文字通り絵に描いたような、あくまでドラゴンメインの高校生活   作:ぐにょり

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三十七話 それは祭りのエスコート

古い歌の歌詞にある通り、夏休みはやっぱり短い。

私だって、元猫魈の悪魔ではあれど、年頃の少女なのだから、やりたいことは沢山有り過ぎる位にはある。

しかも、部長の里帰りに付き合わなければならないから、この世界で過ごせる夏休みは更に短い。

……そういう意味では、夏休みの数少ない個人で自由にできる時間を、読手さんと共有して過ごす、というのは、悪くない選択肢だったと思う。

 

部のみんな、グレモリー眷属のみんなと過ごす時間とはまた異なる友人との時間は、今までの人生の中では考えられなかった様な充実感を感じる事ができた。

たぶん、私が一人で自由な時間を消費しようと思ったら、もっとどうでもいい時間の使い方をしてしまっていたんじゃないかと思う。

それはそれで悪くない過ごし方だとは思うけれど、やっぱり誰かと過ごす時間には別の楽しみがある。

やりたいことを全部詰め込んでいる訳でもなく、誰かと時間を共有するからこそ共にどう動くか考える事ができる。

誰かと過ごす事を念頭に置いたスケジュールの作り方。

充実して、でも忙しくない時間。

そんな素敵な時間を送れたのは、間違いなく読手さんのお陰だ。

 

だから、だろう。

少し気が緩んでいたというか、考えが足りなくなっていたというか。

実際に来るまで、こういう気持ちになる事を予測できなかったのは、もしかしたら読手さんの長期的な罠にハマっていたのかもしれない。

 

「どうしました? お腹すきましたか? ……あ、あっちに大阪焼きの屋台がありますよ」

 

彼のデリカシーに欠ける、しかし、普段の付き合いで私が見せている一面からすれば仕方ないと諦めざるを得ない反応に項垂れる。

それでいて彼の、読手さんの言葉もあながち的外れという訳ではなく、私の割と鋭敏な嗅覚は粉物の焼ける匂いとソースの香りを察知して、丁度空っぽになっていた胃袋を刺激してきた。

……考えてもみれば、別に読手さんに何かしらの罪がある訳でなし、ここで溜息を吐いて空気を悪くする事も無いだろう。

 

「じゃあ、最初はそれにしましょう。……具は選べるタイプですか?」

 

威勢のいいテキ屋の掛け声、通行人の喧騒、祭り囃子を聞きながら、財布を取り出しつつ、読手さんの示した屋台へと向かう。

からころと聞き慣れない音を立てる自分の足音を聞きながら、私の頭は今日の始まり、一緒に遊びに行く一週間、その最後の一日の始まりを思い出していた。

 

―――――――――――――――――――

 

「隣町、ですか?」

 

『そうですそうです』

 

電話口から聞こえる軽い口調の肯定。

オカ研、つまりグレモリー眷属の中で私はギャー君と並ぶ後輩組で、こういう口調で話す相手は居らず、当然電話口の相手は読手さんだ。

時刻は朝の九時。

最終日で、なおかつ私が翌日から冥界に向かう事を考え、何時もよりも遊ぶ時間は短めにしよう、という事で、今日は昼に集合という約束になっていた。

だからこそ、今の時間に行き先を告げておくというのは別におかしなことでは無いとは思うのですが。

 

「隣町……って言っても、何かありましたっけ」

 

大きなショッピングモールがあるのは知っているけれど、別にわざわざ遊ぶ時間の短い最終日に行く程珍しいものが在るわけでもない。

映画やゲーセン、スイーツショップ、その他買い物にしたって、今わざわざ行かなければならないものでもない。

……別に反対、というわけではなくて、なんでわざわざ隣町なんだろう、という純粋な疑問ではあるのですが。

 

『いえね? 実は今日、隣町の方だと、縁日があるんですよ』

 

「おお」

 

思わず感嘆の声を上げる。

縁日。

ここ一週間で夏休みらしい遊びはかなりこなした方だと思っていたけれど、ここで群を抜いて夏っぽいイベントに遭遇できるとは。

なにより、このタイミングで、夏休みの序盤で縁日に行けるというのが驚きです。

別に詳しい開催の時期を知っている訳ではないですが、もっと8月の中旬とかにやるものだとばかり思っていました。

 

「いいですね」

 

『いいでしょう? だから今日はその時間に合わせて遊びに行きたいんですが、どうですか?』

 

「そうで──」

 

そのまま了承しようとしたところで、キャッチが入った。

無視、しようにも、今掛けてきたのは部長であるらしい。

できればもう少しぐだぐだと話を続けたい気持ちもあるけれど、緊急性の高い話だったりしたら大変だ。

仕方がないので、とりあえず手短に返事だけを済ませてしまおう。

それこそ、隣町の縁日に行くの位は何の問題も無いのだから。

 

『キャッチですか、一端切ります?』

 

「いえ、大丈夫です。行きましょう。時間は、夕方くらいですか」

 

『ええ、それくらいに始まるらしいので。五時頃に向こうに到着すれば大丈夫な筈ですから、電車でもバスでも問題なく行けると思いますよ』

 

「じゃあ、それで。……楽しみにしてますね」

 

『ええ、此方も楽しみにしています』

 

