九十九のキョー面相   作:放仮ごdz

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超久々の更新!…はい、正直一次なめてました。設定だけは凝ってるのにいざ書くとなると難しいのなんのって。おかげで多々あるネタを使う羽目になってしまいました。実力不足に嘆きたい。

今回は新展開。リアルで青春を謳歌していない作者が書く青春(?)です。人間の新キャラも二人ぐらい登場。では、どうぞ!


第四の面:九十九と図書部と連続放火怪事件

転落事件の翌日、早朝の隠し部屋にて。

「あ、あの…そろそろ許してもらえないかな、ツクモ…?」

「…」

 

朝早く、無言で隠し部屋に入って来た私に、いきなり大鏡の前で土下座するキョーくん。うーん、どうしよう。昨日も記憶が飛んでるし、多分キョーくんが何かしたんだと思うけど…多分それも含めて「許して」なんだろうなぁ…でも、私もキョーくんと話せないのは嫌だし…よし、こうしよう。

 

「じゃあキョーくん。これから私に嘘を吐かない?」

「う、うん!約束するよ」

「じゃあキョーくんの他にも私の近くに妖怪は居るの?」

「え?あー、うん。いるよ。でも、教えられないな。皆、それぞれの事情で正体を隠してるから」

「それは…しょうがないね」

 

それは聞いちゃ駄目だ。それぐらい私でも分かる。というか知らない方が逆に何も考えなくていい。でもキョーくんが何も言わないって事は安心していいんだよね?最近起きている公園や建築現場の事件とかは関係ないよね?…私も信じなきゃ、駄目だ。しっかりしないと。

 

「分かった、ありがとうキョーくん。許すよ、こっちこそ無視してごめんね?」

「つ、ツクモっ…ありがとうツクモー!」

「わひゃっ!?ちょっ、キョーくん!?」

 

正座の体制からいきなりジャンプし、泣きながら私の胸元に飛び込んできたキョーくんに私は数分くらい何もできなかったが、我に返って軽く小突いた。…そんなに無視が嫌だったのかな?悪い事したな…でも嘘吐かれるのは嫌だもんね、うん。

 

「はい抱き着いてごめんなさい」

「分かればよろしい。ところでキョーくんは私の味方、なんだよね?」

「あ、うん。そのつもりではいるけど…」

「…だったら、そのね?」

「?」

 

もじもじして言い出せない私に、キョーくんはクエスチョンマークを浮かべる。…えっと、だね。頼んでいいのかな…

 

「キョーくん、今週末、一緒に寝てくれない?」

「…は?」

「いやだから、今週末お父さんもお母さんも居なくなるから一緒に寝てくれないかなーって」

「…ゑ?」

 

キョーくんの顔が、点になった。うん(・_・;)こんな。でも何で固まって…あ。それに気付いた私の顔が赤く紅潮するのを感じた。

 

「ち、違うよ!?そ、そーいう事じゃなくて、今週末に両親が旅行で居なくなるから、その時だけでもここじゃなくてこっちの部屋で寝てくれないかなー何て…も、もちろん別々のベッドだよ!?他意は無いよ!?」

「だ、だよね…ホタルの影響でツクモが変になったのかと心配したよ…よかった」

「うん、ゴメン…私馬鹿でごめんね…」

 

何か気まずい空気になる。ううっ、私はコミュニケーション苦手なんだよぅ…涙目になる私に対し、やれやれと肩をすくめるキョーくん。むっ、なんか悔しい。

 

「しょうがないなぁツクモは。それはいいよ、寂しいならしょうがないもんね。だけど、僕からもいいかい?」

「なにが?」

「…ツクモ、君もそろそろ部活に入らないかい?」

「…」

 

キョーくん…ちょっとそれは無理かなぁ。すると私の嫌そうな顔に気付いたのか、キョーくんは申し訳なさそうな顔になる。

 

「あ、ごめん。親でも無い僕が言う事じゃなかったね。謝るよ」

「ううん。私が運動駄目なのと、コミュニケーション力が無いのがいけないんだもん。キョーくんが謝る事無いよ、私も何とかしないとって思ってるし」

 

