神々の戦争   作:tuki21

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第5話:刻限の鬼械神

 和輝(かずき)(まい)神々の戦争(デュエル)。有利不利を論じるなら、有利なのは断然舞のほうだろう。

 ライフアドバンテージに加え、彼女のフィールドには高い攻撃力を誇るエクシーズモンスターが二体存在している。

 

 楽しいなぁ、楽しいなぁ。この窮地を受け入れれば、パパとママのところに行けるぞ?

 

 和輝の心の奥底から怪物が囁きかけてくる。とにかく無視する。

 和輝は諦めない。あと一撃、ダイレクトアタックを受ければ消し飛ぶライフであろうともそれは変わらない。むしろ不敵に微笑むのだった。

 

 

和輝LP2600手札3枚

ペンデュラムゾーン赤:なし青:なし

場 永続罠:強制終了

伏せ 0枚

 

舞LP7300手札2枚(うち1枚はRUM-アージェント・カオス・フォース)

ペンデュラムゾーン赤:なし青:なし

場 CNo.(カオスナンバーズ)40 ギミック・パペット-デビルス・ストリングス(攻撃表示、ORU:なし)、No.(ナンバーズ)40 ギミック・パペット-ヘブンズ・ストリングス(攻撃表示、ORU:なし)、永続罠:闇次元の解放(対象:ヘブンズ・ストリングス)

伏せ 1枚

 

 

強制終了:永続罠

自分フィールド上に存在するこのカード以外のカード1枚を墓地へ送る事で、このターンのバトルフェイズを終了する。この効果はバトルフェイズ時にのみ発動する事ができる。

 

CNo.40 ギミック・パペット-デビルズ・ストリングス 闇属性 ランク9 機械族:エクシーズ

ATK3300 DEF2000

レベル9モンスター×3

このカードが特殊召喚に成功した時、フィールド上のストリングカウンターが乗っているモンスターを全て破壊し、自分はデッキからカードを1枚ドローする。その後、この効果で破壊され墓地へ送られたモンスターの内、元々の攻撃力が一番高いモンスターのその数値分のダメージを相手ライフに与える。また、1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターにストリングカウンターを1つ置く。

 

No.40 ギミック・パペット-ヘブンズ・ストリングス 闇属性 ランク8 機械族:エクシーズ

ATK3000 DEF2000

レベル8モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。このカード以外のフィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターにストリングカウンターを1つ置く。次の相手のエンドフェイズ時、ストリングカウンターが乗っているモンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの数×500ポイントダメージを相手ライフに与える。

 

 

 カイロスはひどく不機嫌だった。

 原因はもちろん、ロキのパートナーである小僧。

 差は歴然のはずだ。

 ライフ差も、フィールドも、実力も、全て。

 

 なのに諦めない。その姿勢が気に食わない。

『無駄な足掻きだ。さっさと消えろ、小僧。不愉快だ』

「無駄な足掻き……? 本当に?」

 

 不敵な笑みを浮かべる和輝は、カイロスの言葉に対しても一切動じない。カイロスは肩を揺することで嘲笑の形をとる。

 

『現実を見ていないのか? 貴様のライフはあと一撃ダイレクトアタックを受ければまず消し飛ぶ。そんな状態で、なぜ足掻く?』

「確かにお前の言うとおり、俺は今、不利な立場だ。ってことはだ、ここから逆転すれば、思いっきり美味しい(、、、、、、、、、)ってことだろうが。俺のターン、ドロー!」

 

 ドローカードを確認後、和輝は間髪入れずそのカードをデュエルディスクにセットした。

 

「強制終了を墓地に送り、マジック・プランター発動! カードを二枚ドロー!」

 

 鋭い動作でカードをドローする和輝。唯一の防御手段を自ら切り捨てた和輝を、舞が嘲笑う。

 

「いいんですかぁ? 自分を守ってくれる頼りになる盾を自分から捨てちゃってぇ?」

「いいんだよ。守る必要なんかない。攻めるからな! 手札の沼地の魔神王の効果発動! 手札のこのカードを墓地に送り、デッキから融合のカードを手札に加える。さらにデブリ・ドラゴン召喚! 効果で今墓地に落とした沼地の魔神王を特殊召喚!」

 

 和輝のフィールドのチューナーと非チューナーが揃う。合計レベルは7。

 

「お楽しみはここからだ! レベル3、水属性の沼地の魔神王に、レベル4のデブリ・ドラゴンをチューニング!」

 

 シンクロ召喚。四つの緑の光の輪となったデブリ・ドラゴンに、その輪をくぐることで三つの光球となった魔神王。そして、光が辺りを満たす。

 

「集いし七星(しちせい)が、氷獄(ひょうごく)の神槍を紡ぎだす! 光さす道となれ! シンクロ召喚。貫け、氷結界の龍 グングニール!」

 

 光の向こう側から咆哮と、無数の氷山が隆起する轟音が連続して響く。

 氷山が壁となってそびえたち、一瞬後に内側から粉々に砕かれる。

 中から現れたモンスター。赤みがかった青い身体、四本の足で大地を踏みしめ、翼を大きく広げて咆哮を上げる。その身体から舞い散る氷の欠片が雪のように輝いていた。

 

