今のところデュエル自体はまだ序盤の探り合い。
だが和輝はこの戦い、負けられないと思っている。
アメリカで蔓延している病、そして先ほどファミレスで見せた暴虐。
許せるものではない。なんとしてもここで止めなければ。
和輝LP7050手札3枚(うち1枚は補給部隊)
ペンデュラムゾーン赤:なし青:なし
場 裏守備モンスター(見習い魔術師)×1、
伏せ 1枚
ゲイルLP8000手札6枚(うち5枚は妖仙獣 閻魔巳裂、妖仙獣左鎌神柱、妖仙獣鎌壱太刀、妖仙獣鎌弐太刀、妖仙獣鎌参太刀)
ペンデュラムゾーン赤:なし青:なし
場 永続魔法:修験の妖社(妖仙カンター0)、炎舞-
伏せ 2枚
修験の妖社:永続魔法
「修験の妖社」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、「妖仙獣」モンスターが召喚・特殊召喚される度に、このカードに妖仙カウンターを1つ置く。(2):このカードの妖仙カウンターを任意の個数取り除いて発動できる。取り除いた数によって以下の効果を適用する。●1つ:自分フィールドの「妖仙獣」モンスターの攻撃力はターン終了時まで300アップする。●3つ:自分のデッキ・墓地から「妖仙獣」カード1枚を選んで手札に加える。
炎舞-天キ:永続魔法
「炎舞-「天キ」」は1ターンに1枚しか発動できない。(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキからレベル4以下の獣戦士族モンスター1体を手札に加える事ができる。(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分フィールドの獣戦士族モンスターの攻撃力は100アップする。
「俺のターンだ、ドロー!」
ターンは和輝に移る。彼はドローカードを確認後、それを手札に加え、即座に動いた。
「永続魔法、補給部隊を発動し、クラッシュ・マジシャンを召喚」
和輝のフィールドに現れたのは、十一、二歳ほどの男の子。
ぶかぶかの青い衣装に身を包み、頭には背の高い黒い帽子。何よりも特徴の身の丈ほどもある巨大なハンマー。ハンマーというよりも、装飾のある小槌をそのまま大きくしたような様子だが。
「セット状態の見習い魔術師を反転召喚し、クラッシュ・マジシャン効果発動! 召喚に成功したターン、自分モンスター一体を破壊し、そのモンスターよりも一つレベルの高い同種族モンスターをデッキから特殊召喚できる。俺は見習い魔術師を除外し、デッキからライトロード・メイデン ミネルバを特殊召喚!」
クラッシュ・マジシャンが手にしたハンマーを大きく振りかぶって、見習い魔術師に向かって振り下ろす。
ぐしゃりとバイオレンスな音が響いた後、飛び散った破片がひとりでに動いて再構成、ライトロード・メイデン ミネルバの姿へと変じる。
「補給部隊の効果で一枚ドロー。そして!」
和輝の無手の右手が天に向けて突き上げられた。
「レベル3のクラッシュ・マジシャンに、同じくレベル3のミネルバをチューニング!」
シンクロ召喚。三つの緑の光の輪となったミネルバと、その輪をくぐって同じく三つの白く輝く
「集いし
光の
マジックテンペスター。深い青系の民族衣装に動物の骨を加工したような不気味な杖。その周囲を舞う蝙蝠の群。
「マジックテンペスターのシンクロ召喚に成功したため、このカードの上に魔力カウンターを一つ乗せる。
さらにテンペスターの効果発動! このカードの上に置かれた魔力カウンターを全て取り除き、取り除いた数×500のダメージを与える!」
マジックテンペスターが杖を振るい、先端をゲイルに突き付ける。次の瞬間、バスケットボール大の黒い光の玉が弾丸のようにゲイルに向かって発射。胸の宝珠を狙ってまっすぐ突き進む。
が、ゲイルはその一撃を身をかがめてあっさり回避した。
「ハッ! 弾丸並みの速度も軽く躱せる。この身体能力はご機嫌だぜ!」
「そうかよ。俺は墓地のミネルバと見習い魔術師を除外し、カオス・ソーサラーを特殊召喚!」
和輝の墓地から光と闇、二体のモンスターの魂が現れ、混沌の道を紡ぐための
そして現れたのは黒いローブに身を包み、光と闇のオーラを両手に宿した魔術師。
和輝のフィールドに現れたモンスターは二体とも攻撃力2000を超える。ゲイルのフィールドにはモンスターが存在しないので、この二体の直接攻撃を受ければ大ダメージを受けることは間違いない。
が、ゲイルの表情は不敵な笑みのまま、余裕があった。ならば、その余裕の源は二枚の伏せカード、もしくは、
(バトルフェーダーや速攻のかかしのような、手札から相手の攻撃を止められるカード、か)
その可能性は高そうだ。だが――――
「踏み込まなければ始まらない、な。ワンダー・ワンドをマジックテンペスターに装備して、バトル! 二体のモンスターでダイレクトアタック!」
和輝の命令を受けて、彼のモンスターたちが一斉にゲイルに殺到する。
再び闇色の弾丸を放つマジックテンペスター。そして黒い波動を放つカオス・ソーサラー。
この攻撃が通ればゲイルに大ダメージを与えられる。もっとも、
「通すかよ! 手札のバトルフェーダー効果発動! バトルフェイズを終了し、こいつを特殊召喚だ!」
カチコチと規則正しいメトロノームのような音がフィールドに響き渡った。
カチコチ、カチコチ。規則正しいリズムが空間に響き渡り、和輝のモンスターたちの動きが止まる。
気づけばゲイルのフィールドには、メトロノームのような外見をした悪魔が浮いていた。
和輝の予想通り、ゲイルはバトルフェーダーを握っていた。ならば、使わせたと考えるべきだ。終盤の肝心な時に使われて防がれてはたまったものではない。
「バトルフェイズは強制終了。メインフェイズ2に入り、ワンダー・ワンドの効果発動。このカードとマジックテンペスターを墓地に送って、二枚ドロー。カードを二枚セットし、リバースカード、テンペスト・バーン発動!」
和輝の指が己のデュエルディスクのボタンを押す。彼の足元で沈黙を保っていた伏せカードが
「このカードは、このターンに俺のフィールドから墓地に送られたモンスター一体につき、500のダメージを相手に与える。俺がこのターン、墓地に送ったモンスターは全部で四体。2000のダメージを食らえ!」
和輝の墓地から四つの火の玉が出現し、一斉に、軌道を各々ずらしながらゲイルに向かって殺到する。ゲイルは「ご機嫌だぜ!」と口にして後方に跳躍。真っ先に顔面に向かって突き進んできた火球を右手で打ち払い、着地と同時に右足を軸にしてターン。二撃目を回避。
さらに振り上げた左足で三発目を撃墜後、本命の宝珠狙いの四発目を両腕を宝珠前でクロスしてガードした。