私は、高校に入ってからもうすぐ五月に入るのにまだ部活に入ってない。それと言うのも私は運動が全然駄目な愚図で絶対足を引っ張るから運動部はそれが嫌だし、文化部はもうね、友達みたいな関係じゃないとどうしても何もできなくなっちゃう。団体でのコミュニケーションが出来ない。だから一応、数が少ない同好会を当たってみたけど専門知識な活動ばかりで今日までかかってしまい、あと二、三個当たれば最後だ。

 

「でもやっぱり駄目かな…上手く行く気がしないよ…」

「…ツクモ、君は勇気を出すべきだ。何時も僕が助けられる訳じゃない。君も自分で頑張らなきゃ何も変わらない。君には頼れる友人が二人いるはずだ。彼女達に力を貸してもらえばどうかな?」

「…アカネちゃんとキョーくんの事?」

「ホタルは!?」

 

…あ、うん。ホタルちゃんは頼れる…かなーと思ったから入れるべきかなと。でもキョーくんの言う通り引っ張ってくれる友達も必要かも。ホタルちゃんぐらい強引でも。

 

「分かったよ。アカネちゃん達と一緒に行ってみるね」

「うん、君に合った部活があるといいね。部活に入らない高校生活は灰色だって言うから」

「はい、そうならないように頑張ります。よし、学校の準備しよ。時間押してるし」

「…………君は灰色にならないでね…」

「?…何か言った?」

「いいや、ただの独り言さ。気にすることはないよ」

「ふーん…」

 

…灰色にならないでってどういう事だろ?私の髪白いから汚して灰色にするなって事かな…まあいいか。早く準備しよう。少し引っ掛かったけど、私はそのまま隠し部屋を後にした。

 

 

 

…今週末、キョーくんと同じ部屋で寝れるんだ。私が隠し部屋で寝た事はあったけど、その時はキョーくん鏡の中で寝たんだっけ。少し、わくわくするかも。

 

 

 

 

 

 

一時間後:朝七時四十分

「行って来まーす!」

 

お父さんお母さんに向かってそう叫び、私はカーブミラーに映るキョーくんと一緒に屋敷を出た。うん、今日もいい天気。いい日になるといいな。

 

「…あれ?」

「どうしたの、ツクモ?」

「…あの煙、何だろ?」

「煙?」

 

私の指差す先、その空には黒い煙柱が立ち昇り、その根元の方では赤く煌々と燃えている様が見える。少し煙たい匂いもするし、まさか…火事?すると消防車と救急車のサイレンが聞こえて来た。…あそこは南本町の方だ。私の住んでいる北本町とは川にかかる橋を挟んだ逆方向だけど…大丈夫かな。

 

「心配かい?」

「うん、火事に巻き込まれた人達が無事か心配だよ」

「君は本当に優しいね。なら、君が学校に行っている間僕が様子を見に行ってあげよう。大丈夫、きっと無事さ」

「本当?お願いキョーくん、ありがとう」

「いやいや。とりあえず、学校に向かおう。杏林先生に怒られるよ?」

「そうだった!急がなきゃ!」

 

急いで学校に駆け出す私。杏林先生は遅刻した生徒(大体ホタルちゃんだけど)にかなり厳しい事で新入生の間でも有名だ。とりあえず、急ごう!

 

 

 

 

 

 

 

 

8時20分:不知火高校校門前

「ま、間に合った…」

「ホームルーム10分前。ギリギリだね」

 

元々体力無いのに全力出したから息するのもきつい。でも、何とか着いたよ…だけど動こうにも動けない。キョーくんは疲れて無さそうだ。そりゃそうだ、キョーくんは鏡の中だと飛べるんだもの。ふらっと倒れそうになる私の身体。そんな私を、受け止めてくれた人がいた。それはアカネちゃんだった。

 

「よっと。大丈夫ったい?ツクモ」

「あ、アカネちゃん…ありがとう~」

 

なんちゃって博多弁なのは私が目の前で倒れそうになって焦ったからなのかな?だとしたら少し嬉しい。でも比較的軽いとはいえ、片手で私を軽々受け止めるなんて凄いなアカネちゃん…

