらしてはならない、エーデルワイス」

 

 傍らのルーの声。言われて気付いた。自分は、知らず知らずのうちに目を瞑りかけていた。

 

「今、彼は戦っている。その戦いから、目をそらしてはならない」

 

 言われ、和輝の背中に目をやる。

 彼は震えていた。けれどそれは恐怖からではなく、痛みから。

 今、彼は突き付けられた言葉に、自分が依って立つ部分を揺らされているはずだ。

 動揺していないはずがない。恐怖していないはずがない。

 けれど、それでも、彼は膝を折らない、屈しない。

 ああ、なんと強い。いまだに恐怖に雁字搦めにされている自分とは大違いだ。

 

「そう、彼はいろいろと難儀な性格でね」にやにや笑いのロキが後ろにいた。

 

 にやにや笑っているのに、不思議と不快感はない。それは、彼が浮かべている笑みが嘲笑ではなく、どこか賛美を含んでいるからだろうか。

 

「しかし今回は相手が悪い。これ以上は見逃せないね。和輝!」

「ッ!?」

 

 びくりと和輝の身体が震えた。完全にロキたちが意識の外にいたからだ。

 

「前に言ったろ? ナイアルラトホテップ(そいつ)の盤上に乗るなって。対象法は一つ。何かやる前にぶん殴れ、だ。というわけで――――バトルフィールド、展開」

 

 パチン。ロキの指が鳴らされる。瞬間、世界が変わった。

 バロールの邪気に満ちていた森は元の静けさを取り戻し、フォーモリアたちの気配も遠ざかった。

 そして、

 

「え、ファティマ?」

 

 いまだエーデルワイスの腕の中にはファティマがいた。本来神々の戦争の参加者ではない彼女は、このバトルフィールド内に入れないはずなのに。

 

「サービス。あのまま元の現実空間に彼女を置いておくわけにもいかないしね」

 

 ウィンク付きで肩をすくめるロキ。エーデルワイスはわずかに安堵の吐息を漏らした。この状況でファティマと離れてしまうのは不安でたまらない。

 エーデルワイスの視線の先、和輝が大きく息を吐いた。自分の胸の中に広がる不安や恐怖を押し出すように見えた。

 

「どうやら、あの少年は勝利したようだ。突き付けられた情報、現実から生じる、不安や恐怖に。状況は違えども、君の身を縛っているものと、似ているな」

 

 やっぱり、やっぱりそうだった。そして彼は勝った。

 なぜだろう。自分と彼はあまり年が変わらないはずなのに、恐怖に立ち向かうその背中は、とても大きく見えた。

 

 

「ああ、大丈夫だ。ロキ。そう、そうだな。俺達はここに、この森を覆う邪気を取り除きに来たんだ。でないと、先生の身が危ない」

 

 わずかに(かぶり)を振って、和輝は己のスイッチを切り替えた。動揺も不安も、恐怖も。さっき息と一緒に吐き出した。

 

「逃がさねぇよ、黄泉野」

 

 和輝は視線を平月に向け、睨みつける。

 デュエルディスクを起動。対戦相手を平月に指定。もう逃がさない。

 

「確かに、バトルフィールド内に閉じ込められた以上、デュエルの勝敗が決しなければ出られません。もっとも、ぼく自身、貴方に興味があります。その実力も、知ってみたい」

 

 にこりと笑い、平月もまた、デュエルディスクを起動させた。

 

「バロールの許に行くために、お前は邪魔だ」吐き捨てるように言う和輝。

「邪魔者扱いですか、ショックですねぇ」苦笑する平月。

 

 両者の間に沈黙が走る。

 和輝の胸元に赤の、平月には虹色の宝珠が宿る。

 耳が痛くなり、エーデルワイスの心臓が締め上げられるような沈黙。それは――――

 

決闘(デュエル)!』

 

 始まりの言葉で突き破られた。

 

 

和輝LP8000手札5枚

平月LP8000手札5枚

 

 

「ぼくの先攻です」

 