「く……ッ! グングニール。これで私のモンスターは全滅ですねぇ」

「グングニール効果発動! 手札を一枚捨てて、デビルズ・ストリングスを破壊する!」

 

 和輝の手札からカードが一枚墓地へと送られる。それがエネルギー供給の役割でも持っていたのか、グングニールの周囲の空気が白い冷気によって包み隠され、冷気の中で次々に巨大な氷柱が生成、ミサイルのように一斉に発射される。

 氷の弾幕。避ける暇すらなく全身を撃ち抜かれ、デビルズ・ストリングスは破砕された。

 

「グングニールの効果発動時に墓地に送ったカードは代償の宝札。このカードが手札から墓地に送られた時、俺はカードを二枚ドロー。

 よし。多次元の宝札を発動。このカードの効果はエンドフェイズに発動されるので、その時に説明させてもらう。カードを一枚セットし、魔法カード、龍の鏡(ドラゴンズ・ミラー)発動! そしてこれのチェーンして、手札から速攻魔法、連続魔法を発動! 手札を全て捨て、龍の鏡の効果をもう一度使用する!」

「連続魔法! ということは――――」

『二連続の融合だとぉ!?』

 

 ご主人様(カイロス)の驚愕を写し取ったかのように、舞の表情もまた驚愕に塗り固められる。

 和輝の頭上に、空間の歪みが渦を作る。

 

「まずはこいつだ。墓地の月華竜 ブラック・ローズとドッペル・ウォリアーを除外融合!」

 

 一組目。頭上の渦に、和輝の墓地からブラック・ローズとドッペル・ウォリアーが吸い込まれていく。

 

「月華の十六夜薔薇よ、二重の戦士よ。今一つとなって波動の竜騎士へと変じよ! 融合召喚、現れろ、波動竜騎士 ドラゴエクィテス!」

 

 渦の中から飛び出した影。

 金縁の青い鎧、広げられた両翼、大地を打ち据える赤い尻尾、肩に担ぐように構えた突撃槍(ランス)。威風堂々とした姿の竜人型の騎士。

 

「次だ! 墓地のブラック・マジシャンと輝白竜(きびゃくりゅう) ワイバースターを除外融合!

 黒衣の魔術師よ、輝ける白き翼竜よ! 今一つとなって魔を断つ竜魔導士へと変じよ! 融合召喚、現れろ、呪符竜(アミュレット・ドラゴン)!」

 

 二体目の大型融合モンスター。

 全身に金色の、魔術的文字が浮かび上がる緑の竜と、その背に跨るブラック・マジシャン。

 

「呪符竜の効果発動。俺とあんたの墓地の魔法カードを全て除外し、その数×100ポイント攻撃力をアップさせる。除外するのは全部で十枚。よって1000ポイント、攻撃力がアップ!」

 

 攻撃力3900、舞の陣形を壊滅させるには十分だ。

 

「バトル! 呪符竜でヘブンズ・ストリングスに攻撃!」

 

 始まる反撃。まず、呪符竜。ブラック・マジシャンが跨った竜の口が開かれ、そこから金色の息吹(ブレス)が怒涛の勢いで(ほとばし)り、ヘブンズ・ストリングスを飲み込んでいく。

 

「あぁ……ッ!」

 

 ダメージのフィードバックが舞を襲う。構わず、和輝は追撃をかける。

 

「グングニールでダイレクトアタック!」

 

 二撃目。大きく上体をそらし、冷気の息吹(ブレス)を放つグングニール。舞は胸元を中心に体を丸めながら背を向け跳躍。息吹(ブレス)から宝珠を守るための避け方だったが、背中を冷気が通りすぎる。

 

「ああああああああああああああああ!」

 

 響き渡る女の悲鳴は、いつまでも聴いていたくなるものではない。

 和輝は顔をしかめながら攻撃命令を下した。

 

「最後だ。ドラゴエクィテスでダイレクトアタック!」

 

 残った最後の一体、ドラゴエクィテスは手にした突撃槍を構え、一気に降下。速度を生かした一撃を叩き込もうとする。

 

「それ、は、止めさせてもらいますよぉ。リバーストラップ、ガード・ブロック! 戦闘ダメージを0にして、カードを一枚ドロー!」

 

 ドラゴエクィテスの一撃は、舞を守るように屹立した不可視の壁によって阻まれる。攻撃を弾かれたドラゴエクィテスは空中でくるりと一回点。バランスをとって和輝のフィールドに舞い戻る。

 

「防がれたか。仕方がない。バトルフェイズを終了し、このままエンドフェイズに入る。そしてエンドフェイズに多次元の宝札の効果が発動する。このターン、俺がエクストラデッキからモンスターを特殊召喚した回数分、カードをドローする。俺は三回エクストラデッキからの特殊召喚を行ったので、カードを三枚ドローだ。改めて、ターンエンド」

 

 

マジック・プランター:通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在する永続罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。デッキからカードを2枚ドローする。

 

沼地の魔神王 水属性 ☆3 水族:効果

ATK500 DEF1100

(1):このカードは、融合モンスターカードにカード名が記された融合素材モンスター1体の代わりにできる。その際、他の融合素材モンスターは正規のものでなければならない。(2):自分メインフェイズにこのカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。デッキから「融合」1枚を手札に加える。

