文字通り絵に描いたような、あくまでドラゴンメインの高校生活   作:ぐにょり

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五十八話 摩天楼の夜に魔性が栖う

忍者たる者、或いは忍者でなくとも錬金術師たる者、公私は分けて考えなければならない。

趣味を楽しむ為にこそ仕事はきっちりと熟さなければならないし、仕事の中に趣味と似たような楽しみを感じたとしてもそれを主にしてはいけない。

暴力を向けても問題の発生しない相手に対して暴力を振るう事に楽しみを感じたとしても、それが暴力を振るうという行程が必要な仕事である以上、その喜びにばかり気を取られるのはよろしいことではない。

仕事というのは、その業務内容によって生じる自分の感情ではなく、作業の結果産まれた成果にこそ価値があるのだ。

勿論、やりがいを感じるならそれに越したことはないのだが、結果が伴わなければ意味はない。

そういう意味で言えば、今回の仕事はまぁまぁ良く出来た方ではないかと自己評価している。

 

忍者や錬金術師として正規のルートを通しての依頼では無いし、むしろ口止め料として話を持ち掛けたのは此方からなので、顧客が心底望んでいた仕事である、という訳ではない。

だが、結果として見れば、北欧神話大系の神々の世界はこれでかなり安定する筈だ。

此方の作った新しいロキ──別名『イグゥ!さ乙女二式ロキ忍者式エロ改造施術済みくノ一術搭載型』は、その美貌と技術により、北欧神話内部の繋がりを(性的な意味で)強固に結びつける。

 

あれを主軸としてなんとなく思いついた北欧神話勢力ほぼ全員穴兄弟棒姉妹計画により、北欧神話は内に向けて纏まり、現代の人間社会への干渉を弱める事だろう。

更に言えば、計画が順調に進めば、イグ乙女エロ術型ロキはその立ち位置から北欧神話内部の情報を寝物語として常に更新し続ける事ができる。

現時点では人類社会に積極的に干渉している風ではないようだが、神話や怪威、超常から人類の精神が離れつつあるこの時代だ、何時とち狂って他の有害な渡来人の如く邪神に分類される様な状態にならないとも限らない。

外に向かう気力を失わせる為に、内部から静かに腐らせるようにして安定させる事ができるのであればいいのだが、まぁ、そうなれば良いな、という程度だ。

人間社会に対する害悪となる超常存在は数多く存在する。

現時点でそれほど害がない勢力への、それも一介の忍者が全体というか平和の為に打つ一手としては十分過ぎるだろう。

 

口止め料の支払いと非人類勢力への干渉。

更に言えば、無数の記述と忍者式精神改革により此方の支配下にある新ロキが北欧神話勢力内部で繋がり(凸凹的な意味で)を、或いは緩やかな繋がりを持つ派閥の様なモノを作れば、いざという時の戦力や取引材料として申し分ない。

今は借りの、将来的な勤め先、という事でエグリゴリを後ろ盾にしているが、何かの拍子で切り捨てられる事もあれば、此方があちらを切り捨てなければならない、という場合もあるかもしれないし、こういう工作はやっておいて損はない。

一部除く忍者全体の使命を果たしつつ、未来の此方の為の戦力貯金とも言えるものまで積み上げる事が出来たのは間違いなく得難い成果だ。

 

だからこそ、此方は今日は家に帰ってゆっくりとするつもりだったのだ。

仕事中は可能な限り私心と仕事を切り離す以上、仕事が終わったら仕事の内容とはすっぱり頭を切り離してしまいたいし、切り離してしまうべきなのだ。

一仕事終えた心地よい疲労と満足感に浸りながら、さあラジオを聞くか、古本屋で安くまとめ買いできた無限少女Yシリーズでも読むか、明日に支障が出ない程度に日影さんとするか、いや、まずはお風呂かな、と。

そんな呑気を堪能する事を誰が咎められるだろうか。

ここまで、ここまで私情を挟まず忍者業界、あるいは人類全体への利益に繋がる仕事を見事に熟した此方が、仕事を課されている訳でもない私的な時間に寛ぐ事を誰が咎めるというのか。