 先攻を勝ち取ったのは平月。ドローフェイズを消化。そのままメインフェイズ1に入る。

 

「まずは、このカードを発動しましょう。闇くらましの宝札。この効果で、互いのプレイヤーはデッキトップからカードを五枚墓地に送り、その後カードを二枚ドローします」

「大量の墓地肥しに加えて、強欲な壺と同じ枚数のドロー……」と呆れ顔のロキ。

「インチキカードだなおい」同じく呆れ顔の和輝。

「いえいえ、このカードは恩恵も大きいですが、代償もまた大きいのです。このカードを発動したターン、ぼくはほかにカードを発動できず、カード効果も発動できない。さらに戦闘も行えず、召喚、反転召喚、特殊召喚もできません」

 

 ほとんどの行動の制限と引き換えに、ドローと墓地肥しを送るカード。また、

 

「この制約は発動プレイヤーであるぼくだけのもの。対戦相手はその限りではありません」

「つまり、俺はカード効果も使用できるってわけか」

 

 その通りと言わんばかりに笑みを浮かべ、頷く平月。そして互いのデッキから、まずは五枚のカードが墓地に送られた。

 平月のデッキからは幻影騎士団(ファントム・ナイツ)シャドーベイルが三枚、そして幻影騎士団ダスティローブ、幻影騎士団フラジャイルアーマー。

 和輝のデッキからはダンディライオン、スキル・サクセサー、マジキャット、強欲なカケラ、マジシャンズ・ローブ。

 幻影騎士団。フィールドだけでなく、墓地からも効果を発動する、予期せぬ二の矢を持つカテゴリーだ。和輝はわずかに眉をひそめたものの、すぐさま思考を切り替え、やるべきことをやることのした。

 

「この瞬間、墓地に送られたダンディライオンの効果発動。俺のフィールドに、綿毛トークン二体を守備表示で特殊召喚する」

 

 うまいこと墓地に落ちたカードを利用する和輝。彼のフィールドに勇ましい表情をした小さな綿毛が二体、現れた。

 

「おや、逆用されてしまいましたか。まぁ仕方がありません。では、二枚ドロー。さて、このターン、ぼくができる事と言ったらこれくらいですね。カードを三枚セットして、ターンエンドです」

 

 ほとんどの行動を禁じる闇くらましの宝札だが、唯一の例外がある。それがセットだ。全ての情報を隠すことを強要するその効果は、まさしく闇くらましだ。

 

 

闇くらましの宝札:通常魔法

「闇くらましの宝札」は1ターンに1枚しか発動できない。このカードを発動するターン、自分はモンスターの召喚、反転召喚、特殊召喚は行えず、ほかのカードと効果を発動できない。(1):すべてのプレイヤーはデッキからカードを5枚墓地に送る。その後、カードを2枚ドローする。

 

ダンディライオン 地属性 ☆3 植物族:効果

ATK300 DEF300

(1):このカードが墓地へ送られた場合に発動する。自分フィールドに「綿毛トークン」(植物族・風・星1・攻/守0)2体を守備表示で特殊召喚する。このトークンは特殊召喚されたターン、アドバンス召喚のためにはリリースできない。

 

 

「俺のターンだ、ドロー」

 

 平月のカードのおかげで思わぬ墓地肥し、そして手札増強ができた。無論それは相手も同じであるが、今の手札ならば、この新たなデッキの性能を試すには十分すぎる。

 何よりも、新しい戦術を披露できる。

 

「俺は、スケール1の星読みの魔術師と、スケール8の時読みの魔術師で、ペンデュラムスケールをセッティング! これで、俺はレベル2から7のモンスターを同時に召喚可能になった!」

「へぇ」

 

 平月が興味深そうに眼を細める。その眼前、和輝のフィールドに、青白い光の円柱が二本立ち、その中に二体の魔術師が収められる。

 星読みの魔術師の下に楔形の「1」の数字が、時読みの魔術師の下には「8」の数字が現れる。

 