「がっ!」
さすがにこの一撃はただ受け止めるというわけにはいかなかったのか、ゲイルの身体が後ろに吹き飛ばされる。
背中から地面に落ちたが、すぐにばね仕掛けの用に跳ね起きた。
「こんなもんか?」
にやりと笑うゲイル。その様子を観察しながら、パズズは内心満足していた。
パズズはカイロスのように
波長が合ったパートナーが、どうしても戦闘に不向きな場合は仕方がないが、そうでもないならば基本的に人間の自由にやらせる方針だ。
その方が攻撃時、防御時にいちいち指示を入れるワンアクションによるライムロスがなくなる。
勝負を分ける刹那、そのワンアクションが命取りになるような事態を防げるのだ。
今の状況で言うなら、洗脳された人間はあのような回避はできない。せいぜい宝珠を庇うくらいが関の山だ。
洗脳された人間は攻撃も防御も単調になってしまうので、人間の手綱を握れるならば、自由意思は尊重してやってもいい。
「まだまだ。一気に潰してやる。俺はこれでターンエンドだ」
和輝の言葉に意識を戦いに戻したパズズ。戦いはまだ続く。
補給部隊:永続魔法
(1):1ターンに1度、自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合にこの効果を発動する。自分はデッキから1枚ドローする。
クラッシュ・マジシャン 地属性 ☆3 魔法使い族:効果
ATK1300 DEF700
(1):このカードの召喚に成功したターンのメインフェイズに発動できる。自分フィールドの表側表示モンスター1体を破壊し、デッキから破壊したモンスターよりも1つレベルの高い同じ種族のモンスター1体を特殊召喚する。
見習い魔術師 闇属性 ☆2 魔法使い族:効果
ATK400 DEF800
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、フィールド上に表側表示で存在する魔力カウンターを置く事ができるカード1枚に魔力カウンターを1つ置く。このカードが戦闘によって破壊された場合、自分のデッキからレベル2以下の魔法使い族モンスター1体を自分フィールド上にセットする事ができる。
ライトロード・メイデン ミネルバ 光属性 ☆3 魔法使い族:チューナー
ATK800 DEF200
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の「ライトロード」と名のついたモンスターの種類以下のレベルを持つドラゴン族・光属性モンスター1体をデッキから手札に加える事ができる。このカードが手札・デッキから墓地へ送られた時、自分のデッキの上からカードを1枚墓地へ送る。また、自分のエンドフェイズ毎に発動する。自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。
マジックテンペスター 闇属性 ☆6 魔法使い族:シンクロ
ATK2200 DEF1400
チューナー+チューナー以外の魔法使い族モンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、このカードに魔力カウンターを1つ置く。1ターンに1度、自分の手札を任意の枚数墓地へ送る事で、その枚数分だけ魔力カウンターを自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターに置く。また、フィールド上に存在する魔力カウンターを全て取り除く事で、その個数×500ポイントダメージを相手ライフに与える。
ワンダー・ワンド:装備魔法
魔法使い族モンスターにのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は500ポイントアップする。また、自分フィールド上のこのカードを装備したモンスターとこのカードを墓地へ送る事で、デッキからカードを2枚ドローする。
カオス・ソーサラー 闇属性 ☆6 魔法使い族:効果
ATK2300 DEF2000
このカードは通常召喚できない。自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを1体ずつゲームから除外した場合に特殊召喚できる。1ターンに1度、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択してゲームから除外できる。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。
バトルフェーダー 闇属性 ☆1 悪魔族:効果
ATK0 DEF0
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、その後バトルフェイズを終了する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。
テンペスト・バーン:通常罠
(1):エンドフェイズに発動できる。このターンにフィールドから墓地に送られたモンスター1体につき、500ポイントのダメージを相手に与える。
和輝LP7050手札1枚
ゲイルLP8000→7500→5500手札5枚(妖仙獣 閻魔巳裂、妖仙獣左鎌神柱、妖仙獣鎌壱太刀、妖仙獣鎌弐太刀、妖仙獣鎌参太刀)
「オレのターンだ、ドロー!」
ダメージを与えたとはいえ、ゲイルの手札には大量の
「さぁ再び来やがれ! 妖仙獣
再び現れる刃持つ
「さらに最後に召喚された鎌参太刀の効果により、オレはもう一度、新たな妖仙獣の召喚が可能となる! オレはバトルフェーダーをリリースし、妖仙獣
バトルフェーダーが白い光の粒子となって消失、代わりに現れたのは、首に数珠を下げた大柄な法師姿の鬼。額から生えた二本の角と、肩に担いだ巨大な片刃の大剣が目につく獣人モンスターだ。
「さらに、ここでこいつを発動だ! リバースカードオープン!」
ゲイルの足元に伏せられた二枚のカード、そのうちの一枚が翻った。
「妖仙郷の眩暈風! この効果を今見せてやるよ。鎌壱太刀の効果発動! カオス・ソーサラーをバウンスする!」
先ほどと同じバウンス効果。だがカオス・ソーサラーは特殊召喚モンスター。条件さえそろえば何度でも手札から特殊召喚できるため、痛手としてはシンクロモンスターやエクシーズモンスターなどのエクストラデッキから特殊召喚されるモンスターにやられるよりもマシだ。
そう思っていた。甘い考えだった。
「この瞬間、妖仙郷の眩暈風の効果発動! この効果により、手札に戻る効果はデッキに戻る効果となるんだよ!」
「何!?」