咎める、邪魔をする物がいるとしたならダルマさんにした後に頭を剃り上げて頭蓋骨上面を切断して中の腐ってないのに腐ってる脳味噌に種を植えておもしろ植木鉢にしてやるべきではないか。

 

「という訳で、今回は邪悪なテロリストの頭蓋骨と脳髄を利用した観葉植物の作成をレクチャーしていきたいと思います。よろしくお願いします」

 

「待ちなさい」

 

何故かグレ森先輩の声が聞こえますね。

空耳です。

 

「今回使うテロリストさんはちゃんと自分から望んでこの道に堕ちた一般社会に繋がりの残っていない個体ですが、誘拐から洗脳されてこのような凶行を行っていた場合は更生の余地があるので止めてあげましょう」

 

「更生の余地が無かったら?」

 

「今回のようにフリー素材として活用しましょう」

「祐斗……!」

 

「すみません部長、つい……」

 

木場先輩を部長さんが咎めているが、そう責めないであげてほしい。

木場先輩は一見紳士に見えて悪党とエクソシストに対しては残虐超人的な振る舞いをする気質があるのだ。

なお、お手元にちょっと高めの生命維持装置が余っている場合は、首から下も切除する事も可能になると思うので、ワンルームで大きい植木鉢は置けない、という方も比較的簡単に導入する事が可能です。

ただ、人間の首から下、内臓部分は機械で再現しようとすると逆に高く付く場合もあり、更に維持費もそれなりなのでちゃんとお財布と相談してから切り離そう。

あと、内臓というか消化器官を残す場合は、点滴だけで生かしておくとしても排泄物の処理の問題があるので、残すも機械化するもデメリットがあるので留意しておきましょう。

 

「あとは……そうですね、手足の切断面を楽しみたい、という場合は、首から下を生理食塩水に近い成分の液体に漬けておくのもいいでしょう。あれです、花瓶の水の中に十円玉入れておくのと同程度には長持ちさせる効果があります。ポカリとかアクエリとかをベースにすると簡単ですね」

 

「お前やめろよ! 運動の後に飲めなくなるだろ?!」

 

なんでドラゴンの癖にそこら辺繊細なんだろうなって思います。

ただ、この場合切断面は何時迄も潤っているのでそこから腐る場合が多い。

特にこだわりがない場合は切断面は通常の怪我人に対する処置と同じく消毒してから諸々の処置を施して塞いでしまいましょう。

 

「あの……怒って貰えるのはいいんですけど、そこまでやるのはちょっと」

 

「怒ってませんよ」

 

「いや、でも」

 

「怒ってませんよ」

 

「あの」

 

「怒ってませんよ」

 

「あ、はい」

 

此方の誠実な対応に小猫さんの幻覚も満足して引き下がってくれたようだ。

別に仕事明けの余暇を邪魔されたとか、その程度で怒る訳もない。

いや、嘘だ。

怒ってはいる。

なんでこのテロリストは人の友人の家をロケランで爆破しているんだ。

 

「思うんだけど、それって意外と作るのに手間が掛かるんじゃないかな?」

 

「ムムム」

 

木場先輩の実に論理的に正しい損得前提の静止。

こういう正論には弱いのだ。

確かに、単純に人間をバラバラにするのとそれなりに長持ちする植木鉢に加工するのとでは労力に大きな差がでるし、残り少ない余暇をそんな血生臭いDIYにつぎ込むというのも不毛な話ではある。

 

「じゃあ、これはそちらで処分して貰うとして。……災難だったね小猫さん。怪我とかは無いみたいだけど、大丈夫だった?」

 

「姉様が助けてくれたので」

 

「ていうか、白音はちょっと危機感薄すぎだにゃあ」

 

「……ああいうのは、詳しくないんです」

 

猫口調を残しながらもハリウッド的脱出劇とちょっとしたバトルの余韻からか人型を保っているらしいサバから、小猫さんがぷいと視線を逸らすのを音の向きで感じる。

防ごうと思えば小猫さんでも防げたか、そうでなくても黒味噌に助けられなくても自力で離脱できていただろうに、助けられる寸前まで完全に呆けていたのは少し恥ずかしいのかもしれない。

 

「テロリストとかが相手なんだから、現代兵器の知識もある程度覚えておいた方がいいですよ」

 