 

デブリ・ドラゴン 風属性 ☆4 ドラゴン族:チューナー

ATK1000 DEF2000

このカードをS素材とする場合、ドラゴン族モンスターのS召喚にしか使用できず、他のS素材モンスターは全てレベル4以外のモンスターでなければならない。(1):このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の攻撃力500以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 

氷結界の龍 グングニール 水属性 ☆7 ドラゴン族:シンクロ

ATK2500 DEF1700

チューナー+チューナー以外の水属性モンスター1体以上

1ターンに1度、手札を2枚まで墓地へ捨て、捨てた数だけ相手フィールド上のカードを選択して発動できる。選択したカードを破壊する。

 

代償の宝札:通常魔法

(1):手札からこのカードが墓地に送られた時に発動する。カードを2枚ドローする。

 

多次元の宝札:通常魔法

「多次元の宝札」は1ターンに1枚しか発動できない。(1):発動ターンのエンドフェイズ、自分がエクストラデッキからモンスターを特殊召喚した数だけ、カードをドローする。

 

龍の鏡:通常魔法

自分のフィールド上または墓地から、融合モンスターカードによって決められたモンスターをゲームから除外し、ドラゴン族の融合モンスター1体を融合デッキから特殊召喚する。(この特殊召喚は融合召喚扱いとする)

 

連続魔法:速攻魔法

自分の通常魔法発動時に発動する事ができる。手札を全て墓地に捨てる。このカードの効果は、その通常魔法の効果と同じになる。

 

波動竜騎士 ドラゴエクィテス 風属性 ☆10 ドラゴン族:融合

ATK3200 DEF2000

ドラゴン族シンクロモンスター+戦士族モンスター

このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。1ターンに1度、墓地に存在するドラゴン族のシンクロモンスター1体をゲームから除外し、エンドフェイズ時までそのモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る事ができる。また、このカードがフィールド上に表側攻撃表示で存在する限り、相手のカードの効果によって発生する自分への効果ダメージは代わりに相手が受ける。

 

呪符竜 闇属性 ☆8 ドラゴン族:融合

ATK2900 DEF2500

「ブラック・マジシャン」+ドラゴン族モンスター

このカードは上記カードを融合素材にした融合召喚または「ティマイオスの眼」の効果でのみ特殊召喚できる。(1):このカードが特殊召喚に成功した場合、自分・相手の墓地の魔法カードを任意の数だけ対象として発動する。そのカードを除外し、このカードの攻撃力はその除外したカードの数×100アップする。(2):このカードが破壊された場合、自分の墓地の魔法使い族モンスター1体を対象として発動できる。その魔法使い族モンスターを特殊召喚する。

 

ガード・ブロック:通常罠

相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 

 

呪符竜攻撃力2900→3900

 

 

和輝LP2600手札3枚

舞LP7300→6300→3800手札3枚(うち1枚はRUM-アージェント・カオス・フォース)

 

 

「く……。私のターンですねぇ、ドロー!」

 

 ドローカードを確認した舞。和輝のフィールドには三体のモンスターがおり、いずれも大型。普通に戦闘で突破するにはやや厳しい。

 

「ここが使い時ですかねぇ。墓地のギア・チェンジャーを除外して、ギミック・パペット-ネクロ・ドールを特殊召喚しますよぉ」

 

 舞のフィールドに何度目かの登場を遂げるネクロ・ドール。地面から現れた棺の蓋が開き、中から包帯を巻いた女の子の人形が現れる。ご丁寧に包帯には血が染みついているおまけつきだ。はっきり言って不気味極まりない。

 

「ネクロ・ドールをリリースし、アドバンスドローを発動しますねぇ。カードを二枚ドロー!」

 

 ドローカードを確認した舞は気に入らないと言わんばかりの目つきで舌打ち。いいカードが来なかったのか。使えるカードだがこの状況では役に立たないカードあったのか。

 

「まぁいいです。どうせ、使わないかもしれませんからねぇ。私はギミック・パペット-ボム・エッグを召喚ですよぉ」

 

 現れたのは、なんというか、言葉に困るモンスターだった。

 オレンジ色の丸顔に髭、金の巻き髪。ただしその顔は胴体も兼ねており、顔側面から腕が、下部から足が生えている。

 

「ボム・エッグの効果を発動しますねぇ。手札のギミック・パペット-ハンプティ・ダンプティを捨て、ボム・エッグのレベルを8にしますねぇ。さらに手札から二枚目のマグネ・ドールを特殊召喚しますよぉ」

 

 瞬く間にレベル8のモンスターが二体揃う。

 

「さぁ行きますよぉ。レベル8となったボム・エッグとマグネ・ドールをオーバーレイ!」

 

 エクシーズ召喚。

 舞の頭上に、星の煌めきを内包した宇宙を思わせる空間が展開、その中に黄色の光となったボム・エッグと紫の光となったマグネ・ドールが吸い込まれていく。

 

「二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 頭上の空間から虹色の爆発が起こり、中から巨大な影を出現させる。

 