「ははっ。早速、お師匠さんにもらったカードを使うのかい?」

「ああ。出し惜しみはなしだ。何しろ、俺の新しいデッキ、そしてそこに組み込まれた戦術の、お披露目だからな!」

 

 そして和輝がバッと右手を天に向けて突き上げた。

 高らかに、告げる。

 

「振り子は触れる。避けえぬ宿命を乗せて! 天空に描かれる光のアークが、異界への門へと変じる! ペンデュラム召喚! 手札より出でよ、曲芸の魔術師! そして、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!」

 

 和輝の頭上に開く、光の(サークル)。そこから二筋の光が流星のように放たれ、和輝のフィールドに着地。現れたのは、いかにもサーカスのピエロといった風情の魔術師と、赤と緑の二色(ふたいろ)(まなこ)を持ったドラゴン。翼はなく、二本の足で大地を疾駆する地竜だ。

 

「ペンデュラム召喚……。以前、化身を介してみたデュエルでは使用しなかったカードですね」

「前の時はデッキには入っていなかったからな。これが、こいつらが、俺の頼れる新戦力だ! 俺はさらにグローアップ・バルブを召喚。さぁ行くぜ!」

 

 バッと、和輝の右手が天に向かって振り上げられた。

 

「レベル1の綿毛トークン二体と、レベル5の曲芸の魔術師に、レベル1のグローアップ・バルブをチューニング!」

 

 シンクロ召喚。グローアップ・バルブが一つの緑色の光輪となり、その輪をくぐった二体の綿毛トークンがそれぞれ一つずつの光星となり、曲芸の魔術師が五つの光星となる。

 合計八つの光星を、一筋の光の道が貫いた。

 

「集いし八星(はっせい)が、星海切り裂く光の竜を紡ぎだす! 光さす道となれ! シンクロ召喚、響け、閃珖竜(せんこうりゅう) スターダスト!」

 

 光の帳の向こう側から飛翔してきたのは、スターダスト・ドラゴンに酷似したデザインを持つ竜。オリジナルとの違いは、身体の各所に入ったラインか。

 また、和輝がすでに何度も使っているように、自軍のあらゆるカードを一度だけとはいえ破壊から守れるその防御能力はやはり有用だ。

 

(ペンデュラム)モンスターの曲芸の魔術師は表側表示のままエクストラデッキに行く。このままバトルだ! オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンでダイレクトアタック!」

 

 まず切り込み隊長に選んだのは二色の眼持つ竜。オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンは大地を踏みしめ疾駆。いったん跳躍し、その口内から螺旋を描く炎を放つ。

 平月の伏せカードは三枚。普通に考えれば罠が発動するだろう。だが、時読みの魔術師のP効果により、相手はPモンスターであるオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの攻撃時には、ダメージ計算終了時まで罠を発動できない。速攻魔法を伏せていても、今度は星読みの魔術師のP効果がその発動を阻む。つまり、ここで攻撃するのに、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンは最適だということだ。

 だが――――

 

「なるほど。ですがそう簡単に事は運ばせませんよ。墓地から罠カード、幻影騎士団シャドーベイルの効果を発動。相手ダイレクトアタック時に、このカードを守備表示で、モンスターとして特殊召喚します。さぁ、来なさい。三体のシャドーベイル!」

 

 無人の野を行くがごとくだったオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの攻撃は、突如として現れた三体のモンスターによって阻まれた。

 青白い炎の(たてがみ)を持った黒馬に跨った黒い騎士。これが三体。いずれもステータスは貧弱だが、三枚も並べば立派な盾になる。

 

「……時読みの魔術師のP効果で防げるのは罠カードの発動だけ。効果の発動までは阻めない」

「けれど、攻撃まで止められたわけじゃあない、よね?」

 

 その通りだ。半透明のロキの言葉に頷き、和輝は構わず攻撃命令を続行。オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの螺旋の炎が一体目のシャドーベイルを撃破した。

 