和輝は驚愕の声を上げる。次の瞬間、鎌壱太刀の効果によって和輝のカオス・ソーサラーが吹き飛ばされる。ただし、戻るのは手札ではない、デッキだ。これでは再利用も難しい。
「くそ……ッ!」
「これで、和輝の場はがら空き……ッ!」
半透明のロキが呻くように言葉を上げる。ゲイルの声が続く。
「ご機嫌だぜぇ。永続魔法、修験の妖社効果発動! このカードの上の妖仙カウンターを三つ取り除き、デッキから妖仙獣
見せてやるよ、オレ様のデッキの真骨頂を! スケール3の妖仙獣
ゲイルの手からカードが二枚抜き出され、モンスターゾーンの左右端にある、ペンデュラムゾーンにセットしていく。
するとゲイルの両隣に薄青い光の円柱が天に向かって突き立つように
二本の円柱の間を行ったり来たりする
「ペンデュラムゾーンにある右鎌神柱の効果発動! このカードのスケールを5から11に変更! これでオレは、レベル4から10のモンスターを同時に召喚可能となったわけだ!」
「ペンデュラム召喚か……」
和輝の表情に険しい色が浮かぶ。召喚できるモンスターのレベル制限があるとはいえ、大型モンスターをたやすく、しかも場合によっては複数召喚できるのは脅威となる。
「ペンデュラム召喚!」
ペンデュラムの向こう側の空間から異界の門が開く。開いた門の向こうから光が一つ、ゲイルのフィールドに降り立った。
「さぁ来い厄災の風! 魔妖仙獣
現れたのは、一言で言えば風でできた巨獣、だろうか。
和風絵画から抜け出してきたような色彩と、頭に
「ペンデュラム召喚、お前のお気に入りだったな、ゲイル」
ゲイルの背後、半透明のパズズの台詞にゲイルは「ああ。ご機嫌な召喚だ」と笑う。
「何より見てるやつの驚く顔がいいな。さぁ大刃禍是の効果発動だ! 召喚、特殊召喚成功時に、フィールドのカードを二枚まで手札に戻す! もっとも、今は妖仙郷の眩暈風の効果で、戻るのは手札じゃなくてデッキだがなぁ! オレはテメェの場にセットされてる二枚の伏せカードを選択だ!」
「な!?」
大刃禍是の全身から禍々しい黒い風が吹き荒れる。風は和輝の足元に伏せられた二枚のカードを狙って意志ある者のごとく殺到してきた。
「くっそ! チェーンしてリバース速攻魔法、スケープ・ゴートを発動! 俺のフィールドに四体の羊トークンを――――」
「させるかよ! カウンター
和輝の足元のカードが翻ったかと思うと、間髪入れずにゲイルの二枚目の伏せカードも翻った。
「やばい! これじゃあスケープ・ゴートを無効化されて、和輝を守るものがなくなる!」
「これで終わりだな、ロキの契約者」
半透明のロキが叫び、パズズが不敵に笑う。が、
「終わらねぇ! カウンター罠、ギャクタン! 妖仙獣の秘技を無効にし、デッキに戻す!」
「何!?」
和輝の二枚目の伏せカードが翻り、妖仙獣の秘技を打ち消す。結果として、スケープ・ゴートは無事発動され、和輝のフィールドに彼を守るように色とりどりの四体の眠れる羊が現れた。
「ちっ、仕留め損なったかよ」
「不機嫌だな、ゲイル」
「当たり前だ! まぁいいさ、バトルだ! 行け! オレの妖仙獣!」
ゲイルの攻撃宣言が下る。同時、彼の妖仙獣たちが和輝の羊たちに殺到する。
鼬三兄弟が三体の羊を撃破後、閻魔巳裂の大刀が残った一匹を両断する。
「ッ! 補給部隊の効果で一枚ドロー!」
「ドローよりもテメェの身体の心配でもするんだな! 大刃禍是でダイレクトアタック!」
羊トークンは全て破壊され、今の和輝はがら空きだ。この一撃は防げない。
大刃禍是が首を後ろにそらす。それを攻撃の合図と取った和輝は反転。全力で離脱を開始する。
放たれる竜巻が、奔流となって蛇のようにのたくいながら和輝を目指す。和輝は全力で、わき目も振らずに走った。
着弾。爆弾の爆発のような轟音が轟き、衝撃波が放射状に広がり周りの建物の硝子を砕き、壁に罅を入れていった。
「がぁ!」
直撃はしなかった。が、僅かに足をかすめていった。大型トラックに引っ掛けられたような衝撃に襲われ、和輝の身体が回転しながら宙に浮き、乱暴に背中から叩きつけられた。
「がはっ!」
「和輝!」
ロキが叫ぶ。神々は召喚されてでもいない限りデュエルに直接干渉することができない。だから声しか届けることができない。ロキにはそれがもどかしかった。
「……問題ねぇ。宝珠は無事だ」
ふらつきながら立ち上がる和輝。その瞳に諦めの色はない。
「ケッ。鎌参太刀の効果でデッキから妖仙獣
妖仙獣 鎌壱太刀 風属性 ☆4 獣戦士族:効果
ATK1600 DEF500
(1):このカードが召喚に成功した場合に発動できる。手札から「妖仙獣 鎌壱太刀」以外の「妖仙獣」モンスター1体を召喚する。(2):このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、自分フィールドにこのカード以外の「妖仙獣」モンスターが存在する場合に相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。(3):このカードを召喚したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。
妖仙獣 鎌弐太刀 風属性 ☆4 獣戦士族:効果
ATK1800 DEF200
(1):このカードが召喚に成功した場合に発動できる。手札から「妖仙獣 鎌弐太刀」以外の「妖仙獣」モンスター1体を召喚する。(2):このカードは直接攻撃できる。その戦闘によって相手に与える戦闘ダメージは半分になる。(3):このカードを召喚したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。
妖仙獣 鎌参太刀 風属性 ☆4 獣戦士族:効果
ATK1500 DEF800
「妖仙獣 鎌参太刀」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。(1):このカードが召喚に成功した場合に発動できる。手札から「妖仙獣 鎌参太刀」以外の「妖仙獣」モンスター1体を召喚する。(2):このカード以外の自分の「妖仙獣」モンスターが相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。デッキから「妖仙獣 鎌参太刀」以外の「妖仙獣」カード1枚を手札に加える。(3):このカードを召喚したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。
妖仙獣 閻魔巳裂 風属性 ☆6 獣族:効果
ATK2300 DEF200