「出でよNo.15! 無慈悲な殺戮人形、ギミック・パペット-ジャイアントキラー!」

 

 ヘブンズ・ストリングスやデビルズ・ストリングスを遥かに超える、見上げんばかりの巨大な人形。

 漆黒の体色、無表情な顔、さらに人形でありながら全身を糸に吊られた哀れな姿。その額には自身のナンバーである「15」が刻まれていた。

 その周囲を衛星のように旋回する二つの光球。すなわちオーバーレイ・ユニット。

 

「凄いのが出てきたなぁ。あれは――――」

「前に俺が言っていた、エクシーズ殺しのギミック・パペットだ」

「さぁて、じゃあその効果をお見せしましょう! ジャイアントキラーの効果発動! オーバーレイ・ユニットを一つ取り除き、相手特殊召喚モンスターを一体破壊しますぅ! 狙いはぁ、ドラゴエクィテス!」

 

 ジャイアントキラーの周囲を旋回していた光球の一つが消失。次の瞬間、ジャイアントキラーが指先の糸を繰り出し、和輝のドラゴエクィテスを拘束。一気にジャイアントキラーのところまで引き寄せる。

 懐近くまで飛んできたドラゴエクィテスを迎え入れるように、ジャイアントキラーの胸部装甲が弾け飛ぶように外れ、中から上下に噛み合わさるように回転するローラーが覗いた。

 ドラゴエクィテスは抵抗したが抵抗虚しくローラーに飲み込まれた。

 |掘削機に掛けられた岩石のような異様な音が響く《ガリガリガリガリガリガリガリガリ》。続いて肉をひき潰す音が轟き、ドラゴエクィテスは完全に破砕された。

 

「うげ……。ひどい絵面だ」

「ああ。しかしこれでもまだマシだ。ジャイアントキラーが破壊したモンスターがエクシーズモンスターだった場合、その元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。だからギミック・パペット相手にはエクシーズモンスターを迂闊に召喚できねぇのさ」

「解説どうもぉ。じゃあこの効果は一ターンに二回使えることも知ってますよねぇ? ジャイアントキラーの効果発動! オーバーレイ・ユニットを一つ取り除き、今度はグングニールを破壊しますよぉ!」

 

 先ほどの焼廻し。今度はグングニールが糸に囚われ、ローラーによって挽肉の様にされてしまった。

 これでジャイアントキラーは効果を発動できず、オーバーレイ・ユニットも使いきった。

 だが舞の手札にはあのカード(、、、、、)がある。

 

「手札からRUM(ランクアップ・マジック)-アージェント・カオス・フォース発動! ジャイアントキラーでオーバーレイネットワークを再構築! エクシーズ召喚!」

 

 舞の頭上に、赤い雷を走らせる黒い穴のような空間が展開、紫の光となったジャイアントキラーがその穴に吸い込まれた。

 

「来たれCNo.(カオスナンバーズ)15! 無感情な虐殺人形! ギミック・パペット-シリアルキラー!」

 

 再び現れたシリアルキラー。その無機質な双眸が和輝を見下ろす。

 

「シリアルキラー効果発動! オーバーレイ・ユニットを一つ取り除き、呪符竜を破壊! そしてその攻撃力分のダメージを与えますねぇ!」

 

 シリアルキラーの口腔内からガトリング砲が出てくる。だが和輝はそれより早く反応した。

 

「リバーストラップ、デストラクト・ポーション! これで呪符竜を破壊し、その攻撃力分俺のライフを回復! これでシリアルキラーの効果は対象不在で不発だ!」

 

 うまく躱した和輝。さらに彼は墓地からカードを一枚抜き出した。

 

「呪符竜の効果発動! 墓地から魔法使い族モンスター、TG(テックジーナス) ハイパー・ライブラリアンを守備表示で特殊召喚するぜ!」

 

 敗北の一撃を躱し、ライフを回復したのみならず、新たな壁も用意する。

 

「一枚の伏せカードで、そこまでしますか……ッ!」

『落ち着け人形。まずは壁を解除しろ』

 

 忌々しげに表情を歪ませる舞の頭上から、カイロスの重くて深い声が響く。

 一転、恍惚とした表情を浮かべ、舞は頷いた。

 

「はぁいカイロス様ぁ。

 バトルフェイズ、シリアルキラーでハイパー・ライブラリアンを攻撃しますねぇ!」

 

 シリアルキラーの口内から現れたガトリング砲が火を噴き、弾丸の雨を撃ちだす。ハイパー・ライブラリアンは抵抗もできず全身を撃ち抜かれ、ずたずたにされてしまった。

 

「ターン終了ですねぇ」

 

 

ギミック・パペット-ネクロ・ドール 闇属性 ☆8 機械族:効果

ATK0 DEF0

このカードが墓地に存在する場合、このカード以外の自分の墓地の「ギミック・パペット」と名のついたモンスター1体をゲームから除外して発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。「ギミック・パペット-ネクロ・ドール」の効果は1ターンに1度しか使用できない。また、このカードをエクシーズ召喚の素材とする場合、「ギミック・パペット」と名のついたモンスターのエクシーズ召喚にしか使用できない。

 