通話を切り、そのままキャッチに出る。

まぁ、部長に話は通っているから、余程のことがない限り、予定を潰すような事は言ってこないでしょうが……。

 

―――――――――――――――――――

 

「罠だったんへふ(です)かね」

 

屋台のある通りから少し離れた場所で、階段に座り込み、割り箸で半分にカットした大阪焼き(今川焼きの型を使って焼く粉物のしょっぱい系の料理。中に海鮮系、もしくは豚肉などを入れ、ソースを掛けて食べる)を食べながら、ふとそんな事を口走る。

 

「何がですか?」

 

同じく大阪焼きを頬張りながら何故か普段通りに声を出している読手さんに『なんでもないふぇふ(です)』と返しながら、もう半分を口に運ぶ。

急がなくていいから、一度イッセーの家に来てくれないかしら、と部長に言われ、言われるがままにホイホイと向かったあの時点で油断は見えていた気がする。

冥界に行った後にどうするかの軽いスケジュール確認と旅の栞の配布など、一見してそれらしい内容の集まり。

イッセーの家に一杯部屋作ったけど、小猫は引っ越すつもりは無いわよね、など、なんで今さら大分前に断った話まで持ち出すのかと思えるような話までしてきた時点で警戒出来なかったのも惜しい。

 

「……アーシア先輩って、天使ですよね」

 

「まぁ、悪魔ですけどね。言っちゃえば天使より余程天使でしょう」

 

うんうんと頷く読手さんに、私も頷き返す。

そう、アーシア先輩は天使だった。

本人は何も知らされていなかったに違いない。

昼から始まったオカ研の集まりも終盤に差し掛かった頃、夕方四時を前にして『そろそろ行かないと遅れるかな』と時計を見た時だったでしょうか。

部長に頼まれて、コーヒーのおかわりを持ってきたアーシア先輩。

そのアーシア先輩が丁度私の前に来た辺りで、偶然にも、そう、恐ろしい偶然にも、アーシア先輩の脚を引っ掛けるような位置に脚を伸ばしていた祐斗先輩。

さして運動能力の高くないアーシア先輩がコケた事も、それでこぼれたコーヒーを避けられない程に緩んでいた私にも、特に罪はないと思う。

 

「……ところで読手さん、実は部長って悪魔だったんですよ」

 

「あー、頭脳派気取っておいて割と抜けてるとこがある辺り、人間の読み物に出てくる間抜けな悪魔っぽくはありますよね。リアル悪魔でもありますけど」

 

確かに部長は抜けている所もある。

でも、彼女の本質はきっとそこには無い。

都合四杯程のアイスコーヒーを纏めて被った瞬間の私が見た、あの光景。

脚を伸ばしながら申し訳無さそうにしている祐斗先輩。

そしてその向こうで小さくガッツポーズを取っている部長。

リアスったら仕方がないわねぇ、みたいな顔で、翌日忘れないようにとイッセー先輩の家に他の荷物と一緒に預けていた筈の浴衣を既に手にしていた副部長。

なんていうか、ギルティだと思う。

 

「……悪魔に対応してくれるオー人事ってありませんかねぇ」

 

割と真剣に、同僚はともかくとして、上司は変えたいと思っても仕方がないのではないだろうか。

私と読手さんを何故かくっつけたがっている、というのは、まぁわかる。

私にその気がないと何度言っても聞かないのは照れ隠しだと思っているのかもしれないし、逆の立場ならそう見えても仕方がないんじゃないかなとは薄々思っている。

人付き合いの多くない私が、常日頃から付き合いのある、異性の友人。

意識しているんじゃないか、と思われるのは、もう仕方がない事だと諦めるしかない。

有名税とかそういうものだ。

異性の友人と付き合う上では背負わなければいけないリスクの一つだろう。

だからといって、最終日に浴衣を着せて会いに行かせる為に、部下の服をコーヒー塗れにするだろうか。

 

「いやぁ、上司なんて余程当たりを引かない限りは何処も一緒ですって」

 

「ニンジャもそういうものですか?」

 

「雇われじゃない組織仕えの忍者は負け組なんて言われる時代ですからね。時代はハグレモノで大企業の契約社員で定年フィニッシュですよ」

 

言っている事は詳しく分からないけど、読手さんはそれなりに自由な勤め方をしている、という事だろうか。

すこしばかり羨ましい。

羨望の目で見つめようと顔を上げるより早く、視界に読手さんの手が入り込んできた。

私の膝の上、手元にあるのはからになった大阪焼きの入れ物だけ。

ゴミを捨ててきてくれるのかな、と、思っている間に、何を持つでなく空けていた手を握りしめられた。

そのまま、引っ張りあげられるようにして立ち上がる。

 

「え、え?」

 

「辛気臭い話は止しましょう。ほら」

 

戸惑う私に、読手さんは屈託のない笑顔で屋台の並ぶ通りを指し示す。

町内会総出で行われているらしい祭りは、それなりに多くの屋台が並び、人もまぁまぁ溢れている。

如何にもお祭り、という、楽しげな雰囲気だ。

 

「今日はお祭り、せっかくなんだから、楽しんで行きましょうよ。普段の事は全部、後回しにして、ね?」

 

瞼を閉じたまま、読手さんが笑う。

いつも通りの笑み。

でも、暗がりの中、屋台の光をバックにした読手さんの笑顔は、なんだか……。

 

