インフィニット・ストラトス 流星に導かれて   作:橆諳髃

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久々に投稿しました。お待たせしました!


9話 守る力

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕はいつの間にか手を伸ばしていた。その先にあるのはお姉ちゃんが作ったISで、でも男の僕には使えない。

 

それなのに何でかな? 触れた途端に、頭の中に様々な情報が駆け巡ったんだ。それがISの情報なんだと気付いた時、僕は目の前にあった筈のISを纏っていたんだ。外見は何の飾り気もない銀色のボディーで、ただ自分が銀色の鎧を纏った状態だったんだ。でもそれが纏っていないかのように軽い。手も握ったり開けたりを繰り返したりする。まるで自分の体を動かしているかのような感覚だ。そんな事を確かめていると……。

 

『搭乗者登録……完了。これより小禄氏逢魔を本ISの搭乗者として認定します』

 

その表示が僕の目の前に現れて、そう僕に伝えてくれる。しかしながら何でだろう? 僕は男なのに……何でISは僕を搭乗者として登録したんだ?

 

『小禄氏逢魔の生体データを認証中……データオールクリア。小禄氏逢魔の生体データを元に本ISの最適化を実行します』

 

そんな音声が流れた後、僕が纏うISが光に包まれた。その光量故に目を瞑ってしまったけど、こればかりは仕方がないと思う。それで光が収まったから目を開けたんだけど……変わった所は見受けられなかった。ただ、それは外見だけで中身が変わっていたんだ。最適化が終了した表示が出ると、次に出たのはこのISがどういう特徴を持っているかだった。どうやらこのISは姿を変えれるものらしい。

さすがにどうやってっていうのが、僕も纏ったばかりだから分からないんだけど……と、そう思った時、右上にレーダーが表示されたんだ。真ん中には、三角の底辺を三角の角で削った四角形がある。多分これが僕の表示だろう。そして左前方に赤い点が4つあった。それは2組に分かれているようで、一方に3つの点が集まっていて、もう一方が残りの1つの点だ。見る限りで判断するしかないけど、1つの点の方がクロエさんで、もう一方は侵入者だろう。

 

お姉ちゃん達は、侵入者が来る度に毎回こうやって凌いできたんだなと思うと、今まで物凄く苦しい思いをしてきたんだな。僕達が離れ離れになるよりもずっとずっとこうやって戦い続けてきたんだ。

 

(ただ自分の夢を追い求めて……)

 

だから僕も、お姉ちゃんの夢を……いいや、僕の夢を叶えるために行こう。

 

「さぁ、まずはクロエさんの援護に向かってここから出よう。ここの地図は……」

 

一刻も早くクロエさんのところに行くために、僕はこの基地の地図を表示した……んだけど……。

 

「なっ……何だこの迷路みたいな経路は⁉︎」

 

僕は唖然としてしまっていた。これじゃあクロエさんのところに早く着く事は不可能だ。どうしたら……。

 

『搭乗者の思考を確認……終了。最適なプランを提示します』

 

その音声と同時に画面が色々と出てきた。まずはここからクロエさんのところに行くためプランが目についた。

 

(この壁を壊してというのは……?)

 

その画面に触れると、その画面が奥に引っ込み、代わりに違う項目が出てきた。フォーム選択というものらしくて、見る限りでは虫とか動物の名前が書かれていた。

 

(これは……なるほど。そういうことか。だから僕の生体データを)

 

そのことに気づいて僕はフォーム選択からある物を選択した。それは……。

 

『フォーム選択……アシダカグモを確認。フォーム移行に移ります』

 

そして僕の纏っているISが光りながら形を変えた。その外見は簡単に言うと人の形をしていた。でも不自然なことに、両腕両足とも筋肉質になっていた。そして顔は黒いバイザーで覆われていた。そして武器の表示がされる。

 

(武器は……連結ポールというのしか無さそうだな。取り敢えず展開をして……)

 

僕は連結ポールを展開してみる。左手に光の粒子が集って形をなしていった。そして展開されたのが、飾り気の無い純白のポールだった。

 

「本当にただのポールに見えるんだけど……まぁそんな事より早くクロエさんのところに行かないと……」

 

でもどうやって? 確かさっきのプランでは壁を壊してって書いてあったけど……。

 

(まさか力入れて殴っただけで壁が壊れるなんて事は……)

 

そう思いながら少しの力を入れて目の前の壁を殴りつける。すると思いの外呆気なく壁が壊れてしまった……はっ?