アドバンスドロー:通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在するレベル8以上のモンスター1体をリリースして発動できる。デッキからカードを2枚ドローする。

 

ギミック・パペット-ボム・エッグ 地属性 ☆4 機械族:効果

ATK1600 DEF1200

自分のメインフェイズ時に手札から「ギミック・パペット」と名のついたモンスター1体を捨て、以下の効果から1つを選択して発動できる。「ギミック・パペット-ボム・エッグ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

●相手ライフに800ポイントダメージを与える。

●このカードのレベルはエンドフェイズ時まで8になる。

 

ギミック・パペット-マグネ・ドール 闇属性 ☆8 機械族:効果

ATK1000 DEF1000

相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上に存在するモンスターが「ギミック・パペット」と名のついたモンスターのみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

 

No.15 ギミック・パペット-ジャイアントキラー 闇属性 ランク8 機械族:エクシーズ

ATK1500 DEF2500

レベル8モンスター×2

自分のメインフェイズ1でこのカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを破壊する。破壊したモンスターがエクシーズモンスターだった場合、さらにそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。この効果は1ターンに2度まで使用できる。

 

RUM-アージェント・カオス・フォース:通常魔法

自分フィールド上のランク5以上のエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターよりランクが1つ高い「CNo.」または「CX」と名のついたモンスター1体を、選択した自分のモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。また、このカードが墓地に存在し、自分フィールド上にランク5以上のエクシーズモンスターが特殊召喚された時、墓地のこのカードを手札に加える事ができる。「RUM-アージェント・カオス・フォース」のこの効果はデュエル中に1度しか使用できない。

 

CNo.15 ギミック・パペット-シリアルキラー 闇属性 ランク9 機械族:エクシーズ

ATK2500 DEF1500

レベル9モンスター×3

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上のカード1枚を選択して発動できる。選択したカードを破壊する。破壊したカードがモンスターだった場合、さらにそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

デストラクト・ポーション:通常罠

自分フィールド上に存在するモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分だけ自分のライフポイントを回復する。

 

TG ハイパー・ライブラリアン 闇属性 ☆5 魔法使い族:シンクロ

ATK2400 DEF1800

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

(1):このカードがフィールドに存在し、自分または相手が、このカード以外のSモンスターのS召喚に成功した場合に発動する。このカードがフィールドに表側表示で存在する場合、自分はデッキから1枚ドローする。

 

 

CNo.15 ギミック・パペット-シリアルキラーORUなし

 

 

和輝LP2600→6500手札3枚

舞LP3800手札1枚

 

 

「俺のターンだ、ドロー」

 

 ドローカードを確認し、手札に加えた後、和輝は即座に手札からカードを引き抜き、デュエルディスクにセット。既に使うカードを決めていたのだ。

 

「魔法カード、次元連結術式を発動。ゲームから除外されている、レベル7以下の魔法使い族モンスター一体を特殊召喚する。俺はブラック・マジシャンを特殊召喚!」

 

 バリンとガラスが砕け散るような音とともに、和輝のフィールドの頭上の空間が割れ、中から黒衣の魔術師、ブラック・マジシャンが現れた。

 

「次元連結術式の効果によって、ブラック・マジシャンモンスターの特殊召喚に成功した時、俺はカードを一枚ドローする。そして二枚目のガード・オブ・フレムベルを召喚!」

 

 再び和輝のフィールドにチューナーと非チューナーモンスターが揃った。合計レベルは8。

 

「性懲りもなくシンクロ召喚ですかぁ?」

「ジャイアントキラーがいるからエクシーズ召喚は使いにくいし、融合召喚は今無理だからな。ここはシンクロでいくぜ! レベル7のブラック・マジシャンに、レベル1のガード・オブ・フレムベルをチューニング!」

 

 一つの緑の光の輪となったガード・オブ・フレムベルと、その輪をくぐって七つの光星となったブラック・マジシャン。辺りを白い光が満たした。

 

「集いし八星(はっせい)が、星海切り裂く光の竜を紡ぎだす! 光さす道となれ! シンクロ召喚、響け、閃珖竜(せんこうりゅう) スターダスト!」

 

 光の(とばり)の向こうから現れる、スターダスト・ドラゴンに酷似したドラゴン。違うのはオリジナルにはないラインが入っていることと、全身から星屑のような煌めきを振りまいていることか。

 

「バトルだ! スターダストでシリアルキラーに攻撃!」

 

 スターダストが和輝の命令を受け、一声(いなな)いた後、両翼を広げ飛翔、上体をそらして口内に貯めた白い極光の息吹(ブレス)を放つ。

 

「迎え撃ちなさい、シリアルキラー!」

 

 シリアルキラーもまたガトリング砲を放つ。

 両者の攻撃力は同じ。このままだと相討ち。だが――――

 

「スターダストの効果発動! 一ターンに一度、自分フィールドのカード一枚の破壊を防ぐ! 俺はスターダスト自身を選択する!」

 

 スターダストの身体を穿とうと迫る弾丸の群。だがそれを阻むように、スターダストを球状に包み込む薄膜のバリアが張られ、シリアルキラーの攻撃を防ぐ。結果として、スターダストの一撃のみがシリアルキラーの中枢を打ち砕いた。