「ああ、もうっ」

 

言いたいことは山程ある。

元気付ける為だっていうのはわかるけど、そういう仕草を誰にでもするものじゃない、とか。

ちょっとばっかり距離が近い、だとか、

でも、まぁ。

言ってしまえば、彼の言うとおり。

今日は祭りで、祭りの日にそれ以外の事で思い悩むものじゃない、のかもしれない。

祭りの作法なんて詳しく知らないけど、たぶん、そういうものなんだろう。

だから、握られている手を握り返して。

引かれていた手を、少し小走りになりながら引き返す。

 

「そこまで言うなら、今日はとことん付き合ってくださいよ」

 

屋台と提灯の明かりの中に駆け出す。

こうなったのなら、とことん、今日の祭りを楽しんでやりましょう。

 

―――――――――――――――――――

 

と、言っても、祭りに誰かと二人で来た事がある訳でもなく。

楽しむと言ってもせいぜいが食べ歩きくらいで、後は勢いに任せるしか無いんじゃないかなぁという不安もあったりした訳ですが。

 

「……………………」

 

水槽の中でひらひらとした尾びれ背びれを揺らしながら泳ぐ魚を目で追う。

別に、ついつい目が追ってしまう訳ではないのです。

勿論私だって猫の妖怪でもあるわけで、そういう狩猟本能的なものが無いとは言いませんが、何しろほら私現代社会に生きる文明人ですのでそういうのホント極わずかっていうか。

 

「すみません、とりあえず一回」

 

「はい、まいどぉ」

 

しゃがんでビニールプールの中を覗きこんでいた私の頭上でそんなやり取りが行われ、ポイとおわんを渡され、狙いを定める。

……定めた所で辛うじて気付いた。正気に戻ったとも言う。

 

「……やりませんよ?」

 

別にやりたい空気を出していたつもりも無いし、金魚すくいの代金を代えてもらう謂れもない。

 

「またまた、ご冗談を」

 

手のひらをぱたぱたと前に振りながら笑う読手さん。

笑われたのは少し不快だけど……、うん、実は少しやってみたかった。

というか、思い出して見ればポイを受け取る直前の手は鉤爪のようなハンティングスタイルになっていたような気もする。

……いや、これも仕方がないことなのかもしれない。

逃れ得ぬカルマというか、私まだ未熟な育ち盛りだから本能が理性を凌駕しちゃうのもあるっていうか。

こんな思考をしつつ、私の視線はさっきからひらひらと無駄に豪華なヒレを揺らめかせている大物を追っている。

 

「もうちょい小さいの狙ったほうが良くないですか?」

 

「大丈夫、大丈夫ですって」

 

何しろほら、私は俊敏な猫の妖怪で悪魔に転生することで運動能力も抜群に強化されている。

良くテレビだのなんだので金魚すくいのコツがどうとか言っているけど、そんなつまらない理屈は圧倒的身体能力と狩猟者の本能で凌駕してしまえるのだ。

当然、こんな脆いポイを使ったからって失敗するはずが……。

 

「やっ」

 

……。

失敗するはずが……。

 

「えいっ」

 

………………

まぁ、偉そうなヒレが付いてるだけあって大した回避能力です。

でも、そんなもの私が本気を出せば……!

 

「んにゃっ!」

 

…………。

……………………。

……………………………………。

 

「はーい、残念だったねお嬢ちゃん、もっかいやるかい?」

 

―――――――――――――――――――

 

「はっきり言ってウチのシマじゃノーカンですから」

 

何が悪いってまずポイが悪いんですよポイが。

水に叩きつけると破れるし。

叩きつけなくても魚乗っけたら破れるし。

 

「いや、だってそういうゲームですし……ああ、ええ、なんでもないです」

 

内心が読まれていたなんて事は些細な事だ。

きっと今の私はなんともわかりやすい顔をしているのだろう。

並んで人混みの中を歩く読手さんは諦めたように苦笑いを浮かべていた。

 

「それよりほら、なんか他にも食べましょうよ」

 

ほら、と指し示された先には、当然の如く色々な屋台が立ち並んでいる。

勿論食べ物以外の輪投げだとか紐クジだとかハッカ笛だとかよくわからないものも並んでいるけれど、まぁ比率で言えば食べ物の屋台がかなり多めに立っている。

思わず涎がジュルリ。

でも、

 

「読手さん、なんだか私の事、食べ物与えてれば機嫌良くなるって思ってませんか?」

 

「思ってない事もないですけど、そこまで単純という訳じゃないんですよね?」

 

「そうですよ。……あ、因みに後半に対するそうですよですからね」

 

「だいじょぶだいじょぶ、わかってますよ。はい串焼き」

 

「ありがとうございます」

 

受け取らず、そのまま読手さんが持った串焼きに齧りついて、先端の肉を幾つか口で串から外して咀嚼する。

うん、決して高い肉を使っている訳ではないだろうけど……美味しい。

焼き方が良いのかタレがいいのか。

雰囲気も味に含まれているのかもしれない。

 

「……! 雰囲気も調味料にしてるんですね、って言ったら、もしかして私詩人じゃありませんか?」

 

「ちょっとそれは難しいですね……」

 

「そうですね……あ、ちょっと待って下さい、さっきの話が途中で誤魔化された気がします」

 