「自身の効果で特殊召喚されたシャドーベイルは、フィールドを離れた時に除外されますね」

「次! スターダストで二体目のシャドーベイルを攻撃!」

 

 和輝は攻撃の手を緩めない。スターダストが上体をそらし、口腔に光の粒子を溜め込む、今にもその焦熱の一撃を叩き込もうとした刹那、虚空より飛来した半透明の剣がスターダストの胸板に直撃、その身を縫い付けてしまった。

 

「これは――――」

「Pモンスターではないスターダスト対象ならば、このカードが使えます。永続罠、幻影霧剣(ファントム・フォッグ・ブレード)。このカードの対象となったスターダストは、攻撃できず、攻撃対象にならず、効果も発動できません。シャドーベイルには使い道がありますからね、守らせてもらいますよ」

「残念でしたー」

 

くすりと笑う平月。あからさまに嘲笑するナイアルラトホテップ。攻撃が通らなかったことに、エーデルワイスは不安げな表情を見せた。

 

「……カードを一枚セットして、ターンエンドだ」

 

 

星読みの魔術師 闇属性 ☆5 魔法使い族:ペンデュラム

ATK1200 DEF2400

Pスケール赤1/青1

P効果

(1):自分のPモンスターが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法カードを発動できない。(2):もう片方の自分のPゾーンに「魔術師」カードまたは「オッドアイズ」カードが存在しない場合、このカードのPスケールは4になる。

モンスター効果

(1):1ターンに1度、自分フィールドのPモンスター1体のみが相手の効果で自分の手札に戻った時に発動できる。その同名モンスター1体を手札から特殊召喚する。

 

時読みの魔術師 闇属性 ☆3 魔法使い族:ペンデュラム

ATK1200 DEF600

Pスケール赤8/青8

P効果

自分フィールドにモンスターが存在しない場合にこのカードを発動できる。(1):自分のPモンスターが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで罠カードを発動できない。(2):もう片方の自分のPゾーンに「魔術師」カードまたは「オッドアイズ」カードが存在しない場合、このカードのPスケールは4になる。

モンスター効果

(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、1ターンに1度、自分のPゾーンのカードは相手の効果では破壊されない。

 

曲芸の魔術師 闇属性 ☆5 魔法使い族:ペンデュラム

ATK800 DEF2300

Pスケール赤2/青2

P効果

「曲芸の魔術師」のP効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):自分フィールドのモンスターが効果で破壊された時に発動できる。Pゾーンのこのカードを特殊召喚する。

モンスター効果

(1):魔法・罠カードの発動が無効になった場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。(2):このカードが戦闘で破壊された時に発動できる。このカードを自分のPゾーンに置く。

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 闇属性 ☆7 ドラゴン族:ペンデュラム

ATK2500 DEF2000

Pスケール赤4/青4

P効果

「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン」の(1)(2)のP効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):自分のPモンスターの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージを0にできる。(2):自分エンドフェイズに発動できる。このカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のPモンスター1体を手札に加える。

モンスター効果

(1):このカードが相手モンスターと戦闘を行う場合、このカードが相手に与える戦闘ダメージは倍になる。

 

グローアップ・バルブ 地属性 ☆1 植物族:チューナー

ATK100 DEF100

「グローアップ・バルブ」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。(1):このカードが墓地に存在する場合に発動できる。自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送り、このカードを墓地から特殊召喚する。

 

閃珖竜 スターダスト 光属性 ☆8 ドラゴン族:シンクロ

ATK2500 DEF2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して発動できる。選択したカードは、このターンに1度だけ戦闘及びカードの効果では破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

幻影騎士団シャドーベイル:通常罠

(1):自分フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力は300アップする。(2):このカードが墓地に存在する場合、相手の直接攻撃宣言時に発動できる。このカードは通常モンスター(戦士族・闇・星4・攻0/守300)となり、モンスターゾーンに守備表示で特殊召喚する(罠カードとしては扱わない)。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