 

「カードを二枚セットして、ターンエンドだ」

 

 

次元連結術式:通常魔法

このカードの(2)の効果はこのカードが墓地に送られたターンには発動できない。(1):ゲームから除外されている自分のレベルまたはランク7以下の魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する。この効果で「ブラック・マジシャン」モンスターの特殊召喚に成功した時、カードを1枚ドローする。(2):墓地のこのカードをゲームから除外して発動する。ゲームから除外されている自分の魔法使い族モンスター1体を墓地に戻す。

 

ブラック・マジシャン 闇属性 ☆7 魔法使い族:通常モンスター

ATK2500 DEF2100

 

ガード・オブ・フレムベル 炎属性 ☆1 ドラゴン族:通常モンスター

ATK100 DEF2000

 

閃コウ竜 スターダスト 光属性 ☆8 ドラゴン族:シンクロ

ATK2500 DEF2000

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して発動できる。選択したカードは、このターンに1度だけ戦闘及びカードの効果では破壊されない。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

「私のターンですねぇ、ドロー!」

 

 ドローカードの確認を一瞥で済ませた舞は、そのまま先ほどアドバンスドローで引いたカードをデュエルディスクにセットした。

 

「魔法カード、希望の宝札を発動しますねぇ。互いのプレイヤーは手札が六枚になるようにカードをドローしますよぉ」

 

 発動されたのは、互いのプレイヤーの手札を大量に増やす可能性のあるドローブースト。互いの手札が少なければ自分のみならず相手にも大量ドローをさせてしまう諸刃の剣だ。

 

「けど、そんなカードを握っていたのなら、なんでさっきのターンに使わなかったんだろう?」

「希望の宝札は発動ターンに、ほかのカードの効果でドローできない制約があるんだ。さっきのターン、あの女はすでにアドバンスドローでカードをドローしてしまったから、希望の宝札は使えなかったんだよ」

 

 半透明のまま疑問符を上げるロキに、和輝の解説が入る。ロキがなるほどと頷く。その直後、その表情に戦慄が走った。そしてそれは和輝も同じだった。

 

「くくく……」

 

 顔をうつむけ、肩を震わせて笑う舞。その全身から、えもしれぬ圧力(プレッシャー)と、名状しがたい気配が放たれる。

 否、正確には、舞の全身から、ではなく、その背後、いまだ半透明で戦況を見守っていたカイロスからだ。

 

「和輝、気をつけろ。ここからが本番だ。奴が出てくるぞ……」

 

 警戒心を全開にしたロキの声音、和輝は我知らず硬い唾を飲み込んでいた。

 

「神が来る、ってわけか……」

 

 和輝の呟きを聞きつけて、カイロスが笑い、舞もまた哄笑した。

 

『やっと我が出番だ。遅すぎるくらいだぞ、人形』

「申し訳ありませんカイロス様ぁ。この程度の相手、私だけで十分だと思ったんですがぁ、意外と粘るのでぇ」

『言い訳は聞く耳持たん。さっさとしろ』

「かしこまりましたぁ。まずは墓地のネクロ・ドールの効果を発動。マグネ・ドールを除外して特殊召喚しますねぇ。もっともぉ、この瞬間、手札から速攻魔法、地獄の暴走召喚を発動しますよぉ!」

「ッ!」

 

 息をのんだ和輝の眼前で、ネクロ・ドールが三体に増えていく。和輝は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。

 

「地獄の暴走召喚の効果は俺のフィールドにも効果を及ぼす。が、俺のフィールドにはシンクロモンスターのスターダスト一体のみ。当然、デッキにも手札にも、墓地にもいないから特殊召喚できない」

「そうですねぇ、というわけで、私だけ特殊召喚です。悪いですねぇ。

 さぁて、行きましょうか。三体のネクロ・ドールをリリース!」

 

 三体のネクロ・ドールが一瞬にして白い光の粒子となって消えていく。次の瞬間、舞のフィールドに凄まじい力の「場」が出来上がっていく。

 目に見えない不可視の力が渦を巻き、中心に向かって収束していく。

 舞の叫びが木霊する。

 

「来てください。刻限の鬼械神カイロス様ぁ!」

 

 力が爆発した。和輝はそう感じた。

 そして、ついに力が具現化した。

 その外見は和輝が最初に出会った時と同じ。

 宙に浮いた巨体。異様に長い、荒んだ金の前髪。髪の隙間から覗く赤い目。全身を雁字搦めに抑えつけた鎖に漆黒の甲冑、各所に埋め込まれ、でたらめな時を刻む時計と背後にある一際巨大な時計の文字盤。

 カイロス。ギリシャの神であり、その力は時を操ること、そして機会、即ちチャンスを司ること。もっとも、神話で語り継がれる姿と実際の姿は大きく乖離しているようだが。

 

『たまには自分の力を振るうのもいい。さぁ小僧、我を呼びださせたことを後悔し――――――死ね』

 

 重く深い、カイロスの声音。そして、その傀儡(かいらい)である舞が叫ぶ。

 