別に、私は食べ物を与えられただけで機嫌が良くなるような意地汚い食い意地のはった子供ではないのだ。

それこそ十代後半、思春期真っ盛りの少女である事を忘れてもらっては困る。

 

「大体、食べ歩くにしても、食べ物系の屋台全部なんて回ってたら途中でお腹いっぱいになって動けなくなると思いませんか?」

 

「お腹いっぱいになるんですか?」

 

「なりませんけど、それはそれなんです」

 

「じゃあ、買ったものを半分こし続ければ大丈夫じゃないですか?」

 

「……やっぱり忍者には天才が多いんですかね」

 

そこに気付くとは、やはり天才……。

 

「まぁ天才で無い場合は大体が修行の途中で死ぬか大怪我するか廃人になるかでリタイアしますからね」

 

「そのガチ返しはちょっとリアクションに困ります……」

 

そりゃ、身体的に劣る人間から読手さんみたいなヤバイ生物に変化するなら、かなり目の大きい篩に掛けられるのだろうけど。

 

「あ、因みにこれ、ゾッとする話に見せかけた優秀アピールなので」

 

「知ってます」

 

などと軽口を交わしつつ、適当に屋台を冷やかしたりメニュー全部買いをしたり。

こうして誰かと一緒に祭りに来てみて解ることの一つは、一人が二人になっても手は二倍なので、調子に乗って買いまくると持ちにくいという事。

対して、口数は二倍どころか二十倍でもすまないという事。

誰かと、気の合う友達と来ると、お祭りはこんなにも賑やかになる。

それが解った今日のお祭りは、とても実り深いモノなんじゃないでしょうか。

 

―――――――――――――――――――

 

ああだこうだと話し、立ち止まり買い食いし、小さな神輿を遠巻きに眺めたりしている内に、落ちるのが遅くなってきていた夕日もすっかり見えなくなり、夜。

祭りはここからが本番、という訳でもなく、神輿や盆踊りも一通り終わり、チラホラと明日に向けて店仕舞いを始めている。

 

「いやぁ、堪能しましたね」

 

「です」

 

半分こできるからと調子に乗って食べまくり、すっかりお腹が膨れてしまった。

カロリー的には運動量を増やせばすぐに消費しきれる程度ではあるけれど、明日の出発時間次第では夜眠るのが苦しくなってしまうかもしれない。

適度な腹ごなしも兼ねて、来た道をゆっくりと、通り過ぎてきた屋台を眺めながら並び歩く。

お腹が一杯になって歩く速度が落ちているのか、食べ物に目を奪われないからなのか、来る時には気にならなかった食べ物ではない売り物を出している屋台がかなり目に留まる。

 

「凄いですね、あの紐クジ、3BSにRS3、OBOX360って、全部引かれたら大損ですよ」

 

「あー……、あれは、ほら……中身、似たデザインの消しゴムとか、ゲームウォッチもどきでですね……」

 

「なんという欺瞞。殺伐です」

 

そして、そういうどうあがいても+にはならないクジを引く客を見ながら悠々と歩いて行くこの爽快感。

これがたぶんランナーズ・ハイって奴ですね。

適度にゆるくなった脳がそんな戯言を吐き出すのを感じていると、

 

「おねえちゃん、がんばって!」

 

「まかせなさい! ぜったい、とってやるんだから!」

 

ふと、一つの屋台に目が止まった。

他の屋台と同じような、祭りの熱気に浮かされた客を騙すのが商売、と言わんばかりの有り触れた射的屋台。

如何にもチープな景品と、その間に並ぶ豪華過ぎてこれ落としようが無いでしょう、という豪華過ぎる豪華景品。

その屋台で、小さな身体に不釣り合いな程に大きいコルク銃を構える少女と、更に小さい、というか、幼い少女。

姉妹だろうか。

反動が来るようなものでもないコルク銃をしっかりと両腕で構えて、引き金を引く。

べしん、という音と共にコルク玉が直撃。

しかし一撃では小動もしない。

続けざまに二発、三発、四発、五発と直撃し、ターゲットだったと思しき二匹セットの猫のぬいぐるみがぐらぐらと揺れ始め……落ち、落ち……た!

 

「やった……!」

 

周りから気付かれない様に小さくガッツポーズ。

自分の事でもないのに、ああいう子供のチャレンジは成功すると嬉しい。

負けても残念と思うだけで実際は痛くも痒くもないから安上がりでもある。

 

「あ、塔城さんも何か当てたんですか?」

 

「いえ私は何も……って、なんですかその袋」

 

景品のぬいぐるみを抱いてはしゃいでいる姉妹から視線を読手さんの声のする方に向け直すと、読手さんが何か内側から押されてごっちゃりした袋を手に下げていた。

 

「いえね、塔城さんが射的の屋台を見たままじーっと動かなくなってしまったので、近場の屋台を荒らして来ました」

 

「……す、すみません」

 

少女スナイパーがじっくり狙いを定める場面を息を殺して観察していたせいで時間を忘れてしまったらしい。

二人で遊びに来たのにすっかり読手さんを放置してしまった。

 

「や、謝られる程でもありませんって。じゃ行きましょうか」

 

促されるまま、その場を立ち去る。

少しだけ振り返れば、射的場の前で幼い姉妹が白猫と黒猫のぬいぐるみを抱えてはしゃいでいた。

 

―――――――――――――――――――

 