「……そうね、ちょっと、そういう方面には疎すぎたわ」

 

「少し前まで、そういう連中の事は想定してなかったからね」

 

口調から小猫さんでなくこの場のまとめ役であるグレ森さんに向けた言葉である事を理解してくれたのか、素直に同意を得られた。

木場先輩のフォローというか、多分自分でも情けないという自覚があるだろう言い訳が実に虚しい。

 

悪魔の肉体は人間と完全に同じ強度、というわけではないが、人間と比較して遥かに強固な肉体を持っているか、というと、別段そういう訳でもない。

聖剣による攻撃が致命傷になるのは言わずもがなではあるが、例えば普通の刃物でも切ろうと思えば切れる程度の強度だし、生命活動に必要な条件もそう大きな違いはなく、首を撥ね飛ばせばかなりの確率で死ぬ。

当然、対戦車ロケットとかが近くで爆発すればそれ相応のダメージを負う。

彼等がそれを意識しないのは、普段争っている相手が現代兵器を用いなくともそれに匹敵する、あるいは凌駕する威力の攻撃を自力でポンポンと打ち出せるからだ。

……逆を言えば、特殊な訓練などを積まなくとも、運良く火力高めの現代兵器を当てさえすれば、悪魔を殺す事は難しくない。

概念だの神秘だのの差が戦力の決定的な差を生み出したりするような面倒な話は存在しないのだ、この世界というのは。

まぁ、それもこれも魔力による障壁だのなんだのを計算に入れて考えなければ無意味な話ではあるのだが。

 

特殊な不死性持ちともなれば話は変わってくるが、そこまで行くと別に悪魔であるかどうか、というのは関係ない。

父さんだって体内のナノマシンのお陰でかなりの欠損状態から完全に復帰が可能だし、亜里須なんかは……もう、なんというか、ナノマシンで説明できると言えばできるけど、回復できる範囲がヤバイ。

ある意味でアリスさんとやらの加護の様なものなのかもしれないけれど、機構的に一切不可思議な技術が利用されていないのは凄い。

いや、今はあまり関係ない閑話休題だ。

 

―――――――――――――――――――

 

襲撃の直後、という事で、一般人の方々を巻き込まないように、という点も考慮して、私たちは再び旧校舎のオカ研部室に集まっていた。

祐斗先輩のマジレスを受けて落ち着きを取り戻してくれた書主さんを見ながら、私は小さく安堵の息を吐く。

家を爆破され、即座にその場から逃げ出した下手人を捕まえてくれたのは、外出中に爆破音を聞きつけてやってきた書主さんだった。

数時間前のロキ戦時とは比べ物にならないほどの軽装で、買い物袋まで抱えた状態で駆けつけた書主さんと姉様の連携により、人の家を爆破した犯人は捕らえられた。

何故ピンポイントで私の家を爆破したかは、書主さんと姉様の『何をしているかは具体的には理解できないけど理解できたらドン引きしてしまいそうな特殊な尋問術』により判明している。

 

「やはり禍の団か」

 

「その末端ではありますが、命令自体は禍の団の英雄派から貰っているようで」

 

「……まぁ、狙われる理由も十分ありますからね」

 

魔術。

一般的には私達悪魔の魔力の運用を、人間が模倣する為に産まれた技術だ。

極めれば人間でも上位の悪魔に対抗できる、という触れ込みだけれど、実際にそこまで習熟出来ている魔術師、魔法使いが確認される事は少ない。

……が、つい最近になって発見されてしまった。

今までの魔術よりも恐らくは習得や習熟が容易かつ、やもすれば人の身で魔王すら屠れる可能性がある魔術大系が。

そう、私が使う、私が教えてもらった……いや、使えるようにして貰った魔術だ。

 

「小猫ちゃんを捕らえて、秘密を聞き出そうってか」

 

「だろうな。知識を引き出すだけなら頭が残ってればどうにでもなる」

 

イッセー先輩が腹立たしげに手のひらに拳を叩きつけ、アザゼル先生が肩をすくめる。

ぞっとしない話だ。

いや、他人事の様には言ってられない。

とりあえず頭の中が残っていれば良い、程度の雑な条件でテロリストが私の事を狙っている。

これは冗談では済まないレベルで危ない。

 

「……いや、それがですね、ある程度は無事な状態で確保する予定だったみたいなんですよ」

 

何故だか少しだけ申し訳なさそうに書主さんが訂正を入れた。

 

「なんですって?」

 

「どうにも、できる限り無傷な方が都合がいい、とか」

 

無傷の方がいい?