「さぁて、カイロス様の効果を発動しますよぉ。一ターンに一度、1000ライフを払うことでこのターンにフィールドから墓地に行った私のモンスターを全て特殊召喚します! 蘇ってくださいよぉ、ネクロ・ドール達!」

『時よ、戻れ』

 

 カイロスの全身から時計が現出、一斉に針を逆に回し始める。そして、時間がまき戻るように三体のネクロ・ドール達が復活する。

 

「次はこれですよぉ。三体のネクロ・ドールでオーバーレイ! 三体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 虹色の爆発とともに、新たな影が出現する。今まで登場していなかった、最後のギミック・パペットエクシーズモンスターが。

 

「現れよNo.88! 運命を定める人形。ギミック・パペット-デステニー・レオ!」

 

 現れた新たなギミック・パペット。今までのおどろおどろしさと不気味さを併せ持っていたギミック・パペットと違い、獅子の頭部に白を基調としたカラーリング。身に纏った白の衣と合わさって威風堂々とした王道的な美しさと誇り高さを感じさせる。

 腰かけていた椅子から身を離し、手に剣を持ち和輝の前に立ちはだかった。

 

「さぁらぁにぃ、手札から魔法カード、鬼神の連撃を発動しますねぇ。デステニー・レオのオーバーレイ・ユニットを全て取り除いて、このターン、デステニー・レオに二回攻撃を付与しますねぇ」

『まだだ人形。ダメ押しだ』

 

 これで十分とは思わず、カイロスは更なる命令を舞に下す。舞もまた承諾。手札からカードを一枚引き抜いた。

 

「ダメ押しはこれですよぉ。ジャンク・パペット! これで墓地のデビルズ・ストリングスを復活させますねぇ!」

「ッ! これで奴のフィールドには強力なモンスターが三体か……ッ!」

 

 対して和輝のモンスターは閃コウ竜 スターダスト一体のみ。守りにたけたモンスターとはいえ、一体で三体の攻撃を防ぎ切れるか……。

 

「お待ちかねのバトルです! デステニー・レオでスターダストに攻撃ですよぉ!」

 

 一番槍を務めるはデステニー・レオ。手にした剣を振り下ろし、一気にスターダストを狙う。

 

「スターダストの効果発動! 自身を守る!」

 

 間髪入れず和輝が動く。スターダストの身体を包むように張られた球体のバリアー。

 

「甘い、甘いですよぉ! ここで私は――――」

『まだだ、人形。まだ動くな』

 

 何言葉を発しようとした枚はカイロスに止められる。舞はびくりと体を硬直させ、電池の切れた玩具のように一瞬動かなくなる。

 プレイは問題なく続行された。デステニー・レオの剣をスターダストのバリアーが防ぐ。が、この一撃でバリアーは割られてしまった。

 

「ぐぅ……ッ!」

「超過ダメージのフィードバックはきついでしょうねぇ。でもまだ終わりではありませんよぉ? デステニー・レオで二回目の攻撃!」

 

 デステニー・レオの追撃。今度は防げない。振り下ろされた剣の一撃がスターダストを切り裂いた。

 

「がぁ……ッ!」

「まだまだぁ! デビルズ・ストリングスでダイレクトアタックですよぉ!」

 

 舞の猛攻は終わらない。次いで和輝に肉薄してきたデビルズ・ストリングス。させじと和輝はデュエルディスクのボタンを押した。

 

「リバースカードオープン! 奇跡の残照! これで今破壊されたスターダストを守備表示で復活させる!」

『無駄無駄無駄ァ! 我が効果を発動しろ人形!』

「カイロス様のもう一つの効果を発動しますねぇ! 一ターンに一度、相手のカード効果を無効にできるんですよぉ! 奇跡の残照を無効にしまぁす!」

「な――――――」

『まずい! 和輝!』

 

 カイロスの甲冑に着けられた時計の一つが時を刻むことをやめる。次の瞬間、発動したはずの奇跡の残照の効果が、硝子(ガラス)が砕かれるような音ともに無効化。カードの色が失われ、消滅した。

 そして妨害のなくなったデビルズ・ストリングスの両端剣がブーメランのように投擲される。

 唸りを上げて迫る剣は弾丸もかくやという速度で和輝に迫る。

 

『躱せ和輝! 今の君ならできる!』

 

 半透明のロキの叫びに押されるように、和輝は横っ飛び。直後、和輝の爪先をかすめるように剣が飛んで行った。

 

「か、躱せた!?」

「このバトルフィールド内は神々の戦争参加者の身体能力が強化される。シリアルキラーみたいな範囲攻撃じゃ躱しようがないけど、直接的な一撃なら躱すことはできる!」

 

 確かにロキの言うとおりだ。まさか弾丸に迫る速度で飛んでくる剣を躱せるとは思わなかった。

 

「安心してる場合じゃないですよぉ! カイロス様でダイレクトアタックです!」

『磨り潰してやる。原型が残るか!? 小僧!』

 

 カイロスの重く深く、そして何よりも分厚い声が響く。そして、カイロス背後の大時計を筆頭に、全ての時計の針が高速で動きだした。

 グルグルグルグル回転する長針と短針、それらが文字盤から外れ、短針が五メートルほど、長針が十メートルほどの長さに伸長し一斉に和輝に向かって襲い掛かった。

 逃げ場なしの範囲攻撃。回避は不可能、しかも神の一撃、まともに食らえば胸元の宝珠が砕け散る可能性が高い。

 