もう夜も遅い為か、既に祭り囃子は聞こえず、通行人が生み出す喧騒も少なく、草原に隠れる虫のじぃじぃという鳴き声と、私の履いている下駄のからころという音だけが響く。

何かおかしいな、と思い、会話が無いのだと気付く。

でも、それほど不快じゃあない。

環境音以外に音のない夜道では互いの息遣いが聞こえ、一人でない事を意識できる。

 

「そういえば、射的好きなんですか? さっき見てましたけど」

 

「……いえ、射的はそれほど」

 

じゃあ何故、と思い、子供のチャレンジを見るためかな、と思い、少しだけ違うか、と、想いを改める。

たぶん、だけど。

 

「あの姉妹を、見ていたんです」

 

「お知り合いで?」

 

首を横に振る。

 

「ちょっと、昔を思い出して」

 

昔。

まだそれほど経ってない筈なのに、遠い昔のようで。

でも、それでも、今でも鮮明に思い出せる。

親が死んで、あの人と……黒歌姉様と一緒に生きていたあの頃。

私達は猫の妖怪の中でも上位に位置する猫魈ではあったけれど、早くに死んだ親からは力の使い方を教えて貰えていた訳でも無く、頼るものの無い生活は、文字通り泥を啜って飢えを凌ぐ様な日々だった。

楽しい事なんて殆ど無くて、二人して死にそうになった事なんて何度もあって。

でも、姉様が居た。

あの時の私には姉様が居て、姉様には私が居た。

それだけで、世界は回っていた。

幸せだった。

 

「…………」

 

なんて事を、口にするのもおかしな話だ。

私と読手さんは、互いの深い所には踏み込まないから、友達をやれている。

……そうなると、素直に『姉妹を見ていた』なんて言うのも不味かったかもしれない。

 

今日は楽しかったから。

誰かと二人で居て、満ち足りていたから。

仲の良い姉妹なんてのをタイミングよく見てしまったから。

だから、ふと、思い出してしまった。

余計な事を────

 

「塔城さん」

 

思考を遮るように、普段よりも心持ち強い口調で名前を呼ばれた。

声が前から聞こえるのは、いつの間にか私が立ち止まって居たからか。

 

「すみません、変な事を言って。さぁ、帰りましょう」

 

努めて笑顔で、出来る限り明るく。

……今まで表情や声を作る事が少なかったからか、自分の今の声と表情に自信が無い。

ちゃんと笑えているだろうか、ちゃんと明るく聞こえただろうか。

あまり表情を見られたくない、読手さんよりも前に出るために、早足で歩き、

 

「わっ」

 

ぷつ、という軽い音と共に、前のめりにバランスを崩してしまった。

とっさに更に一歩踏み出し、寸での所で転ばずに済んだが、何故こんな何も無い場所で転んでしまったのだろう。

 

「大丈夫ですか?」

 

「ええ、でも、靴が」

 

足元を見てみると、履いていた下駄の鼻緒が切れてしまっていた。

濡れると切れやすくなる、って聞いたことがあるけれど、もしかしたら、最初に金魚すくいの屋台で少し脚に水をこぼしてしまったのが原因かもしれない。

 

「どうしよう……」

 

下駄の鼻緒を応急修理する話は聞いたことがあるけれど、下駄を履く機会なんてそれほど無いから実際にどう修理すればいいかわからない。

最悪の場合、裸足で帰るか、浮遊(レビテーション)で少し浮いて帰るか、のどちらかになるだろうけど、できればどちらも避けたい所だ。

 

「塔城さん、はい」

 

「はい、って」

 

名を呼ばれ目を向ければ、読手さんがしゃがんで背を向けていた。

 

「……大袈裟じゃないですか?」

 

「別に、そのまま家まで送るなんて言いませんよ。もうちょっと明るいとこまで行って、そこで修理すれば済む話です」

 

「……………………それなら」

 

―――――――――――――――――――

 

「…………」

 

「…………」

 

読手さんに背負われて、夜道を行く。

じぃじぃという虫の音を除くと、殆ど何の音も聞こえない。

自分の下駄の音が無いだけで、さっきよりも格段に静かに感じる。

それでも何も感じないわけじゃなくて、背負われた背中から、読手さんの息に合わせて身体が動く感触と、温かい体温を感じる。

 

「……明るい場所に行かなくても、修理くらい出来るんじゃないですか?」

 

一応一度は納得して彼の厚意に甘える形になったけれど、気恥ずかしさもあり、降りる理由を探す。

 

「そもそも、明るさとか、関係ないじゃないですか」

 

これだ、と思うが、それを言ったらさっきの私もそうだ。

別に、私が作り笑いに失敗していたとしても、この人に見える訳じゃない。

だから、無理に走る必要だって無かったのに。

……たぶん、それだけ慌てていたんだろう。

絶対に見られたくないなんて、相手が目を閉じている事を忘れて思ってしまうくらいに、私は酷い表情をしていた。

それこそ、友達と遊びに来た先でするべきじゃない表情を。

 

「別に此方、明るい場所に行かないと修理できないなんて言ってないですよ?」

 

「……そういえば、そうですね」

 