幻影霧剣:永続罠

フィールドの効果モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。「幻影霧剣」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、対象のモンスターは攻撃できず、攻撃対象にならず、効果は無効化される。そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される。(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「幻影騎士団」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 

「ぼくのターンですね」

「さて、和輝。これは少々まずい状況かもね」

 

 ドローする平月を見据えながら、ロキはそう呟いた。和輝も首肯した。

 

「シャドーベイルはフィールドを離れた時に除外されるが、フィールドにいてフィールドにいない時は、その限りではない」

「エクシーズモンスターの、ORU(オーバーレイユニット)、だね。あれはフィールドにいるのにフィールドにいない扱いだ。そのまま素材として取り除かれた場合、ゲームから除外されず墓地に行く」

「そしてまた、俺のダイレクトアタック時に壁として再利用できるってわけだ」

 

 無駄のない使い方だ、と吐き捨てる和輝。その眼前で、平月が動いた。和輝が予想した通りの動きだった。

 

「ぼくは、シャドーベイル二体でオーバーレイ! 二体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 まるで指揮者のように両手を広げ、平月は高らかに告げた。さながら呪文を詠唱するように。

 平月のフィールド、二体のシャドーベイルが紫色の光となって、上空に展開された渦巻く銀河のような空間に飛び込んだ。

 

「恩讐の彼方より、来たれ反逆の牙よ! 漆黒の殺意をその身に宿し、己が復讐を成し遂げよ! 来たれダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!」

「なんだと!?」

 

 虹色の爆発。その向こうから現れたのは、和輝も使っているエクシーズドラゴン。

 漆黒の体躯、全身から迸る紫電、顎の下に生えた、槍のような突起、禍々しく刺々しい翼。尻尾が力強く地面を叩く。その周囲を旋回する二つの光球、即ちORU。

 

「さらに墓地のダスティローブの効果を発動。このカードを除外し、デッキから新たな幻影騎士団、ラギッドグローブを手札に加え、召喚します」

 

 平月のフィールドに現れた新たなモンスター。

 見た目は完全な人型ではなかった。下半身はなく、青白い炎が尻尾のように揺蕩っているのみ、黒ずんだ鎧姿、やけに巨大な、しかしぼろぼろ(ラギッド)なグローブ。表情のないほの暗い顔、頭から角のように生えている炎。

 

「そして、伏せていた永続罠、闇次元の解放を発動し、除外されている幻影騎士団ダスティローブを特殊召喚します」

 

 今度現れたのは、その名の通りボロボロに汚れたローブ。中に入っているのはやはり下半身のない、無表情の鬼火のような何か。

 そして重要なのが、どちらの幻影騎士団もレベル3であること。これでランク3のエクシーズ召喚の準備が整った。

 

「次です。ぼくはラギッドグローブとダスティローブでオーバーレイ! 二体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!」

 

 先ほどと同じくエクシーズエフェクトが走り、虹色の爆発が辺りを照らす。

 

「恩讐の彼方より、来たれ復讐の刃! 剣折れ、命尽き果てようとも、汝の怨嗟は尽きはしない! 来たれ幻影騎士団ブレイクソード!」

 

 新たに現れたのは、幻影騎士団のエクシーズモンスター。

 黒鉄(くろがね)色の鎧姿。下半身はなく、同じく黒鉄の馬と一体化したケンタウロススタイル。生身の肉体はなく、甲冑の隙間から漏れ出る鬼火のような青白い炎が、怨嗟の糸に操られて動く、生ける鎧(リビングアーマー)のように見えた。手にした切っ先の折れた剣が禍々しい邪気を放っている。

 

「ラギッドグローブを素材にしたため、ブレイクソードの攻撃力は1000アップします。さらにブレイクソードの効果を発動! ORUを一つ取り除き、ぼくの場にある対象のいなくなった闇次元の解放と、貴方のフィールドの伏せカードを破壊します!」

「スクラップ・ドラゴンのエクシーズ版かよ!」

 

 毒づきながらも、和輝はデュエルディスクのボタンを押した。彼の足元の伏せカードが翻る。

 