「終わりですねぇ!」

 

 嗜虐の表情で笑う舞。だが和輝の瞳に諦めの色はない。

 

「まだ、終わらねぇ! リバーストラップ、ガード・ブロック! 戦闘ダメージを0にし、カードを一枚ドローする!」

 

 和輝を取り囲むように僅かにカーブを描きながら飛来する時計の針たち。それらから和輝を守るように不可視の壁が和輝正面に屹立。直撃を防いでいく。

 だが、防げたのは直撃のみ。和輝からわずかにそれながらも、ほかの攻撃は威力を失っていない。和輝自身には当たらずとも、その周囲の地面に着弾する。

 轟音。空爆を連想させる爆発音が和輝の周囲で連続して起こり、その度に地面が抉られていく。

 

「がああああああああああああああああああ!」

 

 衝撃に翻弄される和輝。辛うじてその場に踏みとどまり、かつ宝珠を抱えるように守って丸くなって耐える。

 

「く、ぐぁ……ッ!」

 

 攻撃が終わり、和輝はなんとか耐えきった。周囲を見れば小学校の校庭は隕石の雨が衝突したかのように乱雑にくりぬかれるように抉られており、唯一、和輝が立っている地点のみが足を踏みしめることができた。

 

「なんて威力だ……、直撃さえしてないってのに」

 

 これが神の一撃かと、和輝が背筋が冷える思いをした。

 

「仕方がありませんねぇ。本当に面倒くさい。カードを一枚伏せて、ターン終了ですよぉ」

 

 

希望の宝札:通常魔法

(1):互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにカードをドロー、または手札のカードを捨てる。このカードを発動するターン、自分は他のカード効果でデッキからカードをドローできない。

 

地獄の暴走召喚:速攻魔法

相手フィールド上に表側表示でモンスターが存在し、自分フィールド上に攻撃力1500以下のモンスター1体が特殊召喚に成功した時に発動する事ができる。その特殊召喚したモンスターと同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から全て攻撃表示で特殊召喚する。相手は相手自身のフィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、そのモンスターと同名モンスターを相手自身の手札・デッキ・墓地から全て特殊召喚する。

 

刻限の鬼械神カイロス 神属性 ☆10 幻神獣族:効果

ATK4000 DEF3300

このカードは特殊召喚できない。このカードは3体のモンスターをリリースしてのみ通常召喚できる。(1):このカードは神属性、幻神獣族モンスターの効果以外のカード効果ではフィールドを離れず、コントロールも変更されない。(2):このカードが相手のカードの効果を受けた時、エンドフェイズにこのカードに対するそのカード効果を無効にする。(3):1ターンに1度、1000ライフポイントを払って発動できる。このターンにフィールドから墓地に送られた自分のモンスターを可能な限り特殊召喚する。(4):1ターンに1度発動できる。相手が発動した魔法、罠、モンスター効果を無効にする。

 

No.88 ギミック・パペット-デステニー・レオ 闇属性 ランク8 機械族:エクシーズ

ATK3200 DEF2300

レベル8モンスター×3

1ターンに1度、自分の魔法&罠カードゾーンにカードが存在しない場合に発動できる。このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、このカードにデステニーカウンターを1つ置く。この効果を発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。このカードにデステニーカウンターが3つ乗った時、このカードのコントローラーはデュエルに勝利する。

 

鬼神の連撃:通常魔法

自分フィールド上に表側表示で存在するエクシーズモンスター1体を選択し、そのエクシーズ素材を全て取り除いて発動する。このターン、選択したモンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

 

ジャンク・パペット:通常魔法

自分の墓地の「ギミック・パペット」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを特殊召喚する。「ジャンク・パペット」は1ターンに1枚しか発動できない。

 

奇跡の残照:通常罠

このターン戦闘によって破壊され自分の墓地へ送られたモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを墓地から特殊召喚する。

 

ガード・ブロック:通常罠

相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 

 

No.88 ギミック・パペット-デステニー・レオORUなし

CNo.40 ギミック・パペット-デビルズ・ストリングスORUなし

 

 

和輝LP6500→5800→5100→1800手札7枚

舞LP3800→2800手札1枚

 

 

 神の降臨によって、和輝が窮地に立たされたのは何もフィールドの状況だけではない。神という、人間にとっての絶対者と相対するプレッシャー、それに膝を屈しそうになる。そこから連想されてしまう、自身の死も含めて。

 心の奥底の誰にも触れられない地点で怪物が囁く。

 

 楽しいなぁ、楽しいなぁ、このまま続ければ、きっとパパとママのところに行けるぞ。今だけはその言葉に屈してしまいたくなる。

 

「和輝……」

「大丈夫、だ」

 

 誘惑を振り払って正気を保つ。希望はある。

 さっきガード・ブロックの効果でドローしたカード。これが希望だ。

 神には、神に対抗するしかない。

 

「こいつに、賭けるしかないな……」

 

 言って、和輝は見た。手札に眠る、(ロキ)のカードを。

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