 

「お、重い?」

「いんや。ツクモは軽いから大丈夫。どうしたの?」

「えへへ…家からここまで全速力で走ったら疲れて…」

「…道のり合わせたら2kmはあるわよね。自転車とか無いの?」

「私、運動神経ゼロだから…」

「…」

 

どうしたのかなアカネちゃん?いやそんな事無いでしょ的な目で見られても実際そうなんだけど。自転車乗ったらすぐ倒れるし、何故か子供のころ乗った三輪車でさえすっ転ぶし、竹馬乗ったら向う脛打つし、野球ボール投げても二メートルも飛ばないし、サッカーボールは止まっていても蹴れない。そう言う運動神経だもの。だから走るしかないもん…

 

「ツクモ、落ち込まないで。二キロぐらいだったら歩いて通えるから!」

「う、うんそうだよね…大丈夫だよね…」

「…とりあえず立ちなよ。ずっと支えてるとさすがに重い」

「そ、そうだね。ありがとうアカネちゃん」

 

脚に力を入れ、立ち上がる。よし、頑張ろう。あ、そうだ。キョーくんに目配せすると、「頑張れ」とエールしてくれる。よし…

 

「ねぇアカネちゃん」

「ん、何?」

「確か、部活に入ってなかったよね?」

「そうだけど…群れるの、嫌いだし」

「群れるって…だったら、放課後私と一緒に入る部活探そうよ!」

「話聞いてた?群れるのは嫌だって…まあ、ツクモと一緒ならいいか」

「えへへ、ありがとう!」

「んじゃまあ、とりあえず…早く行かないと怒られるったい」

「そ、そだね!」

 

アカネちゃんがまた博多弁になってるのは…照れているのかな?可愛いなぁ…「ツクモ、前々!」え、何キョーくん…ぶわっ!?アカネちゃんを横目に見ながら歩いていたためか目の前を歩いていた人とぶつかってしまった。鼻を強く打った、痛い。涙目になり鼻を押さえながら前を見る。白衣があった。その人物は私より身長が頭一つ分デカいと気付いて上を見る。

 

「ご、ごめんなさい…ヒッ!?」

「…」

 

そこには尖った黒髪、サングラスから覗く赤い瞳、日焼けした肌、白衣の下に着こまれたが黒のランニングシャツと迷彩柄のズボンが特徴の筋肉モリモリマッチョマンの変態もとい大男がいた。おおう、コマンドー…じゃない。このどこかの映画で見かける様な容姿の人は、白衣から分かる通り保険医の先生。名前は駒道一心(こまどうイッシン)、あだ名はコマンドー先生。迫力が人間離れしている人だ。ちなみにこんな容姿だけど…

 

「うん?すまない、怖かっただろう?影山」

「い、いえ。こちらこそぶつかってすみませんでした、コマn駒道先生」

 

めちゃくちゃ優しい。あと

 

「む?待てい!そこの男子!そのアクセサリーは校則違反だ!」

「へぇへぇスイマセン…ってコマンドー!?うわあぁぁぁぁぁぁぁあっ!?」

 

校則にもめちゃくちゃ厳しい。格言う私も、アルビノなため一度怒られそうになったが事情を話したら分かってくれた。いい先生だと思う。この考えは、悪い生徒以外全員の認識だ。悪い生徒からは処罰(と言っても軽い物だが)の対象として恐れられているみたいなんだけど…そんなに怖いかな?

 

「そんなに怖いよ。迫力と眼力は人間のそれを超えているから」

「えっ、じゃあコマンドー先生は妖怪なの?」

「いや、ただの人間じゃないかなアレは…正直信じられないけど」

 

ヒソヒソとキョーくんと話しながら、私はアカネちゃんと一緒に教室に向かう。確か一時限目は体育だ。うわぁ、大変だなぁ…でも何故か、運動音痴な私はいつも体育でもいい成績を上げている。まあ何時も通りキョーくんが何かしているんだろうけど…今日はしょうがないか、疲れてるから体育は勘弁だ。

 

「えっと…キョーくん、一時間目は体育なんだ…だから、何時ものお呪いみたいなの、お願い?」

「僕はお呪いなんかしてないから無理だよ。自分で頑張りなさい」

「ええー!」

 