だからどうしたというのか。

開き直られて、なんと言えばいいかわからず、黙りこむ。

無理矢理にでも降りてしまえばいい、とは思う。

恥ずかしいという気持ちはあるし、背負わせて申し訳ない、という気持ちもある。

でも、不思議な話だけれど、このまま背負われていたい、という気持ちの方が強い気もする。

彼の背中は大きくて、温かい。

……もしかしたら、何時か背負われた姉の背に、彼の背を重ねているのかもしれない。

姉は、彼ほど大きな背中をしていた訳ではないけれど。

 

「今日は、すみませんでした」

 

「? 謝られる様なこと、されてません」

 

唐突に謝罪の言葉を告げた読手さんに、首を傾げる。

思い返してみれば、私の方こそなんだかはしゃぎ過ぎていた為に、結構な迷惑を掛けてしまった気すらする。

謝る筋合いはあっても、謝られる筋合いは無い筈だ。

 

「……実は、塔城さんに浴衣で来て貰えないか、グレモリー先輩に相談してしまったんです」

 

「…………え、え?」

 

何故。

思い浮かぶのはまずそれだ。

今更確認するのも何だけど、読手さんは基本的に瞼を閉じて生活している。

詳しい事情を聞いたことは無いけれど、『見えすぎる』という視覚の異常の為に、ストレスを感じない為に視界を閉じているようにしているらしい。

勿論、目に何かの封印をしているわけでもないから、瞼を開けようと思えばいくらでも開けられる。

でも、彼が日常で自主的に瞼を開ける事は、恋人である日影さんを見る時以外では殆ど無い。

……私に、浴衣を着せたい、という、動機を持つことも無い筈なのだ。

 

「まさか、コーヒーぶっかけて物理的に浴衣を着ざるを得ない様にするとは思わなくて」

 

「いえ、それは読手さんのせいじゃないから、いいんですけど」

 

勿論あの部長の訳知り顔のニヤけ面は忘れないし赦すつもりも無いし何処かで必ず補填してもらうつもりではあるけれど、それはあくまでも部長の落ち度。

私が聞きたいのは、そんな的はずれな謝罪の言葉なんかじゃなくて。

 

「なんで、私に浴衣を着せたかったんですか?」

 

たしっ、と、今まで音になっていなかった読手さんの足音が一歩分だけ響く。

 

「……塔城さんって、こういう時ストレートに聞いてきますよね……」

 

困ったような声と共に、足音はどんどん小さく、さっきまでの無音に近付いて、でも、消えない。

動揺しているのだろうか。

そのまま、小さい足音を響かせながら歩き続け、暫くして、

 

「見てみたかったんですよ。……塔城さんの浴衣姿」

 

ぽつり、と呟くように小さく告げられた言葉。

何で、という言葉は、口に出る前に飲み込んだ。

小さい声で、少しだけいじけているような、拗ねている様な声で告げられた言葉の意味を考えて。

読手さんの、彼の人生が、重ねてきた、今も重ね続けているであろう苦労が、ほんの少しだけ垣間見えた様な気がして。

デリカシーが無いのは、重々承知だけれど────、同情とか哀れみとか、そういう失礼なもの以上に、浮かび上がる感情があった。

勿論、気恥ずかしさもあるけれど、そんなものは、些細な事だろう。

 

「あぁ」

 

多分、読手さんも、こんな気分だったんだろう。

この、頬と耳が熱くなるような感覚も得ていたかは知らないけれど。

自然と口を突いて出る言葉が似るのは、付き合いがだんだんと長くなってきた証拠かもしれない。

目を細め、背中から見える後頭部と横顔に視線を向けながら、デリカシーを道端に投げ捨て、思うがままを口に出す。

 

「読手さんは、かわいい人ですね」

 

私が、特別な衣装を着ている姿を『見たい』と言った彼。

その一言に、目を閉じて、視覚を封じて生きる事を選んだ、これまでの彼の人生の苦難を知らない私が、どれだけの理解を持てているかは分からないけれど。

 

「…………、……左様ですか」

 

何かを言い返そうとして、何も思いつかなかったのか、そんな事を言って黙りこんでしまった読手さんを見て、思う。

ああ、これが普段の読手さんが付き合う私なのか。

面倒面倒と言いながら、面倒な事情を持つ私との友達付き合いを止めない理由が、ほんの少しだけ解った気がした。

 

―――――――――――――――――――

 

そうして、私達は町の貯水池も兼ねた公園にやってきていた。

近くで祭りがあったからか、設置されたゴミ箱には持ち帰られる途中で空になって捨てられた、屋台の食べ物のパックなどが大量に捨てられている。

人が全く居ない訳ではないけれど、それなりに広い公園であるためか、照明の近くにある屋根とベンチのある小屋の骨組みの様な休憩所の周辺には誰も居ない。

 

「はい、出来ました」

 

いざ補修を始めてみれば、出来上がるまではあっという間で。

完全に修理したという訳ではないけれど、五円玉と髪紐を使っての簡易修理は、見た目にもそれほど違和感無く、履き心地も悪く無い。

相変わらず小器用な人だ。

 

「ありがとうございます」

 

こんこんと爪先で地面を蹴り、感触を確かめてから、少しだけ読手さんから離れる。

屋根の下から出て、手すりの先に見えるのは貯水池も兼ねた大きめの池。

普段から手入れがされているからそれなりに清潔で、周囲に一定間隔で設置された街灯のお陰で湖面が僅かにきらきらと輝いている。

素敵な光景だ。

一緒に居る人と、一緒に見れたらな、と思える程度には。

だから。

 