 

(そ、そんな事あり得ない……よね⁉︎ たったひと殴りで壁に穴が……それにこの施設はお姉ちゃんが作ったものだし、そんなヤワには……)

 

『搭乗者の打撃計測……終了。結果……計測不能。搭乗者の状態……問題無し』

 

「なっ⁈ け、計測不能⁉︎」

(いや、今はこんな事で驚いている場合じゃない。これで壁が壊せるって分かったんだ。なら後は……)

「このまま真っ直ぐ進むだけだ!」

 

そして僕は、クロエさんの元に早く行くよう目の前の壁を殴って壊し、そして進む。それを繰り返していると、レーダーに表示されている赤い点々に近づいていく。そして……。

 

「多分これで!」

 

最後の壁を、助走を付けて前に跳んだ状態で殴った。すると壁は最初から基礎がなっていなかったかのように壊れたんだ。壁を壊した影響で砂埃が辺りに舞う。それでクロエさんの方を確認すると、どうやら攻防戦が始まる前に着いたようだ。傷も一切受けてないようで良かった。

 

確認した後すぐ、相手の方からこちらに向かって何か言ってきた。確か、僕は何者だ的な物が聞こえたような……と思ってたら相手がいきなりこちらに向けて発砲してきたんだ。それもマシンガンみたいなものを……。

 

(あれ? 僕はなんでこんな呑気にそんな事を思って……!)

 

そもそも撃たれかけているのにそんな事を思えるはずがない。こんな場合は慌てふためいたりするものだろう? でも何でだろう? 弾が遅く見える。これはもしかして走馬灯の部類に入っているんじゃなかろうか? いやそれはおかしい。それだったら過去の記憶も見えるはず……だけどそれがない。

 

(いや……それも違う。弾は確かに遅く見える。それと同時に……どう避ければいいか分かる⁉︎)

 

そう思ったら話は簡単で、迫り来る弾を避けていたんだ。それも、どうやったら1発も当たらずに敵に近づく事ができるか分かるように。そして僕は、敵に攻撃をできるまでの距離に近づく事に成功した。持っているポール先端で頭、左胸、鳩尾の順に攻撃を叩き込む。すると相手のISは、機能が停止したかのようにへたり込んでいた。それを見た残りの相手は、僕に向かって集中砲火を浴びせてきた。

 

(まぁ……それでも、弾道は分かりきってるから避けるのは容易いね)

 

今日初めてISに触れ、そして初めて動かしているのに、何でだろう。僕が纏うこのISは、僕の思い通りに動く。それに、銃火器なんていう人の命を簡単に奪ってしまう物を向けられているのに、なんで僕は慌てる事なく対応しているんだろうか?

 

(これは……僕の持っている能力と何か関係があるのは間違いなさそうだな)

 

そんな事を頭の片隅で思いながら、自分を襲う銃弾を交わしていく。壁に足を付け、その状態で走り、さらには天井も使って避けていく。まるで忍者になった気分だけど……。

 

(というよりも多分忍者よりも動けてないだろうか?)

 

そして残りの敵に接近してポールで攻撃を加えていく。例え避けられたとしても、それを上回る速度で相手を叩きに行くだけだ。

 

そして1分もかからないうちに敵のISを行動不能にした。

 

「ふぅ〜……なんとか撃退できたようだ。クロエさん、怪我はないかい?」

「えっ?」

 

クロエさんはいきなりの事で驚いているんだろう。まぁそれは仕方がない事だね。

 

「とりあえずこの敵は外に放り出してくるから、クロエさんは先にお姉ちゃんの所に行っててくれるかな?」

「……あ、はい。分かりました。それでは……」

 

クロエさんを見送った後、僕は敵の目が覚めないうちに、指から糸を出して3人をひとまとめににして外に放り出して、僕もお姉ちゃんの元に向かった。そして僕は地図を見ながら難なくお姉ちゃんの元へ……勿論壁を壊しながらだけど。

 

「おっくぅ〜〜〜ん‼︎」

「えっ? うわっ⁉︎」

 

お姉ちゃんは既にロケットに乗り込んではいたんだけど、僕を見つけるなりダッシュして抱きついてきた。

 

「もぅ、お姉ちゃん心配したんだよ〜」

「あぁ……その〜……ごめんなさい。でも僕は、お姉ちゃん達に任せきりにはしたくなかったから……」

 

これは僕の本心だ。これまでお姉ちゃんは、僕と箒さんが知らない所でこんなにも大変な思いをしてきたんだ。まぁお姉ちゃんからすれば、どうって事はないと言いそうだけど。

 

(でも僕は、お姉ちゃんが傷付くのは見たくないから……)

 

だから僕は、これからお姉ちゃん達と一緒に行こう。箒さんには寂しい思いをさせてしまうけど……ね。

 

「でも、おっくんに怪我が無くて良かったよ〜。おっくんにもしもの事があったら、お姉ちゃん……」

「心配をかけてごめん……。でも僕は……」

「うん、分かってるよ。だから……これはお姉ちゃんからのご褒美だよ♡」

「えっ? うむっ⁉︎」

「チュ……ハム……ぷはっ……ふふ、おっくんとのキスはやっぱり良いなぁ。これまでの疲れが一気に抜けていくよぉ」

 

キスをしたと同時に、僕の纏っていたISは解除されていた。その補助も無くなって、現実の重さに戻っていた。そして僕に抱きついているお姉ちゃんの、愛しい重さを感じ取れた。

 

「それにしても、まさか何も受け付けないはずのISがおっくんの事を受け付けるなんてね〜」

「僕もこれには驚きました。でも、結果的にお姉ちゃん達の力になれたから、僕はこれで良かったって思ってます」

「しかしそうしますと、小禄氏様は組織に狙われてしまうと予想ができますが……」

「その心配は無いよ、クーちゃん」

 