嘘は吐かないって言ったじゃん!お呪いじゃないとしても、何かしているよね!そう叫べればいいけど、ここじゃ無理だ。人が多すぎて変人扱いされてしまう。恨めしそうに睨む私に、キョーくんはやれやれと肩を竦めた。

 

「じゃあ僕は行って来るね。休み時間にでも会おう」

「あっ…うん、分かった。また後でね」

 

…逃げたな。多分、絶対逃げたなキョーくん。どうしよう体育…こうなったら開き直って体調不良で休みます!とでも…」

 

「仮病はいかんとね」

「はわっ!?」

 

アカネちゃんに突っ込まれ、分かりやすく狼狽える私。も、もしかして…

 

「…言葉に出てた?」

「どうしよう体育ってところから丸聞こえとよ」

「やー!?わ、忘れて!お願い!ちゃんと出るから!体育するから!」

「その前にさっきから言っとるけどはよいかんと遅刻するとね。急ご、ツクモ」

「あ、うん!」

 

アカネちゃんに手を引かれ、急ぐ私達。引っ張ってくれる友達って大事だなって思った。

 

あ、もちろん、一時間目の5分くらいからダウンだけどね!あとでキョーくんに文句言う!絶対!

 

 

 

 

 

 

 

その頃、キョーside

「これは…」

 

僕は火事があった家屋の付近にあるガードミラーの中から鎮火し終えた火事の現場を見据え、一つの結論に辿り着く。十中八九、妖怪の仕業だ。

 

「一人暮らしの老人とはいえ、犠牲者が出る程の火事…そんな規模の事が出来るのは限られてくるな」

 

でも、炎を吐く五徳猫とかじゃないな。火の手が速過ぎる。これは…引火性の高い何かが撒かれて、そこに放火したんだろう。って事は犯人は…

 

「いや、違うな。火事にしても、メリットが何も無い。火事で得をする妖怪なんて、野次馬を好む荒鴉かそれとも火取魔か…少なくとも輪入道や火車じゃないな。だけどこれは…」

 

間違いなく、また火事は起こる。しかも今度は犠牲者も多く出るはずだ。でも犯人の目星は付かない…こうなったら情報屋でも頼るか…せめて、目星は付けないと。…あっ。もうこんな時間か。心配させる訳には行かないし、一度ツクモの元に帰るか。…犠牲者が出た事は、それとなく伝えよう。優しい彼女の事だから…、

 

「きっと、怒るな」

 

やれやれ。溜め息を吐きたいところだけどそうも言っていられないな。

 

 

 

 

 

 

 

で。

 

「…そこまできつかったかい?」

「全速力で登校したのに最初からこれじゃ誰でも死にます。ぐふぅ…」

 

不知火高校に戻って早々、グロッキーなツクモを見て少しでも目を放したことを後悔した。ごめんツクモ。

 

 

 

 

その後は、あまりに酷くて授業どころじゃなかったから二藤に代わってもらった。無論、代えた瞬間には「ツクモをなめすぎです、このダメダメ保護者」と罵倒されたが。うん、心に来た。でも四季咲とかだとビシッと言ってくれないから二藤が一番なんだよな(泣)

 

「うん、マジでごめんツクモ」

「ぼやいている暇があったら肩をもみなさい。どうせ誰にも貴方の姿は見られないのだから、こういうつまらない授業の最中に有効活用しなさい」

「…二藤は間違いだったかな」

 

四季咲にするべきか。口を開けば罵倒する二藤じゃ、悪い噂も立ちかねない。それだけは勘弁だ。

 

「…静かにするから引っ込めるのは勘弁しなさい」

「え?」

「顔を見れば分かりますわ。私としても、ツクモに害があるのは本意じゃありません。そもそも自分からトラブルを招こうなんて、私達の中でも一部だけです。忘れたのですか、下僕」

「うっ…そうだったね」

 

二藤が罵倒するのは、ツクモに害のある人間限定だ。まあ今回は僕も当て嵌まる訳だけど。ある意味一番過保護な人格かも知れないな。

 

「分かった。じゃあ、放課後まで頼むよ、二藤」

「ふん、最初からそう言えばいいのです下僕」

 

…その下僕呼びは勘弁してくれないかなぁ…ツクモの口からだと思うと何かへこむ。

 

 

 

 

 

放課後:第二音楽室

本当に、何も心配なかった。何事も無く放課後を迎えた。二藤、もしかして四季咲の次に世間体強い…?