「読手さん。……この浴衣、似合いますか?」

 

少しだけ、踏み込む。

度合いが合っているかはわからないけれど。

『見たい』と思ってくれた、『見たい』と言葉にして告げてくれた彼の一歩に合わせるように。

『見て欲しい』と、言葉にして告げる。

『見て欲しい』と思うから。

 

瞼を開けたい、と、言葉の外で願う彼に。

瞳を見せて、と、言葉の外で私が誘う。

 

「…………」

 

沈黙が痛い。

実の所を言えば、私だって勇気を出している。

今、一歩だけ踏み込んだ『此処』は、彼にとっての聖域だ。

自分を『此方(こちら)』と言う彼の、こちら()あちら(誰か)を分かつ線の先。

爆発しても可笑しくない。

積み上げてきた交流も、私が確かに感じている親しみも、背中を押してくれた友情も、全て無くしてしまうかもしれない。

不安と緊張で心臓は痛いほどに激しく鼓動を刻んでいる。

この心臓の音を聞いて、少しは配慮してくれたらな、と、願いたく成る。

 

「前々から思ってたんですけど」

 

知らず、僅かに彼の顔から逸らしていた視線が、彼の言葉で元に戻る。

眉をハの字にし、安堵するような、困ったような表情を見せる読手さんの瞼は、しっかりと開いていた。

 

「塔城さんって、本当に猫ですよね」

 

「────ええ、私、あくま(悪魔)で猫なんです」

 

悪魔として生まれ変わっても、私が猫魈、猫の妖怪である事に変わりはない。

だから私はたぶん、誰かに攻められるより、自分で攻める方が上手いんだろう。

不安も緊張も、それが晴れた安堵も覆い隠して、不敵に笑えているという自信が何故かある。

攻める側は、攻められる側に弱い所を見せてはいけないんだ。

 

「……そういうとこ以外も、ですよ」

 

「はい?」

 

首を傾げると、読手さんが一歩、二歩と歩み寄って来た。

腕を伸ばせば肘が伸びきる前に手が届く、深呼吸すれば互いの息も届くような距離。

遠い、とも感じれば、近い、とも感じる。

普段、この距離で向かい合う事はそう無い。

しかも、今はこんな場面だ。

少しだけ、少しだけ、安堵で収まりかけていた胸の鼓動が強くなってしまうのを、誰が責められるだろう。

 

「塔城さんは、もう少し、図々しくなっていい。……重い話を聞くくらい、友達なら普通だよ」

 

「う……」

 

姉の話を避けたのを悟られていた。

その遠慮が、友人としては寂しい、という事だろう。

……という推論よりも。

自分に向けられた、敬語でない、馴れた間柄での口調に、私の身体は強く反応していた。

顔が熱い。

 

「これ」

 

ぐい、と、手を掴まれる。

しっかりと触れ合った、互いの手指の感触が良く解る接触に胸が一際大きく高鳴り、少ししてから、何かを握らされた事に気が付いた。

恐る恐る、手のひらの中身を確認する。

 

「……あの、これって」

 

頑丈そうな、でもゴツゴツしていない、高級そうな幅の細い靭やかな革のベルト。

腕時計の様にベルトの中ほどに埋め込まれているのは、黒とも黄金ともつかない、私の知らない不思議な色を湛えた綺麗な石。

魔力とも光力ともとれる混沌とした力が渦巻いている様で、でも、何もかもを飲み込み消し去る虚無の穴の様にも見える。

見たことも聞いたこともない、思い当たる節すら無い奇妙な、でも、間違いなく貴重だと判る石。

 

呪符(おまもり)。明日からの冥界行きの、安全を願って」

 

さっきから続いている強気な口調に、先とは逆に、角度の緩いハの字を上下逆さにした怒っている様な眉。

改めて見てみれば、僅かに顔が赤い気がする。

それに加えて、敬語でないけれど、少し途切れ気味な言葉。

照れているのか、とも思うけれど。

照れながら渡されたからと言って、これは気安く受け取っていいものとは思えなかった。

 

「いや、でも、こんな、高級そうなもの」

 

「素材は手元にあったタダ同然のものしか使ってないよ。でも、効果は折り紙つき。これでもアトラス院上位の直弟子だから」

 

何その追加属性聞いてない。

……という、普段なら即座にできる様なツッコミも出来ない。

それくらい、この短時間で色々と衝撃を受けた。

そんなショック状態から回復するのを待つ様に、読手さんが一歩下がり、天を仰いで大きく息を吐く。

 

「まぁ、お姉さん云々の話は、したくなった時にでも言って下さい。……まぁまぁの友人からは、多少なりとも踏み込み合ってるつもりですので」

 

顔を下ろした時、瞼は閉じ、口調は何時もの敬語に戻っていた。

先までの緊張や照れは見えず、何時もの余裕が見える瞼を閉じた柔らかい笑み。

落胆と安堵を同量感じながら、頷く。

 

「…………何時か、気持ちに整理が付いたら。必ず」

 

私の煮え切らない返事に、読手さんは笑みを深くして、一つ頷く。

そして、まだ戸惑いの中から抜け切れていない私に、当たり前のように手を差し出す。

 

「それじゃあ、帰りましょうか」

 