(1):このカードが風属性以外の表側表示モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動できる。そのモンスターを破壊する。(2):このカードがP召喚に成功した時、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。(3):このカードを特殊召喚したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。
妖仙郷の眩暈風:永続罠
自分フィールドにレベル6以上の「妖仙獣」モンスターが存在する場合にこのカードを発動できる。(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在し、自分のPゾーンに「妖仙獣」カードが存在する限り、フィールドにセットされたモンスター及び「妖仙獣」モンスター以外のフィールドの表側表示モンスターが効果で手札に戻る場合、手札に戻らず持ち主のデッキに戻る。
妖仙獣 左鎌神柱 風属性 ☆4 岩石族:ペンデュラム
ATK0 DEF2000
Pスケール:赤3/青3
P効果
(1):自分フィールドの「妖仙獣」モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊できる。
モンスター効果
(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。このカードを守備表示にする。(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はこのカード以外の自分フィールドの「妖仙獣」モンスターを効果の対象にできない。
妖仙獣 右鎌神柱 風属性 ☆4 岩石族:ペンデュラム
ATK0 DEF2100
Pスケール:赤5/青5
P効果
(1):1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンに「妖仙獣」カードが存在する場合に発動できる。このカードのPスケールはターン終了時まで11になる。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「妖仙獣」モンスターしか特殊召喚できない。
モンスター効果
(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。このカードを守備表示にする。②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の「妖仙獣」モンスターを攻撃対象にできない。
魔妖仙獣 大刃禍是 風属性 ☆10 獣族:ペンデュラム
ATK3000 DEF300
Pスケール:赤7/青7
P効果
(1):自分フィールドの「妖仙獣」モンスターの攻撃宣言時に発動できる。その攻撃モンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで300アップする。
モンスター効果
このカードはP召喚でしか特殊召喚できない。(1):このカードのP召喚は無効化されない。(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、フィールドのカードを2枚まで対象として発動できる。そのカードを持ち主の手札に戻す。(3):このカードを特殊召喚したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。
スケープ・ゴート:速攻魔法
このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。(1):自分フィールドに「羊トークン」(獣族・地・星1・攻/守0)4体を守備表示で特殊召喚する。このトークンはアドバンス召喚のためにはリリースできない。
妖仙獣の秘技:カウンター罠
(1):自分フィールドに「妖仙獣」カードが存在し、自分のモンスターゾーンに「妖仙獣」モンスター以外の表側表示モンスターが存在しない場合、モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。
ギャクタン:カウンター罠
(1):罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし、そのカードを持ち主のデッキに戻す。
修験の妖社妖仙カウンター×2
和輝LP7050→4050手札2枚
ゲイルLP5500手札5枚(妖仙獣 辻斬風、妖仙獣鎌壱太刀、妖仙獣鎌弐太刀、妖仙獣鎌参太刀、魔妖仙獣 大刃禍是)
「俺のターンだ、ドロー!」
ドローカードを一瞥で確認する。次のターンも、ゲイルはペンデュラム召喚でモンスターを大量展開するのだろう。今の和輝の手札では、それを防ぐことはおろか、波状攻撃に抗うこともできない。
「少し強引だが、手札を増やすか。カードガンナーを召喚」
和輝のフィールドに、昔の子供が遊ぶような
「デッキの上から三枚のカードを墓地に送って、カードガンナーの効果発動。攻撃力を合計で1500アップさせる」
和輝の狙いは二つ。カードガンナー自身の効果によるバンプアップと、墓地肥し。特に本命は墓地肥しだ。
墓地に落ちたのはブラック・マジシャン、デブリ・ドラゴン、タスケルトン。最善、とは言えないがまずまずの落ちだ。特に墓地で発動できるタスケルトンが落ちたのは嬉しい。
「バトルだ。カードガンナーで閻魔巳裂に攻撃」
「自爆特攻かよ!」
攻撃力で劣るカードガンナーの攻撃。ダメージステップでのカードの発動もなく、カードガンナーが放った砲弾は簡単に躱され、返す刀で閻魔巳裂の大刀がカードガンナーを両断する。
爆発四散するカードガンナー。和輝にもフィードバックのダメージが与えられる。
だがそれは和輝も覚悟したことだった。
「この瞬間、カードガンナーと補給部隊の効果発動! カードを二枚ドロー!」
和輝の狙いはこのドローだった。多少のダメージは覚悟のうえ、それでも引き寄せたかったのだ。状況打開のカードを。
だが、和輝の表情は険しいままだ。状況打開のカードをドローできなかったか。
「まだ終わりじゃない。墓地の見習い魔術師を除外し、
特殊召喚されたばかりのワイバースターが即座に光の粒子となって消える。代わりに和輝のデッキが次々にめくられた。
スキル・サクセサー、暗黒竜 コラプサーペント、龍の鏡が墓地に送られる。そして、
「ライトロード・マジシャン ライラを攻撃表示で特殊召喚する!」
現れたのは白い衣装に身を包んだ光の女魔術師。有用な効果に加え、墓地肥しも行えるモンスターだ。