 

「とりあえず…ありがとう二藤。交代だ、ツクモ」

「ふぁっ!?…ここどこ?今何時?」

「放課後。で、今は軽音部の見学たい」

「…軽音部?」

 

そう、軽音部。今、ツクモとアカネは椅子に座って机に置かれた茶菓子を頂いていた。俗に言うティータイムだ。意識を取り戻したツクモが混乱しても可笑しくない。で、その状態で普通に演奏聞いて二人は第二音楽室を後にした。

 

「えっと…アカネちゃん?」

「うん、ツクモ」

「「ここだけはやめとこう」」

 

二人の意識がシンクロした。しょうがないね。その後、次に訪れた茶道部は、二人が正座に耐え切れなくてさっさと去り、その次に訪れた同好会の一つ・アニメ研究会は二人が話題に着いて行けず退室。候補は残り一つになった。何だろうね、この学校の文化部碌な部が無いね。最後はどんなところだ?このままじゃツクモが部活の無い灰色の高校生活を送ってしまうよ…

 

「…心配し過ぎだよキョーくんは。で、アカネちゃん。次は?」

「えっと…同好会で「図書部」だって。活動場所は図書室、顧問は杏林先生って書いてる」

「へー…図書部って事は本でも読むのかなー?」

 

同好会って事は生徒会規定の部員四名をクリアーしていない、つまり二人か三人の少数って事か。ならツクモ的にも大丈夫かな…?

 

「…で、でもツクモ…この新入部員勧誘の広告なんだけどさ…」

「なになに…ん?」

 

見てみると、そこには「変人求む!」なんて叫んでいる一昔前の番長の様な格好をした眼鏡男子のイラストが。…変人をわざわざ求む?前言撤回。やっぱり関わって欲しくないかも。しかし、ツクモとアカネが気になったのはそこじゃないらしい。

 

「この絵…まさか、ねぇ?」

「いや、でも似てるよねぇ?」

「どうかしたのかい?」

 

頭を捻る二人のうち、ツクモに問いかける。するとツクモは困った顔でこう言ってきた。

 

「うん、あの絵…多分、ホタルちゃんが書いたのだと思うんだけど…」

 

マジで?

 

 

 

 

 

図書室…と呼ぶのは些かためらいがある。B棟の西側、東側にある体育館とは反対の其処にある、一見倉庫の様な二階建ての建物。実際昔は蔵だったらしく、改装したため広さが段違いで図書館と呼んだ方がしっくりくる其処に、二人と僕は来ていた。広い、広すぎる…けど、人気が全くない。そりゃそうだ、この学校は運動部に力を入れているぐらい体育会系な学校だ。理系はほとんど見ないし、本を読む人なんてせいせい十数人だろう。しかしだとしたらあまりに広すぎる気がする。

その中央の、本棚に囲まれた長机に一年生と思われる女子生徒と、あのイラストに描かれていた人物であろう、短めに切り揃えたツンツン尖っている金髪に四角い紫フレームの眼鏡に黒い瞳、何故か制服ではなく番長の様な学ラン上下を揃えてその下に赤のランニングシャツを着ている二年生と思われる男子生徒がいて、何やら話し合っていた。

 

「だからですね!もう少し煌びやかにすれば新入部員も入ると思うんですよリコウ先輩!こんな人気のない場所じゃ来るもんも来ませんって!」

「俺は変人が来てくれればそれでいいって。凡人が来て同好会から部活に格上げされても嬉しくない」

「その変人もこんなじめじめしたところじゃ来ないって…およ?」

「入ってくれるかどうかは知らんが、客が来たな来ましたね」

 

こちらに気付き、椅子から立ち上って歩み寄って来る二人。女子の方は見覚えがあった。

 