今度こそ、屈託のない明るい笑顔を浮かべながら告げられる、今日の終わりに向けての誘いの言葉に、

 

「……はい」

 

手を繋ぐことの距離感とか、そういう諸々を一度全て無視して、手を握り返す。

少し蒸し暑いくらいの夜、だけど、握った手の温かさは、不快さとは無縁のものだった。

 

 

 

 

 

 

 




結局似合ってたのか似合って無かったのか
という部分は双方の親密度アップイベントの前には些細な事になる三十七話でした

割と気合入れて書き上げたのであとがきで茶々を入れる気にならない……
ので、ちょっとした説明と前の話に捕捉を

★リアス・グレモリー
実は一週間前からこの日の為に色々考えてた
コーヒーぶっかけはわざと自分に小猫のヘイトを集める為
浴衣が無ければ浴衣姿で祭りに行く事も無かったのに、みたいな理由で主人公にヘイトが向かう可能性を、予め自分にヘイトを集める事で回避した
自分に関わりのない部下の恋愛フラグを育てるのが大好き
自分の恋愛フラグ?
あーあー聞こえないー、とかしてる場合じゃないけど、たぶんまだ余裕がある気でいる

★浴衣
白地に夕顔の模様が入ったそれなりにしっかりした作りの浴衣
因みに前の話の試着の段階では挿絵で見れなかったらしい
関係ないが夕顔の花言葉
・魅惑の人
・夜の思い出
・逆境を克服する力
・罪深い人
・儚い恋
など
主人公が花言葉まで考慮して浴衣を選んだか、考慮したとしてどの花言葉を意識して選んだかは誰も知らない
というか、前の話と今回の話が全編にわたって小猫さん視点なのは、誰も知らない、という扱いにするためという理由でもある
……が、リアス部長的には色々可能性があって面白いわねぇ、という扱い

★関係性
進んだ
それは間違いない
……進んだように見えたよね?
やっぱり場面が飛ばし飛ばしだから微妙に不安
なんかこいつらの感情の変化唐突じゃね?
と疑問に思われた方は、エロゲ・ギャルゲなどで恋愛方面のしっとりした場面で使われるBGMとかかけながら読めば割と誤魔化しが効くと思います
読みなおして不自然な点が無いか確認する時にフェイトのサントラで雰囲気追加したけどかなり誤魔化せました
流石型月サウンド!
つまり優れた音楽で誤魔化す以外に改善法はありません
なにせ今回の描写が現状作者の限界なので……

呪符(おまもり)
腕輪のような、首輪のような、チョーカーのような……
まぁ巻くタイプの装飾品である事は間違いないので問題はない
逆に言えば、付ける側の感情次第で付ける場所を変えていく事も可能
真ん中に混沌カラーの石が付いてるけどへーきへーき

★アトラス院上位の直弟子
ママン直伝とも言う
自己の研究は自己にのみ開示する?
錬金術士が技術開示してるんじゃなくて、息子に手芸教えてるだけですぅー!
という屁理屈が通じる程度には強気に出れるのは、夫の勤め先が持つ強力な力のお陰である
それが権力!
因みにママンはパパンと出会ったエグリゴリに纏わる諸々の事件をきっかけに院に席を戻しているが次期院長候補からは自発的に外れている
研究に関しても主婦業の傍ら、自宅で出来るレベルのものに限る
あくまで主婦重点な

★日影さん
キーの配置位置の関係から稀に火影さんと入力してしまうが卑劣でもネーミングセンス14才でも無い
(別に他の女に手を出しても)ええんやで(最終的にわしのとこに戻ってくるなら、な)
……と、無条件であちこちに手を出す事を許容しているわけではない
実は小猫さんは彼女の設定した『見逃せる相手』の条件に入り込みつつある
初期状態で今回の様な状況に持ってこうとした場合、日影さん直々のインターセプトでイベント自体発生しなかった
三話で主人公が語った彼女との関係性を表す台詞を覚えていると吉



次回からは主人公と小猫さんは別行動ルートに入ります
まぁ……レーティングゲームは原作よりも余程残酷な力量差になっているので、詳しく描写はしないので、そこまで長い話にはならないと思われます
流れ的に主人公の原作行方不明というかそれ原作別じゃねルートと小猫さんのうかれポンチ修行ルートを交互に描写して早めに合流、みたいな予定です
みんなだいすき黒歌さんも出てくるぞ!
因みに、このSSを書き始めた動機の一つが、小猫がまるで黒歌のフラグ完全回収と同時に付いてくるルート回収も好感度上げもお手軽なチョロヒロインみたいな扱いを受けるSSを割と見かけて『あれれぇ、おっかしいぞぉ~?』な気分になった為というのがあります
そんな訳で、
『小猫ルート行ってるんだから、ついでに黒歌もフラグ立てて回収してサブヒロインするよね?』
などという考えはこのSSに限ってのみは確実に通用しない、と、思っていただきたいのです
ついでのフラグ回収、オマケでついてくるヒロインなぞ存在しないのです
ギャー君? ゼノヴィアさん?
それはそれ、これはこれです!
親しすぎる友人や当て馬枠は、フラグ数も管理法も別
いいね?

そんな訳で、次回からは二回か三回位はのんべんだらりと間延びした話が続く中継ぎ回になると思われます
それでも宜しければ、また次回の更新をお待ち下さい

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