「チェーンして、セットしてあったデストラクト・ポーション発動! スターダストを破壊し、その攻撃力分、俺のライフを回復する!」

 

 硝子が砕け散るような音を立てて破壊されるスターダスト。攻撃にも防御にも使えないのなら、いっそ破壊し、ライフ回復に充てようという判断だった。

 そしてもちろん、和輝の狙いはそれだけではない。

 

「相手ターンに俺の魔法、罠が発動したこの瞬間、墓地のマジシャンズ・ローブの効果発動! このカードを、守備表示で特殊召喚する!」

 

 和輝のフィールドにぼんやりと現れる青白い人影。ただの人影ではなく、その影はブラック・マジシャンのローブを纏っていた

 

「ほう、相手ターンでも動きを止めませんか。ですがぼくもまた、止まりません。ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの効果を発動します。ORUを二つ取り除き、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの攻撃力を吸収します」

 

 ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンの全身から放たれた紫電が茨のようにオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを捕え、その力を奪う。

 

「さらに、ぼくのフィールドに幻影騎士団が存在することにより、幻影騎士団サイレントブーツを自身の効果で特殊召喚。そして伏せていた幻影騎士団トゥーム・シールドを発動。このカードもまた、発動時にモンスターカードとなります」

 

 平月のフィールドに、次々とモンスターが展開される。サイレントブーツも、トゥーム・シールドも、ともにレベル3。

 

「来るよ、もう一度!」ロキの警告が走る。平月が両手を優雅に広げた。

「サイレントブーツとトゥーム・シールドでオーバーレイ! 二体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 三度目のエクシーズエフェクトが走り、虹色の爆発が噴出。

 

「恩讐の彼方より、来たれ煉獄の旅人! 打ち捨てられし地を放浪し、汝の真実を見出すがいい! 出でよ彼岸の旅人ダンテ!」

 

 赤い軽装服姿。腰にナイフ、鞄、頭には月桂樹の冠姿。墓地肥しとバンプアップ可能な有能エクシーズモンスター。

 

「ダンテの効果発動。ORUを一つ取り除き、デッキトップからカードを三枚墓地に送り、攻撃力を1500アップ」

 

 墓地に落ちたのは、幻影騎士団ダーク・ガントレット、幻影騎士団クラックヘルム、幻影騎士団シェード・ブリタイカンだった。

 

「ならその効果にチェーンして、マジシャンズ・ローブの効果を発動。手札を一枚捨てて、デッキからブラック・マジシャンを守備表示で特殊召喚する。さらに今捨てた代償の宝札の効果で、二枚ドローだ」

 

 和輝も負けていない。やられっぱなしではいられないとばかりにマジシャンズ・ローブの効果を発動。デッキから現れたのは、和輝のデュエルに何度も登場している、黒衣を身にまとった美貌の魔導師。

 

「いいですね。ブラック・マジシャン。貴方のデッキのキーカード。早速呼び込みましたか」

「けれど残念。その状況では壁にしかならない。だよね?」

 

 ねっとりと、美女の姿をしたナイアルラトホテップが笑う。和輝は無言、ロキも無言。一人と一柱の表情から内心は読み取れない。

 そして、観戦していたエーデルワイスは不安げで、ルーは険しい表情だ。

 

「まぁ、ここは攻めの一手でしょう。バトルフェイズに入ります。ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンでオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを攻撃!」

 

 歌うような攻撃宣言が走る。ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンが全身に紫電を纏い、飛翔。上空高く舞い上がり、一気に急降下。一個の巨大な弾丸と化した反逆の竜が、顎の下の突起を穂先に変えて突撃(チャージ)。オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンが放った抵抗の螺旋炎を貫き、その身さえも貫いた。

 

「がああああああああああああああああああああ!」

 

 2500のダメージフィードバック。事前にデストラクト・ポーションで回復していたので、ライフこそ初期値の8000に戻るだけだが、ダメージまで消せはしない。

 

「――――!」

 

 和輝の背後で、エーデルワイスが息を呑んだ。押し殺した悲鳴の気配。それが、膝をつきかけた和輝を奮い立たせた。

 膝をつくな、不安な姿を見せるな。俺の背後に何がいる? 不安で怯える女の子一人残して倒れるほど、男として情けなことはない!