「誰かと思えばアカネちゃんとツクモちゃんじゃん!せっかく誘おうと思ったのに放課後になった途端出て行くんだもん。ホタルさんショックだったよ!」

「ホタルの知り合いか?これは失礼。俺の名を乾利光(いぬい としみつ)。図書部の部長をしている」

「ああ、こちらこそ。ホタルのクラスメイトで「もう、アカネちゃん照れ屋さん♪」…友達で、天道寺朱たい。こっちは…」

「同じくホタルちゃんの友達で影山九十九です!」

「よろしく」

 

これが、そう言って手を差し伸べてきたいい笑顔の先輩、乾利光と図書部のツクモとの出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

深夜:三人称side

「…」

 

人気の無くなった住宅街の一角で、少女は懐から取り出した瓶のコルクを抜き、中に入れられた黄金の液体を地面に垂らす。すると液体はまるで生きてるかのように蠢き、窓の隙間から侵入。そして少し経った後、少女はその手にマッチを取り出し火を点ける。

 

「燃えて、燃えて…私の●●。見せて、私に」

 

そう呟き、火を点けたマッチ棒を投げる少女。地に落ちた火は液体の通った跡に落ち、大きく燃え広がるのだった。少女はそれを、虚しそうな顔で見つめていた。




謎の部活、図書部!新キャラ乾利光とコマンドー先生…げふんげふん、駒道一心先生登場!人間です、どちらも一応。
そして謎の連続放火怪事件…火の手が上がる筈もないところから燃え出したところまでは普通の放火事件ですが、何故か火の手が速い…案の定、妖怪の仕業です。

キョーくんのお泊りに、部活探しと青春(?)を謳歌するツクモ。しかし運動音痴。二藤が案外真面だと言う事も判明しました。こういうキャラ、大好きです。


ではいつも通り簡単キャラ紹介。

・ツクモのお父さんお母さん
未だに登場しない謎の人達。どこぞの借金執事の親みたいな人間の屑ではなく、普通に良心的な人達。


・駒道一心
通称コマンドー先生。不知火高校の保険医。筋肉モリモリマッチョマンの変態ではないし、未来から来たサイボーグでもないし、エイリアンと死闘したりもしてないし、ミスター冷凍人間でも無いし、映画俳優でも州知事でも一人エクスペンダブルズでも無い人。もちろん「いたぞおおおおおおおおおお!」なんて叫ばない。
迫力が人間離れしているだけのただの人間。校則に厳しい鉄人。恐らくこの学校で一番真面な大人である。


・五徳猫
火を吹く猫の妖怪。名前だけ登場。


・荒烏
野次馬を好んで騒ぐだけの鴉の妖怪。名前だけ登場。


・火取魔
火や電気など、灯りを飲み込んで暗闇を作り出す妖怪。名前だけ登場。


・輪入道
夜な夜な街を徘徊しその姿を見た者の魂を奪っていく、炎に包まれた車輪の中央に顔が付いた姿をしている妖怪。片車輪とも呼ばれる。名前だけ登場。実はあんまり火事には関係ない。


・火車
死体を貪る猫に近い妖怪。死体参列に火車が現れると、その人間は火車が現れる程の大罪人と言われる。名前だけ登場。ただ燃えてるだけであまり火事に関係は無い。


・軽音部
某放課後ティータイムっぽいが別人。猫な一年とかほんわか二年とかいるけど、別人。持ち歌は「ゆるふわじかん」


・乾利光【壱】
図書部の部長。名前を別読みにして「リコウ先輩」とホタルから呼ばれる。不良みたいな出で立ちで制服を着ていないのが特徴。金髪と眼鏡がよく似合ういい男。金髪なのは染めている訳ではなく、アメリカと日本のハーフである母親の血を継いだクォーターなため。ホタルと一緒な所から分かるが、かなりの変人好き。そしてIQ300の超天才児。詳しくは次回以降。



何だろう、クオリティが酷いですね。ごめんなさい。次回は連続放火事件に挑む!図書部の全貌とは、リコウ先輩は何者なのか。お楽しみに!…してくれると本当にありがたいです、はい。
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