 

「……ははぁ、さては……」

 

アザゼル先生は即座にその理由を理解できたらしい。

私は……逆に、自分の事を冷静に見つめ直すと、割りと利用価値が多い方だと気づいてちょっとどれが今回の原因に当たるのか見当もつかない。

 

「小猫さんを洗脳して禍の団に引き込むか、或いは人質として運用して……此方を、禍の団に協力させようって流れらしいです」

 

溜息。

呆れか怒りか、あるいはそのどちらもが入り交じったそれが部室内に大きく響く。

なるほど、確かに、そういう意味では、まぁ、狙われるのは妥当だろうな、と、そう思う。

いや、うん、私を人質にすることでどれくらい書主さんから譲歩を引き出せるか、というのは、ちょっと未知のところがあるとは思うんですが。

 

「……ご家族の方は大丈夫なのか? 後は、君の恋人の」

 

「この仕事してると家族狙いは当たり前ですからね。対策はバッチリです」

 

そもそもゼノヴィア先輩は知らないだろうけど、私達は少なくとも日影さんの心配が出来るような立場にない。

家族の方も書主さんの親という時点でだいぶ怪しい。対策とか本当に必要なんだろうか。

 

「古参の堕天使幹部を一方的に殺せる聖剣使い、っていう程度の情報は流れていただろうし、そこに魔王を殺せる程の魔術知識を持った未熟な猫魈とセットで、となれば、お得だと踏むバカが居てもおかしか無いわな」

 

……そう考えると、私の方の価値が高まったからこそ、書主さんを引き入れる、という選択肢が産まれた可能性もある。

堕天使幹部を一方的に殺せる聖剣使い、というだけなら、引き入れるまでの犠牲なども考えて手が出ない。

だけど、そこに魔王を殺せる魔術大系の知識も加わるとなれば?

 

多少の犠牲を払ってでも引き込みたいと、そんな事を考えさせてしまったのかもしれない。

何せ禍の団は自陣から出る犠牲をかなりの範囲で許容できる程度には余裕があるらしい。

神器使いを使い捨てるように投入してくる事からもそれはよく解る。

どちらがメインなのか、というのは、考えるだけ無駄だろう。

どちらもが、セットで狙われているという事実だけが重要だ。

 

「暫くは小猫ちゃんの周りに護衛を置いておいた方がいいかもね」

 

「後は、家をどうするか、だよなぁ」

 

護衛に関しては、情けない話だけど、姉様に頼れば一先ずは安心だろうと思う。

けど、家に関してはどうだろう、悩みどころだ。

何しろ、今回は周囲への被害とかも何もかも無視して自宅を直で襲撃されたのだ。

下手に一般のアパートを借りたりしたらまた元の木阿弥だろう。

増築されたイッセー先輩の家、というのも問題がある。

悪魔関係の話を一切されていない、護衛もそれほど無いイッセー先輩のご両親が巻き込まれる可能性がある。

イッセー先輩のご両親が、というかイッセー先輩の家が襲われなかったのは、部長やイッセー先輩、副部長などの戦力を相手にしてまで襲うメリットが無かったからだ。

無かったから、だと思う。

なんで一般人が、それも最強の赤龍帝のご家族が襲われて人質にされたりしていないんだろう……。リターンが割に合わないとかそういうのだろうか。

 

「妙案があるわ」

 

ニヤリ、と、不敵に部長が笑みを浮かべる。

それは一先ず置いておくとして。

 

「カタギの方々に迷惑が掛からないように、と考えると、だいぶ選択肢は少なくなるね」

 

「何処までがカタギだ? 契約を結んだ対象が巻き込まれる場合もあるだろう」

 

「同じ犯罪者でも薬を売る側は筋者だけど、買う側はどう、みたいな話ねぇ」

 

「その流れで行くと悪魔とか堕天使とか天使はヤクザ側ですね」

 