「ワイバースターの効果発動。デッキから二枚目のコラプサーペントを手札に加える。ライラ効果発動。このカードを守備表示に変更し、修験の妖社を破壊する」
ライラが手にした杖から光の矢が迸り、修験の妖社を射抜く。ゲイルは舌打ち。
「まぁいいさ。ある程度の働きは果たした」
「闇の誘惑を発動。カードを二枚ドローし、コラプサーペントを除外する」
目まぐるしい手札の交換。墓地肥し。和輝の手札が変化していく。
(くそ……)
だが和輝の心中は穏やかではない。どうにも今の手札で、次のゲイルの猛攻を防げるかわからない。
楽しい楽しい楽しいなぁ。怪物の声が聞こえてくる。このまま、運命を受け入れれば、パパとママのところに行けるぞ? 黙れやかましい。
「和輝」
悩む和輝の耳にロキの囁きが聞こえてきた。
「あん?」
「あのペンデュラム召喚って、神の召喚に最適だと思わない?」
神の召喚。確かにそうだ。一度に大量のモンスターを展開できるのだから、必然、神召喚のためのリリースも集めやすい。
「確かにそうだが、それがどうした?」
「神々の戦争で神はやっぱり特別だ。場に出ただけで相手に与えるプレッシャーも、攻撃の威力も桁違いだ。何よりその一撃は宝珠を砕く可能性を跳ね上げる。
「…………なるほどな」
ロキの台詞に和輝の脳裏にある賭けとがよぎる。
さて、可能性はどれくらいか。決して
「いずれにしても、ほかに手がないんだ。頼むぜ神様よ。俺はカードを三枚セットして、エンドフェイズにライラの効果発動! カードを三枚、墓地に送る!」
ライラの効果が発動し、和輝のデッキから三枚のカードが墓地に落ちる。
落ちたのはガード・オブ・フレムベル、シャドール・ビースト、ギャラクシーサーペントの三枚。シャドール・ビーストがその効果を発動。和輝はカードを一枚ドローし、改めてターンを終了した。
カードガンナー 地属性 ☆3 機械族:効果
ATK400 DEF400
(1):1ターンに1度、自分のデッキの上からカードを3枚まで墓地へ送って発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果を発動するために墓地へ送ったカードの数×500アップする。(2):自分フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動する。自分はデッキから1枚ドローする。
輝白竜 ワイバースター 光属性 ☆4 ドラゴン族:効果
ATK1700 DEF1800
このカードは通常召喚できない。自分の墓地から闇属性モンスター1体を除外した場合のみ特殊召喚できる。この方法による「輝白竜 ワイバースター」の特殊召喚は1ターンに1度しかできない。(1):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「暗黒竜 コラプサーペント」1体を手札に加える。
モンスターゲート:通常魔法
自分フィールド上のモンスター1体をリリースして発動する。通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキをめくり、そのモンスターを特殊召喚する。それ以外のめくったカードは全て墓地へ送る。
ライトロード・マジシャン ライラ 光属性 ☆4 魔法使い族:効果
ATK1700 DEF200
(1):自分メインフェイズに相手フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。自分フィールドの表側攻撃表示のこのカードを守備表示にし、対象の相手のカードを破壊する。この効果の発動後、次の自分ターンの終了時までこのカードは表示形式を変更できない。(2):自分エンドフェイズに発動する。自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。
闇の誘惑:通常魔法
(1):自分はデッキから2枚ドローし、その後手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地へ送る。
シャドール・ビースト 闇属性 ☆5 魔法使い族:効果
ATK2200 DEF1700
「シャドール・ビースト」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。(1):このカードがリバースした場合に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。その後、手札を1枚捨てる。(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
和輝LP4050→3650手札1枚
ゲイルLP5500手札5枚(妖仙獣 辻斬風、妖仙獣鎌壱太刀、妖仙獣鎌弐太刀、妖仙獣鎌参太刀、魔妖仙獣 大刃禍是)
「オレのターンだ、ドロー!」
ターンはゲイルに移る。和輝のベットは終わった。後は駆けの結果を待つだけだ。
と、ゲイルがドローカードを確認した瞬間、哄笑を上げた。
「カハハハハハハハハ! すげー、すげーぜ! ご機嫌すぎらぁ! そうだよなぁ、これは神々の戦争! これがオレの手元に来るのは必然だよなぁ!」
上体をそらして哄笑を続けるゲイル。その反応から、和輝は賭けに勝ったと確信した。
「さぁまずはこいつだ! ペンデュラム召喚! 来やがれ妖仙獣 鎌壱太刀、鎌弐太刀、鎌参太刀! そして魔妖仙獣 大刃禍是!」
再びゲイルのフィールドに四体ものモンスターが現れる。これで彼のモンスターは五体。和輝を押し潰すには十分といえる。
「大刃禍是効果発動! テメェの場にセットされてる三枚のうち右と真ん中を手札に戻すぜ!」
バウンス効果。だが和輝もこれは予測のうちだ。即座に反応し、デュエルディスクのボタンを押した。
「チェーンして、リバースカードダブルオープン! ダメージ・ダイエット、因果切断!」
和輝の場に伏せられたカードが、今まさに大刃禍是によってデッキへと飛ばされそうになった二枚ともが翻る。
発動したのは、一枚はこのターンのダメージを半減する罠、もう一枚は――――
「因果切断の効果! 手札を一枚捨て、閻魔巳裂を除外する!」
カーンという甲高い音がフィールドに響く。そして、ふと見れば閻魔巳裂の上半身がまるで削りと高のように抉れてなくなっていた。
「さらに捨てたカードは代償の宝札。その効果によって、二枚ドロー!」
「やるじゃねーか。閻魔巳裂除去するだけじゃなくて、コストを逆用、手札を増やしやがるとはな」