 

「こ、こんなもの。へでもねぇぜ」

 

 にやりと笑ってみせる。あわよくば、相手に精神的プレッシャーがあればいいと、そう思った。

 だが平月もナイアルラトホテップも、それで動揺するほど軽い相手ではない。にやりと笑う和輝に対して、平月が慈愛さえ見える笑みを、ナイアルラトホテップが愉悦の笑みを浮かべた。

 

「意地を張るのも大変ですね。もっと猛攻に耐えたら、もっと意地の張り甲斐があると思いますよ? ダンテでマジシャンズ・ローブを、ブレイクソードでブラック・マジシャンを攻撃します」

 

 続く攻撃。ダンテが放った光の波動がマジシャンズ・ローブをあっけなく貫き、マジシャンズ・ローブは自身の効果によって除外された。

 さらにブレイクソードが下半身の馬を使って疾走。一瞬で距離を詰め、ブラック・マジシャンが何かをやるよりも早く、手にした剣を一閃。杖ごと胴を両断した。

 

 

 なんてことだろう。デュエルを観戦していたエーデルワイスは、和輝が敷いた布陣があっさりと瓦解していくのを見て、愕然とした気分に陥った。

 大型のドラゴン二体も、黒衣の魔法使いも、全て、全てた。平月のモンスターたちによって、一方的に打倒され、叩き伏せられ、蹂躙された。

 エーデルワイスはデュエルの手ほどきこそ受けていたが、その相手はファティマや家の人間ばかりで、地力はあれど実戦経験は少ない。ゆえに彼女は、初めて目にする「敵」とのデュエルに、完全に足がすくんでしまっていた。

 どうする、どうすればいい? 自分なんかが彼の助けになれるんだろうか? バロールに襲われた時だって、怖くて震えていることしかできなかったのに?

 

「怯えることはない、エーデルワイス」

 

 頭上からルーの声がかけられた。ファティマを抱えて腰を落としていた自分の背後で、腕を組んだ姿勢のルーが言う。

 

「見ろ、あの少年は戦士だ。戦士は怯えの表情を浮かべない」

 

 言われて、和輝の顔を見てみる。確かに、彼は自分のように怯えてはいなかった。どころか、ふてぶてしく笑ってさえいたのだ。

 

 

 和輝は口の端を吊り上げ、笑みを作った。精一杯ふてぶてしく見えるように、だ。

 

「その笑みもまた、意地の結果ですか?」

「さてどうだろうな?」

 

 不敵に返す。とにかく笑え。デュエリストなら、ピンチの時だろうと、なんだろうと。ふてぶてしく笑え、力強く。自分は大丈夫だと意地を張り続けろ。

 

「――――――バトルフェイズを終了します。この瞬間、ダンテは自身の効果で守備表示に変更されます」

「なら、俺もバトルフェイズ終了時に、手札のクリボーンの効果を発動だ。このターンに破壊されたブラック・マジシャンを復活させる」

 

 再び和輝のフィールドに現れるブラック・マジシャン。先程の破壊された様子さえも、何かのイリュージョンであるかのようにチッチッチと舌を鳴らして立てた人差し指を振り子のように左右に振った。

 

「なるほど、キーカードはそう簡単には手放さない、というわけですか。カードを二枚セットして、ターン終了です」

 

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン 闇属性 ランク4 ドラゴン族:エクシーズ

ATK2500 DEF2000

レベル4モンスター×2

(1):このカードのX素材を2つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップする。

 