クロエさんの疑問に、お姉ちゃんは笑顔になって答えた。

 

「だって、おっくんの事は私が守るもの! だからおっくんは何の心配もいらないよ‼︎」

「お姉ちゃん……」

 

僕はその言葉を嬉しく思う。だけど僕の中では、もう守られる存在に甘んじるわけにはいかないって思いがある。僕も被害者でありながら、関わってしまったんだ。ISを使えるなら尚のこと、僕は無関係で無くなっている。だからこそ……。

 

「お姉ちゃん、お姉ちゃんのその言葉は、とても嬉しく思うよ」

「おっくん……」

「でも、僕ももうISというものに関わってしまったんだ。例えその過程が間接的だったとしても、この事実は変えられない。だからお姉ちゃん」

 

僕はお姉ちゃんから少し離れて、そこで片膝をつく。

 

「僕は……自分でも今の段階では何の役にも立たないって事ぐらい分かってるよ。それでもさ、僕はお姉ちゃんの事を守りたい。側で守っていたいんだ。だから、僕も一緒に戦わせて欲しい。それでお姉ちゃんの事を守らせて」

 

そう言いながら僕は、お姉ちゃんに右掌を上に向けて差し出した。それにお姉ちゃんは驚いていたようだけど、それも数秒で、お姉ちゃんの顔はとても嬉しそうにしていた。それで僕に笑みを浮かべながら、僕の手を優しく包むように握ってくれた。

 

「お姉ちゃんとしては、おっくんに危険にあってほしくなかった。でも、おっくんが自分でそう決めてくれたんなら、私からは何も言わないよ。でもこれだけは覚えていて欲しい」

 

お姉ちゃんはそう言うと、僕の手を引っ張って無理やり立たせた。そして……。

 

「っ⁉︎」

「んんっ♡」

 

僕の唇に、お姉ちゃんの唇が優しく当てられた。その数秒後には話されたけど、お姉ちゃんの顔はほんのりと赤くなっていて、そして嬉しそうな顔になっていた。

 

「どんな姿になっても、私の元に帰ってくるって約束して欲しいな」

 

お姉ちゃんからその時言われたのは、その一言だった。戦時中に家族が、恋人が戦場に赴く前に、愛する人に向けられて言われる事が多いであろうその言葉は、今の平和な世の中では使われなくなった言葉だろうと僕は思う。それでも僕にとってその言葉は、とても嬉しかった。元からこんな姿の僕に、中身がこんなにも醜い僕にその一言は……ただ幸せとしか表現できない。

 

「お姉ちゃん!」

 

僕はお姉ちゃんの事を抱いていた。例えるなら、子が親に愛を求めているかのように、愛でられたいように、そんな感情かなと僕は思う。これまでに親の愛情は受けてきた。でも僕は、それを嘘で塗り潰していたんだと思う。知った気でいたんだと思う。感じた気でいたんだと思う。でも今なら……分かる。僕の事を肯定してくれたお姉ちゃんなら、お姉ちゃんの愛情なら今の僕にも分かる。そしてそれを求めたいから、僕はお姉ちゃんの事を抱きしめているのかもしれない。

 

「おっくんたら……可愛いなぁ♡」

 

お姉ちゃんが僕の事を抱きしめ返してくれた。そして僕の頭を自分の胸の方へと誘導して、そして頭を撫でてくれた。その感触が、僕にとってはとてもくすぐったくて、それでいて気持ち良い。いつまでもこうしていたいと思う。それで僕は、心の中で改めて決意したんだ。

 

(僕は、お姉ちゃんの事を守る!)

 

そう心の中で決意しながら、今はめいいっぱいお姉ちゃんに甘えようと思った。




後半部分が無理やりでしたかね。

まぁ良しとしましょう。(どこを良しとするのか……)

さて、一章も次回でクライマックスを迎えます。いつ投稿できるか未定ですが……まぁ、アニメ版の1期までは最低でも終わらせるつもりです。

それではここで解説を……。

アシダカグモ

名前の通り蜘蛛ですね。よく人家にいる事が見かけられるとか。アシダカグモの特徴は、他の蜘蛛に比べて大きく、そして足が長く、走るのも早いことでしょうか。捕食する生き物は……多分アシダカグモを知っている人はご存知かもしれませんが、ここではG(もう答えを言ってるに等しい)と表しておきましょう。そして比較的少し大きな肉食動物(ネズミなど)ですね。捕食する際のことなんですが、彼らは網を使わず自分の足で動いて獲物を捕らえます。そして目の前を捕食動物が通ると、仕留めたばかりの獲物より優先して新しい獲物を捕らえに動きます。捕食する生き物を見る限りだと、獰猛そうな感じがするでしょうが、実はアシダカグモは臆病者です。壁を叩く音にも反応して逃げ出します。しかしながら人からすれば益虫です。(姿などは不快害虫と言われてるらしいです)
それはともかくとして、今回はアシダカグモの能力を出してみました。まぁ、ほぼテラフォーマーズの受け売りです。

それではまた……。
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