楽しげに笑うゲイル。が、ゲイルはここで終わらせるつもりはなかった。そう、何せこれは神々の戦争。主役が登場しないデュエルはつまらない。
「ご機嫌だぜ。オレもとっておきを見せてやるよ。まずは鎌壱太刀の効果! ライラをデッキバウンス!」
ライラの姿が消えていく。和輝にとっては予想通りだ。これは仕方がない。
「オレは鎌壱太刀、鎌弐太刀、鎌参太刀の三体をリリース!」
三体のモンスターが白い光の粒子となり、溶けるように消えていく。
「さぁ、出番だ。滅ぼせ侵せ! 熱病の風魔神パズズ!」
三体のモンスターは新たな、神々しい力を呼び込む「門」となる。
門が開かれ「場」が形成され、力が大きくは溢れていく。
そして顕現する神。
見た目はデュエル前にファミレスで見たのと同じ。
ライオンの頭と腕、背中に四枚の翼、蠍の尻尾。ギラギラと憎悪と欲望に染まった
パズズ。かつては熱病と風の厄神、またはそれらから家を守る守り神。そして、悪魔に貶められてしまった悪霊の王。
「――――神が来たか!」
和輝は目の前の存在から放たれる想像を絶する
「さて、ワタシの召喚によって、場は傾いたかな?」
パズズは周囲を見渡して、そして和輝を見下ろしながらそう言った。和輝は息を呑んだ。ただ目を向けられただけで心臓を締め付けられる。
神との相対。どうしても人は萎縮してしまう。
ただ、この展開は和輝が望んだ通りでもあった。
神々の戦争の脱落条件は、神が死ぬか、パートナーの胸の宝珠が破壊されること。ただデュエルで勝っても意味はないのだ。
なので下級モンスター複数による、一撃一撃が軽い攻撃よりも、神によるより広大で大威力の一撃で宝珠を砕くことを目的として、神を召喚する。そんな選択肢も出てくる。
そして、ゲイルのように力に魅せられたならば、手に入れた力を誇示するために、神をドローすれば召喚すると和輝は踏んだのだった。例え、攻め手を大きく減らしても。
「バトルだ! 大刃禍是でダイレクトアタック! ダメージステップに、手札の妖仙獣 辻斬風効果発動! 大刃禍是の攻撃力を1000アップ!」
まず動くのは風の巨獣。その首をそらし、口内から竜巻を放つ。
ダメージ・ダイエットのおかげで威力は先ほど見た時と比べるとちょうど半分ほど。ただ、和輝は最初の大刃禍是のダイレクトアタックによって足にダメージを受けていた。おかげで機動力が大きく下がっている。
だから和輝はあえて逃げようとせず、ただ攻撃に対して背中を向け、宝珠を抱きこむ様に体を丸め、覚悟を決めた。
衝撃。上から押しつぶされる重圧と全身を引き裂かれるような衝撃が和輝を襲った。
「があああああああああああああああああああ!」
歯をくいしばっても、口の間から苦痛の声が零れ落ちる。
だが、宝珠は守り切った。意識も、苦痛が激しかったおかげで途切れていない。
「終わりだぁ! パズズでダイレクトアタック!」
「はああああああああああああああああああああああああ!」
だから、続く神の一撃にも反応できた。
「――――墓地の、タスケルトンの効果発動! このカードを除外し、パズズの攻撃を無効にする!」
和輝の墓地から黒い豚のようなモンスターが飛び出した。豚が、パズズが放った赤い風を受け止める。
轟音。そして、触れただけで火傷しそうな熱風が辺りを荒れ狂い、周囲の建物、その外壁の塗装が次々と蒸発し、コンクリートまで変形していく。
「ぐううううううううううううううう!」
和輝には熱風は直接届いていない。タスケルトンが、皮膚が焼け肉が溶け、骨だけになっても彼を守ってくれているからだ。
だが周囲の状況は悲惨の一言に尽きた。アスファルトの表面が泡立ち、溶ける。そんな光景は生まれて初めて見た。
「大丈夫だ和輝。パズズの攻撃は君まで届かない」
ロキの台詞が耳に入る。分かっていても肝が冷える。ゲイルは舌打ちしたが、パズズは笑ったままだ。
「しゃーねー。バトルフェイズ終了。この瞬間、パズズの効果発動だ!」
「このタイミングでだと!?」
驚愕に目を見開く和輝に対して、パズズは「我が病を受けるがいい!」と両腕を広げた。嫌な予感がひしひしとする。
ゲイルの声が飛ぶ。
「パズズが攻撃を行ったバトルフェイズ終了時、相手のライフを半分にする!」
「な――――」
疫病の風。絶句する和輝。同時にその身体に異変が起こった。
寒い。そして熱い。意識がもうろうとし、視界が定まらない。今自分が立っているのか、それとも倒れているのかすらも分からない。
パズズの病。その効能。モンスター効果が、実際に体に影響を及ぼし始めている。
「和輝! 気をしっかり持つんだ!」
「!」
ロキの叱咤に、一瞬和輝の意識が覚醒する。
その一瞬に、動いた。
「その、効果に、チェーン! リバーストラップ、活路への希望! 1000ライフを払い、ライフ差2000ポイントにつき、カードを、一枚ドロー! 俺とお前のライフ差は4850! これで、カードを二枚ドロー!」
和輝が、希望を求めてカードをドローする。次の瞬間にパズズの効果が執行。活路への希望発動で減った和輝のライフがさらに半減する。
「か……ッ!」
辛うじて二本の足で立つ和輝。その様子にロキはほっとしたように一息吐き出し、パズズが不満そうに鼻を鳴らした。
「不機嫌だぜこいつは。ターンエンドだ」
エンドフェイズ、大刃禍是は自身の効果で手札に戻った。
ダメージ・ダイエット:通常罠
このターン自分が受ける全てのダメージは半分になる。また、墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、そのターン自分が受ける効果ダメージは半分になる。
因果切断:通常罠
手札を1枚捨てて発動できる。相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択してゲームから除外する。この効果によって除外したモンスターと同名のカードが相手の墓地に存在する場合、さらにその同名カードを全てゲームから除外する。
代償の宝札:通常魔法
(1):手札からこのカードが墓地に送られた時に発動する。カードを2枚ドローする。
熱病の風魔神パズズ 神属性 ☆10 幻神獣族:効果
ATK3500 DEF3300
このカードは特殊召喚できない。このカードは3体のモンスターをリリースしてのみ通常召喚できる。(1):このカードは神属性、幻神獣族モンスターの効果以外のカード効果ではフィールドを離れず、コントロールも変更されない。(2):このカードが相手のカードの効果を受けた時、エンドフェイズにこのカードに対するそのカード効果を無効にする。(3):このカードが攻撃を行ったバトルフェイズ終了時に発動する。相手プレイヤーのライフを半分にする。(小数点以下切り捨て)(4):???