「あの、私達ってヤクザなんですか?」

 

「まぁ、道理や現地の法に則さない存在と考えればヤクザですよね」

 

「悪魔組、堕天使組、天使組ですか」

 

「天使組とその傘下は世界中の海外マフィアと提携してるインテリヤクザだよ。元教会所属の僕が言うんだから間違いない」

 

「あ、あの、そのジョークはちょっとリアクションに困るというか」

 

わかる。祐斗先輩は吹っ切れてからジョークに使うラインが際どい。

 

「そうなると、イリナは売人から上手いこと成り上がった……いや、これ以上はよそう」

 

いや、むしろイリナさんに限らずこの話はここらで止めておいた方が。

どの勢力もヤクザ方向に解釈すると地雷だらけで話しててハラハラするので。

一番マイルドそうな堕天使組もいわゆるマイルドヤンキー風なだけで迷惑さというか実態のブラックさが危険域ですし。

どう話の流れを変えるべきかと頭を悩ませていると、ばん、と机が叩かれた。

 

「妙案が! あるのだけれど!」

 

部長が少し強めの口調で告げた。

目端が釣り上がって少しだけ涙が浮かんでいるのは何故でしょうか。

まぁきっと早起きとかしたからだとは思うんですが。

 

「あの、部長」

 

「ボケる訳でもふざける訳でも話にオチを付ける訳でも受けを狙う訳でも無いわ!」

 

凄い、『今は真面目な話をしているんですが』という私の言おうとした言葉の裏面を全部先取りして否定されてしまった。

もしかしたら部長にも何かしらの秘められたエスパー的な能力が発現したのかもしれない。

何しろあのイッセー先輩に胸を揉ませてますからね……。

完全同意の元で受動的に揉まれているアーシア先輩とは一味違います。

 

「で、その妙案ってのを聞かせてくれや。何処に行くにしたって、多少の準備は必要になるだろうしな、早いに越したこたあねぇ」

 

ニヤニヤと笑いながら先を促すアザゼル先生に、部長は態とらしく咳払いをして呼吸や表情を整えた。

散々脱線したり巫山戯たりもしたけれど、私のこれから暫くの処遇だ。

部長は割りと人をからかうのが好きだったり噂好きだったりカプ厨だったり自分の恋愛周りが疎かだったりするけれど、それでも部下、下僕である私達の事を大事に考えているという点でだけは間違いない。

そんな部長が言うのだから、それほど悪い案ではないのだろう。

姿勢を正して部長の言う妙案──恐らくはその妙案が一番妥当な案になるだろう──に耳を傾ける。

 

「読手君、いえ、『黒脛巾組咎眼流所属暫定中忍(・・・・・・・・・・・・・)』読手書主さん」

 

書主さんの名前に馴染みのない冠を付けて、

 

「小猫の拉致を目論む首謀者の捕獲、或いは排除が済むまでの間、貴方に小猫の護衛と保護を依頼させて貰うわ。────手を出すなら、合意の上でね?」

 

悪戯っぽく笑う部長に、私はまだ開けていない缶ジュースを全力で投擲した。

 

 

 

 




動きのない会話パートだと地の文を挟み難いという事実を改めて思い起こさせて貰えた五十八話でした

エピローグというか、むしろそのまま次の巻のプロローグで良いんじゃないか、という繋ぎの話です
でもこういう話で次の巻に進む構成がやってみたかったのでこういう形に
そのまま続きを書くか、原作だと短編集を挟むからそれに倣うかはまだ未定

或いは他の作品とかにも手を出したいなあと思うのです
懐かしのねぎマオリ主SSの大まかな流れと展開のチェックポイントを解説していくメタ視点オリ主によるねぎまオリ主SS製造工程解説SSとか
FAの対月戦争終結記念IS舞台のFA販促SSとか
ここの主人公が大学行った後に長期の休みを利用してFGO世界行って主人公を各章で出てくるいろいろなモノを使って強化していく魔改造の過程を描くSSとか
まあ、なんだかんだ言ってこのSSの続きを書くとは思うのですが
色々読んだりプレイしてるとそういうのが思い浮かんじゃいますよね
どちらにしても何かしらは書いて投稿すると思うので、その時は感想などよろしくお願いします

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