幻影騎士団ダスティローブ 闇属性 ☆3 戦士族:効果

ATK800 DEF1000

「幻影騎士団ダスティローブ」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):このカードがフィールドに攻撃表示で存在する場合、フィールドの闇属性モンスター1体を対象として発動できる。このカードを守備表示にし、対象のモンスターの攻撃力・守備力は相手ターン終了時まで800アップする。(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「幻影騎士団ダスティローブ」以外の「幻影騎士団」カード1枚を手札に加える。

 

幻影騎士団ラギッドグローブ 闇属性 ☆3 戦士族:効果

ATK1000 DEF500

「幻影騎士団ラギッドグローブ」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):フィールドのこのカードを素材としてX召喚した闇属性モンスターは以下の効果を得る。●このX召喚に成功した場合に発動する。このカードの攻撃力は1000アップする。(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「幻影騎士団」カードまたは「ファントム」魔法・罠カード1枚を墓地へ送る。

 

闇次元の解消:永続罠

(1):除外されている自分の闇属性モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊され除外される。そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

幻影騎士団ブレイクソード 闇属性 ランク3 戦士族:エクシーズ

ATK2000 DEF1000

レベル3モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分及び相手フィールドのカードを1枚ずつ対象として発動できる。そのカードを破壊する。(2):X召喚されたこのカードが破壊された場合、自分の墓地の同じレベルの「幻影騎士団」モンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターのレベルは1つ上がる。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしか特殊召喚できない。

 

デストラクト・ポーション:通常罠

自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。

 

マジシャンズ・ローブ 闇属性 ☆2 魔法使い族:効果

ATK700 DEF2000

「マジシャンズ・ローブ」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):相手ターンに手札から魔法・罠カード1枚を捨てて発動できる。デッキから「ブラック・マジシャン」1体を特殊召喚する。(2):このカードが墓地に存在する状態で、相手ターンに自分が魔法・罠カードの効果を発動した場合に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

幻影騎士団サイレントブーツ 闇属性 ☆3 戦士族:効果

ATK200 DEF1200

「幻影騎士団サイレントブーツ」の、(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):自分フィールドに「幻影騎士団」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから「ファントム」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

 

幻影騎士団トゥーム・シールド:通常罠

(1):このカードは発動後、通常モンスター(戦士族・闇・星3・攻/守0)となり、モンスターゾーンに攻撃表示で特殊召喚する(罠カードとしては扱わない)。(2):自分ターンに墓地のこのカードを除外し、相手フィールドの表側表示の罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードの効果をターン終了時まで無効にする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。

 

彼岸の旅人 ダンテ 光属性 ランク3 戦士族:エクシーズ

ATK500 DEF2500

レベル3モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、自分のデッキの上からカードを3枚まで墓地へ送って発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果を発動するために墓地へ送ったカードの数×500アップする。(2):このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。(3):このカードが墓地へ送られた場合、このカード以外の自分の墓地の「彼岸」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。

 

代償の宝札:通常魔法

(1):手札からこのカードが墓地に送られた時に発動する。カードを2枚ドローする。

 

ブラック・マジシャン 闇属性 ☆7 魔法使い族:通常モンスター

ATK2500 DEF2100

 

クリボーン 光属性 ☆1 悪魔族:効果

ATK300 DEF200

(1):自分・相手のバトルフェイズ終了時にこのカードを手札から捨て、このターンに戦闘で破壊され自分の墓地へ送られたモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。(2):相手モンスターの攻撃宣言時、墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「クリボー」モンスターを任意の数だけ対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンORU×0、攻撃力2500→3750

幻影騎士団ブレイクソードORU×1、攻撃力2000→3000

彼岸の旅人ダンテORU×1

 

 

「心配することはないぜ、コナーさん」

 

 できるだけ頼もしく見えるよう声を作って、和輝は背後のエーデルワイスに声をかけた。

 

「デュエルをしているとな、このくらいは日常茶飯事さ。見てな――――」

 

 にやりと笑う。少女の不安や怯えを、取り除けるように。

 

「こっから逆転さ」

 

 肩をすくめて、何でもないというように言って見せた。

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