妖仙獣 辻斬風 風属性 ☆4 獣戦士族:効果
ATK1000 DEF0
「妖仙獣 辻斬風」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。(1):自分の「妖仙獣」モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から捨てて発動できる。その自分のモンスターの攻撃力はターン終了時まで1000アップする。(2):フィールドの「妖仙獣」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで1000アップする。(3):このカードを召喚したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを持ち主の手札に戻す。
タスケルトン 闇属性 ☆2 アンデット族:効果
ATK700 DEF600
モンスターが戦闘を行うバトルステップ時、墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。そのモンスターの攻撃を無効にする。この効果は相手ターンでも発動できる。「タスケルトン」の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
活路への希望:通常罠
自分のライフポイントが相手より1000ポイント以上少ない場合、1000ライフポイントを払って発動する事ができる。お互いのライフポイントの差2000ポイントにつき、自分のデッキからカードを1枚ドローする。
和輝LP3650→1650→650→325手札4枚
ゲイルLP5500手札1枚(魔妖仙獣 大刃禍是)
「俺のターンだ、ドロー!」
神は強力だ。場にいるだけで感じる圧倒的な圧力、存在感。自分がちっぽけな虫けらになったようにさえ思える。
心を折りに行くその存在感。だが、神は必ずしも無敵ではない。より高い攻撃力を持ってすればただのモンスターでも打倒可能だ。
そう思っていた和輝の心の隙間に割り込むように、ゲイルの声が届いた。
「テメェがカードをドローしたこの瞬間! パズズのもう一つの効果発動だ!」
「ドローフェイズに発動する効果だと!?」
目を見開く和輝。直後、彼がドローしたカードにまとわりつくように、赤い影が現れた。
「これは――――」
「相手がドローフェイズにカードをドローした時、そのカードを確認し、それが攻撃力1500以下だった場合、破壊し、その攻撃力分のダメージを与える。それがワタシの効果だ」
カードにまとわりつく赤い影を引き剥がそうともがいていた和輝の耳に、パズズの声が聞こえてきた。
「魔のデッキ破壊ウイルス効果に加えてバーンダメージだと? 理不尽すぎるだろ……」
言いながら和輝はドローしたカードに目を向けた。
まだカードを確認していないカード。もしもこのカードが攻撃力1500以下で、なおかつ攻撃力325以上だった場合、和輝の敗北が決定する。
(糞が! せっかく、攻略のカードが手札に揃ったってのに……ッ!)
ここが最後の勝負の分かれ目だ。和輝はゆっくりと、ドローしたカードを表にした。
「――――死者転生。魔法カードなため、パズズの効果対象外だ」
和輝はほっと息を吐く。見ればカードにまとわりついていた赤い影も消えていた。
「よし。これでいける! 魔法カード、闇の量産工場発動! 墓地のブラック・マジシャンとガード・オブ・フレムベルを手札に加える。
そしてこれが勝利の鍵だ! 魔法カード、融合発動! 手札のブラック・マジシャンとバスター・ブレイダーを融合!」
「ここにきて融合だと!?」
ゲイルが目を見開いた。パズズもまた、身をかがめ警戒体勢をとった。
和輝のフィールド、その頭上の空間が捻じれ、渦となる。その渦に、ブラック・パラディンとバスター・ブレイダーの二体が飛び込んだ。
「黒衣の魔術師よ、竜破壊の剣士よ! 今一つに交わり龍殺しの超戦士へと変じよ! 融合召喚! 出でよ超魔導剣士ブラック・パラディン!」
渦の中から光があふれ、一体のモンスターが現れた。
ベースはブラック・マジシャン。ただその黒衣はところどころにバスター・ブレイダーの鎧と思われる意匠が施されており、手にした杖もまた、竜破壊の剣へと変じていた。
「ブラック・パラディンは全てのプレイヤーのフィールドと墓地にあるドラゴン族の数×500ポイント攻撃力がアップする。この条件に合致するのは、俺の墓地にある四体のドラゴン族のみ。よってブラック・パラディンの攻撃力は2000アップする!」
攻撃力4900。パズズの攻撃力を超えている。
「馬鹿な……、こんなことあるわけねぇ!」
ほとんど勝利を確信していたゲイルは表情を硬直させて二、三歩後ずさる。
「ワタシを……、神を……ただのカードが超えるか!」
「神だからって過信したな。一つ言っておく、日本じゃあ神殺しなんて珍しくもねーよ。フィクション限定だがな。
バトル! ブラック・パラディンでパズズを攻撃!」
「くお!」
パズズの翼がはばたかれ、熱望の病をまとった赤い風が吹き上げる。が、
「病風を切り裂け、ブラック・パラディン!」
和輝の叫びが轟き、ブラック・パラディンが手にした剣を一閃。赤い風を切り裂いていく。
切り裂きの力はパズズ本体にも届く。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
神の断末魔。頭頂部から股間に至るまでを真っ二つにされたパズズの身体が上下に
「か――――――――」
瞬間、その内部からエネルギーが放出。突風という形をとって荒れ狂う。
爆発。直近の爆発に、ゲイルの身体が翻弄される。
「がああああああああ!」
ふっとばされるゲイル。その身体がゴロゴロと地面を転がる。
だが和輝のモンスターはブラック・パラディンのみ。これで攻撃は終わりだ。
そう思ったゲイルの眼前に、和輝が発動した速攻魔法が飛び込んできた。
融合解除。ブラック・パラディンの姿が光の包まれて二つに分離、光が晴れたそこには、ブラック・パラディンとバスター・ブレイダーの姿。
「あ―――――」
「バスター・ブレイダーでダイレクトアタック!」
和輝の攻撃宣言を受けて、バスター・ブレイダーが疾駆。手にした大剣を刺突の形にし、肉薄。狙いはゲイルの宝珠。ゲイルも狙いを察知するも、すでに体のバランスが崩れているため、躱せない。
「くそがぁ!」
叫びながら両腕を宝珠の前でクロスさせ防御。その防御の上に、バスター・ブレイダーの刺突が炸裂。
質量を持つとはいえ
「ぐ……」
ガードを崩され、かち上げの勢いで背中から地面に倒れこんだゲイル。起き上がろうとしたその身を抑えるように、ブラック・マジシャンの杖の先端が宝珠へと突き付けられた。
完全な詰みの状態だ。
「あ、や、やめ――――」
「ダメ押しだ。ダメージステップ、墓地のスキル・サクセサー効果発動。ブラック・マジシャンの攻撃力を800アップ」
ゲイルの懇願はあっけなく無視される。
直後、ブラック・マジシャンが杖から黒い雷を放った。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!」
宝珠が砕け散る。断末魔のようなゲイルの叫びがどこまでも響いた。
熱病の風魔神パズズ 神属性 ☆10 幻神獣族:効果
ATK3500 DEF3300
このカードは特殊召喚できない。このカードは3体のモンスターをリリースしてのみ通常召喚できる。(1):このカードは神属性、幻神獣族モンスターの効果以外のカード効果ではフィールドを離れず、コントロールも変更されない。(2):このカードが相手のカードの効果を受けた時、エンドフェイズにこのカードに対するそのカード効果を無効にする。(3):このカードが攻撃を行ったバトルフェイズ終了時に発動する。相手プレイヤーのライフを半分にする。(小数点以下切り捨て)(4):相手がドローフェイズにカードをドローした場合に発動する。そのドローしたカードを確認し、そのカードが攻撃力1500以下のモンスターカードだった場合、そのカードを破壊し、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。
闇の量産工場:通常魔法
(1):自分の墓地の通常モンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。
融合:通常魔法
(1):自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
超魔導剣士―ブラック・パラディン 闇属性 ☆8 魔法使い族:融合
ATK2900 DEF2400
「ブラック・マジシャン」+「バスター・ブレイダー」
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。(1):このカードの攻撃力は、お互いのフィールド・墓地のドラゴン族モンスターの数×500アップする。(2):魔法カードが発動した時、手札を1枚捨てて発動できる。このカードがフィールドに表側表示で存在する場合、その発動を無効にし破壊する。
融合解除:速攻魔法
フィールド上の融合モンスター1体を選択してエクストラデッキに戻す。さらに、エクストラデッキに戻したそのモンスターの融合召喚に使用した融合素材モンスター一組が自分の墓地に揃っていれば、その一組を特殊召喚できる。
ブラック・マジシャン 闇属性 ☆7 魔法使い族:通常モンスター
ATK2500 DEF2100
バスター・ブレイダー 地属性 ☆7 戦士族:効果
ATK2600 DEF2300
(1):このカードの攻撃力は、相手のフィールド・墓地のドラゴン族モンスターの数×500アップする。
スキル・サクセサー:通常罠
自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで400ポイントアップする。また、墓地のこのカードをゲームから除外し、自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。選択した自分のモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで800ポイントアップする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できず、自分のターンにのみ発動できる。
ゲイルLP5500→3100→600→0
「馬鹿な馬鹿な馬鹿なぁああああああああああああああああああああああ!」
最後までこの結果が信じられないというような断末魔を上げて、パズズが消えていく。
パズズの完全消滅と同時に、バトルフィールドも消失。二人は現実の空間へと帰還した。
「ひ……」
和輝を見るゲイルの瞳にははっきりと恐怖の色が浮かんでいた。
ゲイルは和輝から逃げるように距離をとり、しまいには耐えきれずに
「彼は力に魅せられて好き勝手やってきた。だからいざその力を取り上げられたとき、同じような力を持っている君をとても怖く思ったんだろうね」
ロキの説明に和輝は頷いた。そしてふと思った。
パズズ。人の手によって神から悪魔へと貶められてしまった存在。彼は一神教の人間に対して強い憎悪を抱いていた。
ならば、同じく人の手で邪神として語られてしまっているロキは、何を思うのだろう。
「ロキ、お前は、お前を邪神として伝えている人間が、憎くはないのか?」
だから聞いてみた。この質問が、ひょっとしたら和輝とロキのパートナー関係に亀裂を入れるのではないかと思いながら、それでも聞かずにいれなかった。
だが和輝の深刻さに反して、ロキはあっけらかんと「いーや」といった。
「ボクが邪神であることはボク自身も自覚していることだからねぇ。自分の意志に反して悪魔にされてしまったパズズとは事情が違う。それにボクは人間が大好きだし、北欧神話におけるボクの立ち位置を気に入っているんだ」
「え?」
疑問符を浮かべた和輝に対して、ロキは笑顔でこう言った。
「神々をひっかきまわして回るトリックスター。北欧神話というストーリーを進める狂言回し。格好いいと思わないかい?」
子供じみた台詞に、和輝は思わず吹き出していた。